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EPISODE.15「再会」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:07/23-02:15 No.967
EPISODE.15「再会」
SIDE:翔馬
「あー、………それで何で鶴子さんがここに?」
刹那を目覚めさせた後、俺たちは学園長室のソファに座ってなぜ鶴子さんが麻帆良に来たのか学園長に聞いた。
「それは、近頃この辺も物騒になってきたしのぅ…SBの動きも活発化しておるし、人手が足らんのじゃよ。確かに乾君たちが協力してくれるとはいえのぅ?」
―――――――――――確かに。
「だからあちこち伝手を頼ってあちこち打診しておったら、ちょうど鶴子君からこちらに来たいと連絡があってのぅ…これは渡りに舟と思って鶴子君にはこちらに警備員として来て貰った…と言うわけじゃよ」
―――――――――――まあ、鶴子さんほどの腕利きが来てくれるとなれば心強いか。
「そんな訳で、翔馬はんに刹那はん。これからよろしゅう♪」
にっこり笑って頭を下げる鶴子さん。
俺としては鶴子さんは少し苦手ではあるが、まあ美人が増える分には文句は無い。
問題はさっきから一言も喋らない刹那の方なんだが―――――――――――
「―――――――――――解かりました。鶴子姉さまなら信頼できますし。これからよろしくお願いします」
そう言って、こちらも頭を下げる。
どうやら色々とトラウマがあったようだが、やはり幼い刹那に神鳴流を教えてくれた師匠なのだ。落ち着いて考えれば嬉しい再会なのだろう…多分。
「ところで、刹那はん?」
話が一段落したところで、鶴子さんが刹那に質問した。
「? 何でしょう? 鶴子姉さま?」
「学園長から見せていただいた記録からすると、かなり腕を上げた様やけど…自己流で技を磨いたんか? それにしてはウチが教えとらん技も使えるみたいやけど?」
その鶴子さんの疑問に答えたのは刹那では無く―――――――――――
「おお、それなら刹那君は麻帆良に居る神鳴流剣士の女性に教えを請うておるんじゃよ」
学園長だった。
「―――――――――――なるほど。ならばウチもちょっとご挨拶せんといけまへんなぁ…ウチの可愛い妹弟子がお世話になったんやから」
その鶴子さんの言葉に、なぜか刹那は―――――――――――
「い、いえっ!! 鶴子姉さま!! それはいけません!!」
慌ててそれを止めようとした。
「? なんでや? 刹那はんがお世話になったんやから、ウチが挨拶せんといかんやろ?」
きょとんとした顔で刹那に訪ねる鶴子さん。
「そ、それはそうかもしれませんが…!! い、色々と問題が――――」
なぜか挙動不審な態度でオドオドしだす刹那。
そこに――――
コンコン。
と、ドアをノックする音が。
そして――――
「学園長、葛葉です」
「おお、刀子君か。入ってきたまえ」
「…葛葉――――刀子…?」
鶴子さんがその名前を聞いて、いぶかしげな顔をした。
「あああああああ…………!!」
代わって刹那が頭を抱える。
その表情は絶望に塗れている。
「いや、先ほど言った刹那君にこちらで教えていた女性じゃよ。鶴子君がこちらに住む事になるなら、同じ神鳴流同士早く顔を会わせておいた方がよいじゃろ?」
その学園長の言葉に、刹那は声にならない叫びを上げる。
「~~~~~!?」
その表情から推測するに――――
(なんてことをしくさるんじゃ!? このくされじじい!?)
ってな感じだろうか?
――――まあ、俺の意訳だが。
そして、学園長の言葉を受けて部屋にはいってきたのは――――
「失礼します」
メガネをかけた長髪の美人――――年齢は鶴子さんと同じくらいか少し上だろうか?
雰囲気的にクールで冷静沈着そうな知的美人だが――――。
「学園長。突然呼び出しとは――――」
入ってきた女性は、部屋にいた鶴子さんをみて、その動きを止める。
「つ――――鶴子っ!?」
その表情が驚愕に変わる。
「おや…やっぱり刀子はんどしたんか。――――では刀子はんが刹那はんを…?」
その鶴子さんの疑問に、
「うむ。そうじゃよ」
答えたのは学園長。
相変わらず刹那は絶望した顔をしている。
具体的にはorzみたいな?
「な、何でここにこの人格破綻者の鬼女がいるんですかっ!?」
そう言ったのはクールそうな表情を崩した『葛葉刀子』さん。
――――いや、どうやら知り合いらしいけど面と向かってそう言うのはどうだろうか?
――――まあ、刹那から聞いた話や俺との仕事の事を考えると納得できる評価だが。
「ほお…?」
鶴子さんの笑顔が引きつる。
おいおい、マズイんじゃねーか…?
鶴子さんがキレたらどうするんだ!?
刹那もそれ予測したのか、虚ろな目をし始める。
「刀子はん…久しぶりに会った同級生にエライ言い様やなぁ…?」
「高校生時代にアナタが起こした騒動を思い起こしなさい!! それを考えてみたらまだおとなしい方です!!」
――――どうやらこの二人、高校時代の同級生らしい。
そして、お互いの高校時代の失敗談をバラし合う二人。
二人して昔話を暴露している間、俺は刹那に近づいて話しかける。
「おい、刹那!! コレはいったいどうゆう事だ!?」
「実は、このお二方はライバル関係みたいな間柄でして…京都にいた頃はそれはもう毎日
のように喧嘩をしていまして…」
ははは、と虚ろに笑う刹那。
「だから会わせたくなかったんですよ…」
「うーむ。鶴子君と刀子君にそんな関係があったとはのう…」
ヒゲをいじりながらそう言ったのは学園長。
「何だ、じじい知らなかったのか?」
「うむ。あんな風に感情を露わにする刀子君を見るのさえ初めてじゃよ…いつもはクールビューティなんじゃがのう…」
まあ、確かにそんなイメージだなぁ。
「鶴子姉さまや禁句を言わなければクールな人なんですが…」
「? 禁句?」
なんだそりゃ?
俺たちがヒソヒソと話しているうちに鶴子さんと葛葉さん――――刀子さんの言い合いは続けられていた。
「そう、言えば刀子はんこちらには結婚してきたんやったなぁ…? あの時は急な話でお祝いも出来んやったんやけど、その後どうなん?」
その鶴子さんの言葉に、刀子さんはビシッ! と石化したように固まる。
「ああ~!? ついに禁句を~!?」
刹那が頭を抱える。
ん? コレが禁句…?
「――――離婚しました」
そして、刀子さんの氷のような声が部屋に響きわたる。
――――うあ。マズイ話題じゃね?
そりゃあ、禁句にもなるわ…。
「ほお~~~?」
その刀子さんの言葉に、なぜか嬉しそうな笑顔をする鶴子さん。
その表情は他人の不幸がこの上なく楽しいかのようだ。
例を挙げれば某マーボー好きな神父のごとく。
「それはお気の毒どしたなぁ~♪ ウチも悲しいどすわ~♪」
――――嘘付け。
ほほほほほ、と口元を巫女服の袖で隠しながら言う鶴子さん。
「まあ、刀子はんの性格では仕方ないかもしれまへんけどなぁ~?」
その言葉に――――
「――――はっ!! 嫁き遅れの分際で…!!」
言い返す刀子さん。
ピシィッ!!
こんどは笑顔のまま固まるのは鶴子さん。
完全にフリーズしてるよ…。
「私は離婚したとはいえ、一度は結婚した身…今だ一度も男性とお付き合いすらした事が無いアナタとは違うんですよ…!!」
はっ!! と鶴子さんを嘲笑う刀子さん。
「ほほほほ…どうやら、昔の決着を着けたいようどすなぁ…?」
笑顔の鶴子さん。だがその目は笑っていない…とゆーより、黒目と白目が反転してるよ!? オイ!!
「ふふふふ…いいかげんあなたのその顔も見飽きましたし、この辺で地獄におとしてあげましょうか?」
こちらも目を反転させてコロス笑みを浮かべる刀子さん。
「え、えーっと……が、学園長先生? や、やばくないですかにょ!? これは!?」
「う、うむ…ワシもそんな気がしちゃったりなんかしちゃったりなんかしちゃたり?」
あたりに充満する殺気にあてられ、変な言葉使いになる俺とじじい。
ほほほほほ、と笑う鶴子さんと、
ふふふふふ、と笑う刀子さんが、
とってもKOEEEEEEEEEEっっっ!!!!!!!!!!
しかし、勇気を振りしぼってじじいが二人を静止しようとする。
「あー、二人ともそんなあまり殺気だたんで――――」
そのじじいの言葉を遮り――――
「「“神鳴流奥義――――斬空閃”!!!!!」」
喧嘩しているはずの二人が、一瞬で手元に剣を現してなぜか息を合わせて同時に同じ技をじじいに向けて放った。
「りべる・れぎすっっ!?」
変な叫び声をあげてじじいが吹き飛ばされて壁に激突。
ボグッ!!! ベシャッッ!!
壁に赤いペンキを塗ったような跡が残る。
――――じじい…非安らかに眠ってくれ…。
なむ~~。
俺がじじいに拝んでいる間にも二人の激闘は続く。
ガンッ!! キィィィンンン!! ザシュッッ!!
物騒極まりない音が部屋中に響く。
「鶴子ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
「刀子ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
バキィィィィンンンン!!! ガキィィィィィンンンン!!!
どこぞのスト○イクVSイー○スのような激闘が学園長室の中で繰り広げられている。
「――――逃げよう」
俺はそう決断し、傍らの刹那に呼びかける。
「刹那!! 逃げ――――?」
振り返った視線の先では、刹那が床に倒れこんでいた。
「お、おい!? 刹那!?」
倒れた刹那を抱き起こす。
「しっかりしろ!! こんなトコで気絶したら死ぬぞ!?」
ゆさゆさと起こす俺。
「翔馬さん――――」
ようやく目を開けた刹那は、
「お、お嬢様に、最後までお守りできずに、すみませんでしたとお伝えください…」
と、遺言を残す。
「いや、いくらなんでも遺言まで――――」
そうツッコミを入れようとした俺のすぐ側を、どちらかが放った流れ弾ならぬ流れ真空刃が――――
ザシュッ!!
――――今の、俺の首筋を掠めたんですが…?
数センチ横だったら俺の首が飛んでましたYO!?
動揺のあまりラップ調になる俺。
今のはマジでヤバかった…!!!
「この二人の喧嘩に巻き込まれたらこんな事は日常茶飯事ですよ…ハハハ…」
虚ろに笑う刹那。
「刹那も苦労してきたんだなぁ…」
こんな異常事態をいつも潜り抜けてきた様子の刹那に、涙が…。
「と、とにかく、ここから逃げるぞ…!!」
俺はそう言って、手元のオーガフォンから俺の相棒――――『オーガバジン』に連絡を入れる。
――――これは乾さんのオートバジンがもうすぐ完成するんで俺が相棒を改名した――――
数十秒後、オーガバジンからメールが。
「ん? なになに…」
そのメールには――――
「“ただいま、妹と家族の団欒中。御用のある方は後で掛けなおしなさい”――――っておい!?」
ご主人様の危機に何をいってるんですか~~~!?
さらにメールを送る。
内容は――――“ご主人様の危機と妹とのひと時、どっちが大事だ!?”
そんなメールを送りながらも俺は返信内容が予想できる気がした。
――――俺の相棒ならば――――
あ、返ってきた。
返信は――――
「“妹との会話を取るに決まっているでしょう!? 主でもそうするはずです!!”――――ああ…やっぱり。俺の相棒ならそう言うよなぁ…ははははは…」
俺も虚ろな笑いを上げる。
ん? もしかして俺ってば仮面ライダー初のバイクに見捨てられたライダー!?
そして、その後ろでは二人の激闘が最終局面に移ろうとしていた。
「ほほほほ…刀子はん? 今なら泣いて土下座するんなら許してもかまいまへんえ?」
いや、多分アンタは土下座した瞬間に脳天空竹割りをするね。
「ふふふふ…鶴子も壁に向かって猿のように反省すれば勘弁してもいいですよ?」
アンタもそれをしたら後から斬るね。絶対。
そんな二人の大技が今、激突する。
「「“神鳴流決戦奥義――――”!!!!!」」
――――どうやら二人とも同じ技を出すようだ。それもトンデモないやつを!!
「「“真・雷光剣”!!!!!!!!!!!!!」」
バシュッッッッ!!!
光が部屋を満たす。――――まあ、光といっても破邪の雷光、掠っただけでも常人を数回殺せる力を秘めているのだが。
その光に包まれながら、俺は意識を失った――――。
――――その後、彼らの姿を見たものはいない…
DEAD END
――――ま、結論を言うと俺たちは生きていた。
マジで俺たちがギャグキャラじゃなかったら死んでいたと思う。――――刹那は否定するかもしれんが、お前ももう立派なギャグキャラだぞ?
そして、特筆すべき事は鶴子さんと刀子さんの二人が俺と刹那の剣の師匠になった事だろう。――――なんでさ
それを聞いた刹那は、愛刀“夕凪”で切腹を計ろうとしたりしたが、俺が止めた。
後でその修行の厳しさを知ってからは、あそこで刹那を止めなかった方が良かったかも知れないと思ってしまったが。
――――余談だがこの修行で俺と刹那は、とあるサードなチルドレンの口癖が移ってしまった。
つまり――――
「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」
である。
いや、ホントにマジで逃げてえよ…(泣)
――――To be contenued
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