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EPISODE.5「剣姫」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:06/19-23:42 No.772

EPISODE.5「剣姫」


SIDE:翔馬

姉さん、事件です。

俺は今――――

「“神鳴流奥義――――斬岩剣”!!!!」

すっごい綺麗な京美人のおねーさんに襲われています。

ドゴーーン!!!!!

「げおるぎうすっ!?」

ヘンな叫び声を上げて吹き飛ばされる俺。

なぜ、こんなハメになったのかというと…

無論、あの後頭部の変形したくそじじいのせいである。


回想――――

あれから数週間。少しはオルフェノクの力と、オーガの力に慣れてきた俺は、学園長から一つの仕事を依頼された。

「おー、翔馬よ。来てくれたか」

「なんです? 学園長」

「うむ、実はお主に一つ仕事を頼みたいのじゃよ」

「また、バケモノ退治か?」

あれから何回か、実戦訓練として学園に侵入するバケモノ退治を依頼された俺はそう返す。

正直、相手が弱すぎて訓練にはならなかったが。

「まあ、そうじゃな。じゃが今回は学園内ではない」

「? 麻帆良じゃないのか?」

「実はN県にいって貰いたいんじゃよ」

N県? 結構遠いぞ、おい。

「そこで、少し厄介な事件が起こっておっての…」

「厄介?」

学園長が言うほどの厄介事かよ。

「うむ。そこでは、近頃神隠しが頻発しておってのぉ…」

「神隠し? おいおい、人探しは俺の仕事じゃないだろ」

「それはそうなんじゃが…実は調査に送った数人の魔法使いが行方不明での」

!! 魔法使い…しかも学園長が送るくらいだ。そこそこの腕はあっただろう。そいつらが行方不明だと?

「なんとか、一人の者が戻ってきたんじゃが…」

学園長は、そこで言葉を切り――――

「そやつは、何か言う前に“灰化”してしまったんじゃよ」

――――灰化!?

「――――そいつをやったのが、オルフェノクだと?」

「確証は無い。――――が、ワシの勘ではおそらくは…」

学園長の勘か…たしかに普段は大人気ないじじいだが、裏の世界で長年修羅場をくぐってきた魔法使い。その勘は無視できない。

「だから俺が?」

「そう言う事じゃ。 オルフェノクに対抗できるのはよほどの術者かもしくは――――」

「同じオルフェノク…そして“仮面ライダー”か…」

無意識のうちに手に出していたオーガフォンをいじりながらそう言った。

「でも、わざわざほぼ素人の俺を出すのかよ?」

このじじいも麻帆良――――いや、関東魔法協会の理事。いくら相手がオルフェノクでも、戦い始めて数週間の素人の俺を出す理由にはならない。

俺も馬鹿じゃない。どこぞの漫画の主人公のように、実戦でその天性の才能が開花する――――みたいな御都合主義をあてにはしない。

確かに力を使う事に多少慣れてはきたが、それとこれとは別問題だ。しかも、“オーガ”ははっきり言って反則並の強さだが、弱点もある。

一つは俺自身の戦闘経験の無さ。数週間前は普通の高校生だったのだ。戦ったことなど喧嘩か姉さんの攻撃をかわすくらいしかした事が無い。…まあ、刹那には経験が無いのに回避だけは神業クラスに凄いと褒められたが。

そう、今俺は刹那に剣術の基礎を教わっている。

基本、オーガも俺のオルフェノク体もメイン武器は剣だからだ。

まあ、教わっているとはいってもホントに基礎の基礎。握り方とか振り回しかたなどである。

もう一つは…“オーガ”が“強すぎる”事。

オーガの力の源である、“フォトンブラッド”は性質的に“気”に近い。

しかもその威力は常人――――いや、“気”を使う事に関してはプロである刹那でさえもまったく及ばない。

コントロール出来ない力など、幾ら強くても役には立たない――――

これは刹那が俺に言った言葉だが、俺もその言葉には同感だ。だから俺はオーガのフォトンブラッドを制御しようと日夜がんばっているが、成果は芳しくない。

そんな未熟といっても仕方が無い俺を派遣するなど、正気とは思えないのだが――――

「俺じゃなくても、適任はいるだろ? 高畑先生とか」

おそらく、俺が知る中で最も――――姉さんは除く。あの人は例外中の例外だ――――強い魔法先生。

「あー、高畑君は今主張中での~。適任は今おらんのじゃよ」

「なら、矢上さんとか明石さんとか。あの人たちなら今の俺よりはよほど強いでしょう?」

俺は、麻帆良に所属する同じオルフェノクの人の名前を挙げる。この前ここには俺しかオルフェノクがいないような事をじじいが言っていたが、実は保護しているオルフェノクが何人かいるらしい。その中でも俺が知っている中で腕が立ちそうな人の名前を挙げる。

「矢上君は今、医学部の試験中じゃし、明石君は一応引退しておるし、喫茶店“クローバーハーツ”を経営しておるしのう…遠征にはむいておらんのじゃよ」

他に知っている名前を挙げるが、どの人も都合が悪いらしい。

「って、オイ!! 俺もそーいえば、来週試験だぞ!?」

そーいえば来週テストだ。今まで忘れてたが。

「今の今まで忘れてた人間が何を言っておる。それにお主なら試験などカンタンじゃろ?」

いや、試験自体はカンタンでもN県なんかに行ったら試験が受けられんだろ?

「そこらへんはワシが何とかしよう…しかし、お主はココにきてからずっと学年首位をキープしとるのぉ…いつも遊んでいるようにしか見えんのに。――――まさか、カンニングとかしておらんじゃろうな?」

そう冗談っぽく言った学園長。失敬な。

「カンニングなんてするわけないだろ?」

「フォッフォッフォッ、それもそう――――」

「ただ、担当の先生方に、『先生、実は俺、先生がこんな事(先生が隠している秘密)をしているのを知ってしまったんです。これを忘れるには、俺のテストの点を満点にするしか――――』とか誠心誠意説得しただけだぞ?」

「そりゃ、脅迫じゃろぉぉぉぉぉぉっっっっ!?」

じじいが叫ぶ。うるさいなぁ…。

「失敬な。ただ、俺が秘密をばらさない代わりに点を上げるとゆー、正当な取引だ」

「それを脅迫と言うんじゃがなぁ!!」

「まあ、それはともかく…」

あっさり流す俺。

「――――後でその事は追求するぞい」

うめくように言うじじい。――――冗談だったのに。いくらなんでも学校のテスト程度でそんな危険な橋を渡る気は無い。

「で、話は元に戻るが、適任者はお主しかおらんというわけじゃ――――で、引き受けるのかのぉ?」

その学園長の言葉に、

(うーん、めんどくさいし、行きたくはないが――――じじい…学園長には世話にもなってるし、俺もこの事件は気になる)

そう、考えながら引き受ける事にした。――――本音は行きたくないが。

「で、どうなんじゃ?」

そう聞く学園長に、引き受ける旨を伝える。

「やなこった。試験間近の学生に厄介事を押し付けるなよ。あの世へ里帰れ、じじい(はい、この仕事、お受けします)」

――――おや?

「これは――――本音と建前が逆に? これが噂に聞く精神が肉体を凌駕すると言う事か…!!」

「殺すぞ~? 本気で殺すぞ~?」

青筋をたてて笑うじじいを無視して、話を変える。

「――――俺一人でか?」

正直、戦うだけならオーガの力をフルパワーで使えば何とかなるかもしれないが――――

学園長もすぐさま元に戻って言葉を返す。ここら辺は長い付き合いである。

「実は、京都の“神鳴流”の方から一人の剣士がお主に同行する」

――――? 神鳴流って…刹那の流派だろ?

そこでニヤリと笑った学園長は、

「もの凄い美人じゃぞ? お主も嬉しかろう?」

フォッフォッフォッ、と笑うじじいに、俺は不吉な予感を隠せなかった…。





数日後、N県の待ち合わせの場所にオートバジン改でやって来た俺の目に一人の女性が、目に入る。

長い黒髪――――

均整のとれた身体付き――――

まさに京美人と言うべき美人がそこにいた。

その人を見て、俺はもちろん――――

「――――帰るか」

俺は彼女を見て、すぐ様きびすを返してオートバジンに乗り込む。

「さて…明日菜とあやか、刹那と木乃香ちゃんにお土産買っていかないと…」

すでに俺の思考は彼女たちに対するお土産でいっぱいだった。

だから、後で俺を呼ぶ声は聞こえなかった。つーか無視した。

「そこの人。“源翔馬”はんではあらしまへんか?」

無視だ、無視。俺の待ち合わせの相手が巫女服着て、刀を持った銃刀法違反の人の訳がない!! つーかそう思いたいなぁ!!(泣)

そんな事を思いながら、足早に去ろうとする俺に――――

「ほう…ウチの事を無視するとはいい度胸どすなぁ…」

そんな言葉の後に――――

「“神鳴流奥義――――斬岩剣”!!!!」

なんて言って、街中で奥義をかましやがりましたよこのおねーさん!?

ドゴーーン!!!!!

「げおるぎうすっ!?」

吹き飛ばされる俺。

これが、俺の生涯の剣の師匠――――にして、姉さんと並ぶ俺の天敵――――である“青山鶴子”との出会いであった。



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MAGISTER MAGI&MASK’D RIDER 000 EPISODE.6「水魔」

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