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EPISODE.19「吸血鬼4」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:08/03-01:41 No.1030

EPISODE.19「吸血鬼4」


SIDE:翔馬

「先日はありがとうございました」

共に歩く茶々丸が、俺に頭を下げた。――――メイド服で。

「ん? ああ…あのネギ君たちが襲ってきた時の事か…」

先日、茶々丸をネギ君と明日菜が襲撃した事を思い出す。――――やっぱりいい仕事してるよ…このメイド服。

「茶々丸も大事な友達だし、相棒の妹さんだからね…まあ、アレはどこぞのオコジョに唆されただけだから、茶々丸もあまりネギ君たちを責めないでくれないか?」

「いえ、その事はネギ先生の立場ならば当然の事だと判断できますから…」

どうやら、茶々丸は、あの襲撃を特に気にしてはいないらしい。――――もしかして、作ったのはエヴァか? もしそうなら、何着か作って欲しいが。

ほんまにええ子や…。――――しかし、看病させるならここはナース服だろう。ちょうど手元にあるナース服を茶々丸に着せてみようか?

ほろりと、涙が出てきそうになった。――――心の奥底では別の事を考えながら。

マジで、茶々丸とオーガバジンをトレードしてくれないかなぁ…。

アイツ、近頃キャラが固まってきたのか俺にツッコミを入れるようになってきたからなぁ…。

一度なんて、ひき逃げアタックかましやがったし。

咄嗟に近くにいた西園寺を盾にしなかったら危なかったぞ?

そんな事を話ながら、風邪で寝込んでいると言うエヴァの家に近づく。

「翔馬さん、今ネギ先生が来ておられますが、どうしましょうか?」

「そー言えば、ネギ君。今朝はいやにハイで元気だったなぁ…」

茶々丸襲撃後はかなり落ち込んでいたのに。

「楓が土日の山篭りでネギ君にあったとか言ってような…?」

その時、あの忍者娘である『長瀬楓』と何かあったのだろうか…?

まあ、楓はその時の事は何も話さなかったが。



そして、エヴァの家の玄関に近づいた時――――

「貴様…私の夢を…!? き、貴様らはーーー!!!! 親子揃って…!!! や、やっぱり殺す!! 今すぐ殺す!!!」

「うひぃーーーーー!!!! す、すみません~~~!!!」

――――何やってんだ? あの二人は?

どうやら、聞こえてくる叫び声から、ネギ君が寝ているエヴァの夢を覗きみたらしいが…。

「あ…マスターが元気に…よかった」

「茶々丸…ここはそんな事を言ってる場合じゃないぞ?」

素でボケる茶々丸に、ツッコム俺。


そして、ネギ君は俺たちに気付かぬままエヴァ家を逃げ出していった。







「しかし…いったい、どんな夢をみていたんだ? あそこまで激高すると、興味が湧くんだが?」

「うるさいっ…!! ――――まあ、忌々しい夢だよ…私がこの封印をかけられた時の夢、『サウザンドマスター』の事さ…」

突然、悲しみと怒りの入り混じった複雑な表情で言うエヴァ。

――――やはり、色々と複雑な思いがあるらしい。

「へえ…そー言えば、どんな人だったんだ? 『サウザンドマスター』って? ネギ先生とかの話を聞いていると、かなり聖人のように人を助けるいい人な正義の味方っぽいが」

俺のその疑問に、

「――――は? 正義の味方…? 聖人…? ナギが…? ――――く、くくくくくっ…!! アイツがそんなヤツかっ!!!」

笑いながらそういい放つエヴァ。

「? どう言う事だ…?」

茶々丸に聞いてみる。

「いえ…私も魔法関係の情報を見るに、サウザンドマスターは翔馬さんが言ったような人物像でしたが…姉さんから聞いた話では違うようです」

「は? 姉さん?」

初耳だぞ…?

「はい、マスターの封印される前からの従者で、マスターが魔力を封印されてからは動けないので翔馬さんも会った事はないでしょうが…」

「へえ…つまり、オーガバジンとは違う系統の…まあ、母方の姉妹って事か?」

「――――まあ、そのような感じでしょうか?」

「ちょっと待て。――――翔馬…母方とは何だ…?」

急に俺たちの話に割り込んできたエヴァ。

「ん? 茶々丸を生んだのは、体や魔法関係をエヴァとハカセや超とかだろ…? そんで、AI方面はオーガバジンが元に…ん? オーガバジンが兄なら、その主である俺は父親ということに…?」

「いや、何でそうなる!?」

エヴァのツッコミを無視して、

「ふむ…なら、茶々丸! これからは俺を父さんと呼んでもかまわないぞ? もしくはパパとか!!」

笑顔の俺に、

「アホか貴様~~!!!!」

と、叫ぶエヴァ。

「はははは、無理しないで寝ていなさい、我が妻よ」

「誰がお前の妻だっ!?」

「はははは、エヴァに決まっているじゃないか? ――――風邪と花粉症を患ってるんだろ? ベッドに行こうか?」

「誰がっ…!? うっ…」

怒るエヴァが立ち上がろうとすると、急に眩暈がしたのかふらついてしまう。

そこで――――

「な、何をする!? 翔馬!?」

俺はふらつくエヴァを抱え上げ、ベッドに連れて行こうとした。

――――もちろん、お姫様だっこで(笑)

「き、貴様!? 何をする気だ!?」

顔を赤くして怒るエヴァに、

「何をするかって…勿論ナニ?」

「――――は?」

俺の言葉に、一瞬呆けるエヴァ。――――おお、レアな表情だ。

「きききき、貴様、今何を言っているのか解かっているのか!?」

「勿論、エヴァを寝かしつけて看病する事だが、それが何か?」

そう俺が返すと――――

「はぁ?」

呆気に取られるエヴァ。

「おやぁ~~~? エヴァンジェリンちゃんは一体、何をするのかと思ったのかなぁ~~~~? おにーさんに教えてもらえないかなぁ~~?」


ニヤニヤと笑いながら言う俺。

それに――――

「なっ!? ――――き、貴様と言うヤツはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!?」

絶叫するエヴァ。

そして俺を、合気道の技で床に叩きつけた。



「あたたたた…夫を投げるなんて、これがはやりのドメスティックバイオレンス?」

「だから、誰が夫だぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

「マスター。あまり大声を出すとお体が…」

激高するエヴァを宥める茶々丸。

そしてエヴァが、

「ふん!! ――――貴様、今の私の姿で欲情するのか? この変態が!!」

ふふふ、エヴァンジェリン君。その程度の言葉で、俺が怯むとでも?

「はははは、何を言っているんだ? エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。俺はナイチチから爆乳、巨乳、貧乳と、あらゆる属性に対応できるプロだよ? はははは」

そういい放つ俺に、エヴァはとてもイイ笑顔で――――

「はははは――――死ね、変態がっ!!!」

笑顔のまま俺に向かって、とび蹴り!! その足には、僅かではあるが魔力が込められている。

おいおい…封印状態のときには貴重な魔力をツッコミに使うなよ…。

しかし――――その程度は読めている!!

「甘い!! その程度の蹴りが俺に当たるとでも!?」

エヴァの蹴りをかわす俺。

「ふっ…どこぞの仮面大佐だったり、グラサンノースリーブ大尉だったりオールバック総帥だったりする赤い人が言っていただろう!? 『当たらなければ、どうという事は無い!!』ってな!!」

だが――――

「甘いのは貴様だぁぁぁぁぁ!!!!」

エヴァは、俺が避けるのさえ計算に入れていたのか、着地して再び蹴りを放ってきた。

「何っ!?」

病人のエヴァが、ここまでしてくるとは予想外だったのでその蹴りをまともにくらってしまった。

「あぽかりぷす!?」

俺は、顔面にエヴァの鋭い蹴りをくらい、吹っ飛んでしまった。






「あー…さすがに顔面に蹴りは効いたなー」

「ふん…貴様が悪かったんだ。私は謝らんぞ?」

茶々丸が入れてくれたお茶を飲むエヴァ。

さっきの激しい運動で汗をかいたのが良かったのか、体調は良さそうだ。

そして――――

「ところで、翔馬」

「ん? 何だ?」

お茶を飲んだエヴァが、俺に話しかけてきた。

「ぼうやの従者に、神楽坂明日菜がなったそうだな?」

ま、茶々丸から報告は行っているか…。

「らしいな?」

「ほう…貴様は神楽坂がコッチに入るのを止めるかと思ったが…」

訝しげなエヴァに、

「まあ、基本的にはそうだが…明日菜が自分から関わろうとするなら、俺にそれを止まる権利はないさ…例え止めても自分が決めた事を投げ出すようなヤツじゃないからな」

「ふん…なら、私と茶々丸がぼうやと神楽坂と戦ってもいいのだな?」

「それもまた、明日菜の選択しだいだろ?――――事情を知った明日菜が、今更ネギ君を見捨てるとは思えんが」

明日菜は普段は『ガキは嫌いなのよ!!』とか言ってるが、面倒見はいいからな。

「お前がそう言うのなら、それでもいいが…手加減はせんぞ?」

そ不敵に笑うエヴァに――――

「あまり、明日菜を甘く見るなよ?――――あれでも、俺の幼馴染だからな…」

じじいの言ったとおり、明日菜にあの能力があるのなら――――エヴァと戦う事も可能だろう…それでもかなり厳しいが。

「ああ…それはとてつもなく説得力がある言葉だな…貴様に付き合えるだけでかなりのものだろうな…」

なぜか、生暖かい目で俺を見るエヴァ。

――――いや、なんでさ?

「まあ、それより…くくくく――――明日の夜が楽しみだな?」

―――やっぱり、明日の停電を狙う気らしいな…。





SIDE:まき絵

今日は、学園中が停電する日。

私は、運動部の友達とお風呂に入っていた。

そしたら――――

「あれ? もう、停電する時間?」

「もー、まき絵が無理矢理お風呂に入ろうなんていうからだよー」

そんな事を言うゆーなに謝ろうとした私に――――

≪行け…我が下僕…≫

そんな声が聞こえて――――

「まき絵? 大丈夫?」

そう声をかけてきた、アキラの方を振り向いたときには既に私の意識は無かった…。







SIDE:ネギ

「兄貴!! 急に異様な魔力が…!!」

そう言うカモ君。

「おそらく、エヴァンジェリンのヤツだ!!」

「ええ~!? でも、エヴァンジェリンさんは今日の授業に出てきたじゃないか!?」

「甘いぜ!! 兄貴!! エヴァンジェリンのヤツがそう簡単に諦めるわけないじゃねーか!!」

そんな事を言っている僕の前に――――

「あ、あれ? あれは――――」

なぜか裸のまき絵さんがいた。――――って何で裸なの!?

「ま、まき絵さん~~~!!!? だだだだだ、ダメですよっ!? 裸で外にでちゃ!?」

まき絵さんから、目をそらしつつそう言った僕に――――


「ネギ・スプリングフィールド…エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさまが、きさまにたたかいをもうしこむ…10分後。だいよくじょうまでひとりでこい…」

まき絵さんは、そう言うとものすごい運動能力で去っていった。

あの運動能力…やっぱり、エヴァンジェリンさんに操られているから!?

「兄貴!! ここは明日菜の姐さんを呼んで仮契約(パクティオー)しねーと…!!」

「うん!! 分かった!!」

そう言って携帯で明日菜さんに連絡しようとした僕の脳裏に、明日菜さんの顔が――――。

「いや…僕一人で何とかするよ!!」

そのために、色々準備していたんだ!!

僕は、非常用に準備しておいた対エヴァンジェリンさん用の魔法装備を取り出し、身に着ける。

「無茶だぜ!? いくら装備を整えたところで、魔力が復活したらしいエヴァンジェリンには勝てねーよ!?」

でも――――

「これ以上明日菜さんに迷惑はかけれないよ!! ――――これは僕の…『ネギ・スプリングフィールド』の問題なんだ!!」

「~~~~えーい!! わからずや!!」

そう言うカモ君を残して、僕は大浴場に向かった。



そこには――――

「エヴァンジェリンさん!! どこです!?」

その僕の声に――――

「ふふふふ、一人で来るとは…フ――――見上げた根性だな?」

答えたのは、周囲にまき絵さん、アキラさん、ゆーなさん、亜子さん…そして、茶々丸さんを従えた、金髪の大人の女性――――。

なぜか、メイド服(以前、翔馬さんが熱弁していたから知っている)を着た皆を従えているその女性を見て、僕が思ったことは――――。

「あなたは…!!」

僕の言葉に、その女性はフッ…と笑う。

「誰ですか!?」

その僕の言葉に、金髪の人はステーン!! とコケた。

えーと、ホントにこの人誰だろう…?

それより、エヴァンジェリンさんは一体何処に…?



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MAGISTER MAGI&MASK’D RIDER 000 EPISODE.20「吸血鬼5」

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