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第2話「魔術使いと翼ある剣士と癒しなす姫君(後編)」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:04/10-12:53 No.270

第2話「魔術使いと翼ある剣士と癒しなす姫君(後編)」

 「なんでさ」

 気がついたときに、士郎はいつもの口癖を出してしまっていた。そしてなぜこんなことになったのかを思い返す。

(そう、あれはなし崩し的にバゼットとカレンが我が家に居候し始めた後――――)

とある事で知り合った元ランサーのマスターである、「バゼット・フラガ・マクレミッツ」と言峰の後釜のシスター、「カレン・オルテンシア」が衛宮家に住み始めてからしばらくして――――。

(そーだ、はじめはほんの少しの間だって言ってたのに…すっかり我が家に定住して。カレンは「駄犬の分際で、主人に逆らう気?この○○(検閲削除)。」とか言葉の刃を使うし、バゼットはバゼットで、笑顔で――サーヴァントすらもKOしかねない――拳で脅してくるし。まったく、あのサドマゾシスターとボクシングバカめ……だいたい―――)

思考が逸れ、愚痴になっている事に気付き思考を元に戻す。

(あー今は愚痴を言ってる場合じゃない。その後――――そうだ、ロンドンの魔術協会から調査に魔術師が来たんだったっけ。まあ、あたりまえか。現在冬木市には多数の“英霊”が現界しているのだ。協会が調査にくるのは当然だ。そうして来たのは…そう、「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト」――――第一印象は、“金のお嬢様”でも、そんな印象は「遠坂凛」との喧嘩を目撃してからは「きんのあくま」に変更された。つーかまるっきり金ぴかな遠坂?あんな人間が二人もいたら周りにいる人間――――特に俺――――が迷惑する。だいたい――――)

またも逸れる思考を元に戻し、

(あの後もいろんな出来事があった……今度は教会からあの“埋葬機関”の“第七司祭”がやって来たり、“真祖の姫”や“アトラスの錬金術師”がやって来たり……まあ、その人達や彼女らと一緒に来た「遠野志貴」と親友になった事は大きな収穫だった。志貴とは始めは、なんとなくお互い気に食わない感じがしていたが、お互い女性に振り回されている事に気付き、奇妙なシンパシーを感じてしまった。今ではもう、親友というよりも、もはや心友?というほどの仲だ。)

ここにはいない友人を思い出し少し笑う士郎。

(そして、遠坂とルヴィア――――そう呼ぶよう、本人から言われた――――が、実験を始めたんだ……そう、あのイリヤの城を分ぶち壊したあの実験を。)

実験の事を思い出し、顔をしかめる。

(始め、俺は危ないからやめとけって言ったのに……あの二人のあくまは、“大丈夫よ士郎、あの時はちょっと失敗しちゃったけど、今度は大丈夫だって”とか、“大丈夫ですわ、シェロ――――ルヴィアは俺をこう呼ぶ――――、ミストオサカだけならともかく、このルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトがいるのですから。大船に乗った気で見ていてくださいまし”とか言っていたのだが……結果は今、俺がこんな森の中にいることを考えれば解かるように、見事に失敗した。いつものごとく、遠坂の“うっかり”スキルが発現し、それだけならまだしも、ルヴィアもまた“うっかり”をしてしまった。――――いや、お前ら。いくらそっくりだっても限度があるだろ。なんでうっかりまで似てるんだよ……前々から思ってたがお前らの“うっかり”スキルはAランクか?でなきゃこんな時に限って失敗しないぞ?)

あの二人のうっかりで、ひどい目にあっている士郎はそう考えてしまった。

(いや、ある意味成功か?俺がこうして別の場所にいるってことは――――ここは“平行世界”かもしれないってことだし。)

彼女達の実験とは、彼女達が目指す“第2魔法”――――つまり“平行世界への移動”についてだったのだから。そして、実験を失敗した2人をかばった士郎は光輝く渦に飲み込まれ――――今、ここにいる。


思考にふけっていた士郎は、目の前にいる二人の少女に気付く。一人は黒髪
10歳前後の少女。もう一人は同じくらいの、髪をサイドにまとめており、こちらを睨んでいた。そして手には長い日本刀が。
 
 (は? なんで子供があんな刀を? 危なくないのか?)

そんな事を気遣うが、彼女の自然な佇まいに彼女が刀の取り扱いに慣れている事に気付く。

(もしかして、魔術師とか退魔師とかの人か? たしかに魔力を…って!! なんだ!? この黒髪の子!? 潜在的にとはいえ、遠坂の何十倍の魔力を持ってるぞ!?)

木乃香の内に秘められた強大な魔力に気付いた士郎。
伊達に遠坂や、料理を教える事を条件にキャスター(メディア)に魔術を教わってはいない。投影の精度や、強化、投影できる武器の種類も増えていた。……まあ、そーでもなければ全てのサーヴァントが現界し、変わった人間が存在する異常な環境で生き残れない。  具体的にはハラペコ騎士王が暴れ、もはや家政婦以外にアングラー(釣り師)の称号をもってしまった赤い弓兵が皮肉を言い。ナンパとバイトにいそしむ槍兵。時たま美綴を狙う騎乗兵。若奥様な魔術師。それをからかう暗殺者。しろいこあくまの下僕の狂戦士。そして金ぴかな英雄王。
人ならば、“あかいあくま”、時々黒くなる後輩。しろいこあくまなロリブルマとそのメイド。腹黒毒舌シスターにボクシングバカの元封印指定狩りの女魔術師。そしてなによりも恐ろしい、冬木に住ます猛獣。衛宮家のエンゲル係数を騎士王と共に上げる――――――――――「冬木の虎」ことタイガー!!
こんな面子に囲まれた状況で厄介事が起こらないわけが無い。しかも、遠野志貴とその関係者。真祖の姫君、遠野財閥の当主、第七司祭、洗脳探偵、錬金術師、そして割烹着の悪魔に出会ってからは、さらに厄介事に巻き込まれ、死に掛けたことは数え切れなかった。セイバーに『全て遠き理想郷(アヴァロン)』、エクスカリバーの鞘を返して貰わなければ死んでいただろう。能力の向上は生きるために必要だったのだ。

そんな理由で彼の能力は上がっていった。




話は元に戻り、木乃香が士郎に体調を訪ねる。

「え~と。体の方は大丈夫なん?」

体を気づかう木乃香。士郎を心配している。

「あ…ああ。大丈夫だ。ん? いや、なんか少し視点が違うような…?」

自分の体を見渡す士郎。その体は―――――13歳くらい。小学6年生くらいの身長だった。

「な、なんでさーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」

何が起こったか解からず、絶叫する士郎。再び口癖が出た。

「ど、どうしたん!? な、なにかあったん!?」

突然の叫びに驚く木乃香。刹那も突然叫ぶ士郎に驚き、あっけにとられる。

「い、いや、なんか体が縮んでるよ!? 俺!?」

パニックになる士郎。

「へ~ そうなんや~ たいへんやな~」

士郎の言葉をすぐに信じる木乃香。性格もあるのかも知れないが、士郎が本気でパニクってるのを感じたのだろう。それに彼女も「関西呪術協会」の長の一人娘。こんな事もあるのだろう。と判断した。

そんな士郎に、刹那もさすがに警戒を解いた。さすがにこんな刺客はいないだろう。とゆーかいたら困る。

「えーと、貴方はどちらのかたですか?」

士郎に訪ねる刹那。

「え…あ、ああ。俺は『衛宮士郎』って言うんだけど」

「ウチは近衛木乃香。で、こっちが…」

「…桜咲刹那です」

まだ少し警戒心を残したまま答える刹那。士郎はまあ、突然現れたであろう自分が怪しいのは解かるので気にしなかった。

それより――――

「えーと、色々聞きたいんだけどその前に―――君たちは魔術師とか退魔師なのかな?」

訪ねる士郎。それに、

「ええ、私は「神鳴流」の剣士ですし、このちゃん―――お嬢様もこちら側を知ってます」

そう答える刹那。士郎は過激派の人間ではないであろうが、さすがに初対面の人間に木乃香の素性は明かせない。

「それなら、士郎さんも魔術師なん?」

納得したように訪ねる木乃香。

「あー、俺は魔術使いなんだけど…まあいいや、それで信じられないかもしれないけど、どうやら俺は別の世界から来たみたいなんだ」

そんな士郎の言葉に、

「「えっ!?」」

二人の声がハモる。いくら裏の世界が何でもありでも、突然『別の世界から来ました』とか言われてもすぐには信じられない。

「うーん…信じられないだろうけど本当なんだ」

士郎の困ったような顔、そして彼の瞳が真剣な事を見て取った木乃香は士郎の事を信じようと思った。

「うん…ウチは士郎さんが嘘ついとる様には思えへんから信じるわ」

にっこり笑いながらそう告げる木乃香。

「…ふう、このちゃんが信じるならウチも信じるわ」

木乃香の言葉を聞いてそう答える刹那。彼女の人を見る目は信用しているし、士郎の目を見て彼女もまた士郎が嘘を言ってないと判断した。

「…自分で言うのもなんだけど、よく信じてくれたね…けど、助かったよ。ありがとう」

そういって木乃香と刹那に笑いかける士郎。

その笑顔に、二人は顔を赤らめた。

(ん? どうしたんだろ? 二人とも)

たとえ異世界にいても、体が若返っても衛宮士郎の朴念仁ぶりは健在だった。

「い、いえ士郎さんが信じられると思ったからですから」

「そ、そうやで、士郎さん。ウチらは信じるで」

顔が赤いまま、どもりながらもそう答える二人。


「で、では、屋敷の方に来てもらって、長に会ってもらいましょう。その方が良いでしょうし」

「そ、そうやな。お父様なら相談にのってくれるやろ」

いまだに赤い顔のまま、士郎を屋敷に連れて行こうとする二人。

「うん、なら――――――」

答えようとした瞬間。士郎はこちらを伺う視線を感じた。

「――――っっ誰だ!?」

そう叫び、視線の方へと振り返る。

そこへ―――――

「ほう…私の視線に気付くとは、やるな、小僧」

そう言って現れたのは一人の男。だが、その背後には異形のモノ―――鬼が数体控えていた。

「くっ!!まさか、過激派の術者か…!?まさか本当にお嬢様を狙うとは…!!」

再び警戒態勢をとる刹那。士郎対してとっていた時とは段違いの警戒をしている。

「ああ、そうだ…私は『近衛木乃香』の身柄の確保を命じられていてね。彼女を人質にとれば、長――近衛詠春も動かざるをえまい。その隙に我らが呪術協会を乗っ取る手はずだ」

自分達の計画をあっさり喋る男。

「そんな事を俺たちに話すってことは、俺たちを生かして帰すつもりは無い…ってことか」

男の言葉に、そう推察する士郎。

「そのとおりだ。こちらに必要なのは近衛木乃香だけでな」

あっさりと認める男。

刹那は自分のうかつさに悔やんでも悔やみきれなかった。

(くっ!! まさかこんな強引な手段に訴えてくるとは…!! せめて屋敷の増援がくるまで時間を稼がないと…!!)

先ほど士郎が墜落した音を聞いて、屋敷の人間もこちらに向かっているはずだ。それまで時間を稼げば――――

そう思った刹那だったが、男は―――

「ああ、増援を待っているならば無駄だ。今頃他の者が足止めしている。間に合わんよ」

刹那の希望を打ち砕いた。

(くそっ!!増援は望めない…!!でも、私の力では奴と鬼達には勝てない!!……ならば――――)

覚悟を決めた刹那は、士郎にこう頼んだ。

「士郎さん! お嬢様を連れて逃げて下さい!! 私が奴らを足止めしますから!」

「せっちゃん!?」

刹那の言葉に叫ぶ木乃香。

「では、士郎さん…頼みました!!」

士郎を信じて木乃香を託す刹那。僅かなあいだではあったが、なぜか彼が信じるに値する人間だと信じられた。彼ならこのちゃんを守ってくれる…と。そう思いながら突っ込む刹那。

「斬空閃!!!!!」

気で強化された剣から真空刃が放たれ、男に向かっていく!

―――が、男はあっさり避け、

「行け」

鬼たちに命令する。鬼達は刹那に向かって走り出し、押しつぶそうと迫ってくる。

「グオオオオオオオオォォォ!!!!」

雄たけびを上げながら迫る鬼。その様子に心が負けそうになる刹那。彼女はまだ幼く、技も未熟だ。今の彼女が使える技はさっきの「斬空閃」と「斬鉄閃」の二つのみ。まだまだ実践をするには早すぎた。だが、彼女には支えるモノがあった。それは『木乃香を守る』と言うこと。それだけが今の彼女を支えるたった一つのものだった。

「くっっ!!」

寸前で鬼が振り下ろした金棒を避ける。だが、その攻撃は地面を割り、その衝撃で刹那は吹っ飛ばされた。

ゴロゴロと転がる刹那。そんな様子を見た木乃香は、

「せっちゃん!?」

と叫ぶ。その顔は蒼白だ。

「桜咲!?」

士郎も叫ぶ。どう考えても刹那が奴らに勝てるとは思えない。それは刹那も解かっているだろう。つまり、木乃香を助けるために自分が犠牲になろうとしているのだ。そんな事はさせない―――!!!!

「早く逃げて!!! 早く!!」

そう振りかえって叫ぶ刹那に、再び鬼の金棒が迫る!!

「――――っっ」

自分の死を予感して、目を閉じる刹那。だが―――――

「投影開始(トレースオン)」

「“赤原猟犬(フルンディング)”」

そんな言葉が聞こえ、鋭い音が刹那の頭上を越えていった。

刹那が目を開けると、今にも彼女を打ち砕かんとしていた鬼の体には大穴が開き、その体を虚空へと散らせていった。

何が起こったのか理解できない刹那は呆然と後ろをふりかえると―――――

木乃香の前に立ち、黒い弓を構える士郎の姿があった。その目はまるで鷹のような鋭い視線で、敵を貫いていた。

その姿に、刹那も、そして後ろで見ていた木乃香も目を離せなかった。

それほどその光景は美しかった。

「なっ!? き、貴様一体なにをした!?」

さっきまでの余裕をかなぐり捨て、男は叫んだ。

「小僧……何者だ? そんなマジックアイテムを使うとは…西洋魔術師か!?」

「いや、俺は魔術使い…といってもこっちじゃ解からんか。なら、『正義の味方』…とでも名乗っておこうか?」

男を馬鹿にしたように笑いながら挑発する。刹那から注意を逸らし、自分に目を向けさせるために。―――――皮肉なことに、彼のそんな様子は嫌いな赤い弓兵にそっくりだった。本人は否定するだろうが。

「ふざけおって……!!! 死ね!!!!」

そう叫び、残りの鬼を士郎に差し向ける。

「近衛はここで桜咲を待って!」

そう木乃香に言って鬼に突っ込む士郎。そして刹那とすれ違い様に、

「桜咲は近衛のところに戻れ!! あいつらは俺が相手をする!!」

「し、士郎さん!?」

そう叫ぶ刹那を尻目に、

「投影開始(トレースオン)」

再び投影する士郎。その手には――――

“干将莫耶”

白と黒の色をした二つの剣が現れた。

「チッッ!!」

鋭く叫び、向かってくる鬼の懐に飛び込む。襲い掛かる金棒を掻い潜り鬼の腹を干将で薙ぎ払う。体勢を崩した鬼の背後にすばやく回りこみ、莫耶で鬼の首を狙う。

シュパッッ!!

いやにあっけなく鬼の首が落ち、その体が崩れ落ちる。

(――――? やけに調子がいいな。干将莫耶も普段より鋭い。体が小さくなって筋力が落ちたかとおもったが、そうでもない。この世界はマナが豊富だからか?)

どうやらこの世界は士郎のいた世界よりもマナがかなり濃く、士郎の魔力もまた上がっていた。

そんな思考を振り切り、残った鬼に立ち向かう。

今度は二匹同時に左右から襲い掛かってきた。

それを見た士郎は、干将莫耶を捨て、

「投影開始(トレースオン)」

再び剣をその手に生み出した。

“童子切安綱”

かつて、鬼の首領「酒天童子」の首を切り落とした、天下五剣の一つ。その切れ味は凄まじく、平安時代の英雄「源頼光」が所持していたと伝えられる刀。

その伝説に伝わる刀が士郎の左手に現れた。

まさに鬼退治には最適な刀である。

「ハァァァァッッッッ!!!!!!」

掛け声と共に、両手に持ったその刀を右の鬼に振り下ろす。鬼は手に持った金棒で受け止めようとするが――――――

ザシュッッ!!!!

童子切安綱は金棒ごと脳天から鬼を切り裂き、鬼は真っ二つになった。

その背後から襲い掛かるもう一匹の鬼。それは仲間の死にも関らず襲い掛かる。

だが、士郎はそれを予測していた。

“心眼(真)”――――――――戦闘において危機的な状況を乗り越える為の能力。 修練・経験の積み重ねによって得られる物。得られた情報と戦闘経験に基づく冷静な状況判断によって活路を見出す。

このスキルをもった士郎には、この程度は軽いモノであった。

振り下ろされる金棒を紙一重で見切り、すれ違い様にその胴体を一文字に切り裂く。最後に残った鬼は、体を上下の二つに別れさせて地面に倒れていった。


そんな光景をずっとみていた二人―――――木乃香と刹那は、今目の前に繰り広げられた光景から目を離せなかった。まるでおとぎ話の英雄のように鬼を倒していく士郎の勇姿に――――――


全ての鬼を倒された男は、

「な……私の鬼が…こんな子供に……!!」

歯を食いしばりながら男は呻く。もはや男に戦闘能力はなかった。

「くそっ!! 失敗か!!」

失敗したと悟った男は、きびすを返して逃げ出していった。

「あっっ!!!」

男が逃げ出すのを見て我に返る刹那。

(ここで逃がしたらまたこのちゃんを襲うかもしれない―――――!!)

そう思い、男を追おうとしたが―――

「逃がさん」

そう呟いた士郎の手には、再び黒い弓が現れ、

「投影開始(トレースオン)」

そう再び呟き、矢を生み出す。

そうして現れた水色の剣をつがえ、

「“偽・氷結剣(アイスブランド)”」

その矢の『真名』を唱えて打ち出す。

その矢は逃げていく男の足に刺さり――――

男を氷の柱に閉じ込めてしまった。


「ふう―――――」

戦闘が終わり、息を吐き出す士郎。そして後ろを振り返り、木乃香と刹那に話しかける。

「終わったよ。桜咲は大丈夫か? 怪我とかは?」

そう訪ねる士郎に、

「は、はい。怪我はありませんが―――――士郎さん!さっきのは一体なんですか!? あんなに凄まじいマジックアイテムは見たことがありませんよ!?」

「は~ 確かにすごかったな~ 士郎さん、強かったんやね~」

緊張が解けたのか、二人ともさっきまで青かった顔色が今は赤くなっている。

「あれは、まあ俺の必殺技みたいなものさ。後で詳しく話すよ。それより、迎えの人が来た見たいだよ」

そう言って森の方を指差す士郎。そこから、数人の人をつれた男性が現れた。

「お父様!!」

木乃香はそう叫ぶと、やって来た男性「近衛詠春」に抱きついた。

「木乃香…無事でよかった」

木乃香が無事なことを確認して、ほっとする詠春。

「刹那君。君が木乃香を守ってくれたのかい?」

訪ねる詠春に、

「いえ、このちゃん――――お嬢様を助けてくれたのは、こちらの士郎さんです。士郎さんがいなかったら、危ない所でした」

そう言って士郎を紹介する刹那。

「そっちの少年が…?」

士郎を見る詠春。

「えーと、始めまして。俺は『衛宮士郎』っていいます」

とりあえず自己紹介をする士郎。

「ほんまや~ 士郎さんが鬼を退治したんえ~」

「そうか……衛宮君といったね」

「はい、そうです」

「いや、危ない所二人をたすけてくれた様だね。ありがとう」

そう言って頭を下げる詠春。

「い、いえ、おれは当然のことをしただけですから」

「いや、親として、娘を助けてくれた人に礼をするのは当然さ――――ところで衛宮君。君もこちら側の人間だそうだが、どこかに所属しているのかね?」

そう訪ねる詠春。娘を助けてくれた恩人ではあっても、どこかの組織の人間である可能性もある―――――とはいっても、士郎の目を見た詠春は彼を8割がた信用していた。

「お父様、士郎さんは別の世界からこっちに来たそうなんや」

木乃香の言葉にさしもの詠春も言葉が無い。

「えーと、実はそうなんです。嘘みたいな話ですけど」

いいにくそうに話す士郎。

「なるほど……そんな事もあるかもしれないな…この世界には異なる世界から呼び出す召喚術というものもあることだしね」

そう呟く詠春。

「なら、この世界に行くところがないだろう? なら、私のところにこないかい?」

そう言う詠春に、

「え? 良いんですか? はっきりいって自分で言うのもなんですが、怪しいですよ!?」

「はははは。いや、君の目を見て信用できる人間と思ったよ。それに木乃香と刹那君も信用しているようだしね」

「そうやえ、士郎さん。ウチの家に来てもらいたいねん」

そう言う木乃香。

刹那も、

「私も士郎さんにお礼したいですし、ぜひ」

そう言った。

「…それなら、ご厄介になります」

士郎は詠春のところへ行く事にきめた。

「では、行こうか」

そして彼らは、屋敷の方へと歩いていった。

第2話了

士郎とネギの麻帆良騒動記 第3話「修行の日々」

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