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第5話「副担任就任!?」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:04/19-16:44 No.335 

第5話「副担任就任!?」

学園長室―――――

タカミチに連れられて学園長室にやってきた士郎とネギ、明日菜に木乃香。ドアを開けて部屋に入ると――――

(―――――――え? 何? 妖怪?)

それが士郎が部屋の中にいた人物…『近衛近右衛門』を見た第一印象である。

まあ、無理もない。頭部が後ろの方に突き出たような人間は普通いない。

「フォッフォッフォッ、ワシが学園長の『近衛近右衛門』じゃ」

そう自己紹介する妖怪―――いや、学園長。

(え? この妖怪?が近衛近右衛門…関東魔法協会の理事か?)

結構ヒドイことを考える士郎。その士郎をおいて、話は進む。

「ふむ。修行のために日本で学校の先生を…そりゃまた大変な課題をもろうたのー」

「は、はい。よろしくお願いします」

「しかし、まずは教育実習という事になるかのー」

そう話を進める学園長。

「ちょっとまって下さいってば!!」

バンッッッ!!!

机を叩きながら明日菜が抗議する。

「大体子供が先生なんておかしいじゃないですか!! しかもうちの担任だなんて…」

(うん、まったくその通り。だけど、こんな人達にそんなこと言っても…)

「大変じゃろうが、ダメだったら故郷に帰らねばならん。その覚悟があるのじゃな?」

明日菜の言葉を無視して言う学園長。

(ほら、無視した。こんなタイプは都合の悪い話は聞こえないフリをするんだよなー)

今までの経験からそんな悲しい事を悟ってしまう士郎。その姿には哀愁が漂う。

「はい!! やります!! やらせて下さい!!!」

返事をするネギ。その目は真剣だ。その目を見た士郎は、

(へぇ…まだ子供なのに、いい目をしてるなぁ)

ネギの目を見て、ただの子供ではないと感じた。

(まあ、詠春さんの話だと魔法学校を主席で卒業したらしいし、しっかりしてそうだ。この分だとうまくやってけそうだな)

自分の護衛対象がしっかりしてそうで、安心する士郎。そこに、

「―――で、君が西の長から派遣された『衛宮士郎』君かの? このかや桜咲君から話は聞いておったよ」

「はい。今度こちらにお世話になることになった衛宮士郎です。よろしくお願いします」

学園長の言葉に、頭を下げる士郎。

「うむ。衛宮君、実は君にはネギ君のサポートとして副担任をやってもらいたいのじゃよ」

「――――は?」

(イマナントオッシャイマシタカコノジジイ)

混乱する士郎。

「い、いや、俺に教師なんて無理ですって!! 教員免許なんて持ってないんですから!!」

「いや、大丈夫じゃよ。君には授業をしてもらうと言うより、ネギ君の補佐をしてもらいたいのじゃ」

士郎の反論にそう返す学園長。

「補佐…ですか?」

「うむ。ネギ君はまだ若いが、能力に関しては問題ない。が、いかんせんまだ若いからの~。誰か補佐をつけるつもりじゃったんじゃが…都合のいい人間がおらんでの。そこで西の長―――木乃香の父から派遣された君に白羽の矢が立ったと言うわけじゃ」

その学園長の言葉に、

「はあ…まあ補佐ということなら……わかりました。おひきうけします」

士郎も納得して引き受けることになった。

そんな士郎に、

「よ、よろしくお願いします!!衛宮さん!!」

頭を下げるネギ。

「うん。なんかそんな事になったけど、俺も頑張るから仲良くやろう。あと、俺の事は士郎でいいよ。これから一緒にやっていくんだし」

「は、はい! 士郎さん」

元気に答えるネギ。そして二人は握手をした。

「フォッフォッフォッ。どうやらうまくやっていけそうじゃな」

笑う学園長に、

「わ~。士郎さんとネギ君がウチらの先生か~。楽しくなりそうやな~」

呑気な木乃香。そこに、

「ちょっと!! さっきから無視しないでよ!!!!!!」

ガオォォォォォンンンンンン!!!!

無視され続けた明日菜が吼えた。

その時士郎の目には、明日菜のバックに虎が吼える光景が見えた気がした。

(え…? やっぱこの子、虎の同類か…?)

そんな恐ろしい事を考える士郎。

「おう、そうじゃ。このか、アスナちゃん。しばらくはネギ君をお前達の部屋に泊めてもらえんかの。まだ住むとこ決まっとらんのじゃよ」

やっぱり無視して話を進める学園長。

「そ、そんな!! 何から何まで…」

抗議する明日菜をまたもや無視して、

「それでは、そうゆうことでな。ネギ君。そちらの指導教員の『源しずな』君と教室に向かってもらえんかの。このかもアスナちゃんも一緒にな」

そう言って追い出す。

学園長室から出ようとするネギたち。そこに、学園長から士郎に声がかかる。

「おっと、衛宮君は少し待ってもらえるかの。ネギ君たちは先にいってなさい」




ネギたちが騒ぎながらも出ていき、部屋には士郎とタカミチ。そして学園長だけになる。

「ふむ…では、改めて自己紹介をしようかの。ワシが関東魔法協会の理事の近衛近右衛門じゃ」

「はい、詠春さんからうかがってます。それでこちらでの仕事のことなんですが―――」

そう言う士郎に、

「詠春――西の長から話は聞いておるよ。まだ若いのにかなり腕が立つそうじゃな?」

「そんな事はありませんが…まあ、多少の自信はありますが」

「いや、このかや桜咲君からよく話を聞いとったからの。一度会ってみたかったんじゃよ」

学園長の言葉に謙遜する士郎。

「で…仕事の話じゃが、聞いておるようにネギ君やこのかの護衛、そして学園に侵入する不審者の撃退などじゃが…」

そこで言葉を切って、

「加えて、ネギ君のクラスの護衛も頼みたいんじゃよ」

そう告げた。

「護衛…ですか? 別に言われなくとも生徒達は守るつもりですが…」

不思議に思う士郎に、

「実はネギ君の担当のクラスである2-Aは、いろいろと厄介な人物が集まっておってな。じゃからネギ君と君に担当してもらいたいのじゃよ」

「…なるほど、それで俺を副担任に?」

自分が副担任をやらされる訳を悟り、納得する。

「うむ。そんなとこじゃ。それで、君の住まいなんじゃが…」

「はあ…まだ決まってないんでしたらどこかのホテルとか…」

「いや、こちらで準備しておく。今日のところは後で会わせる人物のところに泊めてもらってくれ」

そんな学園長の言葉に、

「後で…? 何かあるんですか?」

疑問を持つ士郎。

「実は、他の警備の仕事をしておる者に引き合わせようとおもっての。後悪いんじゃが、衛宮君の実力を知っておきたくてな。西の長や桜咲君から腕前は聞いておるんじゃが、やはり実際に見ておきたくてのお」

「まあ、当然の話ですね。わかりました」

そう快諾する士郎。

「そうかね…では、後で校舎の近くの広場に来てくれんか。…それでは、高畑先生についていってクラスに行ってもらえるかの?」

「じゃあ、衛宮君。行こうか」




タカミチに連れられ、クラスに向かう士郎。クラスの手前で、用事があるタカミチと別れ、教室に向かう。教室の前には、先ほどネギを連れて行ったしずな先生と、クラスを窓から覗き見るネギの姿が。

(うーん。やっぱり不安そうだなぁ)

そんな様子のネギに、

「ネギ君。待たせたね。それじゃ入ろうか」

「あ…士郎さん」

ネギが士郎気付く。

「は、はい、行きましょう」

覚悟を決めたのか、そう言って扉を開ける。

「ん?」

その時士郎は、扉に仕掛けられた罠…黒板消しトラップに気付いた。

「あ、ネギ君――――」

注意しようとした時にはすでに遅く、黒板消しがネギの頭に――――

ピタッ!

落ちなかった。どうやら無意識に魔法を使ったらしい。

(ネ、ネギくーん!!)

いきなり魔法を使うネギに焦るが、それはほんの一瞬で、黒板消しはネギの頭にヒットした。

ボフッ

黒板消しが頭に当たり、粉をかぶるネギ。どうやら反射的に魔法を使ってしまった事に気付いてわざと当たったらしい。

「いやー あはは、なるほどゲホひっかかっちゃったなあゴホ」

笑いながら教室に入るネギ。しかし――

「あ…ネギ君!?」

士郎がなにか言う暇もなく、足元のロープにひっかかり、そこに頭へと水の入ったバケツをかぶり、追い討ちとしておもちゃの矢がネギに当たった。


「へぶっ!? あぼわわわわ!! ぎゃふん!!」

転がりながら教卓に激突するネギ。

「ちょ…ネギ君!? 大丈夫か!?」

心配した士郎がネギに駆け寄る。

「あわわわわわ」

目を回すネギは答えられない。

あはははははは―――と教室中が笑いに包まれるが、引っかかったのが子供だと知ると、みんな近寄ってきた。

「えーーっ、子供!?」

「君、大丈夫!?」

「ゴメン、てっきり新任の先生かと思っちゃって」

騒ぐ皆に、しずな先生が、

「いいえ、その子が新しい先生よ。さ、自己紹介してもらいましょうか」

と言った。そして、気を取り直してネギが教卓に立ち―――

「あ、あの…僕…今日から英語を教える事になりましたネギ・スプリングフィールドです。よろしくお願いします」

自己紹介をするネギ。そして――

「それで、こちらが――」

士郎の方を向き、

「えーと、それで俺がこのクラスの副担任をすることになった衛宮士郎だ。よろしく」

士郎も自己紹介をする。

一瞬静まり返る教室。だが次の瞬間、教室が驚愕の声に包まれた。

「「「「「「ええ~~~!!!!」」」」」」




それからネギ君は生徒から質問責めに合うことになった。

それをはたからしずな先生とみていた士郎は、こちらをみる視線に気付いた。

(ん…誰かこっちをみてるな…)

視線の方を見ると、片方に髪を縛った少女――「桜咲刹那」がこちらを見ていた。

(ああ、刹那ちゃんも同じクラスだったのか)

そう思い、刹那に少し手を上げて、微笑み返す。

「―――っっ!?」

それを見て顔を真っ赤に染める刹那。そんな刹那の様子が珍しいのか、同じように士郎を見ていた褐色の肌の少女と長身の少女――「龍宮真名」と「長瀬楓」は驚きの表情で刹那を見た。

(ん? 刹那ちゃん、風邪か?)

相変わらず女心が解からない士郎。朴念仁もここまでいけば立派である。

そんな時、もう一つの視線に気付く。それは教室の後ろの方からのモノだった。

(ん―――?)

そちらに目を向けた士郎は、一人の金髪の少女がこちらを見ていることに気がつく。―――いや、見ているというよりは、こちらを観察しているかのような―――

(彼女は―――)

ネギが落としたクラス名簿を開き、彼女を探す。

(―――あった。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。この子だ)

名簿に彼女の名前を確認し、もう一度目を向けるが、彼女はもうこちらを見ていなかった。

(――気のせいか?)

自分の気のせいかと思いなおす士郎に、

「えっと、そっちの人!! 貴方が副担任なんですか!?」

質問が投げかけられた。

「え?」

士郎が振り向くと、髪をアップにした少女――「朝倉和美」がマイクを向けて質問してきた。

「ああ、俺が副担任だよ」

素直にそう答えると、

「えーと、衛宮先生でいいのかな?」

「ああ、それでいいよ」

「ネギ君ほどじゃないにしても若いようですけど、何歳なんですか?」

その質問に、

「あー17歳だ」

そう答える士郎。肉体的には17でも、精神的には20過ぎなのだが。

「若いですね~。じゃあなんで副担任に?」

「俺もよく知らないけど、さすがにネギ君が若いから補佐役として付けられたんじゃないかな」

和美の質問になんとか答える士郎。

そんな質問が続く中、明日菜がネギが黒板消しを(魔法で)止めた事に対して詰問し、それを金髪の少女――「雪広あやか」というクラス委員が止め、大騒ぎのケンカになった。


どうにか落ち着いて、授業をはじめるネギ。士郎はそれを教室の端で見学していた。

明日菜が消しゴムをネギに飛ばし、それをネギにあやかがチクリ、またもやケンカ騒ぎになった。

結局、授業はちっとも進まなかった。

「う~、授業できなかった…」

涙目のネギに、

「まあ、今日は初日だしね。明日からがんばればいいさ!」

そう励ます士郎。

「士郎さん…そうですよね!!僕、明日から頑張ります!!」

立ち直るネギ。

そこに、刹那が士郎に声をかけてきた。

「あの…士郎さん」

「ん?刹那ちゃんか。どうしたんだ?」

そんな様子に、

「え? 士郎さん、桜咲さんと知り合いだったんですか?」

とネギが訪ねる。

「ああ、京都にいる時に、ちょっとね」

「へ~、そうなんですか~」

「少しお話が…」

「そうか。じゃあ、ネギ君また明日」

「はい、士郎さん。また明日」

挨拶をして、刹那に着いていって教室を出る。



少し離れた人気の無いところで、

「本当にお久しぶりですね。士郎さん」

改めて頭を下げて、挨拶する刹那。

「でも、こちら来るなら連絡してくださればよかったのに…」

「いや、つい数日前にこっちに来ることが決まったんだ」

刹那の質問にそう答える士郎。

「そうだったんですか。それでは仕方無いですね」

「ああ…それで、これから俺の実力を見たいって事で、広場に呼ばれてるんだが、場所わかるか?」

「そうですか…たぶん、あちらの方のある広場だと思います」

そう言って広場の方を指差す刹那。

「ん。そうか、ありがとう、刹那ちゃん」

そう言った士郎は、刹那の頭を撫でる。

「~~~~~~っっ!?」

その行為に、顔をまた赤く染める刹那。

ほぼ無意識にこんな事をやるだけに、タチが悪い。

「わ、私、用事がるので、これでし、失礼しますっ!!」

真っ赤な顔のままダッシュで駆け去る刹那。

「んー、それじゃ」

手を振りながら刹那を見送る士郎。やっぱりなぜ刹那の顔が赤いかは解かっていない。

立ち去る刹那が、振り向いて士郎に叫んだ。

「士郎さん!!もう少ししたら士郎さんとネギ先生の歓迎会をやりますから、しばらくしたら教室に戻ってください!!」

そう叫んだ後、刹那は走り去っていった。




士郎が辺りを散歩していると、明日菜がネギを掴みあげている光景を目にした。

「おいおい、またかよ」

あきれた口調で二人のもとへむかう。

「あんた!!超能力者ね!?」

「いえ、ぼ、僕は魔法使いで…」

「同じだよ!!」

そんな言葉が聞こえてくる。

「うわ。ネギ君、もうばれたのか?」

どうやら明日菜に魔法のことがばれたらしい。

騒ぐ二人に声をかける。

「あー、二人ともそこらへんにしとけよ」

「「え?」」

ネギと明日菜の声がハモり、こちらに気付く。

「し、士郎さん! こ、これはその…」

士郎にまでばれるとヤバイと思ったのか、言い訳を考えるが、パニクって言葉が出ない。

「あー大丈夫だよ、ネギ君。俺もコッチ側の人間だから」

そういってネギを安心させる。

「ええ!? 士郎さんも魔法使いだったんですか!?」

驚くネギに、

「正確には俺は魔術使いなんだけど…まあ、そんなものかな」

肯定する士郎。

「ア、アンタも魔法使いなの!?」

明日菜の驚きの声が響き、

「ま、そうかな。それよりネギ君。神楽坂さんのこと、どうするんだい?」

「ど、どうしましょう…? 記憶操作の魔法なら使えるんですけど…」

「じゃ、使うのかい?」

「副作用でしばらくパーになっちゃうんです」

「はぁ!?」

ネギの言葉に驚く士郎。さすがにそれはマズイ。

その言葉を聞いた明日菜も、

「ちょ、ちょっと!! そんなのゴメンよ!?」

ぶんぶん首を横にふる。

「そうだぞ。ネギ君。いくらなんでもそれはマズイ。―――神楽坂さん。この事は内緒にしてくれないかな。こっちにも色々都合があるんだ」

そんな士郎の言葉に、

「―――はぁ…わかったわよ。どーせ誰も信じないでしょうし」

そう約束する明日菜。

「あ、ありがとうございます!! 明日菜さん!!」

頭を下げるネギ。

「さ、それじゃ教室に戻ろうか」

「え?」

士郎の言葉に疑問の声を上げるネギ。

「何か、俺たちの歓迎会をしてくれるらしいよ」

「あ、そうだ。私、買出しにいってたんだっけ」

そんな明日菜とネギを連れて、教室へと向かっていった。


第5話了

士郎とネギの麻帆良騒動記 第6話「闇の福音と魔術使い(前編)」

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