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第6話「闇の福音と魔術使い(前編)」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:04/20-23:49 No.347

第6話「闇の福音と魔術使い(前編)」

教室―――――

2‐Aの教室では、ネギと士郎の歓迎会が行われた。

雪広あやかがネギの銅像を作ったり、宮崎のどかがネギにお礼を言ったり、明日菜が暴れたりと、色々あったがとりあえず終了した。

ネギは明日菜と共に部屋に戻っていき、そして士郎は―――

「すみません、待たせちゃいましたか?」

指定された広場に着いた。辺りに人気はなく、静寂に包まれていた。そこにいたのは―――

「ふむ。いや大丈夫じゃ。特に待ってはおらんよ」

学園長と、タカミチだった。

「そうですか。…それで、高畑先生が俺の相手なんですか?」

そう訪ねる士郎。そして、

「うむ。では早速試合を――――」

学園長のその言葉を遮って後ろから声がした。

「待ってもらおうか。ソイツの相手は私がする」

「む?」

その声に振り向く学園長とタカミチ。士郎もその声の主の方へ顔を向ける。そこには――――満月を背に立つ幼女がいた。

「……は?」

その場違いな光景に絶句する士郎。その幼女は彼の妹であるイリヤスフィールと同じくらい…いやもしかしたら彼女よりも幼いかも知れない。しかし、その姿は幻想的で、士郎の脳裏にイリヤとあの狂戦士に出会った夜の出来事を思い起こさせた。

しかし、よく見ると彼女に見覚えがあった。

「―――エヴァンジェリンさん?」

そう、彼女は士郎の生徒である『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』であった。

「そうだよ、『衛宮先生』。お前の相手は私だ」

そう言って、士郎に近づくエヴァ。

「ちょ、ちょっと待て! 学園長!? 彼女と戦うんですか!?」

慌てる士郎。それに、学園長は、

「ふーむ。エヴァンジェリンとは顔会わせだけで、高畑先生に相手をしてもらおうと思うとったんじゃが…よいのかの? エヴァンジェリン?」

そう訪ねる。

「ああ、私も警備の者として、京都から来たそいつに興味がある。あの詠春が送り込んでくる人間だ。普通の術者ではなかろう」

そう答えるエヴァ。

(それに、せっかくこの忌まわしい呪いを解ける坊やが来たんだ。不確定要素は早めにどうにかしないとな)

自らにかけられた呪い――『登校地獄(インフエルヌス・スコラステイクス)』を解くのにネギの血が必要なエヴァにとって、士郎の存在が邪魔かそうでないかを知る事は重要であった。

「それに、今宵は満月…完全とはいえんが魔力もそこそこ使える。心配はいらん」

そう答えるエヴァに、

「なら、エヴァンジェリンに相手をしてもらおうかの」

納得する学園長。

「いやいや、ちょっと待ってください!! いくらなんでも女の子とは戦えませんよ!?」

士郎はそう反対する。

「見た目はああじゃが、エヴァンジェリンは真祖の吸血鬼じゃ。甘く見とると怪我をするぞい?」

そんな言葉に、

「は!? 真祖…って…マジで?」

絶句する士郎。その脳裏には以前の世界で出会った第七司祭やお嬢様と戦う吸血姫の姿が。

(って、アルクェイドさん並の人だったら絶対勝てないぞ!? …いや、確かこっちの真祖は魔法で普通の人間が吸血鬼になった存在だった様な。それならあっちの死徒とかと変わらないか?)

そう思う士郎に、エヴァの声が。

「心配するな。今の私はとある事情で魔力が完全ではない。それに手加減してやるから安心しろ」

その声には嘲笑がこもっていた。どうやら士郎が怖気づいたと思ったらしい。

「む。別に怖いわけじゃないぞ。ただ女の子と戦うことが嫌なだけだ」

そんな士郎の言葉に、

「…ふん。とんだ甘ちゃんだな。詠春も人選を誤ったらしい」

そんな言葉を言い放つエヴァ。

そこに、

「衛宮君。エヴァンジェリンはかなりの年を経た吸血鬼じゃ。生半可な怪我はすぐに回復するから、戦ってくれんか?」

学園長の言葉が。

「――――――解かりました。やりますよ」

あきらめたように納得して返事をする士郎。





十メートルほど離れた士郎とエヴァ。

「じゃあ、始めようか」

そう言って始めようとする士郎に、

「ああ、その前に私の従者を紹介しよう」

エヴァの声が。

「従者…?」

不思議がる士郎。そしてエヴァの後ろに一人の影が――

「こんばんは。衛宮先生」

無感情な声がその影から発せられた。その姿は――

「…絡繰さん?」

エヴァと同じ2‐Aの生徒。『絡繰茶々丸』であった。

「はい。私がマスターの“魔法使いの従者(ミニステル・マギ)”、絡繰茶々丸です」

礼儀正しく頭を下げる茶々丸。

「“魔法使いの従者”…確か魔法使いの詠唱中を守る為の盾となり、剣となる者か…」

「ほう? よく知っているな?」

感心したようなエヴァに、

「いや、あっちで何度か西洋魔術師とも戦ったこともあったしね」

そう答える士郎。

「ほう…どうやらそこそこの修羅場は潜り抜けてきたようだが…そいつらとこの私、『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』と一緒にするなよ?」

そんなエヴァの言葉に、

(二つ名がつく位の吸血鬼だ。なめてかかれる相手じゃないな)

その言葉とともに放たれる殺気を受け、気を引き締める士郎。

「さあ、とっとと得物を出せ。神鳴流の剣士が剣も持たずにどうする?」

そんなエヴァの言葉に、

「は? 俺は神鳴流の人間じゃないぞ?」

そう答える士郎。

それにタカミチと学園長。そしてエヴァが驚きの声を上げる。

「衛宮君? 君は神鳴流の人間ではないんかの? 桜咲君から自分以上の剣の使い手と聞いておったから、てっきり神鳴流の人間かとおもっとったぞい」

その学園長の言葉に、

「まあ、剣をメインに使いますけど、神鳴流の技は少し使えるだけですよ」

そう返す士郎。

「ほう…私もてっきり神鳴流かと思っていたが…あの桜咲よりも上とはな。アイツもかなりの腕なんだが…少しお前に興味がわいてきたぞ?」

そう言って微笑するエヴァ。

「まあ、どうでもいい。剣を使うと言うなら早くしろ。それぐらいは待ってやる」

「そうか…なら――――」

士郎は自らに働きかける呪文を唱える。

「――――投影開始(トレースオン)」

そう呟いた士郎の両手に双剣――干将莫耶が現れる。

「―――――ほう。なかなかのアーティファクトじゃないか」

感心したように言うエヴァ。

「それじゃ、はじめようか―――!!」

そのエヴァの言葉に、二人に向き直り戦闘態勢をとる士郎。


「茶々丸。まずはお前からいけ」

エヴァが茶々丸に命じる。

「はい」

短く答えて、茶々丸は士郎に突進してきた。

(―――速い!!)

その速度に、瞬動術も使わないでこの速さを出せることに驚く。

だが――

殴りかかってくる茶々丸の拳を双剣の平で受け止める。

ガシッッ!!

鈍い音を立ててぶつかる剣と拳。

「―――何だ…?」

その硬さに疑問を覚えながらも、次々と襲い来る拳を避ける士郎。一旦距離をとるためにジャンプした士郎。そこに、茶々丸の腕から、ロケットパンチが放たれた。

バシュッッ!!

「うわっっ!?」

予想できなかった攻撃を何とか瞬動術を使い、避ける士郎。

「ほう…瞬動術をマスターしているか。まあ、それぐらいはできんとこっちではやっていけんが」

感心したようなエヴァに、

「いやいやいや!! それより彼女、もしかしてロボットですか!?」

そう訪ねる士郎。動揺したのか敬語になっている。

「ああ、茶々丸は科学と魔法の粋を集めたロボットだ」

答えるエヴァ。

「…マジで?」

つい茶々丸にも訪ねる士郎。

「はい。私はここのこの麻帆良学園で作られたロボットです」

無表情で肯定する茶々丸。

(いや、ありえないだろ。いくらここが俺のいた世界とは違うって言っても…)

そう思う士郎だったが、前の世界で出会った“割烹着の悪魔”のことを思い出す。

(そーいえば、あっちにも“メカヒスイ”とかあったなあ…じゃあ、そんなこともアリなのか?)

何気に間違った認識を持ってしまう士郎。

そこに、

「衛宮先生。いきます」

茶々丸が連続的な攻撃を仕掛ける。

蹴り、右ストレート、回し蹴り……その攻撃は鋭く、正確に急所を狙って放たれる。

だが、それを受け止め、かわし、いなす…士郎にとってその攻撃は逆に予想しやすく、かわしやすかった。

そんな二人の様子に焦れたのか、エヴァがこちらに乱入してきた。

「ええい、茶々丸! 何をしている!!」

そう言ってエヴァはこちらに向かって魔法を放った。

「“魔法の射手 氷の17矢”!!」

さすがに主の事は解かっているのか、絶妙のタイミングで士郎から離れる茶々丸。そこにエヴァから放たれた氷の矢が。

茶々丸が離れる間際に行ったフェイントのおかげで体勢が崩れる士郎。瞬動術を使える体勢ではなかった。

(かわせない――!! なら――――)

瞬時に次の手段を考え、実行する。士郎のスキル“心眼(真)”の為せる技である。

干将莫耶を投げ捨て、新たに投影。

「――――投影開始(トレースオン)!!」

その手に現れたのは刀身が紅く、波打つ刃をもつ魔剣――

“火炎剣(フランベルジュ)”が現れた。

フランベルジュを振り下ろし―――

「炎の壁よ!!」

そう言った士郎の前に、フランベルジュから炎が噴出され壁が作り出された。

ブオッッッ!!!!!

氷の矢は全て炎の壁に防がれ、消え去った。

その光景を見たエヴァは、

「ほう…まだそんなモノを持っていたか……? 仮契約カードを使ったアーティファクト召喚ではないな。ならば奴の能力は転送系か? その能力でどこからか剣を取り出している…?」

士郎の投影が理解できず、間違った予測を立てるエヴァ。自分に理解できない現象に興味が湧く。

「ふふふ、貴様にますます興味が湧いてきたぞ? 貴様を叩きのめしてからその剣のことなどについて聞き出してやる」

不敵な笑顔を口元に浮かべるエヴァ。そんな彼女に、

「む。叩きのめされるつもりはないぞ」

士郎が反論する。さすがにこんな幼い少女に叩きのめされる気にはならない。

「ふん。ならばとっとと本気でかかって来い。それが貴様の全力ではなかろう?」

挑発するエヴァ。

「エヴァンジェリンさんと絡繰さんは俺の生徒だしね。生徒を怪我させる気は無いよ」

ピシッッ!!!

その士郎の言葉が、エヴァのプライドに傷をつけた。

こめかみを引きつらせながらエヴァが言う。

「ほう…たいした自信だな。つまり私たちに余裕で勝てるように聞こえるぞ? 衛宮先生?」

「あー、そーゆー意味で言ったんじゃないんだけど…」

自分の失言に気付き、否定する士郎。

「ふん、私は真祖の吸血鬼だし、茶々丸にいたってはロボットだ。遠慮せずにかかって来い」

「はい。私はロボットですから修理できます。衛宮先生、気にしないで戦ってください」

そんな二人の言葉に、

「二人とも女の子なんだから、気にしないわけにはいかないだろ?」

そう答える士郎。

「は…?」

絶句するエヴァ。一方茶々丸はそれに反論する。

「衛宮先生。私はロボットですからそんな事は関係ありません」

無表情でそう答える茶々丸。

「いや、ロボットだろうが吸血鬼だろうが女の子は女の子だろ? 気にするよ」

そんな士郎の発言に再び言葉を失う二人。


数十秒の沈黙が辺りを包み込む。

それを破ったのはエヴァだった。

「あー、まあ貴様の意見はともかく、今は貴様の実力を見せてもらわなければならん。貴様がかかってこないならこちらから行くぞ!!」

そう言って再び戦闘態勢を取るエヴァ。

「はい。マスター」

主の言葉にこちらも戦闘態勢を取る茶々丸。

そんな様子に、士郎もまた戦闘態勢を取らざるをえなかった。

「やれやれ…やっぱりこうなるか…」

ため息をつきながら剣を構える士郎。



士郎とエヴァ・茶々丸との対決もいよいよ本番に入ろうとしていた。


第6話了

士郎とネギの麻帆良騒動記 第7話「闇の福音と魔術使い(後編)」

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