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第11話「剣と銃と忍の協奏曲(前編)」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:05/08-01:24 No.464

第11話「剣と銃と忍の協奏曲(前編)」

それから数時間後――――三人はとある麻帆良近郊の森の中にいた。


「さて、学園長によるとここら辺に封印された社があるらしいけど…」

士郎はそう言って森の奥へと歩いていく。

それに続いて、

「そうでゴザルなぁ…そろそろ目的地も近づいて来ているでござろう」

そんな楓の言葉が。

「しかし…わざわざこんな森の奥に封印されたモノを確かめに来る必要があるのかい?」

そう士郎に訪ねる真名。近くに民家があるのならばともかく、この辺には人気がまったく無い。

「学園長の話だと、ここに封印されていたモノの詳細な記録が無いらしい。ただ、封印されてから二百年は経っているそうだから、そろそろ封印が弱まっているかもしれないからね。だから俺たちが見回りにきたのさ」

そう答える士郎。

「ふむ…封印されたモノでゴザルか。いったいなんでござろうか?」

そう呟く楓に、

「分かっている事はおよそ二百年前に、神鳴流の剣士と数人の術者が力を合わせて封印した…という事だけだ。あとは不明…当時は結構被害が出たらしいとかしか分かってない」

「正体不明か…なかなか厄介だね」

その真名の言葉に、

「まあ、今回は封印がどれだけ弱まってるかの調査だからな。そのための調査用の道具もあることだし」

そういって士郎は懐から手のひらにのるくらいの水晶を出した。

「それが調査用の道具かい? 士郎さん」

「ああ、この水晶が赤くなれば封印がかなり弱まっている証拠だ。逆に青くなればまだ封印は大丈夫らしい」

真名の質問にそう答える士郎。そこに、

「おろ? あれがそうではござらんか?」

そう言った楓の指差す方向には一つの古びた社が――――

「ああ、あれらしいな。じゃあ、さっそく――――」

そう言って封印を確かめようと水晶をかざす士郎。

だが――――

「あれ?」

水晶は何の反応も示さず、透明のままだった。

「おかしいな? 赤くも青くもならないってことは――――」

いぶかしむ士郎に、

「――――ッ!? 士郎さん!! 封印はもう解けている!!」

魔眼で確かめたのか真名が叫ぶ。

「――――ちっ…!! 手遅れだったか…!!」

舌打ちをする士郎。予想外に封印が早く解けたらしい。

「大変でござる…!! 早く見つけ出さなければ…マズイ事に…!!」

「真名!! 封印されていたヤツがどこにいったのか解かるか!?」

士郎はそう真名に訪ねる。

「…結構、妖気が強いからね。大体の方向は解かるよ――――こっちだ」

そう言う真名について、森の奥へとわけ入っていった。




「そろそろ近い――――油断はしないでくれ」

そう言いながら、背負っていたギターケースから銃を取り出す真名。

「そうだな…そろそ――――!?」

そう言って戦闘態勢をとろうとした士郎たちの耳に何かの泣き声が――――

ヒョー、ヒョーと何かの泣き声が…

「これは…トラツグミ? ってことはまさか…」

そう呟く士郎の眼前の闇の中から、サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足、尾はヘビの異形の姿をした獣が…。

「やっぱり、鵺(ヌエ)かよ…!!」

士郎はそう言いながら舌打ちをした。

鵺(ヌエ)――――平家物語によると、平安末期、天皇の御所に現れた妖怪で、当時に妖怪退治の第一人者であった『源頼政』が退治したと伝えられる妖怪である。

「やっかいだな…伝説に残るくらいのヤツだ。かなり手ごわいだろう…油断するなよ!! 楓! 真名!」

鵺から目を離さず、後ろの二人に告げる士郎。

「ああ…解かってるよ、士郎さん。…しかし、伝説になるくらいの相手にあの金額じゃ割りに会わないな」

そうぼやきながら、両手の銃を構える真名。

「いやいや、あれがかの有名な鵺でゴザルか…さすがに拙者でも知っているでゴザルよ」

そういいながら、懐から数個の手裏剣を取り出す楓。

「ああ、そうだな…それよりのんびり話している時間はなさそうだ…くるぞっ!!」

士郎がそう叫んだと同時に鵺が気味の悪い叫び声を上げながら襲い掛かってきた。

「投影開始(トレースオン)!!」

そう叫んだ士郎の両手には、愛剣『干将莫耶』が現れていた。

鵺は凄まじいスピードで距離をつめ、士郎に襲い掛かる。

ガシッッッッ!!

「くっ……!!」

鵺の鋭い爪の一撃を両手の双剣で受け止めた。

――――が、

「ちっっ…!!」

鵺は爪が受け止められると、今度は士郎の首に向けてヘビの尻尾が襲いかかる。

シャアアアア!!

唸りを上げて襲い掛かるヘビに、士郎の後ろから銃弾が打ち込まれた。

ガウンッ!! ガウンッ!!

二発の銃弾は正確にヘビの頭を打ち砕き、その頭を四散させた。

「おわっ!?」

助かった士郎であったが、さっきの銃弾は士郎は士郎の脇を掠めていった。

「ま。真名さん!? 今の、俺に当たりそうだったよ!?」

尻尾を打ち抜かれた事で、一旦離れた鵺から目は離さず、先程の銃弾を撃った真名に向けて叫ぶ。

「大丈夫だよ、士郎さん。これでも銃の扱いには慣れているんだ。これ位の距離で的を外しはしないさ」

そう言って手に持った二丁拳銃を構える真名。

そして――――

シュバッ!!

離れた鵺に向けて、いくつもの手裏剣が投げつけられた。

薄気味悪い声を上げながら、鵺が飛び下がる…が、全ての手裏剣をかわしきれずに、いくつかはその胴体に突き刺さった。

「拙者もこれ位で手裏剣は外さないでゴザルよ~。ニンニン♪」

手裏剣を放った忍者…楓がそう言った。

「うわ~、楓ってホントに忍者だったんだなぁ…俺、初めてみたよ」

感心したような士郎。京都で呪符使いや陰陽師などは見たが、忍者を見たのは初めてだった。

「そーでござるか? 士郎殿。 まあ、今はまず…」

そう言って、その目を見開いた楓。普段ののんびりした雰囲気が消え、シリアスモードに入った。

「そいつを片付けるでゴザルよ…甲賀中忍 長瀬楓 参る」

そう呟いた楓は既に女子中学生ではなく、一人の忍びになっていた。

「ハッ!!」

楓は凄まじいスピードで鵺に接近していく。そして――――

シュバッッ!!

楓の姿が幾つも現れる。

「うわぁ…分身の術かよ。スゲェなぁ…マジで忍者だよ」

楓の分身の術を見て、再び感動した様子の士郎。

一方、楓は分身と共に鵺に突っ込んでいく。

分身の一人が手裏剣を放ち、別の一人が気弾で攻撃。また別の一人が手に持った小太刀で切りかかる。

その後方から真名が援護射撃を行う。

バンッ!! バンッ!!

真名は両手に持った自動拳銃(オートマチック)で次々と鵺に向けて弾丸を撃ち込んでいく。

その銃弾は楓のすぐ側をかすめるが、楓はまるで躊躇する事無く攻撃を続ける。

先程の士郎と違い、真名の射撃能力を信じているようだ。

一方真名の方も、楓の能力を信じているのか、かなりギリギリのところに撃ち込んでいく。

(へぇ…お互いを信じていなけりゃここまでのコンビネーションはできないなぁ。まだ二人とも若いけど、さすがにこんな仕事を任せられるだけあって腕が立つな。タイプはかなり違うけど、刹那ちゃんと同じレベル位かな?)

二人の戦闘能力を刹那と同じレベルと見る士郎。



楓と真名の攻撃は鵺を完全に捉えていた。

――――が、

ウヲォォォォォンンンンン!!

鵺の口から異様な咆哮が上がると、迫り来る手裏剣と弾丸が弾き飛ばされてしまった。

「――――っ!?」

さすがに予想できなかったのか、一瞬楓の動きが止まる。

そこに再び鵺の咆哮が――――

ウヲォォォォォォォンンン!!

その咆哮は指向性を持ち、楓にむかって放たれた。

「くっ――――!!」

先程の鵺の咆哮から、嫌な予感を感じ間一髪で鵺の叫ぶ先から離れる楓。

バシュッッッ!!

さっきまで楓のいた場所の背後にあった木の幹が抉られている。

「――――超音波の衝撃波か!?」

士郎がそう叫んだ。

鵺の咆哮は超音波を発生させ、その震動で強力な衝撃波を放つようだ。

「そう言えば、古文書で鵺の声で病気になったとか書いていたような気がするな…つまりこの声こそが鵺の武器と言う訳か…!!」

そう呟いた士郎は、楓に向かって叫んだ。

「楓!! 一旦下がれ!! 俺が相手をする!!」

そう叫んで、鵺に突っ込む士郎。

「士郎さん!?」

油断なく鵺を睨みつけていた真名が驚きの声を上げた。

相手は獣の体を持った妖怪。接近戦では普通の人間には分が悪い。

だが――――、

(あの咆哮があるなら、生半可な攻撃では弾かれてしまう…!! 分が悪いが、接近戦を挑んだ方がまだマシだ!!)

先程の衝撃波を放つのを見て、手裏剣や銃弾程度では鵺には効かない。そう判断した士郎。それにさっき士郎が鵺の爪を受け止めたときに、超音波を放たなかった事を考えてみると、恐らく接近したときには自分自身を傷つけるために超音波を出せなかったのだろう。そう考えてみれば、接近戦を挑むのがベスト――――そう思った士郎は、瞬動術を使って一気に鵺との距離を詰める。

「はあっっ!!」

干将を鵺の顔面へと叩きつける様に打ち込む。

だが、鵺は後ろに飛びずさってかわした。そして口を開き咆哮を放とうとするが――――、

「せいっっ!!!」

両手の干将莫耶を鵺に向けて投げつける士郎。双剣はブーメランの様に回転しながら鵺へと向かっていく。

超音波を放とうとしていた鵺はその行動を取りやめ、迫り来る双剣を爪で迎撃しようとするが――――、

バシッッ!! ザシュッ!!

干将は爪で弾いたが、残る莫耶は迎撃できずに右後足を傷つけ、掠めていった。

そして――――

「“壊れた幻想(ブロークンファンタズム)”!!」

そう士郎が叫ぶと、鵺のすぐ側の地面に突き刺さった干将莫耶が爆発した。

煙があたりに立ち込める中、士郎は油断せずに鵺がいた場所から目を離さない。

すると、煙の中から一つの影が上方から飛び出した。

それは、体中を細かい傷で傷つけ血に塗れた鵺であった。

それを見て取った士郎は――――

「投影開始(トレースオン)!!」

その手に、一本の朱塗りの槍を具現した。

“蜻蛉切”――――かつて戦国時代の名将『本多忠勝』が愛用した槍である。その切れ味はその名が意味するように、触れただけで蜻蛉が真っ二つに切り落とされた程の切れ味を持っている。

その槍を持って、鵺へと再び突っ込んでいく士郎。

鵺もまた、傷つけられて猛り狂ったのか士郎に向かって襲いかかっていった。





「これはまた…凄まじいでゴザルな」

目の前で繰り広げられている士郎と鵺の激闘を見て、楓が呆れた口調で呟く。

「ああそうだな…しかし、さすがにこう接近されては援護も出来ないな」

こちらもまた呆れた口調の真名。

二人の目の前では、一本の槍を持って鵺に立ち向かう士郎の姿が。

鵺の爪を蜻蛉切で受け流し、高速の突きを放つ。鵺が噛み付こうとすれば、槍を地面に突き刺してその牙を受ける。鵺が離れて距離をとろうとすると、瞬動術で背後に回り込んで槍を回転させて遠心力を使った強力な一撃を鵺へとくらわせる。

「いや、刹那からかなりの使い手とは聞いていたが…ここまでとはな」

「そうでゴザルな…しかし、先程は自分は達人などでは無いとか言ってたでゴザルが…充分すぎる腕前でゴザル。拙者達とはレベルが違う」

楓はそう言った。多少の自信はあったが、士郎のように鵺と接近戦ができるほどの自信は無い。元より楓は忍者。接近戦、中距離戦、遠距離戦と敵に合わせたスタイルで戦い、トリッキーな動きで敵を惑わす戦いがその本質。鵺相手では接近戦でその獣の動きで負け、距離をとれば超音波の衝撃波で迎撃される。楓とは相性が悪かった。

一方、真名とも相性が悪い。真名の攻撃方法はやはり銃を使った攻撃。遠距離、中距離からの銃撃はこれも超音波で防がれ、撃ちあいになれば弾に限りがある真名の方が不利。
援護しようにも、ここまで縦横無尽に士郎が動きまわっていればそれもまた出来ない
しかも鵺の硬い皮膚を貫けるほどの弾丸も持ち合わせが無い。

手をこまねく二人を余所に、鵺と士郎の激闘は決着が着こうとしていた。

士郎が少しずつ鵺にダメージを与えていき、ついに蜻蛉切が鵺の胴体を切り裂いた。

ザシュッッッ!!!

鵺は胴体を切り裂かれ、悲鳴を上げて後方に下がる。

それを追撃しようとする士郎であったが、鵺の口からこれまでの咆哮とは違った叫びが上がるのが先であった。

ヒョー、ヒョー。

始めに聞こえてきたトラツグミに似た泣き声があたりに響きわたる。

衝撃波が来ると思って横に避難した士郎だったが、何も起こらないことをいぶかしみながら立ち上がろうとして――――

体が動かなかった。

「――――!?」

(な、何!? 体が――――? これは一体――――!?)

士郎は自分の置かれた状況に驚愕するが、その体はピクリとも動かず声すら出せない。

「!? 士郎さん!?」

「士郎殿!?」

突然動きを止めた士郎の様子に驚きの声を上げる楓と真名。

慌てて士郎の援護に向かおうとする。

――――が、鵺が士郎に近づき、一撃をくらわせる方が先だった。

バシュッッ!!

鵺の爪の一撃が士郎を吹き飛ばす。

「――――――――!?」

士郎の体は為す術無く、二人の方に吹き飛ばされた。

「士郎さん!!」

真名が士郎の怪我の様子を見るが、出血が酷い。胸を切り裂かれている。思ったよりも傷が深く無いのは蜻蛉切が盾になったからだろう。

「ぐっっ!!」

呻く士郎。だが、怪我を押して解かったことを伝える。

「二人とも…!! 恐らくさっきの泣き声は音を使った金縛りだ…!!」

自分のくらった攻撃をそう予測する士郎。

「なっ…!? 金縛りでゴザルか…!! だから士郎殿の動きが突然止まったのでゴザルな…!!」

そう言いながら、こちらにゆっくりと近づく鵺を睨みつけながらそう呟く楓。

「それは――――かなりやっかいだね…ただでさえ私達とは相性が悪いのに、そんな能力まで…」

そういいながら手早く士郎に応急処置を施す真名。

「確かに、相性は悪いでゴザルが…そうも言ってられない状況でゴザルよ!!」

そういって小太刀を構える楓。

再び分身を生み出し、鵺に向かう楓。

「そうだな――――私も覚悟を決めるか…!」

士郎の応急手当を終えた真名も再び二丁拳銃を構え、鵺に向かっていた。



「くそっ…!! こんな時に体が…!!」

震えながらも体を起こす士郎。手当てされたとはいえ、その体が重傷に変わりは無い。

しかし――――、

「楓と真名の二人じゃ勝ち目は無い…!! 俺が倒さないと…!!」

今は、士郎が傷つけたおかげで超音波や金縛りを使わないが、その内また使う事だろう。その時は楓と真名には対抗する術が無い。

「なら…俺も奥の手を使うしかないか…」

そう呟いた士郎は、自身の魔術回路を全開に起動する。

撃鉄のイメージが頭をよぎり、魔術回路を起動。それを体内にある聖剣の鞘――――『全て遠き理想郷(アヴァロン)』に接続して起動させる。

アヴァロンと繋がった瞬間、士郎の体は凄まじい速度で回復していく。さすがに聖杯戦争時の驚異的な回復力には及ばないが、それでもなお驚異的な回復力を聖剣の鞘は士郎に与える。
元々これは聖杯戦争時のパートナー、『セイバー』こと『アルトリア・ペンドラゴン』。つまりは『アーサー王』の宝具であったが、士郎の養父が彼を瀕死の重態から助けるために彼の体に埋め込んだ。それから数年間ずっと士郎の体内に存在していた。さすがに本来の持ち主であるセイバーほどの加護は与えられてはいないが、それでも驚異的な回復力を士郎にもたらしてくれる。




士郎が回復しようとしている間、楓と真名は段々鵺に追い込まれようとしていた。

「くうっ…!!」

楓の腕を鵺の爪がかすめる。

バンッバンッ!!

顔面を狙った真名の弾丸も硬い皮膚に弾かれる。

「はあっ、はあっ…」

一旦距離をとり、呼吸を落ち着かせる楓。大きな怪我はないが切り傷が多く、血を流している。

「楓!! 大丈夫か!?」

銃弾で牽制しながら楓の元へ向かう真名。

「ま…まだ、いけるでゴザルよ…」

そう呟く楓だったが、その姿は満身創痍。とても戦闘を続行できる体ではない。

そう判断した真名は楓に向かって言った。

「楓!! お前は一旦下がれ!! アイツは私が引きつけておく!!」

「なっ…!? 真名殿!! いくら真名殿でも一人で相手のはできんでゴザルよ!!」

「しかた無いだろう…!! 今の状態のお前じゃヤツに殺されるだけだ!!」

「それはそうでゴザルが…!!」

口論する二人。その光景を見た鵺がその隙を見逃すはずも無かった。

「――――ッ!? しまった…!!」

一瞬とはいえ、鵺から意識を逸らしてしまった真名。さすがに神経が疲れて、普段の冷静さが失われてしまっていた。

慌てて銃を鵺に向けるが、すでに鵺はその口を開き咆哮を放とうとしていた。

「楓!! なんとか避け――――」

そう言って後ろをふりむいた真名の目に、膝をついた楓の姿が――――

「くっ…拙者は、動けないでゴザル…!! 真名殿だけでも…!!」

「――――っ!!」

真名の戦闘者としての部分はここからの退避を要請するが、女子中学生『龍宮真名』としての部分はここで楓を見捨てることは出来なかった。

そして――――

ウヲォォォォォォォンンン!!

咆哮が響き渡り、二人に向けて死の音が迫る。

「「――――っっ!!」」

覚悟を決める真名と楓。二人は一瞬「死」を幻視した。

――――が、

そこに二人の間をすり抜け、一つの影が二人の前に立ちふさがる。

そして――――

「“熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)”!!」

二人の眼前に現れた人影の前に、七つの花弁を持った盾が現れた。

バシュッッゥゥゥ!!

その花弁は鵺の放った衝撃波を完全に防ぎきる。

その信じられない光景を目にした真名と楓は、それを行った人物の名を叫ぶ。

「「士郎さん(殿)!?」」

その盾を生み出し、二人を死から救ったのは、彼女達の副担任。先程重傷を負って動けなかったはずの『衛宮士郎』であった。

「彼女達は俺の生徒だからな…!! 先生である俺が守る!!」

その姿はボロボロではあったが、その目は気迫に満ち溢れ、強い意思が込められている。

士郎のその後姿に、真名と楓は一瞬見惚れてしまっていた。


第11話了

士郎とネギの麻帆良騒動記 第12話「剣と銃と忍の協奏曲(後編)」

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