第14話「麻帆良戦隊バカレンジャー!! EPISODE1『子供先生と5人のバカ』」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:05/27-01:06 No.615
第14話「麻帆良戦隊バカレンジャー!! EPISODE1『子供先生と5人のバカ』」
学園長室――――
その部屋には、二人の人物が彼――――『ネギ・スプリングフィールド』の話をしていた。
一人の女性――――『源しずな』が、学園長に報告する。
「授業もしっかりとやっているし、生徒との仲も良好です。この分なら指導教員としても合格点を出してもよいと思いますが――――」
「ふむ…それは結構な事じゃ。これなら来年度から正式な先生として採用できるかのう」
そういって、学園長はしずなの元に歩き出す。
ぽむ。
「ごくろうじゃった、しずな君――――? どこじゃ?」
握手をしようとした学園長は、視界が急に暗くなる。なにか柔らかいモノが顔に――――?
「――――ここですわ♪ 学園長♪」
「む?」
顔を離した学園長は頭上のしずなを見上げる。彼女の声は弾むような声色ではあるが、その視線は氷のように冷たい。――――どうやら彼女の胸に顔をうずめていたようである。
「学園長♪」
にっこり笑うしずなに、
「ま、まってくれ!! しずな君!! い、今のは事故じゃよ~!?」
あわてて弁解する学園長に構わず――――
「セクハラですよ? 学園長♪」
しずなの拳が炸裂する。
左ジャブ――――「おぶっ!?」
右フック――――「おごっ!?」
左ストレート――――「ぐほぉ!?」
そして――――とどめの右アッパー!!!
「ぬおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!?」
学園長の体は宙へ舞い上げられる。しずなのアッパーの威力は凄まじかった。…背景に『JET!!!!』とかの効果音が付くくらいに。
源しずな…何気にバゼット・フラガ・マクレミッツと同等のボクシング技術を持つ女性。
ドゴーン!!! と車○落ちをする学園長であったが、数秒で起き上がる。
「あ~、死ぬかと思ったぞい」
どこぞの煩悩少年のような台詞を言う学園長。何気に不死身である。
「あらあら、どうなさったんです? 学園長? 頭から血を流して」
頬に手をあてて、何事もなかったかのように話かけるしずな。
「――――何気に、しずな君もセメントじゃな…」
頭から血を流しながらも、一息つく学園長。
「まあ、話を戻すと…ネギ君にはもう一つ課題をうけてもらおうかの?」
「課題…ですか?」
「うむ。才能ある『マギステル・マギ』の候補生としての…な――――そーいえば、衛宮君も副担任じゃし、ネギ君を手伝ってもらおうかの?」
そう言った学園長の顔は、ニヤリと笑っていた。
中等部 2―A教室――――
士郎とネギが、朝のHRのために、教室で準備していた。
「ネギ君、このプリントが――――」
「ええと、それは今日中に提出――――」
色々な書類等を片付けている二人に、廊下から声が――――
「ネギ先生、衛宮先生、学園長からこれを――――」
「え? 学園長から?」
そう言って、しずなから手紙を受け取るネギ。それには――――
『ネギ教育実習生 最終課題』
と、書かれていた。
「え!? 僕への最終課題!?」
驚くネギ。
「へ~、なんだろ?」
そして興味深そうな士郎に、ネギが話しかける。
「士郎さん!! どどどどうしましょう!? もしかして悪のドラゴン退治とか、マジ○ンジャーと魔法勝負とかだったら、マズイですよ~~~~!?」
泣き言を言うネギ。彼の日曜7時半はヒーロータイム。
「いや、ないから。マ○レンジャーは特撮だし。――――それにいくらなんでもドラゴン退治は――――」
そう落ち着かせようとする士郎であったが、学園長の性格を思い出して顔を引きつらせる。
「あ、ありえるかも…」
士郎のその言葉に、さらに顔を引きつらせるネギ。
「し、士郎さ~~~ん!!!」
「い、いや、いくらあの学園長でもそこまでやらないだろ。――――と、とにかく、中はなんだい?」
あわてて話題を変える士郎。
「え、え~と…」
封筒を開けるネギ。そのなかには――――
『ねぎ君へ
次の期末試験で、
2-Aが最下位脱出できたら
正式な先生にしてあげる
麻帆良学園 学園長 近衛近右衛門』
それに、
「な、な~んだ。簡単そうじゃないですか~」
あははと笑うネギ。心底ほっとしている。
「まあ、メチャクチャなモノじゃなくてよかったよ――――」
そう言って苦笑した士郎は、封筒に、もう一枚紙が入っていることにきづく。
「ん? なんだこりゃ?」
士郎は、その紙を開いて見た。そこには――――
『追伸――――
衛宮君も連帯責任じゃよ~。もし課題が達成できなかった場合は、とてもココにはかけないような、ヒドイ目にあってもらうぞい♪
ばーい このえもん』
「な、なんでさ~~~~~~~!?」
士郎の絶叫が響き渡った。
HR――――
「え~と、今日は大勉強会をしたいと思います!! じ、実はウチのクラスが最下位脱出しないと、大変なことになるんで~~~」
そのネギの言葉に、辺りがざわめく。
そして、士郎がネギに、2―Aの成績表を渡す。
「ネギ君。とりあえず、成績を見てから勉強方を考えようか?」
「そうですね――――じゃあ、皆さんはしばらく、自習していてください~~~!!」
ワイワイ、ガヤガヤ。
教室中がざわめく中、士郎とネギは成績表を見始める。
「へえ…学年トップクラスが三人もいるんだ」
「じゃー、『英単語野球拳』しよ~!!」
「そうですね…でも、他の人は結構厳しいかも…」
「「「「おおー、いいなー」」」」
「特に、この5人…だな」
「いや~!? アタシ脱がされる役に決まってるじゃん!?」
「はい…い、以外とヤバイかも…」
話合う二人の背後では、ありえない光景が繰り広げられていた。
そして――――、
ぱさっ。
「――――ん? なんですか? コレ?」
突然頭にかぶさってきたモノをつまむ。それは――――
「ね、ネギ君!?」
士郎はその正体に気付き、驚きの声を上げる。
「え――――!?」
それは、なんとブラジャーであった。
「「いや、なんでさ~~~~!?」」
士郎とネギ。二人の声がユニゾンする。
慌てて振り向いた二人が見たものは――――
「きゃ~~~~~!!」
「やっぱり~~~~~!?」
(アホなクラスです…)
なぜか下着姿の5人…『長瀬楓』、『佐々木まき絵』、『綾瀬夕映』、『古菲(クーフェイ)』、そして『神楽坂明日菜』のあられもない姿があった。
「いや、ホントに、なんでさ」
その士郎の呟きは、誰の耳に届くことは無かった。
放課後――――
暗い教室の中、一筋のスポットライトが――――
その光の中には、ツインテールの少女『神楽坂明日菜』が。
そしてどこからともなく、ナレーターが。
「体育以外はオール1!! 体力あるけど頭は空っぽ!! 『バカレッド』!!」
「誰の頭がカラッポよ~~~!?」
明日菜を叫びを無視して、次のライトが――――
そこには長身の忍者少女――――『長瀬楓』がいた。
「ナイスボディの忍者少女!! 体はオトナで中身はコドモ!! 『バカブルー』!!」
「拙者は忍者ではござらんよ~。 ニンニン♪」
次に、
浅黒い肌の中華少女、『古菲(クーフェイ)』が。
「学園格闘大会優勝者!! 日本語苦手な中華娘の『バカイエロー』!!」
「あははは、酷いアルね~」
笑顔の古菲。
そして、
一人の小さい少女が、ジュースのパックを飲んでいる。品名は――――「秋○印の謎ジャムジュース コーラ味?」――――謎ジャムってナニ? とか、コーラ味の?マークは一体? とかツッコミ所は多々あるが、それを平然と飲んでいる少女は『綾瀬夕映』。
「本は好きだが、勉強は嫌い!! バカレンジャーリーダー!! 『バカブラック』!!」
「ホントにアホばっかりです」
表情を変えずにジュースを飲み続ける夕映。
最後に、
ピンクの髪をした少女――――『佐々木まき絵』。
「新体操の期待の星!! アヤシイリボン使いの、『バカピンク』!!」
「アヤシイってなによ~~~!?」
わめくまき絵をよそに、
「今ここに!! 我が2―Aが誇る、最狂最悪の5人衆が集まった!!…そう、彼女達こそ2―Aを学年最下位に導く乙女!! 『麻帆良戦隊 バカレンジャー』なのだっっ!! ――――はい、そこで5人とも決めポーズ!!」
ナレーターの声に、反射的にポーズをとる5人。
BOGOOOOOONNNNNN!!!!
スピーカーから爆発音の効果音が流れ、それを端からみていた士郎とネギは、彼女達5人が、某戦隊モノっぽいコスチュームを着て、背後に爆発が起こったような光景を幻視した。
「「おお~~~~~」」
パチパチパチ。
なんとなく感心して拍手をする二人。
そこに、ナレーターをしていた少女――――『早乙女ハルナ』が現れた。
「いや~中々よく出来てるでしょ? 即興で作ったわりには」
いい仕事した~、的な顔のハルナに、
「ええ~、凄かったですよ~……って、違いますよ!? 最下位に導いてどうするんです!? 」
ノリツッコミを覚えたネギ。
「ああ~!? どうするんですか~~!? これでは大変なことに~~!?」
涙目でパニくるネギ。床に膝をつくその姿はまさにorz。
そんなネギの様子を笑顔でハァハァして見ている、いいんちょこと『雪広あやか』は皆スルー。
「ほ、本気でヤバイかも…」
その様子を見た士郎は、顔を引きつらせながら課題の失敗を危惧する。ネギとは一蓮托生。これに失敗したらどんな無理難題を学園長に吹っかけられるか…!!!
頭を抱えた士郎は、窓の外を見上げる。外はもう夕暮れ時。カラスもお家に帰る時間だ。
チラッと教室をみると、いまだに、彼女達はワイワイガヤガヤとうるさい。とても試験前とは思えない。
(助けて~~~!! 諸葛凛先生~~~!!)
士郎は脳裏に浮かんだ、中国の軍師の格好をした、かつての世界での魔術の師――――『遠坂凛』に助けを求めたが、彼女は脳裏で笑うばかりで、助けてはくれなかった。
第14話了
士郎とネギの麻帆良騒動記 | 第15話「麻帆良戦隊バカレンジャー!! EPISODE2『ヒミツの図書館島へ…』」 |