第15話「麻帆良戦隊バカレンジャー!! EPISODE2『ヒミツの図書館島へ…』」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:05/31-01:30 No.645
第15話「麻帆良戦隊バカレンジャー!! EPISODE2『ヒミツの図書館島へ…』」
※少しセクハラ表現があります(笑)
夜――――
湖の中央にある『図書館島』に、生徒の影が――――
「よーし!! いくわよ~!!」
そう手を挙げるのはバカレッドこと『神楽坂明日菜』。
「しかし…明日菜さん。よくこんな話にのりましたね…」
そう明日菜にいったのは、バカブラックこと『綾瀬夕映』。
「え!? あ~ま、まあいいじゃない!! 私達がまともな成績とるには魔法の本でもないと!!」
夕映のツッコミに、そう返す明日菜。その内心は――――
(ネギみたいな魔法使いも実在するんだし、ホントに頭が良くなる魔法の本も実在するかも…さすがに、小学生からやり直しは勘弁だし)
2―Aで流れている、『成績の特に悪い生徒は小学生からやり直し』とゆ~ウワサを信じてしまった明日菜は、ワラをも掴む気持ちで、図書館島の探索に、賛成した。
「コッチです」
そう言った夕映が、裏口を指差して先導する。
それに続く一同。
そして、明日菜はいまだに寝ぼけているネギを見て、
「ネギ! 頼んだわよ!! 魔法で私達を助けてね!!」
と言った。しかし――――
「え…? 魔法なら封印しましたよ? 僕」
と、トンデモナイ事を言い出す。
「え…ええええええええ~~~~~~!!?」
明日菜の悲鳴が響き渡った…。
一方、その時士郎はとゆ~と――――
麻帆良に続く大きな橋を、学園に向けて歩いている三人の人影があった。
「うふふふふふふふふふふ…見られた…男性に、余す事無くくっきりはっきり…」
何処と無くコワレた笑顔の高校生ぐらいの少女――――『高音・D・グッドマン』は、フラフラと危なげな足取りで歩いている。普段は、通う学校「聖ウルスラ女子高等学校」の制服を着ているのだが、今着ているのは制服の帽子に、赤いコート。その中はYシャツ一枚のみという、ヤバげな格好だった。――――ちなみにこのコートとYシャツは、とある事情で全裸になった高音に士郎が渡したモノである。
「お、お姉さま~~~!? し、しっかりしてくださ~~~い!?」
そんな高音を励まそうとがんばるのは、明日菜達と同じ「麻帆良学園中等部」の制服を着た少女――――『佐倉愛衣』である。
「え、衛宮先生~~~~!!!」
自分の手には負えないと、士郎に涙目で訴える愛衣であったが――――
「いや、無理」
速攻で断る士郎。
「ええっ!? で、でも、衛宮先生のせいなんですから…」
「ええ!? なんでさ!?」
「だってあの時――――」
回想――――1時間前森の中
「正義の使徒!! 高音・D・グッドマンが貴方たちを成敗します!!」
ズバァーーーン!!! とポーズを決めて森の中に潜んでいた鬼族の群れを見下ろす。
「いきますよ!! 『黒衣の夜想曲』!!!」
高音の背後に、黒衣の仮面をした使い魔が現れる。彼女の操影術の近接戦闘最終奥義――――『黒衣の夜想曲』である。
そして彼女は鬼族の群れに突っ込んでいき、その驚異的な攻撃力であたりをなぎ払う。
「へー…彼女も強いな~~。ってか俺の周りに現れる女の子って戦闘能力が高い子が多いなぁ…」
そう呟く士郎もまた、両手に投影した干将莫耶で鬼を片っ端から切り捨てていた。
そして、士郎の背後から――――
「“メイプル・ネイプル・アラモード”!!」
少女の声が聞こえる。
「“ものみな焼き尽くす浄化の炎、破壊の主にして再生の徴よ、我が手に宿りて、敵を喰らえ”――――」
そのまだ幼さを残す声が奏でるは魔法の旋律――――
「“紅き焔”!!!!!」
その言葉に導かれ、炎の精霊たちが踊り狂う――――!!
少女――――『佐倉愛衣』の手から、高熱を放つ炎が放たれた。
その炎は、士郎に襲い掛かろうとした3体の鬼を焼き尽くす。
「ありがとな。愛衣ちゃん」
士郎がお礼を言うと、
「いえ、仲間なんですから当たり前ですよ」
まだ少しぎこちない微笑を返す愛衣。――――これでもマシな方で、最初の頃はおびえてまともには話せなかったのだ。何度か彼女たちと仕事をすることになって、ようやくまともに会話できるようになって来たのだ。
「でも、お姉さま…大丈夫でしょうか…?」
そう言う愛衣の視線の先には、テンションが上がった高音が。
「いきますよっ!!」
その使い魔を纏った姿で、どんどん群れに突っ込んでいく。
「危ないな…少し離れすぎだ!! 高音さん!! 一旦下がるんだ!!」
その士郎の声が、聞こえないのか、戦い続ける高音。
「お、お姉さま!?」
「ちっ…!! テンション上がりすぎてハイになってるな…!!」
士郎は舌打ちして、高音を援護すべく走り出す。
しかし、すでに高音の死角から小鬼が術を放つ――――!!
バシュッ!!!
その小鬼の手から放たれた雷は、あっけなく高音に命中し――――
「ぴっ!?」
ヘンな声を上げて気絶する高音。
それを見た士郎はすぐさま――――
「――――投影開始(トレースオン)」
「――――憑依経験、共感終了」
「――――工程完了(ロールアウト)。全投影待機(バレットクリア)」
「―――停止解凍(フリーズアウト)、全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)………!!!」
いくつもの剣を生み出し、鬼達を駆逐する。
「大丈夫か!? 高音さん!!」
士郎はすぐさま倒れている高音に駆け寄った。
「う…う~ん…」
その声に、高音は反応して目が覚める。
「え、衛宮…さん…?」
「よかった…無事みたいだねって、たたたた高音さん!? なななななんで裸なんディスか~~~~!?」
「へ!?」
そう、高音の体は生まれたままの姿――――ぶっちゃけ素っ裸であった。
「き――――きゃああああああああああ!?」
森の中に、高音の悲鳴が木霊する――――
回想終了――――
「まあ、確かに見てしまった俺が悪いけどさ…」
その士郎の言葉に、
「そうですよね…」
先ほどから逝っていた高音が返事をする。
「衛宮さんが悪いんですから…私が非常手段をとっても不可抗力ですよね…」
フフフと笑う高音。そして――――
「――――記憶をなくしなさい!!」
士郎に拳をふるって、襲いかかる高音。
「ええっ!?」
「お、お姉さま!?」
拳を振りかぶって突進するが――――
つるっ
「へっ!?」
足が滑って体ごと士郎を巻き込んでしまう。
「うわっ!?」
そのまま高音と士郎はゴロゴロと数メートル転がっていった。
ぴろりろりん♪
高音・D・グッドマンのステータスが更新されました。
スキル『ドジっ娘』が追加されました。
士郎の脳裏に、そんな音声が聞こえてきました。
(いや、ナニコレ!?)
その疑問に答える間もなく、士郎はナニか暖かい、柔らかい物体を顔に押し付けられていた。
それは――――
「え、衛宮先生!? お、お姉さま!?」
「う~ん…あたた…転んでしまったわね…あれ? 衛宮さんは?」
その高音の言葉に、
「お、お姉さま…あの~言いにくいんですが…衛宮先生は、お姉さまのシャツの中に――――」
言いにくそうに答える愛衣。
「へ!?」
そう言って視線を落とすと、
「モガモガ」
高音のYシャツの中に、顔を突っ込んでいる士郎の姿が。
「な――――ななななななななぁぁ!?」
顔を赤らめる高音。――――まあ、ぶっちゃけパフパフしているようなものだ。
そして士郎は、ようやくシャツの中から顔を出す。
「ぷはっ…!! なんだ? 今の柔らかいモノは?」
その士郎の目の前には、顔が真っ赤な高音さんが。
「――――もしかして…?」
さすがに自分が何をしたんか悟る士郎。ってかこの状況で何をしたかわからなかったら人間失格である。
「はい…」
その士郎の問いに、重々しく答える愛衣。
「い――――いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
悲鳴と共に高音が士郎を殴り飛ばす!!
バグッッッ!!!!!!
「ぜるれっちっ!?」
ヘンな叫び声をあげながら吹き飛ばされる士郎。
ズシャァァァァァァ!!!!
その体は、トリプルアクセルを決めて地面に叩きつけられた。
「も、もう、お嫁にいけない~~~~~!!!!」
そう言って泣きながら走り去る高音。
「お、お姉さま~~~~!?」
それを追って、愛衣も走り去った。
後に残されたのは、ピクピクと痙攣している士郎だけだった――――。
その頃の図書館島――――
「――――んんんん?」
キュピーン!!!!
と、一人の少女――――『近衛木乃香』の脳裏に、ニュー○イプのような閃光が走った。
「ん? どーしたの? 木乃香?」
明日菜の問いに。
「ん~~~~~なんか、士郎さんが、どこかで余計なフラグを立てたような気がするんやけど…」
さすがに極東最大の魔力の持ち主。その直感は伊達じゃない!!
木乃香の表情は笑顔であるが、その目はルームメートである明日菜が見たこともないような冷たい光を放っていた。
「そ、そう? 木乃香の勘違いじゃないかな~~?」
その目にビビッたのか、木乃香をなだめる明日菜。
「――――そうやな~。ウチの勘違いやな~」
そう言っていつもの様子にもどる木乃香。
「そ、そうよ!! それより、早く入りましょ!!」
明日菜は、木乃香を促して先に進む。
「そうやな~」
そう言って明日菜の後を追う木乃香であったが、
「士郎さん…もし、また女の子を落としとったら――――」
その目は先ほどのように冷たい――――
「おしおきや♪」
そう呟いていた。
そして、木乃香はバカレンジャー達と一緒に、図書館島に入っていった…。
第15話了
士郎とネギの麻帆良騒動記 | 第16話「麻帆良戦隊バカレンジャー!! EPISODE3『メルキセデクの書』」 |