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魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~(×デジモン オリ主・オリ有) 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:04/09-11:13 No.260
これは、我々とは異なる次元に存在する『世界』―――『異世界』での話だ。
『世界』が『崩壊』より免れ、やがてその事実すら忘れ始められようとした頃。
再び複雑化した『世界』を、奔走する者達がいた。
彼らの使命はただ一つ、『世界を護る』こと。
これは、そんな最中に起きた、ある『世界』での出来事。
――――― 決して交わらぬはずの『運命』の舞台が、幕を開ける。
『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
プロローグ 『誰も識らない物語・開幕』
―――― 辺りは、闇。
太陽も月も、星々の姿さえも、認めることは出来ない。
物体らしい物体は何一つ無く、広大に広がる虚無の空間が、辺りを支配していた―――――
…………。
失礼。 “何も無い”というのは訂正しよう。
闇を流れる、無数の光の帯。
よくよく見れば、それが『1』と『0』で出来ていることが判るはずだ。
それらが縦横無尽に、しかしゆっくりと流れている。
その空間に、
シャァァァァァァァァッ!!
疾る、闇より黒い『影』。
これもよく凝視すれば、獣のような姿をしていることが判る。
さらに特徴を付け加えるなら、容姿は『黒い狼』、というのがピッタリだ。
ただ少し異様なのは、その狼の大きさ。
肩幅だけでも3m、体長に至っては10mを超えている。 現存する狼の種類に、そんな巨大なモノは存在しない。
――― ならばここは、太古の世界か?
それも違う。 何故なら、
「ハァッ!!」
それを相手にしているのが、鎧に身を包んだ『騎士』であったからだ。
右手には【閃光ノ突撃槍】、左手には水晶―――か何かの結晶―――が象嵌された、盾。
紅の竜を模した兜を冠し、繊細な装飾が施された甲冑はもはや芸術の域。
綻び一つない深紅のマントを翻すその姿は、まさに幻想的。
我々の知るモノとは明らかに異質だが、その姿には『騎士』という言葉以外、どうしても見つからない。
数瞬の攻防の後、このままでは勝ち目が無いと悟ったであろう狼が、その顎を『騎士』に向けた、刹那、
ゴォォォォォォォォォォォッ!!
蒼い炎が、放たれた。
この時点でこの狼が、我々が知り得る、どの生物にも該当しないというのが判るだろう。
だが、『騎士』は別段慌てた様子も無く、全く無駄の無い動きで、それを回避する。
「―――相手を見誤ったな」
『騎士』は厳かに、言い放った。
「―――疾く、去ね」
『騎士』は、手にした得物を、
ザシュッ!!
一閃。
「■■■■■■■■■―――――ッ!?!?!?」
この世のものとは思えない断末魔を残し、狼は骸も残さず粒子となって消え失せる。
その様子を、『騎士』はただ見つめていた。
――――『デジタル空間』。
ある者はここをそう呼んだ。
『世界』と『世界』の次元を繋ぎ、数値だけが全てを統べる、未だ知られない未開の『空間』。
そしてこの物語の、始まりの場でもある。
「―――此処までだ。 諦めろ」
狼が完全に消え去ったのを見届けた後、『騎士』は闇の中を睨みつけた。
「『伯爵』―――ムルムクスモン」
すると闇からは、耳障りな嗤い声が聞こえてきた。
「いやいや、なかなかどうして、やるではないか。 え? 『紅蓮の聖騎士』よ」
―――声の主は、姿を現した。
まず目に入るのがその背にある蝙蝠のような翼。
グリフォンと思しき、幻獣をかたどった、鈍く光る鎧。
人のカタチに似た上半身とは異なり、むしろ恐竜のそれに近い印象の下半身。
フードに覆われているが、凶悪な眼光を放つ、悪魔の顔。
30の魔軍団を束ねる【災厄を呼ぶ悪夢の軍団(ナイトメアソルジャーズ)】の実力者―――『伯爵』、ムルムクスモン。
たっぷり30m程距離をとり、『騎士』と『伯爵』は相対する。
「………如何やら、何時ぞやの『彷徨える島』の件だけでは懲りなかったらしいな」
先程と寸分も変わらない口調で、『騎士』が口を開いた。
「ほほう、矢張りあれは汝の仕業か。 『選ばれし子供』を吾に差し向けたのは」
「如何にも―――と言っても、『運命』というレールを少しばかりいじっただけだが」
『騎士』の言葉には、若干の含み笑いがあったが、その眼は全く笑っていない。
「その御陰で吾の『計画』が台無しになった………その報いは――――」
言いながら、ムルムクスモンの腕が上がり、
「―――― 今、此処で受けて貰おうッ!!」
自身の前へと突き出した!
「【地獄の劫火(ゲヘナ・フレイム)】!!」
轟ォォォォォォッ!!!!!!
死しても尚、相手を永遠に焼き続けるといわれる、地獄の炎が放たれた。
「―――ちっ!」
『騎士』は短く舌打ちをすると、左の【盾】を眼前に構える。
受けるわけではない。
敵の放った技は、向こうの最大攻撃。
ならばこちらも、自身が放てる最大級の技で迎えなくては、自身の身が危うい。
【盾】に象嵌された水晶の表面に光が奔り、円を描く。
円の内部を光が奔り、幾何学的な紋様―――【魔法陣】を創り上げた。
照準を、迫りくる“劫火”に合わせる。
「【終極の(ファイナル)】―――」
『騎士』が叫ぶと同時に、盾に光が満ち、【魔法陣】が激しい閃光を放つ。
閃光は、【魔法陣】の効果で更に増幅され、強力な【光の波動】となって放たれる!
「―――【断罪光(エリシオン)】!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!
これぞ、【終極の断罪光(ファイナル・エリシオン)】。
一切の『敵』の存在も認めないこの無慈悲な閃光は、地獄の炎をいとも容易くかき消し、
「なっ何!? うぐおあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
ムルムクスモンさえも飲み込んだ。
閃光は途切れることなく闇の中を突き進み―――――
闇に、ブチ当たった。
「っ!?」
奇妙な現象を目の当たりにし、驚愕を隠し切れない『騎士』。
「く―――――」
その時、『伯爵』の口から漏れたのは、苦悶ではなく嘲笑。
「クハハハハハハハハ!!」
奇妙な現象が、続けて起こった。
闇に、一つの『穴』が形成されたのだ。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!!!!」
それは、『世界』へと通じる『扉(ゲート)』だった。
「ハハハハハハハハッ!! だから貴様ら【栄光の守護騎士団(ロイヤルナイツ)】は詰めが甘いのだ!!」
『空間』全てに、ムルムクスモンの嗤い声が反響した。
「しまった!!」
現象の真意に気付いて『扉』へと急ぐが、もはや『扉』は殆ど閉じかけていた。
「貴様はそこで指を咥えて、この『世界』が滅ぶ様を見ているがいい!」
『扉』は、『騎士』の眼前で、音もなく消えた。
―――――― 此処には貴様らが頼るべき“存在”も居ない。 もう我を止める術など無いのだ!! ――――――
もはや姿も見えない筈なのに、その耳障りな嗤い声だけは、はっきりと聞こえていた。
『―――― 以上、送信完了。 情報の送信を終了します』
「ああ、ご苦労」
空間に表示されたウィンドウに、そう告げると『騎士』は通信を切った。
「―――――“止める術が無い”、だと?」
静かになった空間で、『騎士』は呟く。
確かにそれは認めよう。
確認の為、今調べて判った事だが、確かにヤツが行った『世界』には、『選ばれた存在』など居ない。
確かにそれは事実だ。 認めよう。
だが―――――
「自惚れるな」
100%存在する『存在』など、ある訳が無い。
このような不測の事態の為に、自分という『存在』がいるのだから。
「相手が悪かったな――――ムルムクスモン…………吾ら【栄光の守護騎士団】を見縊ってもらっては困る」
言うと、『騎士』は厳かに、しかしはっきりと声を上げた。
「『【栄光の守護騎士団】が一、“デュークモン”の名において宣言する。 吾が追う者の【扉】を、吾の前に示せ』」
『騎士』――――“デュークモン”の身体が淡い光を放つと、真上に穴――――『扉』が開いた。
「其処か………」
『騎士』は見上げると、溜息を一つついた。
「しかし…………『アイツ』と同じ手口に引っ掛かるとは………情けないな」
遥か以前。
似たような失態を起こした盟友(とも)―――『究極の聖騎士』のことを思い浮かべ、『騎士』は苦笑を抑えて『扉』へと飛び込んだ。
『騎士』が飛び込むと同時に、『扉』は出現した時と同じく、消えた。
―――――― 誰もいない空間が、不気味な静けさに包まれた。
つづく
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて。
『異界』より『伯爵』を追って、ある『世界』へと舞い降りた本作の主役、
『紅蓮の聖騎士』の称号を持つ『デュークモン(X)』。
これから始まる物語は、彼が降り立ったある『世界』で巻き起こる、彼自身ですら知ることの出来ない物語。
果たして最後に待ち受けるのは、清き心が生む『希望』か。 はたまた、永遠の闇がもたらす『絶望』か。
次回、
『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第一幕 『異界の夜』
ご期待下さい。
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