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魔法先生と紅蓮の聖竜騎士  ~X-EVOLUTION ANOTHER~(×デジモン オリ主・オリ有) 第四幕 『“魔法先生”、その名はネギ』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:04/12-11:24 No.287


――― チュンチュンチュン……

小鳥のさえずりが聞こえる。 時期的にも、もう春が近い証拠だ。
木々の芽も膨れ、芽吹くのを今か今かと待ちわびている。 
しかし、朝の空気には、まだ冬の寒さが残っている。
その朝の空間の中、

ヒュン! ヒュン、ヒュン!

何かが空気を切る音。
音の発生源は、一人の男。
紅色の物体を振り回し、まるで舞う様に、しかし空気を切り裂いていく。

ヒュンヒュン………ドンッ!

最後に紅色の物体を地面に突き立て、

「―――ふぅ……」

流れる汗を軽く手で払った。






『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第四幕 『“魔法先生”、その名はネギ』






バタン。

「ふぅ……おーい、エヴァ~? もしくは茶々丸~?」

返事はない。

「あれ? エヴァ~! 茶々丸~!」

今度はもう少し大きな声で呼んでみた。

すると、

「――――やかましいッ!!」

ガスッ!!

「あだッ!?」

分厚い本の角が、グレンの額を強打した。
重さからすれば辞書か何かだ。 滅茶苦茶痛い。 思わず涙目になる。

「私は眠いんだ! それなのに朝っぱらからギャーギャーと安眠妨害だ――――って汗臭ッ!?」

そう言って、鼻を押さえるエヴァンジェリン。

「あ~やっぱり。 だから風呂場を借りようと思ったんだが」

対してグレンは、ポリポリと頬を掻いた。

「し、信じられない! 何を如何したら、短時間でこれほど汗臭くできるんだ! 貴様は!?」

「ごめんって……で、風呂、借りたいのだけど」
「……茶々丸!」
「判りました。グレンさん、此方です」

グレンは茶々丸に案内され、風呂場に行った。






「ふう、いい湯だった」
「爺か貴様は」

髪を拭きながら出てきたグレンに、エヴァは少し乱暴に言った。どうやら、まだご機嫌斜めらしい。

「そんなに怒るなって。悪かったって思ってる」
「当たり前だ、思ってもらわなければ即刻叩き出しているぞ」
「う~む……」

グレンは困ったように頭を掻いた。

「まあ、『異世界』の住人に『この世界』の常識など通じんのだろうからな」

嫌味たっぷりだ。ぐぅの音も出ない

「それを言ってくれるなって………」
「グレンさん、お茶をどうぞ」

茶々丸が、二人分のお茶を出してくれた。

「ああ、すまんな」
「ありがとう、茶々丸」

余談だが、これは食後のお茶だ。 先程の罰としてグレンは飯抜きなのである。

(今はまだ多少食事を摂らなくても、大して問題は無いのだが………って、エヴァに言ったら怒るだろうな)

と、茶を飲みながら、どうでもいいことを、グレンは考えていたりする。

ちなみにエヴァンジェリン邸には昨日一日ご厄介になり、自身が何者なのかを、できる範囲で全て説明した。
自分が何者なのかを。
何故自分がここに来たかの経緯を。
追っている敵の目的など。
エヴァンジェリンは、初めこそ信じなかったが、グレンの話が嘘偽り無いことに気付くと、半信半疑ながらも納得してくれた。






「しかし……こんな所で油売ってて良いのか? そんな危険な奴を野放しにしておいて」

「ああ、その事なら問題ない。 俺がこの『世界』に干渉し始めた、ということは向こうも感づき始めたはず。 
そうそう下手な手は打ってこないはずだ」

「……それって意味が無いんじゃないのか? また次元を移動されたら終わりだろう?」

「それも心配無い。 俺達は一度『世界』に干渉すると、ほぼ絶対的に『世界』に縛られる」

と、ここでグレンは茶々丸が煎れたお茶を一口飲んだ。

「……『世界』を出る為の手段はたった二つ。その『世界』を壊すか、自身が『死ぬ』かだ」

勿論例外はあるが、とグレンは付け足した。

いきなり物騒な発言が出た為か、しん………と空気が変わった。

「で、話は変わるんだが、なるべく広大で、しかし常人には見つかりにくい情報網が欲しいんだが、心当たりはないか?」
「ほんっとに変わったぞ、オイ…………あるぞ」

半ば呆れながらも、エヴァンジェリンは言った。

「本当か、エヴァ!?」
「ああ、丁度時間だしな……案内してやる。 付いて来い」

そう言ってエヴァンジェリンは立ち上がった。 グレンも身支度を整え、その後を追った。






「………なあ、エヴァ」
「何だ」

「一体何処に向かっているんだ?」
「麻帆良学園の学園長室だ」

「―――にしてはやたら女の子ばかりな気がするのだが?」
「当たり前だ。 ここは中等部―――それも女子校エリアだからな」

「なるほど……」

何故グレンがこんなことを言うのかというと、横を通り過ぎる女子生徒達の視線が気になったからだ。

(そんなに目立つかな? このマフラー……)

……それだけじゃないと思うんだが。

「同じ制服ってことは、エヴァと茶々丸も生徒なのか?」

「はい、ですがマスターは「茶々丸! 余計なことは言うな!」失礼しました、マスター」

茶々丸の口を、エヴァンジェリンは何故か黙らせた。

「なんかワケありみたいだな。言いたくなければ、無理にとは言わないけど」
「………賢明な判断だ。 ほら、さっさと行くぞ」

スタスタと先を歩いていく、エヴァンジェリン。
グレンは、大人しくその後に続いた。

やがて、始業の鐘が鳴った。






「おい、私だ。 入るぞジジイ」

扉に乱暴な言葉をかけ、「どうぞ」の声もしないうちに、エヴァは扉を開けた。

「失礼します」

一応、挨拶をしてからグレンもそれに続いた。

―――と、そこで唐突にグレンの顔が引き攣った。

理由は至極簡単。

(なッ……何だ、あの頭は? あんな骨格の頭蓋骨をした人間など見た事無いぞ!? ……まさか、新種のデジモンか!?)

……れっきとした人間です、グレンさん。というか、失礼だぞ。

「おお、エヴァンジェリン……ん? そちらの彼は誰じゃね?」

何やら書類に目を通していたトンデモヘッドな老人――― 麻帆良学園学園長『近衛 近右衛門』は、
来室客に気付いて顔を上げてそう言った。

「ああ、今日はこいつの用件で来たのだ……ほら、さっさと名乗れ」

「……はじめまして、学園長殿。私は『グレン・MD・サマーフィールド』と申します」
「これはご丁寧に。 ワシが当『麻帆良学園』の学園長、『近衛 近右衛門』じゃ」

双方、共に挨拶を交わす。

「じゃあ、私は失礼するよ。 ……行くぞ、茶々丸」
「失礼致しました」

そう言ってエヴァと茶々丸は、退室した。

「―――して、何用かな?」
「はい、実は―――」

グレンは、現在自身が出来る、可能な限りの説明を始めた。



(なお、ここでデジモンに関する説明が入るのだが、都合上割愛させていただきます)



小一時間後。

「ふむ……『仮想空間世界(デジタルワールド)』に『電脳生命体(デジタルモンスター)』――― 通称“デジモン”、
『世界』の秩序を護る【栄光の騎士団(ロイヤルナイツ)】と『伯爵』等々…………う~む、まるで御伽噺じゃのう」

「ええ……ですが、これは紛れも無い真実です。敵はまだ大掛かりな事は仕掛けてくることは無いでしょうが、
いずれこの『世界』が取り返しのつかない事になってしまいます」

「確かにのぅ………今の世の中は殆どが『情報』に依存しておるからのぅ…………―――あい分かった。
この『世界』を護るため、この『近衛 近右衛門』、協力いたそうぞ」

学園長はそう言った。

「ありがとうございます!」

「まあまあ、頭を上げなされ。 ワシは関東魔法協会の理事でもあるからのぉ。 ま、情報に関しては安心しなされ」

「そうですか、お手数を掛けます」

「………ただし、ワシからも一つだけ条件がある」

ピクッ

(条……件……?)
不思議と嫌な予感がしたので、グレンは思わず息を呑んだ。

「……と、言いますと?」
「うむ、実は今度イギリスから新任の教師―――魔法使いの少年が来ることになっていてのぉ」

「……魔法使いの“少年”? 失礼ですが、この『世界』の法律にも、労働基準法はあるはずです………問題にならんのですか?」

ツっこむところは、しっかりツっこむグレン。



ここで「“少年”ってところだけかい!?」というツッコミは待ってほしい。
彼は以前、別次元の『仮想現実世界』、【魔法使いの世界(ウィッチ・チェルニー)】にいたことがあり、
魔法については少しばかり知識があるのである。
加えてエヴァからも、この『世界』の魔法について、少しばかり聞かせてもらっている。
だから先ほど学園長の口から“魔法”という単語が出たときも、何も反応しなかったのだ。

………決して作者の文才の無さの所為ではない……と思いたいです。



だがそこは学園長。グレンの疑問にしっかり答える。

「ここではワシが法律じゃ。まあ、用はバレなけりゃオールオッケーなんじゃよ」

言っちゃいけないことをサラリと言える、その度胸が素晴らしい。 ある意味“漢”だ。

「…………」

唖然とするグレンを無視し、サクサク話しを進める学園長。

「しかし、やはり子供は子供。 それでの、その先生の補佐と、もう1教科他の科目の担当を頼みたいのじゃ」
「……は? それはつまり、私に『教師をやれ』という意味ですか?」

「如何にも。 なんせ慢性的に人手不足でのぉ~………で、英語以外に何か希望はあるかね?」
「い、いえ、特には……」

「ふむ、たしか国語の先生が一人足りなかったのぅ…………では、国語で良いかの?」
「ええ、構いませんが」

そこらのPCや電子辞書を、遥かに凌ぐ語学力と読解力、文法力があるのだから、適任といえば適任だろう。

「うむ、受け持つクラスなどは、後日お伝えしよう。 」
「判りました。 ありがとうございます」

グレンはもう一度、一礼した。

「―――ところでグレン君。 君は、もう住む場所を決めたかね?」
「え? いえ、まだですが」
「そうか。 ではの――――」

この後の学園長の言葉は―――とんでもないものだった。






それから数日後。

「ふむ、これでよし、と」

灰色のスーツに袖を通したグレンは、赤いネクタイを正した。
本当は赤か、白いスーツにしようかと思っていたのだが、
「そんなスーツを着る教師が何処にいる。 ホストかヤクザにでもなる気かお前は」
と、エヴァンジェリンに厳しい意見をされてしまったので、妥協してこの色だ。

「さて、行くか」

身なりを整え、お決まりのマフラーをして、ドアを開く。

「…………」

右確認、左確認、もう一度右確認……OK。

「……どうも慣れんな」

そう言ってグレンはドアを閉じた。
ちなみに、今グレンがいるのは、麻帆良学園女子寮一階にある、“何故か空いていた”部屋の前。

「……何考えているんだ? 学園長は……」

前もって学園側からの通達か何かがあったらしく、大騒ぎなどは起こらなかったが、やはり慣れない。
ちなみに後で耳にしたのだが、名目は『女子寮の警備員』だったらしい。

(何でだ………)

………教師だったんじゃないのか? さり気に仕事が追加されていないか?

それは置いといて、今日は例の新任教師がくる日だ。

「―――さて、噂の“先生”とやらはどんな人かな?」

グレンは気を取り直し、クスリ、と笑みを浮かべた。






始業ベルまであと10分。
朝の通勤ラッシュの如く、生徒達が我先にとばかり走り出す。
その中、

「わわわ、何コレ!? スゴイ人!」

非常に場違いな、幼い少年の声。
妙にくせのある赤毛を後ろで軽く纏め、鼻の上にチョコンと乗せた丸眼鏡が特徴の少年だ。
年齢は……どう見ても小学生ぐらいだろう。
背中には何やらが詰まったリュックと、布に包まれた棒状の物を背負っている。

「うう~~緊張するな~~」

少年は、首から提げたペンダントを握り締めながら、そう呟いた。
別に珍しくもない、玩具のような赤い結晶体が埋め込まれている、逆三角形のペンダントだった。

「――っと、いけない。初日から遅れたらまずいぞ」

と、少年は外見とは不似合いな速度を出して駆け出した。






彼の名は『ネギ・スプリングフィールド』。

―――この物語の主人公にして、『魔法使い』である。






ここは職員室。

「やあ、おはようございます、グレン先生」

と、グレンに声をかけたのは、ナイスミドルな男性教師『高畑・T・タカミチ』。

「ああ、おはようございます、高畑先生………改めて言われると、何か照れますね」

ここ数日間、彼に麻帆良学園の案内や説明などをしてもらい、大変世話になった。
それ故か、彼とは数少ない、親しい話相手だ。

「ハハハ、そんなものですよ、初めのうちは。 僕もそうでしたし、すぐに慣れますよ」

「ハハハ………ところで、新任の先生はまだ来ていないんですか?」
「ん? ……もうそろそろだとは思いますけど」

と、高畑先生は、時計を見ながらそう言った。

「少し遅いですかね………ちょっと探しに行きましょうか」
「ああ、それじゃあ僕も行きましょう」

二人は、職員室を後にした。






「取・り・消・し・なさいよこのガキ~~!」

と、涙目で少年を片手で掴み上げる、ツインテールの少女。

「あわわわわわ」

と、慌てるのは先程の少年、ネギ。

「も~~アスナ~~子供相手にムキにならんでも~~」

仲裁に入るのは、京都訛りの黒髪の少女。

おお、あれは!『ネギま!』の名シーンである『頭をわし掴みにして宙ぶらりんの刑(正式名称不明)』!

余談だが、筆者もこれを小学一年の時、六年の女子にやられたことがある。
ええ、そのとき嫌な音が聞こえましたとも。「ゴキゴキ」とネ。死ぬかと思たヨ。
……良い子は絶対に真似をしないように。

閑話休題。

「ここはアンタみたいなガキが入ってきちゃいけないの、わかった?」
「あうう~~は、放してください~~っ」

少年はジタバタ抵抗するが、全く意味が無い。
と、そこへ救いの主が。

「いや―――いいんだよ、アスナ君」

高畑先生である。その後ろにはグレンもいた。

「た、高畑先生!? お、おはよーございま…!「久しぶりタカミチーッ!」!?……っ し、知り合い……!?」

アスナと呼ばれた少女―――『神楽坂 明日菜』は、驚いた顔で後ずさった。

「麻帆良学園へようこそ。 俺は『グレン・MD・サマーフィールド』だ。 よろしく、そしてはじめまして『ネギ先生』」

と、グレンは右手を差し出した。

「あ、ハイ、よろしくお願いします」

小さな先生も手を出し、握手。

「え……? せ、『先生』?」

それを見て、黒髪の少女『近衛 木乃香』は困惑したような声を出した。

「あれ? 聞いてなかったかい?」

タカミチは意外そうな声を出した。

と、小さな先生はコホンと一つ咳払いをし、

「この度、この学校で英語の教師をやることになりました。 『ネギ・スプリングフィールド』です……よろしく」

礼儀正しく、そう名乗った。




つづく


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


あとがき


さて。第四幕も無事に終了。 次は第五幕へ……って、あああああ――ッ! 

やっとれんわ!!!

毎回のこの口上! ワンパターンすぎやッ!
もちっとバリエーション豊富にせなあかんやろ………!!
しっかりせいや自分! 負けたらあかん! ここで負けたらオトコがすたるッ!!

ネギ「何か筆者さんが壊れ始めてきましたね」
グレン「だな。 まだ四話だというのに、これでは先が思いやられるな」

うおおおおおおッ!! 萌えろ! 萌え上がれワイの小●宙!!

ネギ「このままではキリが無いので、先に次回の予告をしちゃいましょうか」
グレン「そうだな。ではネギ先生、今回は貴方に譲ろう」
ネギ「判りました!
では次回、

『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第五幕 『波乱のクラス、その名は“2-A”!』

どうなるんでしょうか、楽しみですね」
グレン「うむ。ではまた次回、お会いしよう」

魔法先生と紅蓮の聖竜騎士  ~X-EVOLUTION ANOTHER~ 第五幕 『波乱のクラス、その名は“2-A”!』

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