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第五幕 『波乱のクラス、その名は“2-A”!』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:04/13-18:08 No.302



「この度、この学校で英語の教師をやることになりました。『ネギ・スプリングフィールド』です……よろしく」

そいつは、礼儀正しくそう名乗った。

「え…ええ――!? ちょっとウソでしょ――!? どーいうこと!?あんたみたいなガキンチョが先生なんて!」

衝撃を隠しきれない私は、教師を名乗る子供に掴みかかった。

「いや、彼は頭いいんだ。安心したまえ」

「そ、そんなこと言われても……」

高畑先生はそう言ったが、納得いく筈もない。
が、その後の言葉が、更に私に追い討ちをかけることになった。

「ああ、あと今日から僕に代わって、こちらの“グレン先生”と一緒に、君達A組の担任を勤めてくれるそうだよ」


ガ――――――――――ン!!


本日二度目の衝撃事実。
信じられない。
っていうか、信じたくない。

「そ、そんなぁ…私イヤですこんな子。さっきだってイキナリ失恋…じゃなくて、
失礼なことを私に「いや、でも本当のことなんですよ」やかましい! まだ言うか――!」 

私はもう一度ガキンチョの襟首を掴んだ。

「大体、私はガキがキライなのよ!あんたみたいな無神経でチビでマメでミジンコで……」

ああ、もう!自分でも何を口走ってるのか判らないじゃない!
とにかく私は可能な限りの罵り言葉を吐いた。
ガキンチョが何かむくれているようだけど、構うもんか。

と、


「ん………ハ……ハ……」


鼻にゴミでも入ったのか、クシャミの前兆がガキンチョに起こった。

そして。


「はくちんっ!!」


豪快なクシャミと共に突風が吹き、


―――制服を、否、服を全て吹き飛ばした。


「な……っ!?」

何が起こったのか判らず、私の思考は完全に停止した。

「あ……」「い……」

が、二人の先生の声に我に返る。



「キ……キャ――ッ!!何よコレ―――!?」



私の絶叫が、学園中に木霊した。





『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第五幕 『波乱のクラス、その名は“2-A”!』





(如何にかならんか? この空気は……)

ネギが学園長への挨拶を済ました後、指導教員のしずな先生の案内の中、
互いに顔を背けながら廊下を歩くネギと神楽坂を見て、グレンはそう思った。

(まあ、さっきの事からではしかたないか……)

ネギが“魔法使い”であるとは聞いていたが、あんな些細なことでも発動してしまうものなのかと、
グレンはこれからが不安になった。

(“魔法使い”の存在はこの『世界』では秘密―――なんだが……真逆、その分のフォローもしなければならないのだろうか?)

グレンは小さく嘆息した。

「はい、ここがあなた方のクラスよ。ハイ、クラス名簿」

と、そんなことをしていると、もうクラスの前に着いていた。
ネギが、緊張の面持ちで、窓から教室の中を覗き込んでいる。
グレンも、それにならって覗いてみる。

「むぅ……」

軽く見渡しても、一癖も二癖もありそうな、良く言えば元気そうなクラスだという印象が強かった。

「これが……僕がこれから教えることになる人達か――……」
「“僕達”、だろ?」

「あ……そうですね! お互いがんばりましょう、グレンさん!」
「……ああ、がんばろう、ネギ君。ああ、それとだな……」

グレンは声を下げて、小声で続けた。

「……俺も一応“そっち側”の関係者だから、何か困ったことがあったら遠慮なく相談してくれ」
「はい!」

気合も入ったところで、そろそろ教室に入ろうと、ネギがドアを開けた。

ヒュウ……

バシッ!

グレンは神業的な動きで、ネギの頭上に落下してきた物体を受け止める。
おそらく、誰一人その動きに気付いた者はいないだろう。
そして、グレンはその物体を見つめた。

それは――


(黒板消し?)


そう、白いチョークがたっぷり塗られた、黒板消し。
このようにトラップに応用すれば、破壊力は絶大だ!(何の?)

「ちょっと待て、ネギせ――」
「え?」

が、グレンはその先を言う前に、

ガッ!

「へぶっ!?」

ネギは足をロープにとられ、

「あぼ!?」

頭から、落ちてきたバケツの水をモロにひっかぶり、

「ああああああぁッ!?」

吸盤つきの矢に狙撃され、

「ぎゃふんっ!!」

教卓に背中からぶつかった。

「…………」

教室に笑いの後、驚きの嵐が起こる最中、グレンは一言。

「……すまん」

とりあえずネギに謝った。





「今日からこの学校でまほ……英語を教えることになりました『ネギ・スプリングフィールド』です。よろしくお願いします」
「同じく、英語の補佐と国語を教える『グレン・MD・サマーフィールド』だ。よろしく」

二人はそれぞれ、簡単な自己紹介をした。

「「「…………」」」

一瞬の静寂の後、

「「「かわいい――!!(かっこいい――!!)」」」

「「!?!?!?」」

一斉に黄色い悲鳴が沸きあがった。



その後の質問会は、それはそれはもの凄いことになった。

「せんせーは、どこから来たんですか?」
「ぼ、僕はイギリスから……」「俺はアメリカからだ(適当)」

「先生の趣味は?」
「こ、骨董品集めですかね~」「む……強いて言えばトレーニング、かな?」

「ズバリッ! 恋人とかは!?」
「ふええ!? な、何を訊くんですか!!」「(なんか関係ないような……)……いないな」

「じゃあ、あとは~~……」
「「ってまだあるんですか(のか)?」」

おかげで、ホームルームギリギリまで質問会は続いたそうだ。





放課後。

「「ふ―――――…………」」

中庭で一息いれているのは、もちろんネギとグレンだ。
英語の授業は、例によって『神楽坂 明日菜』と“いいんちょ”こと『雪広 あやか』の大乱闘により、まるまる潰れた。

「やっと一段落ですね~」
「だな……教師がこんなに疲れるものだとは思わなかった」

ちなみに今日は国語が無かったのだが、グレンもかなり疲労していた。

「初めての授業……失敗しちゃいましたね……」
「そう気を落とすなって、ネギ先生。こんなこともあるさ」
「それにしても……僕、この“カグラザカ アスナ”っていう子の所に泊まれって言われたんですけど……」

ネギが、名簿を開きながら、呟く。

「……朝の一件、結構根に持ってるかもな」
「絶対泊めてくれそうにないですね……どーしよ今夜……」

とほほ、とネギは途方に暮れた声を出した。

「その時は俺の部屋にでも泊まれば良い。あんまり深く考え込まないことさ」
「そうですね……あれ?」

ふと、ネギが顔を上げてある一角を見た。
グレンも、視線を追ってみる。

「あれは……27番の『宮崎 のどか』さん……」
「危ないな。あの本の持ち方は」

目元が前髪で隠れている少女『宮崎 のどか』は、15冊近い本を重ねて、危なげに階段を下りていた。
そして、案の定。

「!! やっぱし!」

足を滑らせ、落下した。

「あぶな――」

その時。

跳躍しようと脚のバネを収縮させとき、グレンは見た。
棒状のもの―――杖に巻かれていた布が、螺旋を描いて弾け飛び、

姿を現した“魔法使いの杖”を持った少年――ネギを。


ネギが何かを小さく呟くと、

ふわり。

のどかの身体が、地面からギリギリの高さで停止。

(ほう、あれがネギ君の魔法、か。エヴァのとはまた違うし、学園長から前もって話は聞いていたが、なるほど……)

などと、グレンが感心しているうちに、

ダッ!!

コンマ一秒の間も置かずにネギは疾走。少女を受け止め、

「あでぼっ!?」

見事なヘッドスライディングを決めた。

「アタタタ……大丈夫? 宮崎さ……」
「大丈夫か? 二人と……」

二人の言葉が、止まった。

いや、時間そのものが止まってしまったのかもしれない


そこに、目撃者が一人。

その名は、『神楽坂 明日菜』。


「あ……あんた……」
「あ、いや……これは…その……」
「か、神楽坂?」

三人とも、言葉が上手く出ない。

「う……ネギ、先生…?」

小さく、聞こえたのどかの声。
それが合図だった。

その瞬間、明日菜はネギと杖を一瞬で抱え上げ、あっという間に視界から消えていった。

「って、速!? ……何者だ? あの娘は」
「あ……れ?」

「おお、気がついたか?」
「え? ……グレン先生? ……グレン先生が……?」

「いや、俺じゃない。ネギ先生だよ。足を滑らせた君を助けたんだ」

「そう……ですか」
「大丈夫かい? 立てそう?」

と、グレンは手を差し出した。が、

「!! い、いえ! だッ大丈夫です!」

思いっきり拒絶された。

「で、では、私は、これで……!」

のどかは落ちた本を拾い上げ、一目散に駆け出して行った。



「…………嫌われた、かな」

先生としてはかなり悲しいことだ。

「ま、こういうこともあるさ」

それより、気になるのは去っていった二人だ。

「まあ、ネギ先生は“魔法使い”だし、上手くやるだろう」

踵を返すと、赤いマフラーが風になびいた。



……その後、なんか悲鳴っぽい声が聞こえたのは、絶対に気の所為だ。





2-A教室。

ワイワイと響く、賑やかな声。
今、この教室は『ようこそ♪ ネギ先生&グレン先生 大歓迎会』の真っ最中だった。
大歓迎会はかなり楽しいもので、宴会知らずのグレンも、とても満足していた。

……さすがに夕映にもらった『ホットコーラ』を飲んだときは、ネギと同タイミングでおもいっきり吹き出したが。





「どうも、グレン先生」
「……おお、二人とも」

と、話しかけてきたのは刹那と真名だ。

ちなみにネギは、またクラスの女子にモミクチャにされているご様子。

「その節はどうもありがとうございました」

刹那がペコリと頭を下げる。

「いやいや、いいって」
「でもまさか、貴方が教師だったとはな。初めはそんな風には見えなかったのに」

真名が、本当に意外そうな目でグレンを見た。

「いや、ちょっと成り行きでな」
「成り行き、ね。別に深くは詮索しないけど……少し覚悟しておいた方が良いかも知れないよ?“グレン先生”」

「おいおい、副担任相手に、そういう脅かしは無しにしてくれよ?」
「いえ……実は、今朝の黒板消しを受け止めた先生の“素早い”動きに長瀬さんと古菲が興味を持ったようなので……」
「え?」

常人は誰一人として気がつかなかった、あの動きを見切れたというのがいたのか?

「ああ、あれは実に見事な早業だったな。鳴滝姉妹が、いつ黒板消しが取られたのか、不思議がっていたからな」

……いるよ、おい。少なくともここに二人は。

「う~~む……失敗だったかな?」
「他なら兎も角、このクラスだったのが運の尽きでしたね」
「まあ、仕方ないか……ありがとうな、桜咲に龍宮」

すると、二人は少し頬を赤らめ、

「え……その…で、できれば……」
「名前の方で…呼んでくれた方が良いな……」

「? じゃあ刹那に真名、忠告ありがとう。……これでいいか?」
「はい。では、グレン先生」
「私達はこれで失礼するよ。ごゆっくり」

「ああ、二人ともな」

グレンは二人に手を上げて答えた。





「き、記憶を失え~~~~~っ!!」
「って待たんか~~~~~!!」

…………また悲鳴が聞こえる。それも二人分。

「また空耳……という訳にもいかんか……」

やれやれ、とグレンは重い腰を上げ、廊下に向かった。

「しかし……これから大丈夫なのか?ネギ先生?」

グレンは、これから先の不安を隠せなかった。





その夜、ネギは無事に、明日菜たちの部屋に泊めてもらったそうだ。


勿論、グレンの説得があったことは言うまでも無い。


つづく

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

次回予告。

事の発端は『ネギ特製惚れ薬』!?
ひょんなことから飲まされた、ネギの身に降りかかる惨劇とは!?
悲劇を食い止められるのは、二人の勇者。

麻帆良の園に放たれるは『誇り高き破邪の剣(ロイヤルセーバー)』か!? 
はたまた『炸裂! 超・爆裂脚(スーパーアスナキック)』か!?

それとも、夢の合体技『究極絶対奥義! 真・天上天下・絶対無敵・剣王最強――

スパァン!!

ぐはあ!? ……な、何故、ハリセン、が……

明日菜「なぁ~にアンタ嘘八百書いてんのよ!?」

グレン「全くだ。第一、一般人の前で、あんな大技が出せるか」

明日菜「大体何よ?最後の真――なんとかってのは!?」

 い……いや、それより……何で、もう“ハリセン”を……?

明日菜「あ、これ? 自前よ、自前!」

グレン「ちなみに、さっき俺が五分で作った」

 お、おのれらァ~~……∑(0w0)オンドゥルルラギッタンディスカー!! ……ガクリ……(気絶)。



明日菜&グレン「「そういうわけで、次回!
 
『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
     第六幕『ネギ先生、危機百発!?』
 
         お楽しみに!」」
 
……括目せよ!これが我が太刀筋なりィィィィィィィィッ!!

 明日菜&グレン「「もういいっての」」

魔法先生と紅蓮の聖竜騎士  ~X-EVOLUTION ANOTHER~ 第六幕 『ネギ先生、危機百発!?』

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