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第十幕 『風雲! 図書館島大決戦 その3 ~『聖剣』と『魔弾』~』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:05/07-14:40 No.454
「貴様も来ていたとはな……『魔弾の王』―――【ベルゼブモン】!!」
人の身を纏った『魔弾の王』は、口の端を吊り上げてワラった。
「なんだよ、随分つれねーじゃねえかよ。え? 『騎士』サマよ」
「何の用だ? 今、お前に構っている暇は無い。………助けには感謝するが、それだけだ」
「助け? ンなワケがねぇーだろ。勘違いすんな。アイツをかたづけたワケは――――」
人間の姿をした【ベルゼブモン】は、二挺のソウドオフショットガン―――【べレンへーナ】に手をかけ、
「てめぇと―――サシで闘りあうために決まってんだろうが!!」
ジャキッ
銃を引き抜いた。
だが。
「しっかりしろ、刹那」
「う……ぁ……私は 一体……?」
「……よかった、無事だったみたいだな」
「え……!? グレン先生!? ど、どうして……」
「ああ、敵の攻撃を受けて、気を失っていたんだ」
「そ、そうですか……すみません」
「謝らなくていい。最後の敵はかなりの手慣れだった。刹那の責任じゃないさ」
「そ、そうですか……」
「――――っって、シカトかよオイコラァッ!!!!」
完全に無視されていた。
「えっと…………お知り合いですか、グレン先生?」
刹那は脂汗を流しながら、グレンに訊ねた。
「………いいや、赤の他人だ」
「――――――ッッッだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
…………哀れだ。
『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第十幕 『風雲! 図書館島大決戦 その3 ~『聖剣』と『魔弾』~』
「くそッ! 甞めた真似しやがって! だからオレはてめぇが気に入らねぇんだ!!」
人間【ベルゼブモン】は、頭から湯気を立てて怒っていた。
割と古風だ。おもしろい性格をしている。
「………にしても、わざわざ人間の姿にならずとも、直接『本体』で来ればいいだろうに」
「バカ野郎! オレ様をそこらの雑魚供と同じに考えるな!!
大体な、『人間状態』のてめぇと闘りあったって、勝つのはオレの方じゃねえか!
そんな風に勝っても意味がねぇんだよ、てめぇと同じ条件で勝たなくちゃよぉ!!」
その言葉に、グレンは少しだけ感心したような表情を浮かべた。
「ほぅ………悪魔の中にも、見上げた『騎士道』を持つ奴がいるのだな」
「うるせェっ! ………御託はいい。てめぇの選択肢は二つしかねぇぜ。“ハイ”か“YES”か、だ」
「どちらも同じだろうが…………いいだろう。いずれ貴様も倒さなければならない者だからな」
グレンは、【グラム】を手に握った。
「刹那」
「は、はい!」
「君は、もう少しそこで休んでいてくれ。3分で済ませる」
いくら人間の姿をしていても、相手もこちらも『究極体』。
相対するからには、多少の被害は覚悟しなければならない。刹那には悪いが、これは事実だ。
「は、はい……判りました、グレン先生」
刹那の返事を確認したグレンは、人間【ベルゼブモン】に向き直った。
「ほう、人間名は『グレン』ってのか。―――随分安直じゃねぇか」
からかいを含んだ台詞を、向こうは吐いた。
「ほっとけ。『名無し』の貴様よりはマシだ、【ベルゼ 「 『アッシュ』だ 」 ……?」
唐突に、【ベルゼブモン】―――『アッシュ』はそう言い出した。
「オレの人間名は『アッシュ』。今からそう名乗ることに決めた」
「ほう……悪魔にしてはセンスがいいな」
「ありがとよ」
互いに皮肉な笑みを浮かべ――――それきり、二人は沈黙した。
互いに一歩も、一センチも、一ミリも動かない。
(凄い……二人とも、なんて闘気だ……)
刹那は一人、その光景に釘付けになった。
常人なら、その場に居ただけで卒倒しそうな、重苦しい空気。
かなりの修行を積んだ刹那でも、少しでも気を抜けばどうにかなってしまいそうだ。
(こんな闘気には、今まで一度も対面したことはない……)
彼女の剣の師匠ですら、こんな『闘気』が出せたかどうか。
「…………」
ゴクリ、と生唾を嚥下する。
ヒラリ
どこかの木から、夜風に乗って、一枚の葉が舞い落ちた。
ヒラリ。ハラリ。
そして、まるで二人の間に吸い寄せられるかのように舞い―――
ズドンッ!!/ジャキンッ!!
―――戦闘開始の、合図。 銃声は、剣撃は、木の葉を跡形もなく消滅させた。
そこから先は――― 一言で表現するなら『嵐』だった。
「おらおらおらおらおらおらッ!!」
「はぁぁぁぁぁあああああッ!!」
轟く、『気合』という名の、『嵐』。
撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ
撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ
撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ
撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ
撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る
幾多の銃弾と、無数の斬撃が生み出す、『火花』と『音』の『嵐』。
「【ニ連撃奏(ダブルインパクト)】!!」
「【誇り高き破邪の剣(ロイヤルセーバー)】!!」
紫焔の【魔弾】と、碧の閃光の【槍】が起こす、異なる二つの―――必殺の、『嵐』。
不思議な事に、先程のデジモン達とは違い、『殺気』が微塵にも無い。
二人とも、『死合い』をしている筈なのに。
しかし、どの攻撃を見ても、どれも一撃必殺。
加減は何処にも見られない。
常軌を逸した、『戦い』―――否、『闘い』。
刹那は、その『闘い』に、圧倒された。
―――人を超えた、“存在”に。
チュインッ!!
足元を、銃弾が穿つ。
「ちッ」
たたらを踏む前に、眼前に迫るスラグ弾・十発を、【グラム】で叩き落す。
―――無駄のない、幾重の螺旋を描く、剣の軌道。
チリチリチリチリリ………
細切れになった銃弾が、乾いた音を立てて地面で跳ねる。
「哈ッ!!」
グレンは踏み込み一つで間合いを詰め、斬りつけた。
キィ―――ン…………ッ!!
甲高い音。
しかしその刃は、交差した【べレンへーナ】の銃身で受け止められる。
「オラッ!」
『アッシュ』は【グラム】を弾いて、グレンの顔面めがけハイキックを放つ。
グレンはそれを、屈んでやり過ごす。
黒革のブーツの爪先が、僅かに髪の毛数本を切り飛ばした。
「ふッ!!」
即座に、グレンは足払い。
「おっとッ!」
それより半瞬速く、『アッシュ』はバック転してそれを逃れる。
二度、三度、そのまま回転し、再び身構える。
「ふん、意外によく動くじゃねぇか。安心したぜ」
少し満足そうに、『アッシュ』は笑みを浮かべた。
「そう言う貴様もな」
グレンも、同じように口を歪めた。
「…………」
刹那は、二人が闘う光景に圧倒され、息をするのさえ忘れていた。
(す、ごい……あの人―――あの人達は、本当に『強い』………私が知っている、誰よりも…………)
見る者を魅了する、圧倒的な強さ。
それは、刹那も例外ではなかった。
―――だから、これは、仕方の無いこと。
幾度目の頃だっただろうか。
「オラッ!」
『アッシュ』が吠え、紫焔の魔弾を放つ。
「ふん!!」
それをグレンは、容易く斬り落とす。
「―――ッ!!」
が、それは罠。
斬ったはずの弾丸の後ろに、もう一発の弾丸。
(二重連射ッ!? 小細工を!!)
「ぬッ!!」
斬るには間に合わず、【グラム】で弾いた―――直後、グレンの顔から血の気が引いた。
―――弾いただけでは、回避はできるが、銃弾は止まらない。これは常識だ。
その銃弾の行く先。
(―――しまった!!)
致命的なミス。
銃弾は、あろうことか、刹那の方向に飛んでいる。
さらに悪いことに、刹那は闘いに見入っていて、銃弾に気がついていない!
「ッ!!!」
グレンは、無茶な体勢から一歩踏み込み、前方に跳躍。
一迅の紅い風となる。
刹那の元に辿り着くまで、わずか1秒。
バキンッ!!
「つッ!?」
振り向き様に、グレンは、つい“左手を薙ぎ払っていた”。
左手の甲から、血が滴り落ちる。
(しまった……! つい、いつもの癖で…………この姿で【イージス】が“出せない”ことを、すっかり忘れていた)
グレンは痛みに顔をしかめながら、胸中で呟いた。
「グレン先生!? 血が……!!」
我に返った刹那が、深刻そうな声を上げる。
「いや、大したことはない。横から弾いたから、大丈夫だ」
刹那を安心させようと笑顔を作り、そう答えるグレン。
「先生……」
「大丈夫だから……な?」
そこで、『アッシュ』の視線に気がついた。
………なぜか視線はジト目だったが。
「……どうした、撃ってこんのか?」
挑発を混ぜて、グレンは問うた。
それに対し『アッシュ』は、ポツリと一言。
「…………………………やめた」
「は?」
「やめだやめだ!! あ~~あ、ったく! やってられねぇぜ!」
『アッシュ』はひとしきり頭を掻き毟って、【べレンへーナ】をそれぞれホルスターに納めた。
「な、何だ、急に?」
「うっせえ。一生やってろ、このロリコン」
「な゛ッ………!?」
直後、グレンは引きつった声を上げ、
「なんでそうなる~~~~~ッ!?」
―――騎士の絶叫が、夜空に響いた。
「ブッ―――ハハハハハハハハハ!! きょおし!? お前がセンセェ~~!?
ハハハハ! ぴったりじゃねぇかよ!!」
「…………話すんじゃなかった」
納得して貰うため、小一時間ほど説明をしていたグレンは、爆笑する『アッシュ』に、ぐったりとした表情で言った。
ちなみに、左手の応急処置はすでに完了しており、血も止まっている。
「ま、なんだ。悪かったな、嬢ちゃん」
「い、いえ」
(ただの戦闘狂(バトルマニア)なのかと思ったが……少し違うようだ)
刹那は、目の前の男の認識を改めた。
「さてと、闘る気も失せたことだし、オレは帰らせてもら「待て」…………ンだよ?」
踵を返した『アッシュ』を、グレンは呼び止めた。
「その前に答えてもらおうか。お前達の目的は何だ?」
「あ? 目的? 何の話だ」
返ってきた返事は、そんな間の抜けたものだった。
つづく
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