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第十一幕 『風雲! 図書館島大決戦 その4 ~混沌の図書館島~』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:05/08-18:20 No.468
「その前に答えてもらおうか。お前達の目的は何だ?」
「あ? 目的? 何の話だ」
返ってきた返事は、そんな間の抜けたものだった。
「とぼけるな。ここ最近、麻帆良学園に“デジモン”をけしかけた、その目的だ」
「……マホラガクエン……? オレが知るかよ。『伯爵』のオッサンに訊け。オレは関係無ぇ」
「………ならば、お前は何故ここにいる?」
「ああ、オマエがここに居るって、下っ端共に聞いてな。てめぇとの決着をつけに、な」
だが、さっきので気分が削がれちまった、と付け加える『アッシュ』。
「やれやれ。結局それか」
それを聞いて、グレンは苦笑した。
『アッシュ』の言葉に(敵対関係の筈なのに)、嘘偽りは一切ないということは、最初から判っていた。
………単に、コイツがバカ正直だったともいうが。
ドルルル………ン
『アッシュ』はバイクに跨り、アクセルをふかした。
「今日の所はこれで帰るがな、次に会ったら遠慮なく闘らせてもらうぜ」
「ああ、望むところだ」
そう答えると『アッシュ』は不敵に笑い、猛スピードで走り去っていった。
『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第十一幕 『風雲! 図書館島大決戦 その4 ~混沌の図書館島~』
「―――刹那、大丈夫か?」
「あ……はい……すみません、グレン先生……」
「だから、謝ることはないって……立てそうか?」
「はい……これくらい……痛ッ」
無理に立とうとして、刹那がバランスを崩す。
「おっとと」
すかさず、グレンは刹那の身体を支えた。
「あ………」
「痛いなら、無理するな」
そう言うと、刹那を抱きかかえた。
「!? あ、あの……ッ」
「さて、もうすっかり遅い。怪我が明日に響くといけないから、ここは戻るぞ。いいか? 刹那」
「は……はい」
刹那は、小さく頷いた。
その後。
怪我を治療し、部屋まで送ったグレンだったが、その終始、刹那の顔が真っ赤だったことは言うまでもない。
その頃。
バカレンジャー達は休憩を済ませ、人外魔境と化した図書館島深部の道のりを進んでいた。
ビル五階の高さはある本棚の上を歩き――
「ちょっと―――!? こんな所にある本、誰が読むのよ―――っ!!」
「お、落ちたら死んじゃう―――っ」
湖を渡り―――
「つ、冷たい―――っ!」
「何で図書館に湖が……」
本棚の絶壁をロープ一本で下り―――
「ひ、ひえええええええ―――っ!!」
「死ぬっ……死んじゃうよ―――っ!!」
「ニンニン~~~♪」
人一人が漸く通れる、狭い書庫を潜り―――
…………って、ホントに誰がこんな所の本を読むんだ!? 図書館はダンジョンなんかじゃないやい!!
そうしている内に、遂にバカレンジャー達は辿り着いた。
「す、すすすごすぎる―――っ!? こんなのアリ―――!?」
「私こーゆーの見たことあるよ、弟のPSで!」
「ラスボスの間アル――!」
皆、各々に感激していた。
「遂に辿り着きました……『魔法の本』の安置室です。感激です」
さすがの夕映も、感激に身を震わせていた。
「こ、こんな場所が学校の地下にあるなんて……」
明日菜は驚きを通り越して、少し唖然としていた。
祭壇のような大きな台に、向かい合う石像が二体。
そしてその奥には―――
「あっ……あれは!?」
「ど、どうしたのネギ!?」
不意に、ネギが大声を上げた。
「あれは伝説の『メルキセデクの書』ですよ!! 信じられない!! 僕も見るのは初めてです!!」
「てことは、ホンモノ……?」
「ホ、ホンモノも何も、あれは最高の魔法書ですよっ!?
確かにあれならちょっと頭を良くするくらい、簡単かも……」
あまりに凄い代物だったため、ネギは我を忘れて、熱くそう語った。
それを聞いた、バカレンジャーは
「やった―――!! これで最下位脱出よ―――!!」
「一番ノリするアル―――♪」
「あ、あたしも―――!!」
一斉に『魔法の本』めがけて走っていった。
「あ! 皆さん待って!! あんな貴重な魔法書、絶対に罠があるに決まってます!! 落ち着いて―――」
ネギが叫んだ、その時だった。
―――ドクン。
「あ―――れ?」
何かが胎動するような、音? “鼓動”?
続いて襲う、突然の悪寒。
ざわめき。ざわめき。ざわめき。
何かが、誰かが、ネギに“危険だ”と言っている………ような気がする。
―――ドクン。
(な、に―――?)
また“鼓動”。
“――――危険(danger)。”
「………え?」
今度は、はっきりとした“声”として、ソレは聞こえた。
非道く抑揚を欠いた、機械的な“声”だった
“危険。”
(何が?)
“危険。危険。”
(だから何が!?)
“危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。危険。”
狂ったように、しかし抑揚を欠いた“声”は、その単語だけを連呼し続ける。
“――――危険!!”
「………………………………真逆――――――――――!?」
“声”が、何か危険を“予見”している事を理解したネギは、
衝動的に、
「ダメです!! 皆さん!! 止まってくださいッ!!」
―――手にしていた“杖”を、投げつけた。
ゴチン☆
「アタッ!?」
見事、“杖”は最前を走っていた明日菜の後頭部に命中。
コケる明日菜。
「キャ――!」「わぁッ!」「いた――!」
後続のメンバーが、同じようにつんのめって転ぶ。
「いたたた……ちょっと、ネギ!! いきなり何を―――」
―――ブゥン……!
明日菜の目の前、約十センチを、石造りの剣が通り過ぎた。
「――――――――――ッ!!!!」
もし、ネギの“杖”が当たっていなかったら…………ゾッとすることになっていただろう。
『………フォフォフォ……ここを通すわけにはいかんのじゃ~~~』
そこには、大剣と大槌を携え、先ほどの石像が動いていた。
「なななな―――ッ!?」
「石像が動いた―――ッ!?」
「こ、これは……!!」
(『動く石像(ゴーレム)』!?)
おそらく、魔法書の番人であろう。
赤く光る単眼が、ネギ達をねめつける。
(さっきのは………これを言っていたの?)
“―――――否定(negative)”
「―――――――え?」
それきり、“声”は聞こえなくなっていた。
(兎に角……魔法が使えない今じゃ、『ゴーレム』の相手は無謀だ! ここは一先ず、みんなを非難させなくちゃ!)
「み、皆さん! ここは逃げましょう!」
“杖”を拾い、皆に指示を出すネギ。さすが、小さくても先生だ。
「賛成です!」
「三十六計、逃げるにしかずでござるな!」
「え~~~ッ!? でも本が~~~!!」
「バカ! 踏み潰されたいの、まき絵!?」
皆、ネギの指示に従い、後ろに向かって全速全進。
『フォ!? ちょっと、待つのじゃ……!』
『ゴーレム』が、(何故か)慌てて追いかけてくる。
「皆さん! 急いで―――」
―――ドクン。
(ッ!! またッ!?)
先ほどよりも強烈な悪寒が、ネギの身体を駆け巡る。
と、次の瞬間、
ドガァァァァァァ――――――――――――ン!!
「キャ―――――――――ッ!?」
「なッ……壁が!?」
突然、部屋の壁が崩れたかと思うと、そこから二体の石像が。
(え!? もう二体も『ゴーレム』が!?)
先ほどの二体とは違って、こちらは岩石を繋ぎ合わせたような簡素なつくりで、
『石像』というよりは『土人形』と言ったほうが適切だ。
「「GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」
土人形の咆哮。
その巨大な腕を振り上げ、ネギ達に襲いかかる!
「うわああああああああ――――――――――ッ!!」
「いやああああああああ――――――――――っ!!」
『フォ―――――――――――――――ッ!!!!』
気合一閃。
大剣を持った『石像』が、『土人形』の腕の腕を受け止め、
『フォフォフォ―――――――――――――――ッ!!!!』
大槌が、『土人形』を弾き飛ばした。
「………え?」
残った壁に叩きつけられる、『土人形』。
「仲間割れアルか?」
「チャンスです! 今のうちに本を!」
「うん! え~~い!!」
まき絵のリボンが、魔法書を掴みよせた。
「やた!」
「よし! 逃げるわよ! ネギ!」
「あ……ハイ!!」
皆、一目散に開いた床板に殺到し―――あと数メートルのところだった。
『ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
突然の絶叫が、部屋を満たした。
「「「「「「「!?」」」」」」」
振り返ると、『石像』のゴーレムが一体、粉々に砕けていた。
さらにそこには、いつの間に現れたのか、黒いフードを被った人影が。
『お……おのれ―――――――――――ッ!!』
『石像』が、大槌を振り上げる。
人影は微動だにしない。
微動だにしない。
微動だに―――
―――――人影は、ゆっくりと、その顔を、上げた。
そのフードから僅かに見えた
人影の瞳は
まるで混沌の闇のように
暗く
深く
光を宿さない――――“金色”をしていた。
(~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!?)
そのとき、ネギは何故か、砕けるのは人影の方ではなく『石像』の方だと、確信した。
「だ、ダメだぁぁぁぁぁ―――――――――――ッ!!!」
叫ぶが、遅かった。
バキンッ
『フォ!?』
振り下ろした得物は、半ばから“切断され”て、地に落ちた。
「―――――――――――――――――疾く、去ね」
不気味なほどに、その声ははっきり聞こえた。
男の声だった。
ブン………………ッ!!
男が、右手を薙ぎ払った直後、
ズドッ―――――!!!
『ァアアアああああああAAAAAAA―――――――――!?!?!?』
『石像』のゴーレムは、無残に砕け散った。
(あ…ああ……)
(な、何者アルか……!? アレは……)
(くッ……何たる禍々しい『殺気』……本当に人間でござるか!?)
皆、その男の恐怖に、身が竦んでいた。
(そ、そんな……『ゴーレム』を、たったの一撃で倒すなんて………)
到底、人間業ではない。
―――否、“人間であってはいけない”。
カツン………
「!!」
男が、乾いた足音を立てて一歩、此方に歩み寄ってきた。
カツン………
それは、死神の足音のように聞こえた。
逃げようとしても、全員、金縛りにあったように動けない。
(((((((殺される!!)))))))
恐怖が、空間を満たした。
カツ………
男の歩みが、止まった。
「「「「「「「…………?」」」」」」」
全員が、恐る恐る男に目をやると―――
シュウウゥゥ……………………
素人の目にも映るほど、巨大なエネルギーが男の右手に収束していくのが判る。
そして男は、
「―――――――――――――――――【善を狩り取る暗黒の魔剣(デモンズディザスター)】!!」
――――気合と共に、それを床に叩きつけた。
「しまッ……」
誰かが気付いたが、もう遅かった。
渾身の一撃が地面を砕き――全員が一瞬の浮遊感を味わった後、
「「「「「「「 」」」」」」」
悲鳴を上げる間もなく、全員が奈落の底へと落ちた。
後に残されたのは、自らが空けた巨大な穴の前で佇む、
「…………」
―――――ガランドウな金色の瞳を持つ、不気味な男だけだった。
「見つけたぞ――――――【始祖の遺志を継ぐ者】よ………」
男は深い闇を見つめて、言った。
つづく
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