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第十四幕 『風雲! 図書館島大決戦 その7 ~聖なる刃、その名は【デュークモン】~』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:05/12-22:14 No.501

「グ……グレン先生!!」

「どうやら苦労しているみたいだね、ネギ君、それにみんな」

そう言ったグレンも、ここに来るまで相当苦労したらしく、着ている服のあちこちは裂け、呼吸もやや荒い。

「え……グレン先生? それに……ネギ!!」

明日菜達が、“振り返って”、こちらを見た。

(い、いつの間に背後に!?)
(凄いで済む技ではないでござる……本当に人間でござるか? この人は……)

若干2名ほど、驚きの他にグレンとネギが背後に居たことについて疑問を抱いたが、

「………疑問に思うのは仕方ないことだが、それは後にしてくれ、綾瀬に長瀬」

状況の割に穏やかなグレンの言葉で、二人は我に返る。

「―――ネギ君。ここは俺に任せて、皆と向こうに」
「え……でも……!」
「大丈夫だ、すぐに追いつく。さ、早く」

そう言うと、皆は釈然としない表情や、心配そうな表情を浮かべた。

「―――本当に大丈夫だから。心配するな」

最後に、グレンはニコリと笑顔を浮かべた。

「……わかりました。皆さん、急いで離れましょう」
「うん……」「わかった」「承知したでござるよ」

そして、ネギ達は駆け出した。

「……………」

グレンは、ネギ達の後姿を見送った。





「………さて、と」

完全に視界からいなくなったのを確認してから、グレンは後に向きを変えた。

「GWORUUUUU…………」

そこには『土人形』―――ゴーレモンが。

「―――随分と好き勝手にやってくれたようだな……」

翡翠色の瞳が、ゴーレモンを射抜く。
その眼光は、気迫は、『断罪者』そのものだった。

「G………GURAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!」

それに恐怖を覚えたのかゴーレモンは、拳ではなく超高温ガスを噴射する。

ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

全てを灰燼に帰す灼熱の息吹は、大地を爆発させた。
だが。

「――――何処を狙っている」

その攻撃はグレンに届いていなかった。

「俺は―――此処だ」

声は、空中から。
空中にその身を投げ出し、身体を半回転させ―――右手の【グラム】を解き放つ!

「【誇り高き破邪の剣(ロイヤルセーバー)】―――――――ッ!!」





『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第十四幕 『風雲! 図書館島大決戦 その7 ~聖なる刃、その名は【デュークモン】~』





「はぁはぁはぁ……」
「も、もう追ってこない?」
「み、みたいです……」

その頃、一行は全力で駆けていた。

「で、でも、大丈夫かな? グレン先生一人で……」

まき絵が不安そうに、ごく当然なことを言った。

「……大丈夫でしょ、ああ見えてグレン先生、凄い強いし」

(……それにあの人の言葉には、絶対の自信が感じられるし)

何故、そう思えたのかは明日菜には理解できなかったが、それ以外に感じないのだからそう思うことにした。

「あっ! あの滝の横の洞穴に、非常口があるです!!」

夕映が指した洞窟の奥に、緑のライトに人が駆け込んでいる、お馴染みの標識が見えた。

「それよ!!」
「やった! 出られる!!」

全員、一目散に扉を目指す。


「………そこまでだ」


―――前触れもなく突然、眼前に黑い影が現れた。

「「「「「「「――――――!?」」」」」」」

皆の動きが、固まった。

―――脚が、動かない。

たった一言。あの言葉だけで。
恐怖という枷が、皆の動きを封じていた。

「………お前達に何の恨みもないが、これも命令なのでな――――悪く思うな」

黒いフードの男は、そう言って、

「――――【噴】ッ!!」

強烈な殺気を叩きつけた。

「「「!?」」」

殺気に当てられ、木乃香・まき絵・夕映の3人は崩れ落ちた。

「!! このかさん! まき絵さん! 夕映さん! ………3人に何をしたんですか!!」
「騒がれると敵わんからな。気を失ってもらっただけだ。死んではいない―――だが」

ガランドウの瞳が、此方を見る。

「―――この【俺】の気を受けてまだ立っている者が居るとはな」

感心したように、男は言う。

ネギ・明日菜・楓・古菲の4人は、意識を失っていなかった。
だが、それも辛うじて。実は、立っているのもやっとの状態である。

「【コノエコノカ】とやらの奪取だけが目的だったが―――気が変わった。貴様達も連れて行くとしよう」

カツン。

男が一歩、歩を進める。

「うぁ……ぁ……」

カツン。

また一歩。

「くッ……」

カツン―――

ふと、歩みが止まる。

「―――何の真似だ?」

男は、問うた。

込み上げる震えを―――恐怖を必死に押さえつけ、その小柄な身に不釣合いな杖を手に、立ちはだかる少年に。

「……僕の生徒には……手を出させません……!!」

「……その意気は誉めてやろう―――だが、【そんなもの】で如何する心算だ?」

嘲笑うでも、哀れむでもなく、男は問うた。

目の前にいる、この少年に。
だが少年―――ネギは臆することなく、言った。

「貴方を――――止めます………!!」

今度こそ、男は鼻で嗤った。

「―――――無駄なことはするな。抵抗しなければ、命までは取ら―――」

ドガッ!!!!

男の声は突然の衝撃によって、中断した。






「――――ッ!?」

男は空中で身を翻し、受けた衝撃を緩和して着地。
直後、

「哈ぁッ!!」
「ぬぅ……っ!」

―――ギィン……!!

交差する、【剣】と【剣】。

「!! その剣は!?」

驚嘆の声は、紅い男、グレン。

無理もない。
彼の持つ【剣】―――【グラム】と、男の【剣】が、瓜二つなのだから。





「銘を【バルムンク】。貴公と対を為す、【魔槍】だ」
「何ッ!?」

ギィン―――!

剣が離れる。


―――ズキ。


(―――ッ!? 何だ?)

突然走る頭痛に、顔をしかめるグレン。

「どういう事だそれは―――」

が、それを堪え、グレンは問う。


―――ズキ。


頭が痛む。

「知る必要のないことだ、【紅蓮の聖騎士】よ」


―――ズキ。


痛みは止まない。

「―――貴様、『伯爵』の関係者か!」
「さあな」

不敵に、男は嗤う。


―――ズキ。


頭ガ、痛ム。

その理由は、最後まで判らなかった。





(【コノエコノカ】の奪取は無理となったか―――)

男は内心、ぼやいた。

「ふ、まあいい―――この【本】は手に入れたのでな。失礼させてもらうよ」

その手には、一冊の古びた本。

「それは【メルキセデクの書】! あなたが持っていたんですか!?」

ネギが声を上げる。

「そうだ……が、ただ帰るのも何なのでな」

パチン

指を弾く、乾いた音が響く。

「置き土産だ」

ザザザザザザザザザザザザ……………………

湖面が、ざわめく。

ザバァッ!!

湖面から出たそれらが、首をもたげる。

「これは―――!?」

それらを一言で表すことができたなら、【深海の悪魔】と、【凶悪な水竜】という言葉が、ぴったりと合うだろう。

「【マリンデビモン】に……【メガシードラモン】だと…………!?」

それも相当にデカイ。
前者は全長が9m、後者は13mほどはある。

「―――武運を祈るぞ【聖騎士】。それに少年少女たちよ」

そういい残して、男は一瞬のうちに虚空に消えた。





(―――? 頭痛が止んだ?)

先ほどまでの辛い痛みが、嘘のように消えている。
が、今はそれどころではない。

「くっ……巫山戯た真似を……」

グレンは毒づき、2体を睨んだ。

「ゲァァァァァァアアアアアアアアアッ!!」
「グガァァァァァアアアアアアアアアッ!!」

唸りを上げる、2体の凶獣。

「逃げるぞネギ君! こいつらはさっきの奴とは桁違いだ」
「ハ、ハイ! アスナさん、皆さん!」

「ぁ……う……ぁ………」

だが、先ほどの威圧感が抜けきっていないのか、明日菜達の声は言葉にならない。

「―――しっかりしないか!! みんな!!」

グレンの大喝。
が、そのおかげで全員(気絶は除く)が正気に戻った。

「気絶している者を担いで、そこの非常扉から脱出するぞ!」
「「「は、はい!!」」」

間もなく、2体の“化物”が迫る。

一刻を争う状況だった。





「――――ッ! 開いたでござる!!」

その声を、洞穴の入り口で聞いた。

「よし、急いで中へ!」

初めに、夕映を背負った古菲が。
次、まき絵を背負った楓。
その次、木乃香を背負った明日菜。

最後はネギとグレン―――の、はずだった。

「グガァァァァアアアアアアアアアッ!!!!」

【メガシードラモン】が、頭部のブレードから超高圧の雷撃をみまった。

「!?」
「危ない!!」

咄嗟にグレンは、ネギを庇った。

ズガァァァァァァ………ァァァァァァァンッ!!

爆音が渦巻く。

「ぐッ…………」

グレンが、瓦礫から身体を起こす。

「だ、大丈夫ですか!? グレン先生!!」
「ああ、この程度なら如何という事はない」

降りかかった破片を退けながら、立ち上がるグレン。

「ネギ君も、無事か?」
「は、はい! グレン先生のおかげで」
「そうか」

そう言うとグレンは、背後の非常扉のあった洞穴を見た。
幸い直撃こそ受けていなかったものの、洞穴は瓦礫に埋もれていて通れそうにもない。

「みんな!! 無事か!?」

向こうにむかって、大声を張り上げる。

「グレン先生!? 扉が開かないの!! それにスゴイ音がしたけど、何かあったの!?」

向こうからは、威勢のいい声―――明日菜が、それに答えた。
とりあえずは無事らしい。

「アスナさん!! 怪物の攻撃で、入り口が埋まっちゃったんです!!」
「何ですってぇ!? どうすんのよネギ!!」

「神楽坂!! 俺たちは別の出口を探す!! 君たちは先に地上に戻って、助けを呼んでくれ!!」
「ええ!? 無茶でしょ!? いくら先生でも!!」

「いいから!! 早く!!」

こうしている間にも、刻一刻と怪物達は迫る。

「わ、わかりました………グレン先生! ネギのこと、頼みます!!」

その声を最後に、足音が遠ざかっていく。

それを完全に確認した後で、グレンは、

「……よし。ネギ君、魔法を使っても大丈夫だぞ」

と言った。

「え?」
「今までは皆がいたから使えなかったが……遠慮は要らない、存分に撃ち込め」

「あ、あの~~~」
「? 如何した?」

ネギはすまなさそうに(涙目で)、こう言った。

「ぼ、僕、今は魔法が使えないんです~~~~ッ!!!」
「何ィィィィィィィィィ―――――――――――ッ!?」

2人分の悲鳴が、空間内に木霊した。





ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!

ズガァァァァァ――――――――――――――ンッ!!

猛毒の墨と雷撃が、2人を狙って降り注ぐ。

「どうしてそんな大事なこと―――」

グレンはネギの襟首を掴むと、跳躍。

「―――早く言わなかったんだ!?」

間一髪、攻撃から難を逃れる。

「す、すみませ~~ん! 言おう言おうとは思っていたんですが、
何かいっぱい出てきたので、その―――機会がっ!!」

ネギにとって今回は、特にタイミングが悪かった。

「くっ、まあ過ぎたことは仕様がないがッ………!!」

襲い来る【マリンデビモン】の触手を紙一重でかわす。

かわし、かわして……かわしきれない!

「ちっ!」

グレンは、空いている右手で【グラム】を振るい、触手を断ち切ろうとした。
が、動きに関しては、向こうが一枚上手だった。
触手が、両断しようとした【グラム】に器用に巻きつき、絡めとったのだ。

「何っ!?」

と、次の刹那、

ブゥゥ………ゥゥン…………ッ!!

「なッ!?」「うわッ!?」

なす術もなく、グレンとネギは投げ飛ばされた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――ザブン! ザブンッ!!



水柱が、派手な音を立てた。

「ぷはっ!」「ぶはッ!!」

ネギとグレンが、ほぼ同時に湖面から顔を出した。

「うう~~……げほッげほッ」
「っつ~~~……ッ!? しまった! 水ッ……」

事態が事態なだけに、反応が遅れた。


―――水の中は、【奴ら】の十八番。


「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


―――【奴ら】にとっての、独壇場。


アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


―――故に、頭上を覆う巨大な顎はどうしようもなく、


アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!」


―――【騎士】が取れた行動は一つだけだった。





「ふんッ」
「え?」

ネギの首根っこを掴み上げ、

「どりゃあああああああああああああああああああああああああ!!」
「うわああああああああああああああああああああああああ!?!?」

岸にめがけて放り投げた。





ネギの身体は、数10mの距離を水面と平行に滑空した後、砂地に2・3度バウンドして止まった。

「痛つつつ………ッ! グレン先生!!」

次の瞬間、振り返ったネギの網膜に映ったのは、

「!!!!!!!!」

グレンが、【水竜】に呑み込まれる映像だった。

「グ…………」

あとは、それきり。

「グレンせんせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――――――――ッ!!!!!!!」

紅い青年の姿は、二度と湖面に現れなかった。

―――千切れた赤いマフラーが、湖面に落ちて沈む。





「はぁ……はぁ……はぁ……」

逃げろ、逃げろ、逃げろ。
早く此処から逃げろ、と脳は必死に命令を下す。
しかし、首から下にその命令が上手く伝わらず緊張し、硬直してしまって上手く動けない。

「ぅ……はぁ…はぁ……」
「ゲッゲッゲッゲッ………………」

不気味な嗤い声を上げながら、【深海の悪魔】が迫ってくる。
観念しろ、次はオマエだ、としかとれない形相で、迫ってくる。

「ッ!!」

触手がネギの四肢に絡みつき、動きを封じる。

「くッ! は、離せッ!!」

もがくが、10歳の少年の力では、その拘束から逃れることは不可能であった。

―――それこそ、【魔法】でもなければ。

それでも、

「くッ……このっ……」

ネギは諦めない。
生きるため、ただ生き伸びようとするため、必死に抵抗する。

「ゲッゲッゲッゲッゲッゲッゲッ………………」

【深海の悪魔】は、それを可笑しそうに、嗤う。

―――『いいぞ、いいぞ、オマエ。もっと足掻け』

そう言いたげな表情だった。
やがてそれを見るのも飽きたのか【深海の悪魔】は、

「カァァァァァァァァ………………………」

ネギを喰らわんと、その大口を開けた。

「ッ!!!!」

驚愕、恐怖に、ネギの双眸が見開かれる。
更に激しく、もがく、もがく、もがく。
必死で足掻く。
だが、抵抗虚しく、乱食い歯の並ぶ顎は近づいていき、

ネギは――――

















































―――――――【我は聖鎧 白銀の鎧】



「ッ!?」

凛とした【声】を聞いた。
いや、正確にはただの【音】―――のはずだった。



―――――――【我は聖槍 無敗の矛 也】



「ルガァッ!?」

今度は、【深海の悪魔】もその【声】に反応した。



―――――――【我は聖盾 不砕の壁】



「こ、これは…………」

確かにネギの耳には、【声】に聞こえた。
だが、ネギは知らない。
知らない【言葉】だった。



―――――――【我は聖剣 長大なる刃 也】



英語でも、日本語でも、ましてや自分がよく知っている、ラテン語でもない。

「でも……解…る……?」

そう、ネギは何故か、それが何を意味するかを、知っていた。


―――その言葉は、この【世界】のどこにも、存在しない言語。

―――この【世界】とは異なる次元に存在する、一つの言語。


では、その未知なる言葉は、どこから発せられているのだろうか。
答えは―――

ボゴッ!!!

「GyλarёujeШra■■■■■■■■■■■■―――――――――――ッ!?!?!?!?!?!?」

【水竜】の身体が、した。

突然、内部から閃光が奔り、【水竜】の腹を突き破る。



―――それは、【閃光ノ突撃槍】。

―――銘を、【グラム】。

―――この世に二つと無い、【聖槍】の、真の名。



「Ggvkhvgyghjfvrxwebuywdaaaaaaaaaaッッッッッッッッッ!!!!!!」

【水竜】が、発狂したかのような雄叫びを上げ、自らの腹ごと、【敵】に喰らいつく。

ビュウンッ!!

それより、遥かに速い速度で、【紅いヒカリ】が飛び出す。



―――――――【我、此処に聖なる閃光(ひかり)を以って、永久(とこしえ)の闇、浄化せん】



―――【紅いヒカリ】は告げる。

これから、お前達を裁く、と。

―――【紅いヒカリ】は告げる。

唾棄されしものよ、覚悟せよ、と。





そして、【紅いヒカリ】―――――グレンは、高らかに左手を振り上げ、宣言する!!



「【X-EVOLUTION】―――――――――――ッ!!」







光が【1】と【0】の二つに分かれ、空間に飛び散る。


―――グレンは、かざした左手を横に凪ぐ。


飛び散った【1】と【0】は列を連ね、【光の帯】に変換される。


―――今度は、×(クロス)するように、一回、二回。


【光の帯】は無数の円を描き、【光の球】となってグレンを包み込む。
【球】の色は、紅。


―――【身体】の表面が矧がれ、ワイヤフレームに覆われた【躯】が露わになる。


紅の【光球】は、その内部でグレンの身体を【本来あるべき姿】へと『書き換えて』いく。


――――【紅の聖騎士】。


右手に、聖槍【グラム】。
左手に、聖盾【イージス】。

紅き竜を模した兜を冠し、白き【聖鎧】を纏い、紅きマントをはためかせる、闇を切り裂く【聖なる刃】。
だが、それだけでは終わらない。


―――身体の中心部にある球体、【デジコア】を包む二つの輪が、【X】を形作る。


その一瞬で【紅の聖騎士】は、先ほどの姿から、より強靭な姿へと変わる。


―――それは、“超越せし力”を得た【正義を体現する者】。


その名は――――




「X進化――――【デュークモン】!!」




―――【栄光の守護騎士団(ロイヤルナイツ)】の一人にして、この【世界】に降り立った【紅蓮の聖騎士】だ。






「……『デューク……モン』………?」

閃光と共に突然現れた【紅蓮の聖騎士】に、ネギは唖然としていた。

が、その背後で、鎌首をもたげている【水竜】―――【メガシードラモン】の存在に気がついて、咄嗟に

「あ、危ないッ!!」

―――出た言葉より速く、デュークモンは動いた。

ヴゥゥ…………ゥゥンッ!!

右手の突撃槍【グラム】が、低い唸りを上げた。


「―――――疾く、去ね…………!!」


―――ザシュッッ!!


「                            !!!!!!!!!!!!!!!!」


【メガシードラモン】は、悲鳴を上げる暇さえも与えられず、【グラム】の一撃によって葬られた。





「――――――――――」

今度こそ、本当にネギは絶句した。
あまりの驚きの連続で、完全に思考が停止してしまったらしい。

デュークモンが、此方に向き直る。


「――――幼き命に手を上げ、破壊を尽くさんとする愚か者共を………」


デュークモンは厳かに、しかし断固たる意志で、告げた。


「このデュークモンは―――絶対に赦さない!!」



つづく

魔法先生と紅蓮の聖竜騎士  ~X-EVOLUTION ANOTHER~ 第十五幕 『風雲! 図書館島大決戦 その8 ~Knight of CRIMSON~』

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