HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

第二十一幕 『漢の使命!? パートナーをGETせよ!! 前編』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:06/24-14:54 No.791


▲月×日 晴れ

今日は今日で大変な目にあった。(ハァ)
別に、カモ君だけが悪かったわけじゃないけど……
でも、宮崎さんには悪い事をしたな……(以下略)


ネギ・スプリングフィールドの日記より一部抜粋
協力:K.A.氏





『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第二十一幕 『漢の使命!? パートナーをGETせよ!! 前編』





「―――実は!! 今いた娘達の中に『これは!!』というパートナー候補がいたんスよ!!」

小一時間に渡る二匹の妖精の道中記と、
明日菜とグレンによる「大浴場においての痴漢行為」についての処罰(おしおき)、
並びに可愛いペット見たさで集まってきた女子達の騒動の後、カモがそう切り出した。

「え!? 本当!?」
「はい! この人っス! ほら、俺っちのセンサーもこんなにビンビンに!!」

と、尻尾を限界まで張り詰めて振るわせる、カモ。

明らかに嘘くさい演技だが、純粋なネギはそこまで気がつかない。

「こ、これは……!!」
「…………本屋ちゃん?」
「―――だな」
「っぴ~~~~」

そう、3-A生徒の中から、カモが指した人物は、出席番号27番“宮崎のどか”であった。

(み、宮崎さんが、僕の運命的なパートナー……候補?)

就任初日の時とか、ホレ薬事件の時とか、桜通りの時とか。


…………思い返すと、結構巻き込まれてるな、あの娘(汗)。


(で、でも…………)

ネギとしてはこれ以上、不用意に“魔法使い”の存在を広めたくはない。
まして、一般人であるのどかを巻き込みたく無い。

「なんスか兄貴、『すごくカワイイ』とか書いちゃって―――♪ 結構まんざらでもないんじゃ―――?」
「い、いやっ、ち、ちがっ……これはそうじゃなくって……!」

真っ赤になって狼狽するネギ。

「……なんだか呑気なもんね――――……」

そんなやり取りを見て、明日菜はポツリと呟いた。
その言葉には、呆れの感情が見て取れた。

「ま、良いんじゃないか? エヴァは暫く仕掛けてこないワケだし」

と、これはグレン。

「これが若さだっぴ~~~~」

うんうん、と頷く毛玉……もとい、妖精はピィ。

(なんだかな―――……)

段々と常識が麻痺していく感じがして、明日菜は内心溜め息をついた。

「と、とにかく! しばらく考えさせて―――――!!」

恥ずかしさに耐えられなくなったのか、部屋を飛び出すネギ。

「あ、ネギ!」
「わかったっス! 兄貴、お早めに~~~~」


…………お早めに、ってオマエな……


「じゃあそろそろ、俺もお暇させてもらおうかな………来い、ピィ」
「ぴグっ!?」

グレンはピィを掴むと、玄関に向かった。

「あ、そうだ」

と、グレンは思い出したように足を止め、明日菜の方を振り向いた。

「神楽坂。さっき、俺がどっちの味方か聞いたよな?」
「え……? あ、そうですけど」

どたばた騒ぎでウヤムヤになりそうだったが、グレンは覚えていた。

「で……どっちなんですか? グレン先生は……」

「もちろん―――」

グレンはゆっくり息を吸い、

「――――“正義の味方”、さ」

答えた。





グレンが退室した後。

(よぉ~~し、ここまでは順調だ。……後はピィさんが……)

部屋の隅で、ブツブツと何やら呟くカモ。
何か計画を練っているようだが……

それを尻目に、明日菜はドアを閉め、ふと気がついた。

「………あれ? 手紙が入ってる……」

玄関の郵便受けから、一通の手紙を取り出す。
赤と白の特徴的な縁取りがされてある封筒―――俗に言う「エアメール」だ。
差出人は……英語が苦手な明日菜でも、一目で分かった。

「わ、ネギのお姉さんからの手紙じゃない」

「!?」

その言葉に、カモは過剰としか言えない反応を示した。

(ままま、マズイ!! 予想より来るのが早い!?)

咄嗟にカモは手を打った。

「あっ! 姐さん!!」
「誰が“姐さん”よ?」

ジト目で睨む明日菜。

「い、いえ……そそ、その手紙、兄貴に届けますんで、俺っちに預けてください!!」
「え? いい、けど……って、普通にオコジョと喋ってるんですけど、私……」

「気にしたら負けですぜ、姐さん」

手紙を受け取ると、カモはネギを追いかけ、駆け出す。

…………というのはタテマエで、廊下のゴミ箱でストップ。

くしゃくしゃと丸め、ポイッ!
証拠隠滅、成功。

(やばい……早いとこコトを起こさにゃ……)

白いオコジョは汗を拭った。





翌日。

「ぴぃ、ぴぃ、ぴぃ~~~~………カモっち、遅れてすまないっぴ~~~~」

ゼェゼェと荒い息を吐きながら、ピィはヘロヘロと飛んできた。

「大丈夫っスか? ピィさん」
「だ、大丈夫だっぴ。ちょっと部屋を出るのに、手間が掛かったダケだっぴ」


………何があった、ピィ。


「………あの赤毛の旦那は?」
「グレン様なら、朝早く何処かに出かけて行ったっぴ。何でも、“現場を見に行く”とか言ってたっぴ」

「あの旦那、元はサツか何かスか?」
「まあ、似たようなもんだっぴ……それよりもカモっち」

声を殺して、ピィは訊いた。

「本日決行で良いっぴね?」
「ああ、やってくだせえ! これもネギの兄貴のためだ!」

カモは、そう言い切った。



キーンコーンカーンコーン



放課後。

(図書館島が遠くて困ります―――……)

今日も宮崎のどかは、大量の本を抱え、図書館島へ向かおうとしていた。

いつも通りに下駄箱を開け、靴を出そうとしたとき、

―――――ハラリ……

(あれ…………?)

見慣れない何かが落ちた。

(…………?)

拾い上げてみると、それは白い便箋。
差出人は――――

(ええ!? こ、これはネギ先生からの手紙!)

裏面には、やや歪んだ“ネギより”との文字が。

(どどど、どうして―――!?)

顔を真っ赤にして、うろたえるのどか。
兎に角、便箋を開けてみる。

(え、え~と…………)

そこには、やはり歪んだ文字で、こう書かれていた。


『宮崎のどかさま

 放課後、りょーの裏でまてます。

ぼくのパートナーになてください。
                ねぎ』


(―――――――――――! うそっ………先生からのラブレター……!?)

手紙の内容―――特に『パートナー』という単語―――を反芻し、また真っ赤になるのどか。
もう、完全に舞い上がっていた。

―――下駄箱の陰で、二匹の妖精が小さくサムズアップしていたことは、誰も気付かなかった。





そんなことなど露知らず。

「は―――――――――……今日も、何とか無事に授業こなせたな―――――」

杖を背負い(?)ながら歩くネギだが、矢張りどこか元気が無い。

「―――またエヴァンジェリンさんいなかったし」

原因はこれだ。

「先生としてはエヴァンジェリンさんのサボリを黙っている訳には………でも………」

でも血を吸われたりするのは、嫌。でも…………と、いった感じの堂々巡り。
どれほどズルズル引きずっても、その輪は断ち切れない。
“完璧”と言って良いほどの悪循環。

どんどんテンションは下がる。

だが、そんな事も構わず、

「兄貴―――! 兄貴―――ッ!!」

大声を響かせる者がいた。

「え? カモ君!? 何で学校に!? ダ、ダメだよ、大声出したら!」

幸い、周囲に人影はない。
少し安堵しつつも、ネギはカモを嗜めた。

「ダメじゃないか、カモ君! もし誰かが見てたら……」
「んなことより兄貴、大変ッスよ! 例の宮崎さんが!!」

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

「ええ―――――――――――っ!? 
宮崎さんが寮の裏手で“唐揚げ”されてる~~~~~~~~~!?」

「“カツアゲ”っス 兄貴、“カツアゲ”!!」


【唐揚げ】:揚げ物料理の一つ。肉や魚などを、ころもをつけずに揚げる料理。
【カツアゲ】:金銭などを他人から脅し取ること。


「で、でも、何でそんなことが判ったの!?」
「え―――と、ほらアレだよ。オコジョの“特殊能力”」

…………大嘘つけ。

「と、兎に角行くよっ! カモ君!!」

「そーこなくっちゃ! 兄貴!!」

杖に飛び乗った一人と一匹は、猛スピードで飛んでいった。






時を少し戻し、女子寮の玄関先にて。

「―――結局、大した事は判らなかったな………」

グレンは、やや肩を落しながら、呟いた。

今回の怪事件に、何か不審なものを感じたグレンは、“現場”にその足を運んだ―――のだが。

「………矢張り、昨日の内に調べておくんだった」

手がかりはゼロ。というより、調べられなかったのだ。

「まさか、あれほど踏み荒らされているとは……あれでは“匂い”を追えんではないか」

辺りに蔓延する“鉄錆び”の匂いと“ヒト”の匂いで“匂い”が潰され、殆ど判別不能だったのだ。

(……後は“残留思念”とかを追えれば良いんだが……流石にそれは専門外だしな……)

後でピィに手伝わせよう、と自己完結し、グレンはドアの鍵を開けようと、鍵を取り出した――――

「…………ん?」

ふと違和感に気が付いた。
ドアノブに手を掛け、回す。

「開い……て…る………!?」

その事実に気が付くと同時に、一息にドアを開け放った。

バタ……ン!!

「――――しまった………」

もぬけの殻になった部屋を見て、グレンは天を仰いだ。
ピィが勝手に外に出られないように『結界』を張ったのだが、
念には念を入れて張ってあった“三重の『結界』”は、影も形もない。

「やれやれ……」

呟きつつ、グレンは思考する。




――――――ピィは何処へ行ったのか?

1:敵の強襲に遭い、やられた。
2:黙って『デジタルワールド』へ戻っていった。
3:誰かとつるんで遊びに回っている。


1、ということは絶対無い。
争った形跡は皆無だし、何よりグレン自身が気付く。


2、という線もあるが、これも考え難い。

“こちら”から『デジタルワールド』へ渡るには、膨大なエネルギーが必要となる
(“こちら”に来る場合も膨大なエネルギーが必要だが、その比ではない)。

急ごしらえとはいえ、『結界』を――――それも“三重のもの”を突破した後でのそれは、
いくら上位のデジモンであっても、自殺行為である。


従って、残りは3。

単独での可能性もあるが、「一人より二人」の理念で動いているピィのこと。
誰かとつるんで悪戯しているに違いない。

だが、そのような輩などに、心当たりがあるはずも―――――

「あ」

あった。



後編へつづく。

魔法先生と紅蓮の聖竜騎士  ~X-EVOLUTION ANOTHER~ 第二十二幕 『漢の使命!? パートナーをGETせよ!! 後編』

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.