HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

第二十二幕 『漢の使命!? パートナーをGETせよ!! 後編』 投稿者:笹谷蟹 生 投稿日:07/03-12:18 No.858



「あ~~~………やっと終わった~~~………」

夕刊の配達が終わり、大きく伸びながら自室に戻る明日菜。

「今日の晩御飯は何かな~~~………って、あれ?」

通路に、紙くずが落ちていた。
誰かがゴミ箱に投げ入れようとして、入らずに落ちたのだろう。

「まったく、だらしないな~~~………」

そう明日菜は呟き、紙くずを拾い上げて、気がついた。

「………あれ?」

―――見覚えのある物体。

「これって………」
「――――神楽坂!!」

急に呼ばれたので振り返ると、そこにはグレンが。

「………グレン先生」
「だからその警戒の眼差しはやめてくれって………っと、それは?」

グレンが、明日菜の手にある紙くずを指す。

「あ! そうだった!」

我に返ると、明日菜は丸まった紙くずのしわを伸ばし………

「! これって、昨日の―――」
「―――エアメールか?」

グレンの問いに無言で頷くと、明日菜は封を切り、手紙を取り出した――――







『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第二十二幕 『漢の使命!? パートナーをGETせよ!! 後編』








全速力で寮を目指す、ネギ。

「! いた!」

裏手に、のどかの姿を確認。
すかさず物陰に着陸し、いかにも走ってきたかのように装う。

「宮崎さん! 大丈夫ですか!?」
「あ……先生…………」

走ってきたネギに、のどかは安堵にも似た表情を浮かべた。

「あ、あの! 不良の“カラアゲ”は何処です!?」
「からあげ―――……定食ですか?」

「あ、あれ? 襲われてたんじゃ………」
「はあ………?」

何だか、話が上手くかみ合わない。
というより、カモに聞いたこととまるで違う。

「あれ―――? おかしいな………」

カモの早とちりだったのかと、ネギは頭を掻いた。

「あ、あの―――……それでネギ先生…………」

そしてのどかは、顔を赤らめながら、

「わ、私なんかが……その……パ、パートナーでいいんでしょうか?」

と、言った。


「――――――へ………?」


当然、ネギは唖然とする。

(え? 今、宮崎さんは何て……パートナーって言ったよね……
え? 何? 一体何が如何なって………)

頭の中も、比例してグチャグチャだ。

(カモっち、“セット”はバッチリだっぴ!)
(おお、最高だぜ、ピィさん!)

と、物陰から出てきたピィは、
ちゃっかりネギの肩に乗り、カモとサムズアップを交わす。

(君は―――ピィさん!? これはどういう……)

(いや~~~……ちょっと一芝居うたせてもらったっぴ~~~♪)
(すまねェ兄貴……これも手っ取り早くパートナーの契約を結んでもらうためッス!)

(だ、騙したね!? 二人とも!!)

(あ、後押しだよ! あ・と・お・し!)
(ぴ~~~♪)

小声でやり取りをする三人(正確には一人と二匹)。

「あの~~……先生?」
「は、はい!」

その最中に声をかけられた為、ネギは大いにビビった。

(マズイ―――バレた?)

「その……一昨日の『吸血鬼騒ぎ』の時には、また助けて頂いたそうで………」
「え………」

「何だか私、先生に迷惑かけてばかりで……すいません……」
「い、いえ、そんなコトないですよ、宮崎さん」

(よかった、バレているわけじゃない………)

ネギは心の中で、胸を撫で下ろした。

「だから……お返しに、ネギ先生のお役に立てることなら―――――
な、何でも……その……が、がんばりますから、何でも言ってくださいね……」

と、のどかは、はにかんだ笑顔を浮かべた。

「み、宮崎さん………」

思わずネギは、その表情に「ドキッ」とする。

(ふふふ……矢張り俺っちの読みは間違いなかったぜ……)
(ぴ~~~♪)

それと対照的に、二匹は「ニヤッ」と笑みを浮かべ、ネギの肩から飛び降りる。

(え!? ど、どういうコト!? 二人とも?)

(一口に“パートナー”と言っても、ただ隣にいりゃいいってわけじゃねェ!)

(“真のパートナー”というものとは、
互いに心を通わせ、信じ合い、助け合える関係であることが重要なんだっぴ!
 ………ちなみに、これは『【世界】共通事項』だっぴよ~~~♪)

(え? そうなの?)


…………さあどうだろう? 悪戯妖精共の言う事だし……


(その点、この娘は―――ネギの兄貴を『好き』であることでは)
(現時点、クラスでナンバーワン!! ………と出たっぴ)


パンパカパーン♪


(え……ええっ!? み、宮崎さんが僕のこと……す、すす好っ……!?
 そ、そんな……僕、困るよ~~~~~っ!!)

『好き』という単語に過剰反応するネギ。


…………こういうところは子供だな。……え? 関係ない? それは失礼。


(つ―――ワケでいくっスよ、ピィさん!)
(ガッテンだっぴ!)

二匹の瞳が、妖しい光を放つ!!

「【結界展開(ピクトトリック)】!!」

まずピィが、小さな槍―――【フェアリーテイル】を地面に打ち付ける。
すると、上空を不思議な空間が覆い、ネギ達を包み込んでしまった。

「んじゃ―――――【契約(パクティオー)】!!」

続けてカモが前足を掲げ、高々と言葉を放つ。
次の瞬間、ネギとのどかの足元で眩い光が迸る。

「な……何コレ!? 『魔法陣』と……『結界』!?」

突然現れたそれらに、ネギは驚愕の声を上げた。





「ネギ―――!」

玄関から飛び出した明日菜は、声を張り上げる。

「……」

その傍らで、グレンは腕を組んで微動だにしない。

「ネギ―――!!」
「………」

「――――っって! グレン先生も!! 真面目に探しなさいよ!!」

さっきから動かないグレンに、明日菜は耐え切れずにツッコんだ。

「……そう怒鳴るな、神楽坂。焦ればかえって周りが見えなくなるぞ」

そう言うグレンも、内心穏やかではなかった。

(………おかしい。ピィどころか、ネギ君の“匂い”まで突然“消え”た……これは一体………)

つい先ほどまで“匂い”を探知していたのだが、あと少しというところで途切れてしまったのだ。

(まあ、大体の場所は判ったから、行ってみるか……)

グレンは明日菜に声をかけようと、振り向いた――――


「くっそ~~~……あのエロオコジョ、一体 何企んでるのかしら……」

明日菜は鬼気迫る表情で、手にしていたエアメールを握り潰していた。


…………声かけづらっ……(汗

「…………ハァ……」

グレンは、溜め息一つの後、

「とりあえず、寮の裏手……だな」

明日菜を宥めて、そこを目指した。





そして現在。

状況は、キス一歩手前………正確には、数センチ手前まで進行していた。

(ふ、ふええええええ~~~~)


…………今のネギの心境を分かり易くすると………止めておこう。
雰囲気がぶち壊しになるから。
いや、別に他意はないのだが。


(オッシャ―――!! 兄貴、GO! GO!)
(いけ! いくっピよ~~~!!)

そして二人の距離が、まさに零になろうとした、
その瞬間――――



「「コラ、このエロコンビ」」



ぶぎゅるっ
ぶぎりゅっ

「らヴれっ!?」「のウェるっ!?」

奇妙な声をあげて、二匹の妖精は踏み潰された。
そして、カモが踏まれたために術式が不安定になり、

バフンッ!!

「「!?」」

弾けとんだ。

「アッ、アスナさん!? と―――グレンさん!? 
こッこれはあのその………って、ああっ! 宮崎さん!」

二人に弁解しようとしたところ、気を失い倒れたのどかを、慌てて受け止めるネギ。
幸い、受け止めることには成功した。

「ようやく見つけたわよ~~。あんたね~~、子供たぶらかして何しようとしてたのよ!」
「ネギ君のお姉さんからの手紙、見せてもらったぞ!」

二匹を(とりあえず)解放した二人は、カモに指を突きつけ、言葉を続ける。

「う゛っ!?」

「ネギ君のお姉さんに頼まれて来たなど、真っ赤な嘘ではないか! カモ!!」
「ホントは悪いコトして逃げてきたんでしょエロオコジョ――――――っ!!」


ずば――――ん!!


(ひ……ひぃ~~~~~っ!? 姐さん達には全てバレてる~~~~~~~っ!?)

カモは心の中で、大絶叫に近い悲鳴を上げた。

「しかも何コレ!? 下着ドロ二千枚って書いてあったわ!」
「カ、カモ君! どーゆーことなの!?」

明日菜とネギが、カモに詰め寄る。

「い、いや、兄貴! それは……」


――――チャキン


「―――正直に白状しろ。 お上にも慈悲はあるぞ?」

言いつつ、【グラム】を突きつけるグレン。

「ひぃっ!? あ、赤毛の旦那! そんな物騒なものをコッチに向けねぇで!!」

はたして、絶体絶命のカモを救ったのは、他でもないピィであった。

「待ってほしいっぴ、グレン様! それにお二方! カモっちを責めないであげてほしいっぴ!!」

「ピィ……?」

「ピ、ピィさん?」

「実は……カモっちがこんなコトをするのには、聞くも涙、語るも涙の理由があるんだっぴ………」

そう言うと、とつとつと、ピィは語り始めた。


―――実は、カモには“病弱な”妹がいる事。

―――“貧乏暮らし”のため、“満足な生活もできない”事。

―――“せめて妹には”暖かい思いをさせてやろうと、
保湿効果に優れる人間の女性の肌着を“少々”拝借していた事。

―――そして、“何故か”それで罪に問われて“投獄”された事。


ここで「立派な下着ドロでしょうが」と、明日菜のツッコミが入るが、ピィは無視して進める。


―――そして、ムショ暮らしでは“妹を養うことが出来ない”ため、“覚悟を決めて”脱獄した事。


「―――で、その途中で鷹に襲われた所をオイラが助けて、
現在に至るわけ……というのは昨日話したっぴね」

所々、“重要な”単語を強調しながら、ピィはそう締めくくった。

「……ところでピィ。何故お前もカモと一緒にこんな騒動を?」

「グレン様……オイラは、“妹の為”に“自らを犠牲”にしようとする
カモっちの“心”に感動したんだっぴ。
 だから、力になってあげようと協力したんだっぴ! 
お願いだっぴ! カモっちを見逃してあげてほしいっぴ!」

ピィは懇願した。



―――このとき。故意か否か、ピィはピッコロモン一族に伝わる、ある秘術を発動させていた。

その名も、「アイ○ル攻撃」。

ア○フルのCMに出てきたチワワばりに、潤んだ瞳で懇願する「魅了(チャーム)」の魔法の一種である。
これを受けた相手は、奇妙な罪悪感と義務感に、激しく襲われるという恐ろしい術だ(筆者捏造)。


無論、その効果はこの三人とて例外ではない。
が、効果は今一つなのか、反応は思わしくない。

と、ここで、

「いや……もういいんでさ、ピィさん……」

計ったかのように、カモが切り出した。
何故か目深に帽子を被っていたが、まあ雰囲気というやつだろう。気にしてはいけない。

「尊敬するネギの兄貴を、騙して利用しようなんざぁ落ちたもんでさ……笑ってやってくだせぇ
……大人しく捕まることにするっスよ」

自嘲気味に言うと、カモはクルリと背を向けた。

「じゃ………あば「ま、待って! カモ君!!」」

去ろうとするカモを呼び止めたのは、他でもないネギだった。

「し、知らなかったよ………カ、カモ君がそんなに苦労をしていたなんて………」

と、涙をボロボロこぼしながら、ネギは言った。

「ってメチャクチャ信じてる―――!? っていうか今の話の何処に泣き所が!?」

ツッコミを入れる明日菜であったが、またしてもスルーされる。

「グ、グレン先生も、そんな答えじゃ納得しな―――」

い、と言いかけ、グレンの方を向くと、

「…………その小さな身体でそんな苦労を………大変だったんだな………」

「ってコッチはコッチで納得の上で貰い泣きしてる―――――――ッ!?」

だがやはり、その叫びは黙殺された。



「―――わかったよ、カモ君!! 君を使い魔(ペット)として雇うよ―――――っ!!」
「あ、兄貴―――っ!! いいんですかい!? こんな脛に傷持つ俺っちなんかで!!」

「うん! 月給は五千円でどうかな!?」
「じゅ、十分でさぁ、兄貴―――――っ!!」

「俺の方も、ささやかながら援助しよう!」
「かたじけねぇッス! グレンの旦那――――っ!!」

「よかったっぴね、カモっち!」
「ピィさん! ありがとうございやす――――っ!!」



「………………いや、まあ………いいんだけどね……そっちがよければ…………」

そんな様子を、一歩引いた所で見ていた明日菜は、ぼそりと呟いた。

(………もしかしたら私って……意外と薄情なのかしら……)

何かもう途中にあった色んな単語の所為で、今一つ共感できない明日菜であった。

…………

…………いや、正常な反応だと思いますよ?






「―――さて………宮崎の方はネギ君がどうにかすると言っていたし……もう一度、調査をしてみるか」

あれから二人と別れ、駅へと続く道のりを行きながら、ひとりごちるグレン。

「ピィ、お前も来い。チカラが要る」
「ガッテンだっぴ!」

ピィは、敬礼のようなポーズで答えた。

「………ところで、グレン様」
「何だ?」

と、ここで、ピィが小声で切り出した。
が、グレンにはその後、ピィが何を“質問してくるのか”、判っていた。

「―――――オイラが張った『隔離結界』………どうやって破ったんだっぴ?」

「…………」

(―――やはり、な)

当然だろう。

見かけこそ「ちびっこい毛玉」だが、ピィは『賢者』と謳われる【ピッコロモン】である。
あらゆる次元に(ある程度)自由に干渉でき、
あらゆる『プログラム言語』―――『魔法』に精通する種族である。
事、『結界』や『瞬間転移』に関する技術は凄まじく、
【究極体】と言えどそれを破るのは容易いことではない。

故に、【完全体】クラスの“デジモン”の中でも、【ピッコロモン】は上位種に位置する。

“その【ピッコロモン】の『結界』が、あっさり破られたのである”。

これは、まさに“異常”な事である。

「………グレン様?」

急に押し黙ったグレンを、怪訝そうにピィは見つめた。

「…………正直、俺も信じられない……」






そう、あの瞬間。



―――“「神楽坂 明日菜」の手が”、
―――“『結界』に触れると同時に”、
―――“それを、跡形も無く、【消し飛ばした】”のだ。






「“神楽坂 明日菜”………一体何者なんだ……?」




夕日は、何も答えてくれない。










つづく


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



次回予告。


カモの提案で、満月になる前に反撃をすることにしたネギ。
半ば強引に押し切られ、ネギと仮契約をする明日菜。
主からの命令を守るため、迎え撃つ茶々丸。

―――決して望まれないその闘いを、陰から見つめる者が、居た。


次回、

『魔法先生と紅蓮の聖竜騎士 ~X-EVOLUTION ANOTHER~』
第二十三幕 『ワカラヌコタエ』


「これが――――本当に正しいことなの?」

魔法先生と紅蓮の聖竜騎士  ~X-EVOLUTION ANOTHER~ 第二十三幕 『ワカラヌコタエ 前編』

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.