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第一話『終わりから始まりへ』 投稿者:疾風 投稿日:08/19-17:36 No.1130




第一話『終わりから始まりへ』



「クックック……これで私の夢は消えた。君の手によってな……」

「終わりだ。ジェダ」

俺の名はガロン。狼と人間のハーフ(ワーウルフ)と言う事から存在を忌み嫌われながらも、俺は自分の限界を超える為に。そして限界を超えて完全な人間に戻る為に今まで俺は魔界で戦ってきた。
戦いを続けていた俺は唐突に冥王を名乗る魔界三大貴族のドーマ家当主、ジェダ・ドーマが実行した“すべての魂の救済”と言う馬鹿げた行為のターゲットにされたのだ(理由は強い魂を俺が持っているかららしい)。次々と魔界の住人の魂がジェダに吸収されていく中、最後に残った俺はジェダに戦いを挑んだ。簡単に俺の魂を他人にやる事は出来ない。苦戦はしたが、見事に勝利した。

「確かに私は終わりだ……。だが、君も道連れだよ!!」

「何っ!」

ジェダにトドメを刺そうとした俺は周りの変化に気が付いた。周りが揺れ、歪んでいる。とてつもなく嫌な予感がした。

「私が消える事によってこの魔次元も崩壊する。その崩壊に巻き込まれれば何が起こるか私にも想像がつかない……」

「くっ!」

「逃げたければ逃げるが良い。無駄だと思うがね……」

俺に逃げ道は無かった。この魔次元に入った時の入口はジェダによって閉じられている。ジェダもそれを解っていて俺に告げたのだ。どこまでも嫌味な野郎だ。

「くそー! ジェダー!!」

「ヒャーハッハッハッハッハ!!!」

ジェダの狂気に満ちた笑い声が響いた時、魔次元が光に包まれた。そして俺は意識を失った……。



「ぐっ……ここは」

俺は目を覚ますと周りを見渡してみた。すると目の前には一人の人間の老人が立っている。よく見ると後頭部が異様に長く、魔界の住人っぽい姿だ。

「気がついたかね?」

「は、はい」

突然話しかけてきたので俺は戸惑いながらも返事をした。すると安心した様な顔をして近くにあるソファーに座り、また俺に質問をしてきた。

「君は人狼だね。ワシも直に見るのは初めてなんじゃが……」

「!?!?」

この老人はエスパーか!? と思いきやそうではなかった。老人の話によると俺は獣化した姿のまま何故かこの部屋に倒れていたらしい(しかも全身傷だらけ)。傷を治していた時に人間の姿に戻ったらしく、俺が人狼だと解ったらしい。

「あの……話が逸れると思いますが、どうやって俺の傷を治したんですか? 全身傷だらけだったんじゃ……」

「それはな……これじゃよ」

そう言って老人は手の平から無数の光を出した。この老人はエスパーじゃなくて某武闘漫画に出てくるエロじいさんか!? と失礼な考えが頭を過ぎったが、口には出さないでおいた。老人が言うには魔法の力で治療したらしく、ここには魔法を使う奴等がかなりいるらしい。まぁ俺はあまり驚かなかった。なんだって魔界でそれと似た様な物を何度も見てるしな。

「さて、本題に入ろうかの。君は人狼という事が解ったが、何者じゃ? 何故この部屋で倒れていたんじゃ?」

また核心をつく質問をするなこの老人は。目を見てみるとこの老人に嘘など言えない、言ったらその場で見抜かれるだろう。観念して俺は本当の事を話す事にした。信じてくれないかもしれないけどな。



「何とも途方のない話じゃの……」

「信じてもらえるとは思ってません。只俺は本当の事を話しました。嘘は言っていません」

すべて話し終えた後、老人は頭を抱えだした。それはそうだ、普通の人間なら俺の話なんか聞いてもくれないだろう。しかし、この老人は見るからに普通の人間じゃないし、魔法を使うんだし、人狼の俺が目の前に居るのだから多少は信じてくれると嬉しいのだが……。

「……ふむ、君の話を信じよう。君の目を見ていたが、嘘を言っている様にも思えんしな」

「あ、ありがとうございます」

正直俺は驚いた。多少は信じてもらえるかな? と思っていたが、まさか全部信じてくれるとは思わなかったからだ。この老人は心がなかなか広い。

「それで、これから君はどうするんじゃ? 君が魔界に行く前に旅をしていた世界とワシ等が住んでいる世界はまったく違うんじゃが」

「そうですね……。何処かに行くアテもありませんし」

こんな異世界に俺の行くアテなんか当然の如くある筈も無い。正直俺は困った、多少は獣化をコントロール出来る為、頑張れば人間の姿のままでいる事が出来るので、異世界でもバイトくらい出来るかもしれない。だが、もし獣化してしまえばトラブルは絶対に避けられない。

「そうか……。ならばこんなのはどうじゃ」

老人が突然机の引き出しを開け、中から紙を取りだしてきてそれを俺の目の前に突きつけてきた。なんですか……これは。

「この学園の警備員の手続きじゃよ。何処にも行くアテが無いのならばここで警備員でもしてみないかの? ちゃんと働いてくれれば給料も出るし、住まいも用意するぞい」

「警備員……ですか?」

突然すぎる話にまたも俺は戸惑った。だが、こんな俺を解ってくれた上で雇ってくれると言うのだからこんなに嬉しい話はない(しかも家付き)。もちろん俺の答えは一つだ。

「こんな俺でも雇ってくれるのなら……喜んで引き受けます」

「そうかそうか、嬉しいのう。申し遅れたが、ワシはこの麻帆良学園の学園長を務めておる近衛近右衛門じゃ」

「ガロンです。これからよろしくお願いします、近衛さん」

こうして俺の警備員としての生活が始まった。後から聞いたのだが、ここは女子中学生が通う女子校らしい。
やっていけるのか……俺。

魔界から来た人狼 第二話『お子ちゃま先生との出会い』

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