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別世界での真祖との会合(第一話) 投稿者:血影 投稿日:05/22-18:07 No.2453
青年が現れたのは、木々の生い茂る森だった。
一瞬遅れて全身で緑を感じる。眼前に広がるうっそうとした草木、鼻腔に広がる草木のさわやかな匂い、それは久方ぶりに感じた平和な世界だった。
あたりを見回したところで見えるものは木々ばかりで、他には西洋風の建物の先がいくつか見えているくらいである。
(さてと、ここはどこなんだろうな。あの建物から見るに欧米か?…いや、この世界がどんなところかも分からないのだからそんな推測は無意味だな、文明はそれなりに発達しているようだが、とりあえず建物のほうに歩くか)
冷静、かつ楽観的にそう決め付けた青年はぶらりぶらりと歩き始めた…自分が周りから見ればどう見えるのか気にもしないままで。
(ん?前から人が来るな、しかも結構速いし俺に向かって一直線に。ちょうどいい、色々と教えてもらうとするか、どんな方法をとるにしろ…理解できる言葉だといいけどな)
そこまで考えて青年は歩みを止め、もし言葉が通じなければどうコミュニケーションをとろうか本気で考え出した。案外心配性らしい。
悩んでいた青年にいきなり、氷の刃が飛んできた。
「んぉ!!」
青年は奇声をあげながら手にした槍で打ち払った。
現れたのは金髪の少女だった。ととのった顔立ち、つややかなブロンドの髪、正に将来が楽しみといった風貌で、身にまとっているのはどこかの学校の制服のようだった。
「おい!そこのお前どうやって結界をすり抜けた。どうやったらあんなに痕跡が残らずすり抜けられる‥いや初めからそこにいたかのようにそこに存在できるんだ?何をしにここに来た?」
青年は言葉が通じたこと、自分の祖国の言葉に安堵した。同時に世界の移動を行って進入した自分を探知することのできるような結界の精度と、目の前の少女に密かに驚愕していたのだがそんなことはおくびにも出さずに
「別にたいしたことじゃないし、俺は怪しいものでもない」
などと怪しさ満点のセリフを満面の笑みで言った。
「ほう、隠しても隠し切れない魔力の匂いをさせながらそんなことを言うか、馬鹿にするのも大概にしろ!!そんなことをたいしたことなくやれるやつが怪しくないわけあるかあ!大体そんなセリフは自分の格好を見てからほざけ!!」
いわれて、青年は気にも留めていなかった自分の姿を見た。
返り血で汚れ所々が破れている衣服、いたるところに見える癒えきっていない傷跡、そして手の中には血をすって真っ赤になった槍があった。
「あ~こいつは確かに怪しいかもな」
青年は、いやーまいったまいった。などと言いながら頭をかいている。
「本当に今さら気づいたのか貴様は!!服装だけなら何かに襲われた人間にも見えなくはないが、一番怪しいのはその槍だ!一体なんなんだその恐ろしいほどの魔力を内蔵した槍は!?」
幼女がヒステリック気味に叫ぶ、あきれ半分怒り半分といったところか。
「目ざわりか?じゃあ槍は消しとこう」
青年は何か小言でぼそぼそと短く言い。言い終わったときその槍は青年の手元にはなかった。
「なっ!!貴様何をした!?物質の転送か!?」
「そいつは企業秘密です」
青年は種も仕掛けもありませんとばかりに手のひらを広げて見せた。
「死にたいのか?自分の立場が分かっているのか?貴様はただの怪しすぎる侵入者だということを忘れてるんじゃないだろうな?」
少女が額に青筋を浮かべながら問う。からかわれているととったらしい。
「分かってるさ、俺は君にとって招かれざる客ってことだろう?君のほうこそ敵かもしれない人間の前でそんなに気を抜いていいのかい?ねぇ吸血鬼(ドラキュリーナ)?」
少女は一瞬驚いたような顔をした後、にやりと笑った。
「分かるのか、なるほど見た目どおりにはやるようだな。ならばわかるだろうこれでも死線は何度も越えてきている。敵意のあるものとそうでないものの見分けはつく」
「とりあえず、敵ではないと分かってくれていたようでなにより。いくつか質問をしたいのだがいいかな?」
「私の質問には答えぬくせにか?」
「もちろん、俺の質問に答えてくれれば君の質問にも答えよう」
「良いだろう、ただしまずはこちらの質問からだ。何をしにここへ来た?」
「自分の罪を償いに。こっちの番だな。ここはなんて星のなんて国のなんてところだ?」
青年は大真面目で聞いたのだが、帰ってきたのは呆れた声と視線だった。
「答えが抽象的すぎないか?逆に質問はやけに具体的かつ意味の分からんことだし、地球の日本の麻帆良だ。質問には具体的に答えろ。どこから来た?」
(麻帆良ってのはきいたことがないが、どうやら前にいた世界と大差ないようだな)
「主に気に入ったやつの手助けをする。イギリスからきた。俺はこれが最後の質問というか願いだが、できればまともで丈夫な服を恵んでくれないか?」
「そんなことをするためにわざわざイギリスからこの麻帆良にきたのかお前は。そんな願いなら私の質問をもう二つほど聞けばかなえてやろう」
「OK」
青年は躊躇せずに答え、少女はそれを受けて質問を続ける。
「貴様は何者だ?」
「ただの魔術使いだ」
「魔法使いではないのだな?」
「ああ、違う。今ので終わりか?」
「さっきのはたんなる確認だ。…そうか、貴様は魔法協会ではなく魔術協会の術師なのだな」
「魔法協会ってのはしらないが、俺は一応魔術協会の人間だ」
「どうやってここに進入した?」
青年は正直に答える。
「平行世界の壁を越えて」
「…今なんと言った?」
青年は繰り返す。
「平行世界の壁を越えて、自分の力じゃないがな」
少女の顔が一瞬にして驚愕に染まった。無理もない、それに成功している者は魔法協会にはおらず、魔術協会ですら魔法使い認定されている化け物、「キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ」しかなしとげていないのだから。
「なんだと!!ということは貴様、平行世界の人間なのか!?」
青年がうなずく。
「信じられん、この世界でも平行世界への移動など、かの“宝石のゼルレッチ”しか成し遂げていないのだぞ‥」
その言葉に反応してか、青年の顔に呆れがまじった。
「なんだよ、ゼルレッチの師匠はこの世界でも有名なのか。一体このすべての平行世界には何人の平行世界に干渉できる師匠がいるんだろうなぁ」
そのなにげない一言が少女を更に驚愕させた。
「お前は“宝石のゼルレッチ“の弟子なのか!?」
「君たちの言ってるゼルレッチと同一人物かは分からないし、そんなに多くを教えてもらったわけではないけど、まぁ一応ね。というか俺をこの世界に飛ばしたのも師匠だしな」
「なるほど、もしあの爺ならやれるだろうな。そのくらい」
青年はうんうんとうなずきかえし
「もう、終わりだな。ありがとう。ここがどんな世界かわかって助かった
あとは着替えだけ頼む」
「ああ、だがそこまで聞くと着替えだけってわけにはいかなくなったな、ここの責任者にもあってもらう」
青年はやっぱりなぁとか言いながらため息をついた。
「ついてかないと当然服はなしだよな?」
「当然だな、とゆうかお前みたいなやつに選択権はない」
(ここは、前いたとことほとんどかわんないみたいだし、盗むって手もあるけど。これ以上罪を重ねてどうする。しょうがないしついていくか、いざと慣れは逃げればいいしな)
「OK。会おう。ただし、それならもう一つ質問ができた。」
「なんだ?」
「君の名前は?」
少女は少しぽかんとしたあと、いまさらながら名前も名乗っていなかったことに気づいた。
「“エヴァンジュリン.A.K.マグダウェル“だ、エヴァ様とでも呼ぶといい」
笑いながらえらく尊大な態度でそう答えた。
「OK。エヴァ」
躊躇なく呼び捨てにされて少々むかついたがエヴァはそのまま問い返す。
「私からも一つ質問だ。貴様の名は?」
「佐橋麻十夜だ」
麻十夜はにっこりと微笑みながらそう答えた。
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