ブレイブXI 合体人機が目覚める勇気



「ん・・・茶々丸の気配が消えた。・・・何があったんだ・・・?」
「油断ですよ!!エヴァンジェリンさん!!」

ネギは一瞬の隙をつき、エヴァに向けて魔法銃を撃ち放つ。しかし、エヴァの周りのコウモリに邪魔され、弾丸は軌道を外れた。

「やるなぼーや。だが、これを受けきれるか!!魔法の射手!!連弾!!氷の44夜!!」
「お・・・多い!!魔法の射手!!連弾・雷の44矢!!」

エヴァの放つ氷の矢を、雷の矢で相殺するネギ。しかし、速攻で決められなかったのが仇となっていた。

「はぁ・・はぁ・・・」
「あ、兄貴。大丈夫なのかよ?汗びっしょりだぜ!?」
「大丈夫だよカモ君・・・でも、やっぱり強いね」

肩で息をしながら、ネギはエヴァのほうを向いた。するとそこには、月光のバックに浮かぶエヴァの姿があった。

「さぁぼーや・・・・私を楽しませてくれよ!!」
「く・・・!!」

ネギはそう言うと、杖で旋回すると同時に詠唱を開始した。

「闇夜切り裂く一条の光・わが手に宿りて敵を喰らえ」
「雷の上級呪文か・・・・・おもしろい!!」

エヴァはそう言うと、氷の魔力を右手に凝縮し始めた。そしてそれは、一つの巨大な氷の塊となる。


「白き雷!!」
「氷神の戦槌!!」


次の瞬間、二つの力が激突した。しかし、ネギのほうが押されていた。

「く・・・・・す・・・凄い!」
「喰らえ!!」

エヴァが更に魔力の出力を上げた次の瞬間、氷の塊が大爆発を起こし、ネギはその衝撃で跳ね飛ばされてしまった。そしてそのまま、海の中へと転落した。

(明日菜・・・・さん・・・・・・・)

意識が朦朧とする中、ネギは海面へ手を伸ばしながら沈んでいく。


「っ!?・・・ネギ?」

大学部へとたどり着いた明日菜は、橋近くの方を向いた。そこでは、なにやら光と光がぶつかっていた。

「ネギ・・・・負けないでよ」

そう言いながら、明日菜が大学部のドアを叩く。

「誰か!!誰かいないの!?」

明日菜は必死にドアを叩く。すると、ガチャリと音を立てドアが開いた。そこには・・・。

「うわ!!マッドサイエンティスト!?」
「出会い頭がそれですかぁ〜」

なにやら変な顕微鏡を付けたハカセの姿があった。

「あ、ハカセさん!!茶々丸さんの様子が変なのよ!!」
「へ!?そ、それは大変です!!すぐに予備電源を立ち上げます!!」

そう言って、ハカセは何かのボタンを押した。すると、多少薄暗いながらも電気がついた。

「では、茶々丸をこっちに!!」
「分かったわ!!」

ハカセに言われるがままに、明日菜は茶々丸を背負って大学部内のハカセの研究室へときた。

「では、ちょっと茶々丸のメモリーを見てみましょう」
「メモリーって・・・記憶のこと?」
「そうです。茶々丸に異常が起きたのなら、何かしらの原因がメモリー内に残っているかもしれません!!」
「なるほど!!」

ハカセは茶々丸の身体を少しいじると、中にあったメモリーのケーブルを“ハカセ特製のチューンナップPC”に繋げた。すると、画面内に明日菜との戦いの記録が映し出された。

「あ・・・これは・・・その」
「もしかして神楽坂さん、エヴァンジェリンさんたちを戦っていたのでは?」
「え!?いやその・・・」
「大丈夫です。私も“こっち側”の人間ですから」
「え、ハカセさんも!?」

そう話しているうちに、明日菜が茶々丸を叩き落した場面が映し出された。すると、突如画面にノイズが現れ、次の瞬間にメモリー内に怪獣の姿が映し出されていた。

「こ・・・・これは!?」
「ど、どうしたの!?」
「あまり信じたくはないのですけど・・・茶々丸のメモリーの中にウィルスが入ってきて、それが実体化して怪獣となっているみたいなんです〜」
「ええ!?そんな事がありえるの!?」
「普通がありえませんよ!!でも・・・・このウィルスの構築形式は・・・・・あ!!!」

ハカセの驚きの声に、明日菜も驚く。

「ど、どうしたのよ?」
「間違いありません〜!!これは3−Bの仲丸さんが作成したウィルスです〜!!」
「ええ!?なんであんな奴にそんな事が出来るのよ!?」
「彼は執念だけでハッカーにすらなれる危険人物なんですよ!!多分、大学部で開発中のデータ実体化システムを盗んで、怪獣を出現させるように細工したんです〜!!」
「な、なんとかならないの!?」
「こちらもデータを実体化して麻帆良のサーバーに侵入し、あの怪獣を倒すしかないですよ〜」

泣きそうな表情でハカセが答える。すると明日菜は、とある人物の事を思い出していた。

「(あの人なら・・・・・よし)ハカセさん、ちょっと待ってて!!」

明日菜はそう言うと、超人的なスピードで“とある場所”へと駆け出した。そして、そのとある場所のドアに立った。明日菜がノックをするとそこから・・・・寝ぼけ眼の和樹の姿が見えた。

「ふぁ〜ぁ。どうしたの・・・明日菜ちゃん?」
「(う・・・普段とのギャップって凄い)じ、実は茶々丸さんが・・・」

明日菜が言い終える前に、和樹はドアを閉めた。そして十五秒後、制服に着替えて出てきた。

「案内して!!明日菜ちゃん!!」
「う・・・うん(何よこの変化!?ネギみたいだからドキドキするじゃない!!)」

そう言うと、明日菜を追走して和樹が疾走する。そして、ハカセの研究室へと到着する。

「明日菜さん、その人は?」
「“こっち側”の先輩よ。先輩、まずはこれを見て!!」

明日菜に促され、和樹が画面を見た。それを見た和樹が、クッと唇をかみ締める。

「間違いない・・・・ウチの馬鹿だ」
「え、もう分かるの!?」
「うん・・・・・こんな馬鹿な事を出来るのはあいつ等だけだよ」
「で、何故貴方がここに?」

ハカセの問いに、明日菜が簡潔に事情を説明した。

「でも、麻帆良のサーバー内にいる怪獣にどうやって挑むんですか〜?」
「そうなのよね・・・・先輩、どうするの?」
「こうなったら・・・・僕自身がサーバーに侵入して、あの怪獣を倒すよ」
「ええ?どうやって?」
「こうだよ・・・・もう来てるんでしょ?」

和樹がそう言うと、突如画面を光が包み、そこから銀色の戦士の姿が映し出されていた。二人が驚く中、銀色の戦士が言う。

「和樹!!コンピューターワールドに怪獣が出現した!!」
「分かってる!!」
「緊急出動だ!!」
「うん!!」

そう言うと、時計はいつの間にか和樹の左手首に変化しながら装着されていた。

「いくよ。アクセース・フラッシュ!!」

その言葉と同時に、和樹は手首のアクセプターの中心部を押した。すると、和樹の周りを光が覆い、そのまま和樹はPCの中へと吸い込まれてしまった。

「なっ!?」
「先輩が・・・・・パソコンに食べられちゃった!?」
「そ、そんな非現実的な事がーーーーー!?」

ハカセが混乱してブツブツ呟きだす中、画面の中で銀色の戦士と和樹が両面に立ち次の瞬間、二つの姿が・・・一つと化した。

「あれ・・・・・先輩と・・・・何かが合体しちゃった」
「これは・・・・一体?」

明日菜とハカセが呆然とする中、銀色の戦士が明日菜に言った。

「戦闘コードを打ち込んでくれ!!アクセスコードは『グリッドマン』!!」
「ぐ・・・ぐりっど・・・・まん?」

明日菜は頭に?マークを浮かべながら、キーボードを打ち込んだ。すると、画面に『GLIDMAN』と映し出された。それを見たグリッドマンはさすがにこけてしまった(汗)

「そっちじゃない!!『GRIDMAN』だ!!」
「無茶言わないでよー!!認めたくないけどバカレッドなんだからーーー!!」

明日菜は泣きそうな顔で言いながら、キーボードに打ち込んだ。すると、グリッドマンは宙に舞い、麻帆良のサーバーへと向かった。


「フン・・・・案外あっけないものだな」

エヴァは上空でネギの落ちた辺りを見ていた。そこからは先ほど浮き上がった水の波紋も、静かになっていた。

「さて・・・そろそろ意識を失っただろうし、血でも吸わせていただくか」

そう言い、エヴァが海面へと近づこうとした次の瞬間、海面が膨れ上がり始めた。そしてそこから、杖をサーフィンのように操るネギが姿を見せた。

「な、何!?」
「うわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


ネギが詠唱を開始すると、突如両手に違う魔力が篭められ始めていた。それを見たエヴァは愕然とする。

「な、何だあれは!?」

エヴァが驚いている間に、ネギが詠唱を続ける。そして・・・。

「魔法の“双射手”!!・連弾・風の5矢!!雷の5矢!!」

それと同時にネギの右手から風の矢が、左手から雷の矢が放たれたのだ。

「な!!二属性同時に発動だと!?」

エヴァは驚きにより隙が生まれてしまい、矢を何発か掠めた。それにより、エヴァの肩から血が流れた。

「やるなぼーや、なら今度こそトドメだ!!」

そう言うと、エヴァはまた氷神の戦槌を放った。しかしそれを、ネギは杖を駆使して回避する。

「兄貴〜〜!あのエヴァ相手にはタイマンじゃキツイっすよ〜〜〜!!」
「僕もそう思う。だから、あの場所までなんとか持ちこたえないと!!」

そう言うと、ネギは再び旋回し、“あの場所”まで飛行を開始する。

「逃がすか!!」

エヴァはそれを見ると、マントを広げネギを追うのだった。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ大オオオオ!!」

ネギが戦っている頃、麻帆良のサーバーの中でサンビラがコンピューターの破壊を行っていた。

「グルルルルルルル!!ヴァァァァァァ!!」

サンビラは力を溜めると、口から火炎弾を放ち辺りを燃やしにかかる。すると、突如後ろからレーザーが放たれ、サンビラの背中に火花を散らした。サンビラが怒りながら振り返ると、そこには巨大化(コンピューターワールドのためそう見える)した茶々丸の姿があった。

「大切な麻帆良のネットワーク・・・・破壊させません」

茶々丸はそう言うと、ロケットアームを放ちサンビラの頭を掴む。そして、そのままサンビラを投げ飛ばした。しかしサンビラはもろともせず、すぐに立ち上がった。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「止めます・・・・命に代えても」

茶々丸はそう言うと、背中のブースターをフル出力させサンビラに殴りかかる。しかし、サンビラはそれを受け止めた。そしてそのまま茶々丸を投げ飛ばし、ネットワークの電力回復のネットワークのビルに叩きつけられた。それによりビルは倒壊し、茶々丸もダメージを負ってしまったのである。

「く・・・・私・・・・・は・・・・・」

ボロボロながらも、茶々丸はなんとか立ち上がる。しかしその身はもう満身創痍であり、限界のリミッターが来ていた。

(どうすれば・・・・)

茶々丸が思考モードを一瞬行ったが、その瞬間をサンビラは見逃さなかった。

「バオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」

サンビラは火炎弾を再び放とうとした。しかし、突如サンビラの後頭部を何かが蹴り飛ばした。

「・・・・・・・・・・え?」

茶々丸が驚きながらその方向を向くと、小さくその場に立つグリッドマンの姿があった。

「ど、どうするのよ!!あんなにちっちゃいなんて聞いてないわよ!!」

画面越しに明日菜が叫ぶ。すると、それを見たハカセがキーボードを打ち込み始めた。

「な・・・・何をしてるの?」
「グリッドマンを大きくするんですよ〜」
「そ、そんなの出来るの!?」
「マッドサイエンティストに不可能はありません〜」

自分で認めているんかいと心でつっこむ明日菜を無視し、ハカセは猛スピードでキーボードを打ち込んだ。

「完成です〜!!」
「もう!?」

明日菜が驚く中、ハカセが巨大化プログラムをコンピューターワールドへと送り込んだ。すると、そのプログラムの光を胸に当てた。

「トォ!!」

それにより、完全なるグリッドマンが降臨した。

「あの人は・・・・」

茶々丸が疑問に思う中、サンビラは再び茶々丸に襲い掛かろうとする。

「させるか!!」

グリッドマンがサンビラの尻尾を掴んだ。そしてそのまま後ろへと下がる。

「グアアアアア!!」
「この!!」

サンビラは腕を振り上げ爪を振るうが、グリッドマンはそれをバク転でかわすと同時に拳を放つ。それを受けたサンビラは衝撃で少し後ずさるがすぐに体勢を立て直し、体当たりを仕掛けてきた。

「タァ!!」

グリッドマンは跳躍しサンビラの頭を蹴り上げる。更に、落下するタイミングでサンビラの頭を掴み、地面に転がると同時にサンビラも転がした。

「ハッ!!」

グリッドマンはそのまま突きを放ちサンビラを吹き飛ばそうとした。しかし、サンビラに拳を受け止められ、組み合った状態から火炎弾をモロに受けてしまった。

「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

それにより、グリッドマンは衝撃で宙を舞い、地面へと叩きつけられてしまった。


「ま、マズイわよ!!このままじゃ先輩が!!」

画面を見ていた明日菜が悲痛な面持ちで叫ぶ。さすがのハカセも、どうすればいいのか悩んでいた。すると、ハカセのもとに一つの通信が入る。

「これは・・・茶々丸!?」
「え、茶々丸さんなの!?」

二人が通信に耳を傾けると、なにやら数個の単語が聞こえた。

「私・・・・戦う・・・・・・人・・・・・機械・・・・・合体・・・・・・・・」

明日菜にはチンプンカンプンだったが、ハカセにはこの単語の意味を理解した。

「なるほど!!そういう事ですか!!」
「え!どういう事!?」
「この言葉を解読した結果、茶々丸は自分の身体を武装アーマーへと変換して、グリッドマンと合体すると言ってるんです〜」
「そ、そんなイキナリな事出来るの!?」
「さすがに私でも時間がかかります。だから、あのグリッドマンがもうちょっと持ちこたえてくれないと・・・・きゃっ!!」

突如PCから火花が上がった。そう、グリッドマンのパワーはこのハカセのPCによって与えられている。つまりPCがダウンしてしまうと、グリッドマンはコンピューターワールドから消去されてしまうのである(お約束)。

「す・・凄い負荷がかかってます〜」
「負けないでよ先輩!!茶々丸さんを助けて!!」

画面越しの応援の中、グリッドマンはなんとか立ち上がりながらサンビラと対峙する。

「タァ!!ハァ!!トリャ!!」

グリッドマンは打撃を連続して打ち込むが、サンビラはまるで効いてないのかピンピンしており、再び火炎弾を放った。それにより、グリッドマンは再び地面へと叩きつけられる。

「ま、まだなのハカセさん!?」
「で・・・出来ました!!」

そう言うと、ハカセは茶々丸の通信回線を強引に繋いだ。

「茶々丸〜!!」
「ハ・・・・カセ?」
「合体システム可能だから〜!!グリッドマンと合体して〜!!」
「了解しました」

茶々丸に言い終えると、ハカセはコンピューターワールド内のグリッドマンに伝える。

「グリッドマン、今茶々丸とのリンクシステムが完成したよ〜!名づけて、“合体人機”よ〜」
「分かった!!トォ!!」

そう言うと、グリッドマンは空へと跳躍する。すると、茶々丸の身体がパーツごとに分かれだし、グリッドマンへと装着される。そして・・・その場に究極の合体超人が降臨した。


「合体人機!!メタルグリッドマン!!」


優しき合体人機と侵食怪獣・・・・・・大激突!!


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