ブレイブXII 黄金騎士が振るう勇気
この話はとある特撮のネタバレになってしまうかもしれないので、ある程度最近の特撮を見ていない方には辛いかもしれません。それをご了承ください(涙) コンピューターワールドに立つ二つの影があった。一つは、麻帆良を破壊へと導こうと企む怪獣“サンビラ”。もう一つは、麻帆良の平和を守るために立つ合体人機“メタルグリッドマン”。 (グリッドマン。表面意識を僕にチェンジして、合体モードは僕が有利だ) 「分かった。頼むぞ!!」 そう言うと、グリッドマンは表面意識を和樹へとチェンジした(つまり意識は和樹のグリッドマン)。すると、和樹は意識がリンクしている茶々丸に話しかける。 「茶々丸ちゃん」 (・・・先輩) 「僕はアイツを倒す。君の力が、どうしても必要なんだ。力を・・・・貸してくれないかな?」 (私は・・・・貴方と共に) 茶々丸の言葉を受け、和樹はグリッドマンとしてサンビラと対峙する。 「いくぞ!!」 メタルグリッドマン(長いので以降はMGとします)はそう言うと、背中に搭載されている茶々丸のブースターを展開させ、急激な速度で跳躍した。そしてそのまま、落下と同時に上からサンビラを殴り倒した。 「グアアアアアアアアアアアアア!!」 サンビラは強烈な痛みに頭を抱えながら転がる。その隙をついて、MGは両腕をサンビラに向けた。 「ロケットクロー!!」 その言葉の直後、MGの手首に装備されていた爪状のアームが射出され、サンビラの尻尾を掴んだ。そしてそのまま、腕を振ってサンビラを回転させる。 「グオ・・・・グオオオオオオオ!!」 回転に苦悶の声を上げるサンビラ。やがてアームが外れるとサンビラは吹っ飛ばされ、地面を転がった。 「僕と茶々丸ちゃんと力・・・・・見せてやる!!」 MGはそう言って、再びサンビラへと進み始めた。サンビラは掴みかかろうとするが、MGが拳を強く握り締め、振りかぶって殴りつけた。それにより、再びぶっ飛ばされ、地面に叩きつけられる。 「す、凄いじゃない!!あの怪獣を圧倒してる!!」 「こ、これは予測数値の10倍もの力です〜!!計算では5倍くらいだったのに、何故ここまで」 「アレじゃないの・・・・・愛とか?」 自分にしては珍しいな〜という台詞を言いながら頬をポリポリとかく明日菜。すると、ハカセはプルプルと震え出した。 「そ、そんな非科学的な事が次から次へと起きていいんですか〜!?」 「まぁ・・・・・あの先輩だからね(汗)。愛があれば何でも出来ちゃいそうだし・・・・あ、ああああああああああああ!!」 突然、何かを思い出したのか明日菜が声を上げる。それを聞いたハカセがビクっとしながら震える。 「ど、どうしたんですか神楽坂さん!?」 「ど、どうしよう!!ネギの事忘れてた〜〜〜〜〜!!エヴァちゃんと戦っているのよ〜!!」 「わ、分かりました。ここは私が見てますから、神楽坂さんはネギ先生を追ってください」 「ご、ゴメンハカセさん!!」 そう言うと、明日菜は部屋を飛び出していった。 「氷爆!!」 「うわっ!!」 エヴァの攻撃を上空で受け、ネギはバランスを失い墜落した。そしてそのまま、橋の中央へと転がり込む。 「く・・・・」 「あ、兄貴!大丈夫なのか!?」 「なんとかね・・・でも、結構強く打ちつけたみたい・・・」 そう言い身体の震えを抑えながら立っていると、エヴァがコウモリたちを纏わせ降り立った。 「フン・・・・まさかな。確かに結界の外へは私でも無理に出るのは不可能。もし勝てなくても、最悪結界外に出れば逃げられる。セコイ作戦がじゃないか、ぼーや」 そう言いながら、エヴァは一歩一歩ネギに近づく。そして、ある距離に達した瞬間、エヴァのいる地面から光が伸び、エヴァに絡みついた。 「な、何!?捕縛結界だと!?」 「今だ!!ラス・テル・マ・スキル・マギステル!!」 ネギはそれを見て即座に詠唱の準備にかかる。 「雷を纏いて吹きすさべ南洋の嵐」 「ち・・・・・・・・なめるなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 バキンと音を立て、エヴァは縛っていた結界を強引に引きちぎった。そして次の瞬間、右手に魔力を最大に込める。そしてそれは、光の刃のような姿へと変わった。そして・・・。 「雷の暴風!!」 「エクスキューショナーソード!!」 二つの力がぶつかった。バチバチと音を立てながら、暗き麻帆良の空を照らす。そして次第に、光はネギ側へと押されていく。 「く・・・・・うううううううう!!」 「よく持ちこたえたなぼーや・・・・だがこれで本当に最後だ!!」 そう言い、出力を上げるエヴァ。次第にかろうじて踏みとどまっている地面が崩れ始め、後ろへと下がり始めていた。 「こりゃ・・・・意地の張り合いだぜ」 「分かってるよ・・・・カモ君」 そう言いながら必至に耐えるネギ。すると、ネギの後方から誰かが走ってくるのが見えた。 「ネギーーーーーーーーーーー!!」 そう、そこには全力でこっちに向かってくる明日菜の姿があったのだ。 「あ、明日菜さん!!」 「ダメだ姐さん!!今こっちにきちゃ!!」 二人がそう叫ぶが、明日菜は構わず走ってくる。 「フン・・・・・なら神楽坂もろとも吹き飛ぶがいい!!」 そう言い、エヴァは最大出力で魔力を右手に送った。その瞬間、エヴァの放つ刃が膨れ上がり、暴発し始める。 (下がったら明日菜さんが巻き込まれる・・・・・嫌だ、明日菜さんが傷つくなんて嫌だ!!絶対に守るって・・・・・約束したんだ!!) ネギが覚悟を決めた瞬間、何故か脳裏にあの刃を振るう男の姿が浮かび上がった。それもぼやけておらず、鮮明に写されていた。それを見た瞬間、ネギは何かを悟った。 (そうか・・・・・・・・だから僕は・・・・・刃を振るえたんだ) その瞬間、ネギはポツリと一言なにかを発した。 「ま―い―し」 途切れ途切れの言葉が発せられた瞬間、ネギのいた場所は爆発した・・・。 「ネギ・・・・・ネギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 明日菜が叫ぶ中、煙がその場を包む。それを見ながらエヴァは高笑いを発する。 「はっはっはっはっは!!やはり奴の息子とはいえここまでだったな!!」 煙は次第に晴れ始めた。すると・・・・・・そこには信じられない光景が映し出されていた。その場に立つのは、黒い服、白いロングコート、そして・・・・・身長が明日菜くらいに大きくなっている・・・・ネギの姿だった。 「な・・・・・・ナギ!?」 「え・・・・」 エヴァが驚愕し明日菜が呆然とする中、ネギは杖の先端を握った。 「そうだ・・・・・そうだったんだ。これは“杖”であって“杖”じゃないんだ」 そう言い、ネギは杖の先端を思いっきり引っ張った。すると、そこからは・・・銀色の美しい刀身が姿を現したのだ。 「これは“杖”であり“鞘”、邪気を払うために存在する“鞘”。そして、陰我を断ち切るための“剣”」 そう言い、鞘を左手に持ち、剣を右手に持った。その剣には鍔がなく、それが刃である事を偽るような位に美しいものだった。 「父さん・・・・・・・“僕も”この剣で戦うます。大切な人を守る・・・・・・刃として!!」 月光が照らす中、一人の少年魔法使いはそこから消え、一人の魔法剣士が・・・姿を見せた。 「ちぃ!!だが次で終わりだ!!」 「させないわよ!!」 エヴァが詠唱しようとするが、間一髪明日菜の飛び蹴りが炸裂。エヴァは綺麗に吹っ飛んで言った。 「ネギ!!今よ!!」 「はい!!」 明日菜の言葉を受けた瞬間、ネギは異常なまでの加速力でエヴァへと駆ける。それを見たエヴァは驚きつつも着地と同時に、魔法の矢の詠唱を終える。 「魔法の射手!!連弾!!氷の29矢!!」 そして、即座にネギに向けてエヴァの放った大量の矢が向けられる。しかし、ネギはそれを冷静に切り払いながら、演舞の如く鮮やかに前に進む。その光景に、2人は驚きを隠せずにいたが、明日菜は驚きつつも笑みを浮かべる。 「やるな・・・・・だが、次はないぞ!!」 そう言い、エヴァは再び詠唱を開始する。それにより、エヴァの右手に再び凝縮された魔力が宿った。 「僕も・・・・・次で決着をつけます!!」 それを聞き、ネギもまた全身に魔力を纏わせる。すると、何故かネギの周りから金色のオーラが発せられ始めた。 「生半端な技では負けるな・・・・・・・・なら、これでどうだ!!」 そう言うと、エヴァはネギに向けて右手を向けた。すると、右手から六亡星の紋章が浮かび上がり、そこからバチバチと火花が散らす。 「いくぞぼーや!!闇夜の協奏曲!!」 エヴァが言葉を発すると同時に、右手から高出力の魔法が放たれる。ネギはそれを見ると、迷いなくエヴァへと駆け出した。そしてネギはエヴァの放った攻撃を避けながら、刃を上に掲げ、円を描いた。そして、刃を振り下ろすと同時に、円から黄金の光が放たれ、ネギを包む。 「何をしようと・・・同じだ!!」 エヴァは再び連続でネギへ向けて放った。それにより、ネギは再び爆発に巻き込まれた・・・。しかし次の瞬間、爆炎は一瞬にしてかき消された。そしてその中から、黄金の鎧を身に纏い、顔には狼の顔をした仮面を被り、右手には黄金の剣を持った・・・黄金騎士の姿が現れた。 「な、何!?」 エヴァは驚きの余り言葉を失ってしまった。すると、黄金騎士はその場から跳躍し、エヴァの上空へと飛んだ。 「ちぃ!!」 そう言い、エヴァは闇夜の協奏曲を放つ。しかし、それが直撃しようと、黄金騎士は決して止まらない。 「貴方が背負う陰我・・・・・・・それは影だ!!」 黄金騎士はそう叫ぶと同時に刃を振り上げた。そして、エヴァの“後ろ”にある影へと刃を突き刺す。すると、禍々しい姿をした影が苦しみ始めた。 「過去より背負う憎しみ・・・・・・・・僕が断ち切る!!」 そして、再び刃を振り上げ・・・・・影を切り裂いた。それにより、影は苦しみながら消滅し、元のただ存在する影へと戻った。そして次の瞬間、エヴァはその場に倒れ込んだ。だがその表情は、憑き物の落ちたような安堵の表情だった・・・。 「ハァァァァ!!」 MGはサンビラをアームで掴み、地面へと投げつける。転がりつつもサンビラは火炎弾を吐き出す。しかしそれを受け火花が散っても、MGは動きを止めない。 「茶々丸ちゃん!!いくよ!!」 (・・・はい) 和樹の言葉を受け、共鳴度が更に上昇する。それによりMGのパワーは更に強化されていく。 「メタルグリッドレーザー!!」 MGの肩に装備されているレーザー砲から、赤い無数のレーザーが放たれた。そしてそれはサンビラへと命中し、サンビラは地面へと倒れこむ。それを見たMGは、両腕を前に突き出しクロスさせた。すると、周りのデータが彼等に力を与えるように集合し始め、その果てに神々しい光を放った力へと変わった。そしてその光を左腕のアクセプターへと当てる。 「いくぞ(いきます)!!これが・・・・・僕たち(私たち)の絆が生んだ力だ(です)!!」 そして、光は最大限に輝き始める。 「喰らえ!!メタルグリッドォォォォォォォォ!!ビィィィィィィィィィィィィィム!!」 その瞬間、光はサンビラを貫いた。そして、その貫かれた部分からサンビラがデータへと分解されていく。そして・・・サンビラは完全に消滅した。 「や・・・・やったーーーーーーーーーー!!」 それを見ていたハカセが喜びの声を上げる。そしてMGは両腕を胸に当て、それから大きく横に開いた。すると、そこから優しい光が辺りを包んだ。それにより、破壊されていたデータのビルが元通りになっていった。そして、MGはそのまま宙へと飛び、そのまま画面へと向かった。すると、画面から茶々丸をお姫様抱っこした和樹が飛び出してきた。 「うわ!!・・・・・・先輩に・・・茶々丸?」 「ハカセちゃんだよね。ありがとう、サポートしてくれて」 そう言い微笑む和樹を見て、ハカセも自然と笑顔になる。 「いえ、茶々丸を助けていただき・・・本当にありがとうございます」 「いいよ。僕は茶々丸ちゃんが大切だから戦っただけだよ」 「大切・・・・ですか?」 「うん」 和樹の言葉に、ハカセは何かを考え始めた。そして何か結論がまとまったのか、とある質問を投げかけた。 「先輩は・・・・・茶々丸が好きなんですか?」 「うん」 「どれ位ですか?」 「どれくらいって言われても・・・・・ねぇ?」 そう言い、赤くなっている茶々丸に問いかける。すると、茶々丸は更に頬をボッと真紅に染めてしまった。 「これは重傷ですね・・・・先輩」 「ん、何?」 「茶々丸の開発者として・・・そして親として言います。茶々丸を・・・・よろしくお願いします」 「僕・・・・が?」 「はい・・・・・・嫌いなのですか茶々丸が?」 それを聞きハッとしながら不安な表情で茶々丸は和樹を見る。しかし、和樹はそんな茶々丸に優しく微笑みかける。それにより、茶々丸の心から不安は消えた。 「分かった・・・・・・・茶々丸ちゃんは僕が守るよ・・・・心から大切な人として」 満足のいく答えを聞けたのか、ハカセはよろしいといわんばかりの笑顔を浮かべるのだった。 |