ブレイブXVI 高い所から現る宇宙刑事の勇気



京都ー!」
「京都と言ったらアレ!」
「誰か、誰か飛び降りれ!!」

3−Aのメンバーは、清水寺にて記念撮影の後、それぞれ寺内を見て回っていた。

「わ〜、これが京都で有名な清水寺ですか〜」

ネギは好奇心満々といった感じで、嬉しそうに見ていた。すると、その一言を聞いた夕映がマニアックな説明をし始めた(笑)それを熱心に聞くネギの姿は、どことなくじじくさい(爆)

「う〜ん、京都の空気はまた別だな〜♪」
「そうでござるな。麻帆良とは違うのもよいでござるよ♪なにより・・・・・主様と一緒なのは格別でござる♪♪♪」

そう言いつつ、楓は和樹にすりすりと甘える。されるがままの和樹も、嬉しそうな表情だった。

「楓だけずるいアルよ〜」

すると、もう片方の腕にクーが抱きついてきた。その表情は、普段の快活なものとは違い、まるで猫のようににこやかだった。すると、その猫のような雰囲気に和樹はおのずとなでなでをしてしまった。

「ふにゃ〜・・・ァル」

なでなでにより、クーは一瞬にして茹蛸よりもふにゃふにゃになってしまった(笑)

「あ、先輩にせっちゃ〜ん!!あっちに恋占いとかあるえ〜♪」
「恋占いですか・・・・行きましょうか?」
「あ、先に行ってて。すぐに追いつくから」

和樹がそう答えると、刹那はこのかのもとへと向かった。それと同時に、真名とネカネが和樹に合流した。

「楓・・・クー。そろそろ代わってくれないか?」

真名の代わって代わってといった光線を目から発しているのを感じたのか、和樹のぬくもりに満足したクーが離れた。それにより、その腕には真名が抱きついた。勿論、ぎゅ〜と。それにより、和樹にとっては嬉し恥ずかしのイベントが起きた。

「あの・・・・真名ちゃん」
「なんだ?先輩?」
「あの・・・・・・当たってるんだけど・・・・・」
「ああ、なんなら触るか?私は“貴方の所有物”だからな」

その台詞を聞いた瞬間、和樹は何かを吹きながらむせていた。

「な、なんて事言うんだよ真名ちゃん!真名ちゃんは物じゃないよ」
「そうじゃなくて、貴方に縛られたいって事さ」
「あ・・・・えと・・・・・そうなの?」
「勿論だ♪」

そう言い、更に力を込めて胸を和樹へと擦り付ける。それによりあたふたとなっている和樹に追い討ちをかけるように、楓と交代したネカネが抱きつく。当然、ネカネもスタイル抜群なため・・・・同じような事が起きていた(笑)


「ふぅ・・・なんだか色々あったね(汗)」


ホテル嵐山に到着した和樹&ラヴァーズとネギたちは、ふと先ほどまで起きていた出来事にため息をついていた。あの後、恋占いの石で和樹ラヴァーズは仕掛けられていた落とし穴を軽々と避け、楽々とたどり着いた。ちなみにいいんちょたちはアッサリと引っかかってしまい、蛙の餌食(笑)になっていた。そして、音羽の滝での出来事はある意味壮絶だった。匂いに敏感な楓が上から流されている酒樽を発見し、それを仕組んだ3−B(ここ重要)に対し激怒したのだ。あやうく楓が本気になるのを和樹が抑えると、首謀者である仲丸含めた数名にとりあえず通常の三分の一の力で、ZXキックを叩き込んだ事により、3−Bを叩き潰したのだった。それにより、その実行犯数名は二日目が終了するまで、旅館待機が命じられたのである。

「それにしても、あのお酒はともかく、蛙とか落とし穴はなんなのよ?」
「え〜と、実は・・・」
「兄貴!!話してしまえよ!!」

カモに勧められ、ネギは関西呪術協会の妨害工作・このか誘拐についてを話した。

「なるほど・・・どおりであの蛙の怪人はこのかを狙っていたのね」
「堪忍な・・・・・ウチのせいで」
「あ、このかのせいじゃないわよ!悪いのはその関西なんたらって奴等なんだから!」
「そうです!!このちゃんは悪くないんです」

悲しそうな表情を浮かべるこのかを、明日菜と刹那が必死に落ち着かせる。すると、和樹がこのかの頭にポンと手を置いた。

「ひゃう!!・・・・先輩?」
「大丈夫・・・・どんな敵が現れても・・・・・僕が絶対に護るから」
「・・・私のために命捨てるとか考えてへん?」
「全然。僕の信条はね、“大切な人を護り、自分も生き残る”。これが、僕の決めた大切な事」

そう言って微笑む和樹の姿は、このかの心に温かなものを与えた。それを見た明日菜と刹那にも、笑顔が戻る。すると、風呂あがりのしずな先生がネギに風呂に入るように促してきたので、ネギと和樹はそのまま風呂に入ることになった。


「ふぅ〜、風呂は命の洗濯・・・・だっけかな?」
「そうかもしれませんね〜」

和樹とネギは、温泉の中でまったりとした時間を過ごしていた。先ほどまでの騒ぎが、まるで嘘のように感じるほど。

「いや〜それにしても、今回の修学旅行は大変な事ばっかりだぜ。このままで大丈夫かよ」
「だよね・・・」
「ま、なるようになるよ」

そう言って、和樹は再びまったりモードに入ろうとしたその時!!

「せ、先輩!!」

突如脱衣所の扉が開き、制服姿の刹那が飛び込んできた。

「え・・・・刹那ちゃん!?」
「大変で・・・・・・す・・・・・あ」

刹那は何かを言おうとしたが、和樹の何かを見たのかボッと頬を真っ赤に染めた。それが何かに気づいた和樹は、慌てながら湯船にぼちゃんと入る。

「な・・・・何があったの!?」
「え・・・・・・あ!大変です!!このちゃんがさらわれたんです!!」
「なんだって!!」
「どうやら、ホテルの従業員に化けていたようです!!今明日菜さんが追いかけていますから、私たちも向かわないと!!」

刹那の言葉を受け、和樹とネギは戦う決意を固めるのだった・・・。ちょうどその頃、明日菜はお猿の着ぐるみをきた千草を追いかけていた。

「こらーーーー!!待ちなさいよーーーーーーーー!!」
「むぅ?しつこい人は嫌われますえ」

そう言うと、持っていた札から小猿を呼び出し明日菜へと向かわせる。しかし、その小猿どもを明日菜は軽々と蹴り飛ばした。

「このかを返しなさいーーーーーーーー!!」

明日菜は一気に跳躍し、飛び蹴りを放つ。

「ちぃ!ウチを護ってな、猿鬼」

そう言うと、千草の手に握られた札から着ぐるみにしか見えない猿が呼び出された。そしてその猿により、蹴りは防がれてしまった。

「な、何よこの猿!?」

明日菜がなんとか猿鬼を抜けようとするが、以外に素早い動きをするために明日菜も苦戦していた。すると・・・。


「魔法の射手・光の一矢!!」


突如、遠くから光の矢が放たれ、猿鬼を弾き飛ばした。それを見た明日菜が振り返ると、浴衣にスーツの上着を羽織ったネギ・刹那・和樹の姿があった。

「ネギ!!」
「大丈夫ですか!?明日菜さん!!」
「ええ!!このかはあっちよ、早く追いかけないと!!」

明日菜を先頭に、皆はどんどん走っていき、京都駅付近の大広場へとたどり着いた。すると、階段の上に千草と善鬼・護鬼の姿が見えた。

「やれやれ、まだついてくるんかい?」
「このかを返す前、とことん追わせてもらうわよ!!」
「なら、追えないようにするまでや!お札さんお札さん、ウチを守っておくれやす」

そう言うと、千草は一枚の札をネギたちに向けて放った。すると、突如大文字の炎が浮かび上がり、ネギたちの道を阻んだ。

「フフフ、その炎は簡単には消せませんえ。ほなさいな「風花・風塵乱舞!!」・・・な!?」

千草の言葉が言い終わる前に、詠唱を終えたネギがあっさりとその炎を消し飛ばした。

「返してもらいますよ。このかさんは僕の生徒で、大切な友達です!!」

そう言うと、明日菜に契約執行を発動させ、自身も魔戒騎士を発動させた。

「明日菜さん、明日菜さん専用アーティファクト“ハマノツルギ”を出します!!」
「そ、そんなのあるんだ!よし、それ頂戴!!」
「能力発動、神楽坂明日菜!!」

言葉と共に、明日菜の右手には自身の身長の倍の長さの剣が握られていた。明日菜はそれを構える。

「いくわよ、刹那さん!!」
「はい!!明日菜さん!!」

二人は同時に動き出すと、前方にいた猿鬼・熊鬼と戦闘を開始した。

「フン、残りのお前はんたちには、こいつらで十分や!」

そう言うと、千草は十枚ほどの紙型を取り出した。そしてそれを空へ放つと、以前パーティーでこのかたちを襲った式紙へと変わった。

「いくよ!!ネギ!!」
「はい!!」

そう言うと、和樹はスキルレベルIを発動させ、ネギは杖から牙狼剣を引き抜いた。向かってきた二匹をネギが確認すると、素早く刃を振るい切り裂いた。それにより、二体が元に戻った。

「この!!」

和樹は魔力の篭ったパンチを放つと、式紙をぶち抜いた。しかし、それを狙った一匹が後ろから飛び掛る。

「何の!!」

和樹はそれを予知していたのか、そのままバク宙で蹴りを叩き込んだ。それにより吹っ飛ばされた式紙を、ネギが突き刺す。

「ナイスだよ!ネギ!!」
「はい!!でも、こうしてる間にもこのかさんが!!」
「大丈夫」

そう言うと、懐から一羽の小鳥を取り出した。そしてそれを放つと、その小鳥は一瞬にして・・・・ネカネへと姿を変えた。

「え・・・ええ!?」
「頼むよ!!」
「オッケー!!」

そう言うと、ネカネはガトリンクを構え一気に千草たちへと駆け出す。

「ラヴァーズの一人を放しなさいよ!!この年増!!」
「だ、誰が年増や!!」
「貴方よ。自己の目的のために、罪無き少女すら犠牲にしようとする外道年増よ!!」
「なんやてーーーーーーーーーーー!!」

ネカネは千草が怒りで出来た一瞬の隙を突き、周りにいた式紙を撃ちぬいた。そして、そのままこのかを奪い返すと、和樹のもとに戻る。

「し、しもうた!!しゃあない、月詠はん!!犬上!!出番ですえ!!」
「すいませ〜ん、遅れました〜♪」
「強そうな奴ばっかやないか・・・・楽しみやで」

そう言い、暗闇から二本の刀を持った少女と学生服姿の少年が姿を現した。

「いくぞ!!」

敵を確認した和樹が駆け出そうとする。しかし、突如上から一匹のムカデのような六本足の怪人が姿を現し、和樹に掴みかかる。

「く!!」
「ギギーーーーーー!!」

振る払おうとするが、強固な力により和樹は投げ飛ばされてしまった。そして、そのまま皆のもとへと倒れこむ。

「和樹ちゃん!!」
「先輩。大丈夫ですか!!」

ネカネと刹那が駆け寄ると、切れた唇から血が流れ出していた。

「・・・あいつ等!!」

ネカネがぶち切れそうになるが、それを和樹が止める。しかし、和樹の表情も怒りに満ちていた。しかし、すぐに表情を元に戻すと、口をテープで塞がれていたこのかに近づく。

「このかちゃん、僕は君をさらったあいつ等が許せない。もしかしたら、僕の怒りは止まれないかもしれない・・・・たとえ、悪鬼の如き姿でも、僕は君を護るから」
「先輩・・・・ウチは、どんな事があっても先輩が好きや!!だから、どんな姿に変わっても、どんなに心が恐くても、ウチは信じてるから」
「・・・・うん、ありがとう」

このかの言葉を聞き、和樹はすっと立ち上がった。そして皆の前に立つ。

「いくぞ・・・・・・お前たちを・・・・・僕は倒す!!」
「はん!!何を血迷った事を、殺ってまえ!!虫鬼(ちゅうき)!!」

そう言うと、虫鬼が前に立ちふさがる。しかし、そんな事すら全く彼の前では無力。そう、今千草たちの前にいるのは落ちこぼれの魔法使いではない、たった一つの正義を心に秘めた、“正義の味方”である。そして、彼は紡ぐ、“宇宙から降り立った刑事”を・・・。


「蒸着!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


そのキーワードを言い放った瞬間、和樹の身体を銀色の光が宿った。そして次の瞬間、銀色の鎧を纏った戦士が、“何故か”高いところから姿を現す。

「な、何もんやアンタ!?」

千草たちが驚く中、戦士は彼に注がれる温かく、希望の込められた視線を背に背負い、戦士の名を・・・名乗る!!


「宇宙刑事!!ギャバン!!」


今、常識無視のスーパーヒーローが、正義を背負って降臨する。


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