ブレイブXVIII 爆速マシンで駆け抜ける勇気
一つの燃える街 ―――ああ・・・なんやこの光景。 人々を蹂躙する、大量の魔族 ―――なんや・・・この化けもん。 そこに降り立つ、銀色の鎧を纏いし騎士 ―――銀色の・・・狼? 銀色の双剣を握り、魔をなぎ払う ―――なんちゅー強さや・・・コイツ 全てをなぎ払うと同時に、鎧は解除される ―――なんか空に帰っていったな その場に立つは、黒髪に全身を黒い服で染め、羽織るコートもまた黒 ―――どこぞのナルシストかいな・・・ やがて振り返った・・・その男の顔は・・・・ ―――ちょいまて、コイツの顔は・・・。 そして不意に、意識は途切れた。そしてそれと同時に、小太郎は目を覚ました。小太郎は痛たたと身体を押さえながら、ゆっくりと起き上がった。すると、目の前には一人の少女が、女神のような微笑で小太郎を見ていた。 「目が・・・・覚めたかしら?」 少女が尋ねると、小太郎は僅かに警戒した。しかし、その微笑には悪意を感じれず、警戒を解いた。 「ああ・・・・ここは?」 「私が泊まっている旅館よ。ビックリしたわ、いきなり空から落ちてきたんだから」 少女の言葉を聞き、小太郎はネギとの戦いを思い出した。負けたという事実に俯いていると、突如小太郎の頭を何か柔らかいものが包んだ。そう、いきなり少女が小太郎の頭を優しく抱きしめたのである。 「・・・あ・・・・・」 「悲しい顔しないで・・・・私はそういう悲しいのは嫌なの。だから、悲しい顔しないで」 「ごめん・・・・・女泣かすなんて、男として失格やな・・・」 「だったら・・・・もう女の子を泣かせない強い男の子になって、泣かせないよう・・・護れるように」 「護れる・・・ように・・・」 「そうよ。強くなるって言うことは・・・・護る事と同じ事なの。だから、強さを持った・・・守りし者になって」 少女の言葉を受けると、小太郎は今まで悩んでいた事がなんだったのかと言わんばかりに、自身の頬を叩いた。それは、“少年”が“戦士”へと変わるという意思。 「ありがと姉ちゃん・・・・ワイ・・・もっと強くなる。そして、どんな女も泣かせないようになってみせる!!」 「ええ・・・・・あ、名前・・・聞いてもいいかしら?」 「あ、そやな。ワイは小太郎。犬上小太郎や!!」 「私は千鶴。那波千鶴よ」 「千鶴姉ちゃんか・・・・また、いつか会えるやろか?」 「会えるわ。私たちの出会いが・・・・星の決めた運命なら」 「そっか・・・・・・じゃ、またな!!」 「ふふ・・・またね♪」 今ここに、二つの出会うべき星たちは出会ったのだった・・・。 翌日、ネギは明日菜たち5・6班と共に周る事になった。そしてここに、もう一人の生贄(失礼w)を巡り、ちっちゃな争いが起きようとしていた(爆) 「・・・!!なんだ、今の悪寒は!?」 ビクっと震えながら、和樹は辺りを見回した。 「・・・B組じゃないよな・・・・じゃぁ今のは・・・」 和樹がそう言って思考モードに入った次の瞬間・・・。 「オーーーーーーっスカズキ〜♪」 いきなり風香のとび蹴りが、和樹の高等部を直撃した。 「あぶ!!・・・・ふ、風香ちゃん」 「す、すみません!!ウチのお姉ちゃんが!!」 起き上がると、泣きそうな顔で謝る史香の姿があった。 「おはよ、史香ちゃん」 「あ、おはようございますです!!」 「風香ちゃんは相変わらずはっちゃけてるね(汗)」 「ニュフフ、まだまだじゃのカズキ♪」 見事な蹴りが成功し、ご機嫌の風香。 「で、一体どうしたの?」 「あ、そうだった。カズキは班行動しないよね?」 「え?う、うん。僕の班はほぼ全員謹慎喰らってるし」 「だったらさ、ボクたちの班と一緒に行動しない?」 「そうです。私たちと行動しませんか?」 そう言い、ふーふみは和樹の腕を掴むとずるずると引っ張りだそうとした。すると、突如天井から何者かが降り立った。 「「か、楓姉!?」」 「おやおや、拙者の主様を連れ出そうとは、何してるでござるか?」 そう、和樹ラヴァーズの一人“長瀬楓”である。 「いや〜・・・ボクたちは〜・・・その〜」 「えと・・・か、和樹先輩と一緒に観光しようと」 「う〜む、申し訳ないでござるが、今日は拙者たちの班に来て欲しいでござる。クーも待っているでござるよ」 「クーちゃんも?」 「あい♪」 それを聞き、和樹は楓の方に行こうとした。すると、突如地面に大量の弾丸が撃ち込まれた。和樹はその弾丸の放たれた方向を見ると・・・ 「やっほ♪和樹ちゃん♪」 和樹と選んで買った白いワンピースに麦わら帽子と、清楚系No.1のシュチュを着こなしたネカネが立っていた。 「あ・・・・ネカネちゃん」 「どう、似合うかな?」 「うん。とっても♪」 「やった♪」 そう言って、和樹の腕に抱きつくネカネ。並んで立つ姿は、まさにお似合いのカップルだった。 「む、いきなり来てそれは酷いのでござらんか?ネカネ殿?」 「あ、そうか。なら、楓ちゃんの班にご同行ならいいでしょ?」 「あい、それなら問題ないでござる♪」 そう言うと、楓とネカネは和樹を連れて行こうとした。すると、そこに更なら第三勢力?が出現した。 「悪いが、私の班に来て欲しいのだが」 そう言い、ポニーテール姿の真名がやってきた。背中には、ギターケースを背負っていた。おそらく中身が愛銃だろう。 「え?真名ちゃんの?」 「うん・・・ダメかな?」 真名の放つ“オイテイカナイデ光線”が、和樹を捉える。 「おっと・・・それは反則でござらんか?」 「な〜に・・・たまにはありじゃないか?」 そう言うと、楓は手裏剣を、真名はベレッタを二丁取り出し構える。そして次の瞬間、ホテル【嵐山】は小さな戦場と化した。 「な、なんか大変な事に・・・」 「たまにはこういうのもいいのよ♪さ、いこ♪」 「いいのかな〜・・・?」 そんな二人を見ながら、ネカネは和樹を引っ張って自分の班へと歩き出したのだった・・・。 「「あれ!?先輩!?」」 二人が気づいた時には、和樹の姿は無かったのだった(笑) 「ふ〜、いいところね」 「うん、京都の空気・・・僕は好きだな」 和樹はネカネと並びながら、周りの風景を見て歩いていた。木々が生い茂り、活き活きとした世界が映し出されていた。 「護衛の任務もあるけど・・・たまにはこうゆっくりしたいよね」 「うん・・・・でも、やっぱり和樹ちゃんと二人きりが一番幸せ♪」 そう言い、和樹の腕に胸をぎゅっと押し付けるネカネ。和樹は紅くなりながらも、ネカネのしたいようにさせていた。 「は〜・・・・こんな綺麗な木の並木道・・・・流れるように見てみたいな・・・」 「やってみる?」 「え、出来るの?」 「もちろん!」 和樹はそう言うと、右腕を前に突き出しながら、一台の“愛馬”を呼ぶ。 「ロードセクター!!」 和樹の声に従い、突如一陣の風が走った。そして次の瞬間、和樹たちの前には一台の大型バイクが止まっていた。 「わ〜♪」 「さ、乗って・・・お姫様♪」 和樹はロードセクターに跨ると、ネカネに手を差し出した。ネカネはそれに答え、手に取った。そして、和樹の後ろに跨る。 「しっかり掴まってて」 「うん」 ネカネはそう言うと、ぎゅ〜と抱きついた。それを確認した和樹は、フルスロットルで走り出した。 「すごーい♪」 「どう?周りの風景?」 「うん、とっても綺麗♪♪流れるように風景が切り替わってる♪」 ネカネは嬉しそうな表情でその風景を見ていた。和樹はそれを見て安心して前を見ると、青信号で手を上げて渡る幼稚園児に向かって、危機迫った表情で男がワゴンを走らせていた。 「なっ!?ネカネちゃん、少し飛ばすよ!!」 「え・・・・うん!!」 ネカネの了解を受け、和樹はスロットルを全開にした。すると、風景が消し飛び次の瞬間、轢かれそうになっていた園児を抱えてワゴンを避けた。 「ふ〜」 和樹は無事避けたことを確認すると、速度を緩めてロードセクターを止めた。 「大丈夫かい?」 「あ・・・ありがと兄ちゃん!!」 「どういたしまして!」 そう言うと、園児はとことこと道へと戻っていった。そして、和樹はネカネを下ろした。 「え、和樹ちゃん?」 「ネカネちゃん。今のワゴン・・・・あの子が目の前にいても、止まる気なかったよね?」 和樹の言葉を聞き、ネカネは全てを悟った。 「ぶっ飛ばしちゃって!!」 「了解!!」 そう言うと、和樹はすぐに道路をUターンすると、逃げたワゴン目掛けてぶっ飛ばした。どんどん速度を上げていき、遂に視界にワゴンを捉えた。 「許さないぞ・・・・・アタックシールド!!」 和樹は言うと同時に、頭を下げた。すると、和樹の頭の上でフロントガラスの上部と、後部座席との間にガードが出現した。そして次の瞬間・・・ロードセクターは音速の壁を越えた。そして、ロードセクターがワゴンを越えた瞬間、ワゴンは大爆発した。そしてその壊れたワゴンの中から、アフロ姿で大金の入った鞄を持った男が出てきた。ふらふらとなった後、男は倒れるのだった・・・。 その後帰宅した和樹とネカネは、朝倉に魔法がバレてどうしようと泣きつかれ、仕方なく朝倉の説得をする羽目になってしまった。しかし、何故かカモと朝倉の様子がおかしかったのに対し疑問を感じたが、特に注意もしずに終わった。これが、和樹の究極級の女難問題、そして3−Aに対しての好感度をMAXにしてしまう事になるとは、誰も思っていなかったであろう・・・。 |