ブレイブXX 優しさと強さが噛みあった勇気



仲丸たちが放ったミサイルが爆発した瞬間、和樹は自身の下腹部にベルトを出現させた。そしてその爆風によって起きた“風”を風車へと取り込み、和樹の身体へエネルギーとして変換する。それにより、その場から和樹は消え、一人の仮面の男が誕生する。

「いくぞショッカー!!貴様らの悪意、叩き潰してやる!!」

そう言い、ホッパーは拳を握り締め、仲丸もとい蜘蛛怪人たちに対して構える。

「ええい!!邪魔するなら蹴散らすまでだ!!いくぞーーーーー!!」

蜘蛛怪人の言葉と同時に、戦闘員たちがホッパーめがけて襲い掛かってきた。一人がホッパーに拳を放つ。しかし、ホッパーはそれを受け止めると、そのまま力任せに投げ飛ばした。

「はぁ!!たぁ!!」

続いて、ホッパーの拳が一度・二度放たれ、戦闘員たちを地に沈めていく。その戦闘力、まさに鬼神の如き戦いぶりである。しかし、ホッパーは決して“彼女たち”を危険に晒さぬよう、自身の背を彼女たちに向け、自身を壁としていた。

(やっぱり・・・・・あの人)

戦いの最中、ホッパーの背を見ながらザジが悟っていた。自分たちを庇うその姿は・・・そう、かつて赤い強化服の怪傑人として猫と少女を護っている姿を偶然見かけた時と同じ。
どんな小さな命であっても全力で護る姿に、ザジはホッパーの正体が和樹だと確信していた。

「だぁりゃぁ!!」

前方から斬りかかってくるのを転がって避けると、ホッパーは振り返り際に右足で回し蹴り・・・そしてその回転力を利用して旋風脚を叩き込んだ。それを受け、また戦闘員が吹っ飛ばされる。

「凄い・・・・仮面ライダーです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「本当だよ〜〜〜〜!!誰が変身したんだろ〜〜〜〜〜!!」

突然の登場に、ふ〜ふみ姉妹はご機嫌になっていた。まぁ、目の前に正義の味方が現れれば、普通はそうだろう。ちなみに、KKK所属の皆に関してはもうまる分かりだがw

(さすがだな・・・・自身の蹴りの回転力を利用した連続攻撃)
(いやはや、これがさきほどまでオロオロしていた和樹殿とは誰も思わないでござろうな♪)
(旋風脚とは、しなやかかつ豪胆な動きアルな♪)

武道四天王のうちの三人が感心するほど、和樹の戦闘能力は洗練されていた。魔力で強化された肉体に加え、スキルで発動している仮面ライダーの身体能力が付属されているのだ。並みの強化服を着た3−Bなんぞ、そうそう負ける事はない。

「どおおおおおおりゃあああああああああああああああああ!!」

ホッパーの魂を込めたアッパーがまた一人、ショッカーの戦闘員を吹っ飛ばした。それにより、壁へとめり込んでいく。それを見た他の戦闘員はあまりの光景に、後ずさりをし始めていた。しかし、何故か仲丸こと蜘蛛怪人だけは逃げる気配が感じられなかった。

「フッフッフ・・・・・・さすがだな・・・・式森!!」

蜘蛛怪人の放った言葉に、カメラ越しにそれを聞いていた待機組、そしてKKK以外の面々は驚きの表情を浮かべていた。しかし、当の本人であるホッパーは全く動じず、蜘蛛怪人の方を向いていた。

「ハハハ!!自分の正体を明かされても動じないとは、さすが俺たち3−Bを鎮圧するだけはある。だが、お前は俺たちを見くびっていたようだな」
「・・・どういう事だ?」

蜘蛛怪人の言葉に、初めて反応するホッパー。

「確かに、お前のような超人がいる以上、俺たちの科学力だけじゃお前を倒すなんざ無理な話だ。だが・・・・・お前と“同等”の身体能力を持っている奴が強化服を着たら、どうなると思う?」
「・・・何?」

蜘蛛怪人の言葉に疑問を覚えるホッパー。

「よく言うだろ?目には目を、歯には歯を・・・」

そう言うと、蜘蛛怪人はニヤリを不敵な笑みを浮かべ、答えた。


「ホッパーを倒すには、ホッパーの力を持って倒すとな!!」


蜘蛛怪人がそう言ってパチンと指を鳴らすと、通路の奥からコツン・コツンと歩く音が響いてきた。それが段々近づくにつれ、影の中からその姿を現した。


―――そこに現れるは、まるでホッパーを写した鏡のような存在


―――黄緑色の、バッタを思わせる仮面


―――赤き両の眼に、牙の如き鋭きクラッシャー


―――同じく紅いマフラーを首に巻き


―――紅蓮の拳に、ライダースーツを纏い


―――拳に宿る意思は見えず、ただ強さだけが存在し


―――血のような紅蓮の拳には、虚無とも言える何かを感じられる


―――今、対極の存在が降り立った。


「・・・お前は」

ホッパーの声が震える。そう、ホッパーの目の前に立つのは、何せ“もう一人”のホッパーだからだ。ただ少し違う点は、仮面の後ろから流れる金色の髪が、サラサラとなびいている事だった。それに、強化服から見て取れる体のラインは、鍛えられているとはいえ女性特有の魅力を兼ね備えていた。

「君が誰だろうと、僕は倒す。皆を護るために!!」

ホッパー“一号”はそう言い駆け出すと、もう一人のホッパーに向けて拳を放った。“二号”はそれを紙一重で避けたが、仮面までは避け切れなかったらしく、仮面にヒビが入った。そして次の瞬間、仮面が砕け散った。その素顔を見た瞬間、一号の顔が蒼白する。


「・・・・・・・・・・・・ネカネちゃん!?」


二号の仮面から出てきたのは、まるで光を失ったような瞳の・・・・ネカネだったのである。ネカネはそのまま油断した一号目掛けて、ドロップキックを叩き込んだ。それにより、一号の体は吹っ飛ばされるのだった・・・。


和樹が苦戦している頃、明日菜と刹那は風呂から上がり、浴衣に着替えて出てきていた。

「ふ〜、いい湯加減だったね刹那さん」
「はい、疲れが抜けた感じですね♪」

二人はニコニコしながら、互いの部屋へと歩き出そうとしていた。すると、突如角からスーツ姿のネギが・・・・・・・・・五人現れた。

「な、何!?」
「ね、ネギ先生が五人!?も、もしや・・・」

五人のネギを見た瞬間、刹那はネギに渡した紙型が暴走したのだと察した。すると、突如五人のネギたちが一斉に襲い掛かってきた。しかも・・・・・明日菜限定で。


「な、なんなのよコイツら!!」
「「「「「チューーーーーーーー!!!!!」」」」」


何故か明日菜めがけてキスをしようとかかってくる偽ネギたち。刹那は夕凪で切り裂こうとしたが、明日菜に食い掛かっているため仕掛けようがなかった。

「こ、こんの〜〜〜〜〜〜!!」

明日菜が強引に振り払うと、ハマノツルギを呼び出した。しかし・・・。


「な、何でハリセンなのよ〜〜〜〜!!」


運悪く、明日菜のアーティファクトはこういう時だけは中途半端なのだ(笑)。その隙を突き、偽ネギの一人が腕を伸ばして明日菜の身体に巻きついた。

「明日菜さん・・・チュー!!」
「嫌ーーーーーーーーーー!!」

偽ネギの唇が近づき、明日菜に触れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・事は無かった。何故なら、偽ネギの腕は・・・・ズバンと綺麗に切り裂かれたからである。勿論、刹那ではなく・・・・それは


「明日菜さんに・・・・・・・何をするんですかーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


魔戒騎士と化し、牙狼剣を振るうネギの姿だった。

「・・・ネギ?」
「明日菜さん、大丈夫ですか!?」
「う・・・・・・うん。大丈夫」
「下がってください」
「わ・・・・分かった」

ネギは明日菜を下がらせると、牙狼剣を構える。すると、その気配から察したのか偽ネギたちが構えると、一斉に飛び掛った。

「明日菜さんを傷つけようとした罪」

ネギは牙狼剣で向かってきた一匹目の腕を切り裂き、続く二匹目の腹を横一閃し・・・。

「許すわけにはいかない」

三匹目を上に斬り上げ、四匹目を回転して避け、着地と同時に背中を切り裂く・・・。

「その行為への罪・・・・・・地獄への通行手形にしてください!!」

五匹目の身体を、一刀両断にした。それにより、紙型たちは元に戻ってしまった。

「はぁ・・・はぁ・・・・・・」

ネギは一気に動いた反動で、疲れにより膝をついてしまった。肩で息をしながらなんとか立ち上がり、明日菜へと近づく。

「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫ですよね、明日菜さん」
「ネギ・・・・・・」
「僕は大丈夫です。明日菜さんのためなら、全てをかけて戦えますから」

そう言ってニコっと微笑むネギを見て、明日菜はネギを抱きしめた。それも、涙を流しながら。

「あ、明日菜さん!?」
「ごめんね・・・・ネギ・・・・私のせいで・・・」
「明日菜さんは悪くありません。明日菜さんを傷つけようとする奴等は、僕にとっては敵です。明日菜さんを護る事が、僕の守りし者の証であり、僕が選んだ道です」
「ネギ・・・・・・ん!!」
「え・・・明日菜さ・・・・んぶ!!」

ネギは突如の圧迫感に息が出来なかった。それもそのはず、ネギの唇は・・・・・明日菜と重なっていたのだから。ネギはバタバタとしながら離れようとしたが、明日菜の万力とも言える抱擁&キスにより脱出出来なくなっていた。

「あ・・・・・・この場は離れた方がいいですね」

ネギと明日菜のキスシーンにアワアワしながら、刹那はその場を放れたのだった。自分が向かっている方向で、彼の想い人が戦っているとは知らずに・・・。そして同時刻、カモが所持している明日菜の仮契約カードがポワっと輝いた。そしてそのカードには、この世界とは違う“運命”の世界で、落ちこぼれの投影魔術師と共に歩む、騎士王の鎧の布地を真紅に染めた鎧を纏った、明日菜の絵が描かれていた。“破魔の剣”を地面に突き刺し、悠然と立つその姿は、まさに歴戦の勇士のようだった。そして、明日菜の絵に描かれた称号が【傷ついた戦士】から、【護り立つ勇士】へと変わった。そう、今ここにネギと明日菜は仮契約から、本契約への大幅な契約変更が成立した。


「ぐは!!」

和樹はネカネの放ったドロップキックにより、壁へとめり込んだ。ピキピキと壁にヒビが入り、崩れると同時に和樹が地面に倒れる。

「な、何故だネカネさん!!何故先輩を攻撃するんだ!!」
「落ち着くでござる真名殿。あの目の色から察するに、どうやら催眠術にかかっているようでござる」

楓の指摘に、仲丸がハハハと高笑いする。

「その通り!!この通りネカネ嬢は、我々の開発した催眠光線を受け、式森対抗用の戦闘マシーンと化したのだ!!」
「な・・・・んだと」

和樹はなんとか立ち上がり、ネカネの方を向いた。目には相変わらず光は宿っておらず、まるで操り人形のようだった。


「仲丸・・・・・・貴様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


和樹はその場から瞬動で加速し跳躍すると、仲丸こと蜘蛛怪人に向かってキックを放った。しかし、それを待ち受けていたようにネカネが前に立ち、和樹の顔面を殴りつけた。それにより、和樹の顔を覆っていた仮面が砕け散り、和樹は地面へと倒れこむ。

「がはっ!!」
「無駄だ式森。我々の開発した強化服の中で、ホッパーの強化服は身体機能を大幅に上昇させる事が可能なのだ!!ただでさえ式森を守る際のネカネ嬢の強さに加え、ホッパーの強化服を纏えば、たとえ超人並みの強さを持つ式森、お前でも勝ち目はないという事だ」

地面にひれ伏す和樹を見ながら、仲丸は高笑いを続ける。そして、ネカネに指示を出した。

「さぁ、ネカネ嬢。式森を痛めつけてやれ!!」

仲丸の声に、コクンと頷いたネカネは、倒れた和樹を無理やり立たせると、ボディに二発拳を叩き込み、そのまま回転をしながら裏拳を叩き込んだ。それにより、和樹の身体は宙を舞う。しかし、その浮いている間でさえ隙が無く、浮いた和樹の身体に向けてローキックを叩き込んだ。それにより更に吹き飛び、壁に直撃してそのまま地面に叩きつけられた。

「がぁ!!」

続く追撃により、和樹は口から血を吐いた。フラフラになりつつも立ち上がるが、和樹にはどうしても反撃出来なかった。すると、突如遠くから斬撃が放たれ、ネカネの背中に当たった。ネカネや皆が振り返ると、そこには夕凪を抜刀した刹那の姿があった。

「ネカネさん、先輩に何をするんですか!!」

激昂する刹那は、そのままネカネに斬りかかった。しかし、刹那の倍速のスピードで加速したネカネは瞬時に刹那の懐に入り込む。

「・・・・・・あ」
「せっちゃん逃げてーーーーーーー!!」

このかの声が響く中、刹那の腹部目掛けてネカネの拳が放たれた。それは確実に刹那の腹部へと近づき、そして貫・・・・かなかった。何故なら・・・。


「・・・ぐ・・・・・ぐぷ・・・・・・」


その拳を、和樹は自身を持って受け止めたのだ。しかし勢いは抑えきれず、ネカネの放った拳は和樹のベルトごと、腹部を貫いていた。そして拳が抜けた瞬間・・・・・・・・・和樹は地面に倒れた。

「あ・・・・あああああああああああああああああああああああああああああ!!」

刹那はあまりの事にパニックになってしまった。それは皆も同じ反応で、画面越しに見ている面々も何がどうなっているのかよく理解していなかった。そんな中、拳をブランと垂らすネカネに、異変が起こった。

「・・・か・・・・・ず・・・・・・・き・・・・・・」

そう、倒れた和樹を見ながら、ネカネの口から和樹の言葉が出てきたのだ。そして、倒れている和樹のもとに近寄ると、そのまま座り込んだ。

「ごめん・・・・ね・・・・・・・・私の・・・・・・・せい・・・・で・・・・・」

ネカネは言葉を発すると同時に、大量の涙を流す。その涙は、和樹の頬に当たり、そのまま流れ落ちる。

「ま・・・まさか、正気に戻ったのか!?」

仲丸たちが驚く中、ネカネは自分の顔を和樹へと近づける。そして・・・。


「生きて・・・・・・・・・・和樹ちゃん」


自身の想いを込めた口付けを行なった。すると、突如和樹とネカネの周りを、強力な風が覆い始めた。それは、まるで邪気をなぎ払うが如く、悪意そのものを消し去るほどの膨大な風。

「な、何が起きてるのカモっち!?」
「わ、分からねえ!!・・・まさか、仮契約か!?」

解説側の一人と一匹が混乱する中、ようやく風が収まった。すると・・・そこには・・・。


「仲丸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・決着をつけよう」


力を使い果たしたようなネカネを抱え、その場に立つ和樹の姿があった。しかし、いつもの様子が違っていた。そう・・・・彼の両眼が・・・・・【紅】と【蒼】に染まっていたのだ。

「な、何が起きたんだ一体!?」

仲丸が混乱するのも無理はない。ネカネが行なったのは、仮契約であると同時に、ネカネ自身が本来持つ能力である。ネカネは本来、自身が契約をした相手に対し自身の魔力を流し込む事で、契約者の潜在能力を引き上げる事が出来るのだ。よって、今の和樹はネカネから貰った魔力により、【英雄】のスキルがレベルIIから、レベル“III”へと一時的に引き上げたのである。

「ネカネちゃん・・・・・・君から貰った力・・・・・・・今使うよ」

和樹はネカネを真名たちの方に寝かせると、蜘蛛怪人の方を向いた。

「仲丸、お前は僕の大切な人の心を奪った」

そう言いながら、和樹は呆然と立っていた刹那を後ろに下げ、自身の服をたくし上げた。すると、和樹の腰には二つのタイフーンの付いたベルトが巻かれていた。その瞬間、和樹の周りに暴風が巻き上がる。それは、二つの魔力が和樹の周りを纏い始める。そんな中、和樹は両腕を右上に上げると、そのまま左へとゆっくり下ろし始めた。

「あ、もしかして!!」
「あの変身ポーズは、あれしかないです!!」

再び、ふーふみが騒ぎ出す。そう、二人にはもう和樹が変身するものが分かっていたのだ。


「変身・・・・・」


そして、そのまま左上で止まると、左手を腰で握り、右手を右上に突き出した。


「V3!!」


その瞬間、辺りは閃光に包まれた。


―――そしてその場に立つのは


―――赤と白の仮面に緑の両眼


―――白い手袋にマフラー


―――そして腰には、力と技の意思の込められたベルト


―――魂の戦士、今ここに降り立つ。


「き、貴様誰だ!!」

分かりきった質問を受け、戦士は己が名を名乗る。


「僕の名は、仮面ライダーV3!!」


戦士の咆哮に、仲丸たちはビクっと身体を震えさせた。それとは反対に、3−Aの皆に至っては、和樹の声に込められた“護る”という意思に酔ってしまっていた。

「な、なんだとーーーー!!ええい、やってしまえ!!」

仲丸の言葉を受け、戦闘員たちは駆け出した。しかし・・・。

「V3パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンチ!!」

V3の放ったその一撃で、5名もの戦闘員が吹っ飛ばされ、壁にめり込んでしまった。しかしその隙を突いて、他の戦闘員が切りかかる。

「V3チョオオオオオオオオッッッッッッッップ!!」

その攻撃を、V3は手刀で弾き飛ばした。それにより、再び壁に戦闘員たちがめり込んでいった。そして、残るは仲丸のみ。

「な・・・・なな・・・・・・」
「終わりだ、仲丸!!」
「こ、この落ちこぼれがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

そう言いながら、がむしゃらに突っ込んでくる仲丸。V3はそのまま跳躍し、上空で一回転する。そして・・・。


「V3キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイック!!」

V3の必殺キックが、仲丸こと蜘蛛怪人を捉えた。そして、そのまま吹っ飛ばされ、地面に転がる。しかし、V3は更に空中で反転し、再び蜘蛛怪人を捉える。


「V3反転キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイック!!」


トドメの一撃が、蜘蛛怪人の顔面を捉えた。そして、仮面の割れた仲丸がぶっ飛ばされ、天井にめり込んでしまった。

「ふぅ・・・・」

肩で息をしながら、V3はその場に立っていた。すると、突如その場に怒声が響く。


「コラーーーーー!!何をやっとるかーーーーーーーーー!!」


麻帆良の名物教師、新田先生である。それを見た皆が正座を覚悟する中、V3が仮面を外し、和樹へと戻った。

「き、君は式森君!?何故ここに」

新田の返答に答えず、懐からバッチを取り出し、新田へと投げた。新田はそれを受け取り見てみると、フっと笑って見せた。

「なるほど、3−Bの鎮圧をしてたのかね」
「はい。今ちょうど、男子全員を叩き潰したところです」
「そうか!よくやってくれたが・・・・その服は?」
「趣味です!!」
「そうか。まぁ、気持ちは分からなくもないがね。・・・で、その後ろにいる3−Aは?」

新田の問いに、ビクっとする皆。しかし和樹は、ズバっと答えた。

「3−Bに襲われていたのを、僕が助けました。それに、彼女たちにフォローして貰わなかったら、僕も勝てたか怪しかったです」
「そうか。よし、今回の事は不問にしよう。さて、私は今からこやつらをシバキ倒そうかね」
「はい、おもいっきりぶっ飛ばしてください」
「分かった。君たちも早く寝なさい、明日も早いのだからな」

そう言うと、新田は3−B男子の足をロープで縛り、ズルズルと15人全員を引きずっていった(笑)。

「えと・・・皆、大丈夫?」

顔は和樹、首から下はV3というまたレアな格好の和樹。すると、真名が和樹に駆け寄り・・・・唇を合わせた。

「あっ!!」

誰の声だったかは定かではないが、それが引き金となり、和樹は皆にキスされる羽目になった(爆)。ちゃっかりとKKKメンバーは唇にキスをし、その他の皆は頬にキスしたのだった。その日より、KKKに入る3−Aメンバーが増えたという(笑)。


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