ブレイブXXI 牙狼と絶狼の背負う勇気
「ど〜すんのよ朝倉!?こんなにカード作っちゃって」 明日菜が複数のパクテイオー&スカカードを手に持ち、朝倉に詰め寄っていた。 「い〜じゃん、儲かったんだし♪」 「そうじゃないでしょ!!ただでさえ皆を混乱させるし、しまいには先輩変身までする羽目になったのよ!!」 「それは3−Bに言ってよ。あんな企み事しているなんて思わなかったんだし」 「まぁそれはそうだけど・・・・エロガモは?」 「あ、あっち」 朝倉が指を刺すと、そこには和樹の使い魔であるヘビ“シオン”が、カモの身体に巻きつき、万力の締め付けを行なっていた(汗) 「あ・・・・・お仕置きされてたのね(汗)」 「先輩が本気で怒っていたからね、カモっちは拷問でも受けてなさいって」 「ははは・・・」 さすがに苦笑いの明日菜。そして、ふと思い出した事を問いかける。 「そういえば、あの3−Bはどうなったの?」 「あ〜それがね。しずな先生から聞いた話だと“怒る”って台詞をいう“超人機”ってヒーローが現れて、格闘術でボコボコにしたらしいよ(汗)。あと、新田先生がポケットマネーでバイク買って、「ライダーブレイク!!」って叫びながらぶっ飛ばしていたし(汗汗)」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それやりすぎじゃない?」 「まぁ、今回は教員が全員許可したらしいわよ」 「まぁ悪で有名な3−Bだからね。これでしばらくは行動できないでしょ」 「らしいよ・・・・ところで、そこの皆さん顔緩みすぎでしょ?」 朝倉が問いかける方向には、自身のパクテイオーカードを見て微笑むKKKもとい和樹ラヴァーズの皆様が(爆)。 「そういえば、皆のアーティファクトは何なの?」 「いや、まだ試してないんでな」 「今から皆で試してみようと」 「思っていたアルよ」 「ふふふ・・・和樹ちゃんとのファーストキスの証♪」 「先輩との絆・・・とても・・・暖かく感じます」 「これがぱくていおーかーどなんや♪」 皆がそれぞれの感想を述べる中、一人ショボーンと落ち込む少女がいた。KKKで唯一キス出来なかった少女【刹那】である。 「先輩とのキスは羨ましいです・・・このかお嬢様」 「あ〜ん(涙)せっちゃん言い方戻っとる〜〜〜」 刹那をなだめるこのか。なんとか刹那が落ち着いてところで、寝ぼけ眼の和樹がふらふらしながらやってきた。 「おはよ〜皆〜」 「あ、先輩。ちょっとええか?」 「ん〜?」 いまいち理解出来ていない和樹に、このかはトンっと刹那の背中を押した。すると、見事なまでに二人の唇が・・・・重なった。そしてその瞬間、二人の周りを魔方陣が包み込んだ。 「ま・・・・まだ効力残っていたのねエロガモーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 明日菜は即座にハマノツルギでカモを思いっきりぶっ叩いた。それにより、カモの身体は全身打撲並みの重傷を負った(笑)。無論シオンはギリギリで脱出したが・・・。 それはそうと、突然のキスに和樹はワタワタと慌てだし、刹那は顔を真っ赤にして俯いてしまった。ハッキリ言ってウブな恋人である(爆)。 「コ・・・・・コホン!さて、早速アーティファクトの効力を試してみよう。アデアット!!」 「「「「「「アデアット」」」」」」 皆が声を揃えて言うと、皆の手のひらに和樹と同じギアが出現した。 「こ・・・これは」 「和樹殿の」 「持ってるギアと同じアルな」 「あ・・・やっと和樹ちゃんとお揃いだ♪」 「しかし・・・魔力は一切検知出来ません」 「何故でしょうか・・・まるで」 「何か大事なもんが抜けてるような気がするえ」 皆がそう言う中、和樹はふとその理由に気づいた。そして右手に魔力を込め始め、ギアに向けた。すると、その光を受けてギアがまるで命を吹き込まれたように輝き始めた。 「やっぱり・・・僕の魔力が始動キーになっていたんだ」 その後、和樹は皆から魔力は使ってはダメと怒られてしまった(汗)。 「さて、これからネギたちは本山に親書を届けにいくんだよね?」 「はい。明日菜さんと二人で行こうと思います」 「はいはい。付き合ってあげるわよ。ネギ」 「今回はネギが心配だから。こっちに付いていくね」 それを聞くと、今度は皆へと尋ねた。 「皆はどうする?僕はとりあえずこのかちゃんの護衛に回るけど」 「付いて行きたいのは山々だが」 「さすがに皆と班を回るのを」 「壊す訳にはいかんアル」 「私は、このちゃんの護衛をしますので」 「ウチはせっちゃんと先輩と一緒や〜♪」 皆が答える中、和樹は何かを忘れている気がしてならなかった。 「う〜ん・・・誰か忘れているような」 「忘れてるんじゃないわよ!!」 突如後ろからゴスンと鈍い音が響いた。皆が見ると、そこには♯マーク全開の暁が愛刀“炎桜”の腹で和樹の頭を殴っている姿があった。 「おはよう・・・・・暁」 「おはようじゃないわよ全く!!昨日の問題の事後処理やおとといのアンタの戦いを誤魔化すの大変だったんだから!!」 そう。神風姉弟は和樹が大暴れした後の事後処理に追われ、出番が無かったのである(汗)。 暁が怒っている間に、額に汗をかいた黄昏が合流した。 「だ・・・大丈夫か和樹?」 「・・・凄く痛い」 「だろうね(汗)。姉さんのマジ切れは俺も恐いから」 「なんですって・・・?」 ギロリと睨むと同時に、今度は黄昏が犠牲になった(爆)。 「さて、今回は私たちも近衛さんの護衛に回るわ」 「学園長から強く言われてるからね」 「ありがと二人とも。じゃ、皆。何もなければいいけど、もしもの時は連絡を忘れないでね」 和樹の言葉と共に、皆はそれぞれの行動を開始した。しかしそんな中、一人の少女が動き出そうとしていた。 「あれ、千鶴姉どこに行くの?」 「あ、ちょっと少し別行動いいかしら?後であやかたちに合流するから」 「ン〜千鶴姉が言うなら心配ないとは思うけど、気をつけてね」 「分かってるわよ、夏美ちゃん♪」 千鶴は班の皆と分かれると、一つの場所を目指して歩き出した。 「星の導きが確かなら・・・あの場所にあの子・・・小太郎くんがいる」 皆がそれぞれ別れた頃、とある場所では千草・小太郎・月詠・フェイトの四人がいた。 「さて、本山行くネギ・スプリングフィールドたちは犬上に任せるとして。フェイト、あんさんはどうするんや?」 「・・・僕が思うに、叩くべき相手は他にもいる」 「なんやて?」 「貴方が二日前に苦戦した式森和樹。そして彼と共にいる者たちも、僕たちの脅威になると思うよ」 「だったら、どうするんや?あんさんが別の奴等を叩くと?」 「いや、僕は貴方や月詠と一緒に近衛このかの奪取に専念するよ。僕の使い魔たちに、その者たちの消去を頼むまでです」 そう言うと、フェイトは数枚の札を取り出した。そしてそれに念を送ると、ふわりと浮き上がり、それぞれどこかへと飛んでいった。 「僕は近衛このかに興味はない・・・・・僕の敵は、あの御方の脅威となる・・・式森和樹だけだ」 皆に聞こえない声で、フェイトは呟くのだった・・・。 「で、なんでこんな状況になっている訳?」 「私も知りたいわ(汗)」 明日菜とネカネは今の状況に凄く疑問だった。二人はネギとの合流場所に行ったのだが、そこでは5・6の合同班に掴まり、同行する羽目になったのだ。 (ネ〜ギ〜) (あうう、ごめんなさい〜い) (しっかりなさい、ネギ) 二人の姉?に挟まれ大変な状況のネギ。そんな中、なんとかゲームセンターで抜け出し、ネギ・明日菜・ネカネの三人は本山へと向かっていた。 「それにしても、ネギはもうパートナーを見つけちゃったのね♪」 「え・・・どういう事?まだ仮契約しか・・・」 「これ・・・見てないの?」 ネカネはそう言うと、側にいたオコジョから強引にパクテイオーカードを奪い取ると、ネギに見せた。すると、そこには本契約のカードが存在したのである。 「え・・・・なんで?」 「あ〜・・・もしかして私がキスしたのが原因?」 「それはありえるぜ。何せ仮の契約を済ませて、更に契約を重ねたんだからな」 「いばるんじゃないわよ!!」 再び明日菜に蹴り飛ばされるカモ、哀れである(汗)。そういう会話が続いている内に、電車が目的地に着いたのを確認し、皆は電車を降りた。そしてそのまま進むと、一つの社が見える。 「ここから見たいね」 「そうね。皆、気を抜いちゃだめよ」 「分かってる、お姉ちゃん」 ネギは杖を、明日菜はハマノツルギを・ネカネはガトリンクをそれぞれ構えた。そして、そのまま突入を開始しようとしたその時・・・。 「大丈夫ですか?」 突如“ポン”と煙を立てて、小さい刹那が姿を見せた。 「あ、あれ?刹那さん?」 「いえ、私は紙型で作られた分身です。【ちびせつな】とお呼び下さい」 皆はちびせつなの指示を受けると、慎重に前進し始めた。すると、途中でネカネとちびせつながある事に気づいた。 「・・・どうやらやられたわね」 「はい。そのようです」 「ちょっと?どういう事なの?」 「どうやら、この辺り一帯に結界を張ったみたいね。おかげで、私たちは脱出する事が出来なくなったわ」 「「ええええええええええええええええ!?」」 その言葉に驚くネギと明日菜。 「とりあえず、この結界にもどこかに破壊出来る場所があるはずよ。それを探さないと」 「それしかないみたいね」 「・・・ま〜ちょっと待てや」 ネカネと明日菜が話していると、突如その場にいない第三者の声が響いた。皆が辺りを見回すと、突如空から土蜘蛛に乗った小太郎の姿があった。 「き、君は!?」 「へへ・・・また会ったな。西洋魔術師と思って油断したのは謝るで・・・お前、本物の剣士やな」 そう言うと、小太郎は背中から忍者刀を二本取り出し構える。 「おっと、そこの二人の姉ちゃんには動かんでもらうで」 小太郎はそう言うと、密かにネギたちの地面に忍ばせていた狗神を解放した。それにより、明日菜とネカネ、カモとちびせつなが掴まってしまった。 「明日菜さん!!お姉ちゃん!!」 「心配すんな。別にどんな事があっても女には手を出さんのがワイの主義や。ワイの望むんは・・・・お前との真剣勝負のみ!!」 小太郎のマジな視線を受け、ネギもまた戦う決意を固めた。 「魔戒騎士!!」 キーワードと共に、ネギは魔戒騎士へと変化する。そして、杖から牙狼剣を引き抜いた。 「へ・・・・おっと、そういや名前聞いてなかったな。名前・・・なんていうんや?」 「ネギ・・・スプリングフィールドだ!!」 「そうかい・・・・ワイは犬上小太郎!!さぁ、戦おうや!!」 小太郎の言葉が引き金となり、二人の剣士は激突した。 その頃、真名は裕奈を含む皆と共にUSJへと来ていた。アミューズメントパークにあまり行った事のない真名にとって、見るものは新鮮だった。 「ね〜!さっきのスパ○ダーマンのアトラクション、面白かったね〜〜〜♪」 「ああ。まさかあれほどリアルな趣向とはな」 真名も純粋にアトラクションを楽しんでいたが、やはり心の奥には不安感があった。 (先輩たちに何も無ければいいが・・・まぁ、今は楽しもう) 真名はそう割り切ると、再び皆についていった。そしてしばらく経ち正午あたり、真名たちは昼食を取る事にした。手軽なものがいいためか、簡単なファーストフードを取っていた。 「く〜〜〜!こういう場所だからこそのファーストフードも美味しい♪」 「分かるよほんと♪」 裕奈とまき絵はとてもご機嫌だったが、亜子とアキラは少しばかり疲れが見えていた。 「・・・どうした?顔色が優れないが?」 「いやね、さっきのコースターもどきでちょっと酔うてもうたんよ」 「大丈夫、亜子?」 アキラが心配する中、真名はすくっと立ち上がった。 「龍宮さん?」 「ちょっと飲み物を買ってくる。体調を直すには、何か飲んだほうがいい」 真名はそう言うと、少し離れた場所にある自販機へと向かったのだが・・・突如何かを感じとり、人気のない場所へと移動した。 「・・・もうバレているぞ」 真名がそう言うと、後ろの空間が歪みだしたと思った次の瞬間、空間から紙型が現れ、蜘蛛を擬人化したような怪物へと変化を遂げた。 「ここで現れた理由なら分かる。ここなら他者にもバレる事なく、私を抹殺出来る」 真名はそう言いながら、後ろを振り返った。 「だが・・・お前は私を甘くみた。私が願いさえすれば・・・“奴”はくるからな!!」 真名はそう言った瞬間、突如真名の上空で空間が歪んだ。そして次の瞬間、ワームホールが開いてカブト虫型のメカ昆虫が出現した。そしてそれを、真名がガッシリと手に掴んだ。そして、真名は叫ぶ。戦士の姿を纏うために必要なキーワードを・・・。 「変身!!」 真名はそう言って、メカ昆虫・・・いや、【カブトゼクター】をいつの間にか腰に巻かれていたベルトに装着した。すると、銀色の粒子が彼女の身体を纏い始める。そして全身が覆われた瞬間、強力な衝撃波が怪物を襲った。 「ギギ!?」 怪物が見た視線の先には、銀色のアーマーにベルト、蒼き瞳を持った戦士が立っていた。その姿をふ〜ふみ姉妹が見たら間違いなくこう言うだろう。 仮面ライダーカブト【マスクドフォーム】と・・・。 「はぁ!!」 「とりゃ!!」 二つの刃が幾度交錯しただろうか。ネギと小太郎は互いの力を全力でぶつけていた。 「そこだ!!」 「甘いで!!」 ネギが牙狼剣を横に振るうが、小太郎は二刀を巧みに使って防ぐ。そしてそのまま弾き上げると、小太郎は刃をネギに向けて振り下ろした。 「させるか!!」 しかし、ネギもその行動を予知しており、小太郎の腹部に蹴りを叩き込んだ。それにより、小太郎の身体が吹っ飛ぶ。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「やるや・・・ないか・・・せや!!」 「うわぁ!!」 すると、突如小太郎は片方の刃をまるでブーメランのようにネギ目掛けて投擲した。ネギはそれをなんとか防ぐが、その隙を突いて瞬動を行なった小太郎が狗神を拳に宿すと、そのままネギの頬に叩き込んだ。それにより、障壁をぶち抜いてネギにダイレクトにダメージが与えられた。 「がはっ!!」 ネギはそのまま吹っ飛ばされ、地面に転がって止まった。一方小太郎は落ちてきた刃を受け取ると、再び逆手持ちで構え直す。 「だぁぁぁぁぁぁ!!」 小太郎は再び特攻を仕掛ける。しかし、その瞬間ネギの手には魔力が宿っていた。 「魔法の射手・連弾・光の11矢!!」 地面に倒れながらも、手だけは小太郎に向けて発射した。さすがの小太郎も予想外だったため、持っていた護符を発動出来ずに吹っ飛ばされてしまう。 「はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・」 ネギは倒れそうな身体を強引に立たせると、再び刃を構える。 「ネギ・・・・」 明日菜はネギの戦いをただ黙って見ている事しか出来ない自分が悲しかった。しかし、この戦いは本気の戦い、手を出してはいけないのだと、明日菜は確信していた。 「心配?ネギのこと?」 「え・・・・いやそのあの・・・」 ネカネの問いに明日菜は顔を赤くしてワタワタする。それを見たネカネはニッコリ微笑んだ。 「大丈夫よ。あの子はああ見えて強い子だし・・・心から愛する人が見ているんだからね♪」 ネカネがそう言うと、明日菜は顔を真っ赤に染めてしまった。そんな中、緊迫した戦いの中でネギが動いた。 「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 ネギは牙狼剣を宙に掲げ、円を描きながら走り出す。 「あ・・・・ううっ!?」 それを見た小太郎の中に、突如見た事のないイメージが流れ込んだ。それを見た小太郎もまた、ネギ目掛けて走り出す。 「ワイは・・・・・・・負ける訳にいかんのやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 小太郎はその瞬間、二本の刀を上に掲げると、円を描いた。 「間違いない!!アイツは魔戒騎士だ!!」 ザルバの声がネギに聞こえるはずもなく、二人は光に包まれながら激突した。明日菜たちは目を瞑り、光が収まったのを確認し目を開けた。そこには、有り得ないような光景が写しだされていた。 「ネギが・・・・・・・・二人?」 明日菜の視線の先には・・・金の鎧を纏った狼の騎士、そして・・・銀の鎧を纏った狼の騎士が、互いに刃をぶつけ合っている光景だった。 |