ブレイブXXIV ヒーロー大集合な勇気(中編)



「天ヶ崎千草・・・このちゃんを危険に晒し、茶々丸さんも巻き込もうとした。たとえ神様や仏様やこのちゃんが許しても、このリュウケンドーが許さない!!」

リュウケンドーはそう言うと、撃龍剣を構える。

「ちっ、何がリュウケンドーや!やっておしまい!!」

千草はルビカンテに指示を出す。すると、ルビカンテは翼を広げ、咆哮を上げた。

「茶々丸さん、このちゃんを!」
「了解しました」

茶々丸はこのかを抱えると、一気に城から飛び降りた。そしてその場には、リュウケンドーとルビカンテ、千草が残った。


「はああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ大オオオオ!!」


リュウケンドーが駆け出したのを見たルビカンテは翼を羽ばたかせ、空へと飛び上がる。そしてそのまま、リュウケンドー目掛けて滑空し突っ込む。しかし、それをリュウケンドーはギリギリのところで、剣を盾代わりにして防いだ。

「くっ!!変身したのはいいけど・・・どうすれば・・・」

リュウケンドーでの戦い方をうまく理解していない刹那に、撃龍剣が答える。

『落ち着け相棒』
「あ、相棒・・・ですか?」
『そうだ。刹那よ、こいつは翼を持ち、高速移動が可能な魔物だ。倒すためには、こいつの加速を超える戦い方をすればいい』
「でも、どうすれ・・・・くぅ!!」

撃龍剣の言葉に耳を傾けている隙を突き、ルビカンテはドンと刹那を弾き飛ばした。

「ルビカンテ、このかお嬢様たちを追うで!!」

千草はルビカンテに飛び乗ると、そのまま一気に空に飛び立ち、茶々丸が移動した場所を追跡し始めた。

「しまった!!」
『落ち着け相棒。獣王を呼び出すんだ』
「じゅ、獣王とはなんですか?」
『呼べば分かる。急げ!!』
「わ、分かりました!!」

撃龍剣に急かされ、リュウケンドーはホルダーから鍵を引き抜いた。


「レオンキー!!」


リュウケンドーは撃龍剣の鍵穴を開くと、レオンキーを差込んだ。

【召喚・ブレイブレオン】

音声と共に、撃龍剣の先端から光が放たれた。そしてその光が紋章を描き出すと、そこから一匹の獣王【ブレイブレオン】が出現し、刹那の前に降り立った。

「こ・・・これは?」
『獣王【ブレイブレオン】だ。刹那、時間がない!!』
「分かってます・・・・ブレイブレオン、私に・・・このちゃんを助ける力を」

リュウケンドーがハッキリとした口調で頼むと、ブレインレオンはビークル・モードへと変化した。リュウケンドーがブレイブレオンに跨った瞬間、ブレイブレオンは疾風の如く走り出した・・・。


「はぁっ!!」
「ふん!!」

高度3000メートルの上空で、スカイライダーとフェイトは超高速のスピードで拳をぶつけていた。

「お前の目的は・・・このかちゃんじゃないな?」
「アレはあくまで別目的のためさ。僕の本来の目的はただ一つ。君を殺す事さ」
「誰の差し金かは知らないけど・・・このかちゃんに手を出すなら容赦はしない!!」

スカイライダーは右足に魔力を凝縮させると、一気に上空まで上昇し・・・そのままキックの状態でフェイト目掛けて落下し始めた。


「急降下スカイキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーック!!」


スカイライダーの重力をも込めたライダーキックが、フェイトの身体を・・・貫いた・・・・はずだった。

「な、何!?」
「僕の身体は人口的なものだから、物理攻撃で僕を倒そうとは思わない事だね」

そう、スカイライダーのキックは確かにフェイトを貫いた。しかし、貫かれた部分が液体と化し、実質ダメージを与えていなかったのである。その隙を狙い、フェイトが液状化した身体を、腰の重力低減装置に絡ませる。

「なっ!?」
「この装置が君を空中に上げているんだよね?だったら、これが壊れてしまえば・・・」

次の瞬間、スカイライダーの重力低減装置に破損が生じ、空中でのバランスが保てなくなってしまった。


「しまった!!」
「油断だね」


スカイライダーが油断した瞬間、フェイトの拳がスカイライダーの腹部に突き刺さる。


「がはっ!!」
「・・・堕ちなよ」


更に立て続けで、回し蹴りを叩き込まれた。それにより、急速にスカイライダーは地面へと落下し・・・・・地面に激突した。


「ギギ!!」
「ケケ!!」

日本橋を覆いつくすように、戦闘員たちが群がる。しかし、それを片っ端からぶっ飛ばすのが一名。そう、現在暴走中の、神風暁である(笑)。

「はいはい。雑魚は吹っ飛んで〜〜〜!!」

薙刀を構え、一騎当千が如く一振りで戦闘員たちを薙ぎ払う姿に、周りの男性や女性もカッコいいと漏らしていた。

「こんなにわらわらいるんじゃ、切り抜けようにもどうした事か・・・」

色々ぼやきながら、黄昏の振るう槍が戦闘員を貫く。すると、突如戦闘員たちが一箇所に固まり始めた。

「何してるのかしら?」
「さぁ?姉さんに恐れをなして固まってるんじゃ?」
「なんですって・・・?」

そう言って黄昏の頬を抓る暁。そうしていると突如、戦闘員たちが一つに融合し始めたのだ。それにより、先ほどの二倍の大きさへと変貌する。

「な、なんなのよ一体!?」
「・・・お約束の合体か〜」
「感心してる場合じゃないでしょ!!」

さすがの事態に、観客たちも慌てて逃げ出す。すると、そんな中で小さな女の子が、パタンと転んでしまった。

「危ない!!」

黄昏が咄嗟に女の子を抱きかかえた瞬間、巨大戦闘員に蹴り飛ばされ、建物の壁をぶち破った。

「黄昏!!・・・アンタ、よくもうちの弟を!!」

黄昏が薙刀に力を込め始めると、蒼き炎が揺らぎ始めた。それはどんどん大きくなり、まるで翼を広げた鳥のように見えた。


「神風流奥義!!“蒼炎鳥”!!」


暁が巨大戦闘員目掛けて薙刀を一閃すると、そこから蒼き炎の鳥が現れ、巨大戦闘員めがけて飛び立つ。そして、巨大戦闘員にぶつかった瞬間、蒼滅の炎がその巨体を包んだ。

「ふん!弟の仇?よ!!」

勝手に弟を殺してる(苦笑)暁は黄昏の突っ込んだ建物に近づこうとした。しかし、蒼き炎を打ち破り、再びその巨体を露わにした。

「そんな・・・奥義まで喰らって生きてるなんて・・・」

さすがの暁も、追い込まれ始めていた。そんな中、壁にめり込んでいた黄昏が意識を取り戻していた・・・。

「く・・・・・痛って〜・・・・」

壁にめり込んだ黄昏は抱えている女の子を見た。その娘はなんとか傷もなく、気絶していた。女の子をその場に寝かせると、不意に怒りが湧き上がってきた。

(このかちゃんを奪うために罪無き人まで巻き込むなんて・・・・・許せねえ・・・・アイツ等!!)

黄昏のまっすぐな怒りに、ギアが身体中に力を与えていく。そして力が全開した瞬間、黄昏は飛び出していく・・・。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

叫びと共に、瓦礫をぶち抜いて黄昏が大跳躍した。そして、建物の屋上に着地する。

「ギ・・・ギギ!?」
「黄昏!!」

突如現れた黄昏に困惑気味な巨大戦闘員と、笑顔を浮かべる暁。そんな中、黄昏はギアの力を最大限に発動させ、ある単語を発した。


「結晶!!」


その瞬間、粒子上のクリーンメタルが黄昏の身体で結晶し、その身体は、人からメタルを覆った戦士に変わる。そして、戦士は己が名を叫んだ。


「時空戦士!!スピルバン!!」


「お主やるでござるな〜♪ニンニン」
「貴方こそ〜殺気が凄いですよ〜」

ジライヤと月詠は、互いに刃をぶつけ合っていた。その動きは俊敏かつ豪快、火花散るも姿は見えずという状況となっていた。

「なら、これでも喰らうでござる!!」

ジライヤは手裏剣を取り出すと、月詠めがけて投擲する。しかし、二刀を巧みに使い、飛んでくる手裏剣を叩き落していく。

「これでは決着がつかんでござる・・・なら、いっそ互いに必殺を出してみるでござるか?」
「いいですね〜♪じゃ〜いきますよ〜」

月詠がそう言った瞬間、辺りの空気が一変した。先ほどまでの戦いによる熱気は急速に冷め、氷のような冷気が辺りを包む。まるで、天地が引っくり返ったようにも思える空気の中、一人の忍と剣士が互いの必殺を出す状態に入っていた。

「行くでござるよ・・・・・磁光真空剣(じこうしんくうけん)!!」

ジライヤは一度納めた刃を再び引き抜いた。その瞬間、刃からは輝くような光が放たれ、それと同時にジライヤの目が、蒼き眼で覆われる。

「ならウチもですな〜♪神鳴流奥義〜♪」

それに続き月詠もまた気配を全開させる。そして二つの気配が限界点に達した瞬間・・・。


「真っ向両断!!」
「斬魔剣〜!!」


刃が交錯した。その瞬間、辺りには暴風が発生し、在るもの全てを吹き飛ばす。その中心で、ジライヤと月詠はバチバチを火花散る刃をぶつけあっている・・・。

「お主には・・・・・・・守るべき者はあるでござるか?」
「ウチはあくまで雇われた身ですから〜。守るべき者はいまへんで〜」
「なら・・・・・お主の負けでござる」
「え〜?なんでですか〜?」

月詠の問いに、ジライヤは力を全開にして答えた。


「拙者には、愛すべき主君がいるでござる!!守りし者無きお主に、拙者の想いが負けるなど、決してないのでござるよ!!」


その瞬間、ジライヤの磁光真空剣が更に輝きを見せる。


「喰らうでござるよ!!楓流もといジライヤ流忍法!!【磁光四閃】斬り!!」


そして、ジライヤの残像が四つに分かれた瞬間、四つの閃光が月詠をふっ飛ばしたのだった・・・。


「う・・・・・くぅ・・・・・」

瓦礫が辺りに散らばる中、スカイライダーはなんとか瓦礫を押しのけて立ち上がった。しかし、その身には既に戦うだけの力は残っておらず、顔の仮面に限っては変身が解けてしまっていた。

「へぇ・・・あれだけのダメージを受けて、まだ立っていられるんだ」

地に降り立ったフェイトは驚きつつも、ボロボロの和樹に歩み寄る。

「く・・・・・・どんな事が・・・・あっても・・・お前を・・倒す」
「今の君じゃ無理だね。その身体じゃもう、戦う力すら残っていないだろうから」

フェイトの問いの鋭さに、和樹は顔を顰める。

「さぁ・・・・ゲームオーバーだ「グオオオオオオオオオオオオオオオ」何!?」

トドメを刺そうとしたフェイトめがけて突如、どこからか火球が放たれてきた。フェイトは間一髪それを避けると、辺りに敵がいないかを確認した。するとどうだろう・・・。


―――空に浮かぶは、真紅の龍


―――無敵の力を示す赤


―――最強を示す黄金


―――その二色を持ちし龍


―――その名を・・・無双龍と呼ぶ。


「大丈夫アルか!?」

フェイトが驚いている中、突如和樹を支える感覚があった。和樹は誰かと確認する前に答える。

「クー・・・・ちゃん」
「喋らないでヨロシ」
「でも・・・どうしてここに?」
「和樹が見つからないからギアに問いかけてみたら、何故か鏡の中から気配がしたアルよ」
「鏡・・・・そうか、どうりで人気がないんだ」

そう、フェイトが連れ込んだ世界は鏡。偶像と虚像の相反する世界の反対側に、和樹は連れてこられたのである。

「く・・・ご、ごめん。僕はしばらく変身が無理っぽい・・・」
「任せるアル!!そのために、戦う術は持ってきたアルよ!!」

そう言ってフェイトと対峙するクーフェイ。するとポケットから、龍の紋章が描かれたデッキを取り出した。そしてそれを前に突き出す。

「どうする気だい?そんな物じゃ、僕には勝てないよ」
「それは当たり前アル。これはあくまでウォーミングアップでもないアルよ」
「何・・・?」

フェイトが疑問に思っていると、突如クーフェイの下腹部にベルトが出現した。そして・・・。


「変身アル!!」


右腕を左上に伸ばす。そして・・・デッキをベルトに差し込んだ。そして・・・。


―――その身に宿すは真紅の龍


―――僕と従わせる龍の紅で身体を覆い


―――銀色の鎧を纏い


―――左腕には、龍の手甲を付け


―――鉄格子のような仮面の奥には紅き両眼


「君は・・・?」

フェイトが驚きの連続といった状態になる中、クーフェイもとい戦士が答えた。


「名乗れって言ってると思っていいアルな?なら答えるアル!!無双の龍を従わせる紅き戦士【仮面ライダー龍騎】アル!!」


さぁ、ヒーローの時間の始まりだ!!


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