ブレイブXXIII ヒーロー大集合な勇気(前編)
「あ〜ここがシネマ村なんや〜♪」 「落ち着いてください、シネマ村は逃げませんよこのちゃん」 このかと刹那が先頭で進む中、和樹たちはシネマ村に来ていた。このかの元気そうな姿を見て、和樹の顔も嬉しそうだ。 「このかちゃん幸せそうでよかった」 「まぁ、あの娘は和樹とあの刹那って娘がいれば幸せな気がするけどね」 「そうかな?」 「和樹って時々愚鈍だよな(汗)」 「ほんとほんとw」 む〜と文句言いたげな和樹の顔を見て、6班で同行している茶々丸の顔が微笑みに変わる。 「全く・・・私との本契約を強制解除させるほど、アイツへの愛は本物だな」 「(////)」 エヴァが呆れた表情で言うと、茶々丸は照れ半分申し訳なさ半分の表情になるが、エヴァの「気にするな」という言葉で、すぐに元に戻った。そんな中、和樹一行を建物の屋上から覗く影が三つ存在した。千草・月詠・フェイトの三人である。 「さて・・・これからどうしましょな?」 「今回、僕は式森の抹殺に専念します」 「私は〜刹那さんと戦いたいです〜」 「しゃ〜ない。どのみちアイツ等とは戦わなあかんしな。んじゃ、私はこのかお嬢様の奪還を優先しましょ」 三つの影はそれぞれ散った。そんな中、フェイトだけは普段のクールな表情とは全く別の顔となっていた。 「式森和樹・・・君は僕が殺す・・・・必ず」 皆はシネマ村に入ると、それぞれ時代に合わせた格好へと着替えと始めた。このかは着物、刹那は新撰組の衣装、暁は剣道着のような袴、黄昏は侍、茶々丸は何故か一部マニアに人気な巫女服と、皆個性が出すぎだった。 「それにしても、先輩遅いな〜」 「着替えに手間取っているんでしょうか?」 「黄昏、ちょっと見てきてくれる?」 「だな、りょーかい・・・って、あれ?」 様子を見に行こうと思った黄昏がふと後ろを見た。すると、ポツンの一人の黒子が立っていた。嫌な予感を感じながら、黄昏は黒子に尋ねた。 「まさか・・・和樹か?」 「・・・遅いよ(涙)」 和樹が答えた瞬間、皆はどわ〜とビックリする羽目になった。まぁ、誰でも驚くだろう。 「な、なんで黒子なん?」 「いやー、僕はあまり派手なのが苦手なんだ」 「だからって・・・これでは地味すぎでは(汗)」 「和樹らしいわね(爆)」 「うんうん(追爆) 「先輩は・・・もっとカッコいい方が似合います」 皆の意見が飛び交う中、突如一台の馬車がその場を駆けてきた。そしてそのまま、和樹たちの前で止まった。 「こんにちは〜、神鳴りゅ・・・・そこの東の洋館のお金持ちの貴婦人でございます〜」 「・・・自分でお金持ちって言うんだ」 和樹のツッコミに、さすがの月詠もズルっとコケてしまった(笑)。 「ま・・・まぁそれはおいとくとして。そこな剣士はん、今日こそ借金のカタにお姫様を貰いにきましたえ〜」 「な・・・・貴様何のつもり・・・」 「お芝居やよせっちゃん」 「なるほど・・・芝居に乗じてこのちゃんを奪おうと。なら、私はこのちゃんを命に代えても護る!!」 そう言って、刹那が声を上げる。すると、それにより周りでは拍手が起きてしまっていた。 「おろ。なにやら騒がしいでござるな」 「何してるアルか?」 突如聞き覚えのある声に和樹が振り向くと、忍び装束姿の楓と導師服のクーの姿があった。 「あれ?二人ともなんでここに?」 「拙者たちは班の皆と一緒に偶然ここに来たでござるよ」 「そしたら、和樹がいた訳アル♪」 和樹たちがそうしている間に、なにやら刹那は月詠とこのかを賭けて決闘する羽目になってしまっていた。そんな中、突如和樹のいる地面が歪みだしていた。そして次の瞬間、そこから手か現れ、和樹の足を掴んだ。 「な!?」 和樹は声を上げる前に、その身は引きずり込まれてしまった。 「和樹殿!!」 「和樹!!」 楓とクーが声を上げるが既に遅く、和樹は地面に沈んでいった・・・。 「痛てて・・・・ここは?」 和樹は突如どこかに連れてこられた事から、関西呪術協会が動いたのだと気づいた。すると、和樹の前に水が湧き出し、それは次第に人の形となった。 「お前は・・・」 「僕はフェイト。君を殺すために存在する者」 「僕を・・・・だと」 「君には死んでもらわなければならない。最悪、僕の魔法で君を強制的に魔法発動させてあげるよ」 「・・・僕の呪いを知っているのか?」 「ああ。僕は君を殺すために作られたからね。さぁ、力を使いなよ」 フェイトが促がす中、和樹はそっと右手にギアを握り締める。そしてそのギアが輝いた瞬間、和樹の腰にはベルトが巻かれていた。そしてそのまま、左腕を逆時計回りに回転させ、右腕を左斜めに突き出す。 「SKY・・・・変身!!」 和樹はそう言った瞬間、和樹の身体は緑色の身体にオレンジのマフラー、そして顔にはバッタの顔をした仮面が装着されていた。 「君は?」 フェイトの問いに、和樹は叫ぶように答えた。 「空を飛ぶ仮面ライダー・・・スカイライダーだ!!」 スカイライダーはそう言った瞬間、一気に跳躍しそのまま、フェイトめがけてライダーキックを放つ。 「甘いよ・・・フン」 フェイトはそう答えると、ドンと地面を蹴って跳躍した。そしてその誰もいない地面を、スカイライダーの攻撃が襲った。 「な・・・・どこに!?」 「ここだよ」 スカイライダーが声をした方を向くと、そこには魔力で宙に浮いたフェイトの姿があった。 「君の得意分野は空でしょ。なら、こっちで戦うのが筋だろうからね・・・」 「・・・いいだろう!!」 スカイライダーはそう言うと、両腰のスイッチの撃鉄を叩いた。 「セイリング・ジャンプ!!」 今、大空を舞台にスカイライダーVSフェイトの戦いが始まる。 場所は変わりシネマ村正門横【日本橋】。そこでは、大勢のギャラリーに見守られながら、刹那と月詠が対峙していた。 「では・・・始めましょうか・・・」 「何時でもこい・・・」 刹那は腰を深く落とし、迎撃の態勢に入る。すると、突如何かを思い出したのか月詠が十数枚の札を取り出した。 「な、何を!?」 「こういうイベントには、ギャラリーの参加も大事でしょう〜」 「なっ!?まさか、皆も巻き込む気か!!」 「安心してください〜。怪我とかはさせませんから〜。さ〜、行ってきなはれ〜。使い魔〜♪」 月詠がそう言って札を投げた瞬間、周りには紫色のタイツのような衣装を着て、渦巻のような仮面を被った怪人もとい戦闘員が現れた。 「さ、再開しまひょか〜♪」 「くっ!!」 刹那に向かって、月詠が二刀を振るう。刹那はなんとか夕凪でそれを防ぐと、ギチギチと刃が交差して火花が散る。 「最近の神鳴流は妖怪も飼っているのか?」 「あの子たちは基本的に無害です〜。私はただ、先輩と剣を交えたいだけ」 「戦闘狂か!!付き合わんぞ!!」 そのまま戦闘が開始される中、戦闘員たちはこのかを捕まえようと手を伸ばす。しかし、それを綺麗に吹っ飛ばす二人がいた。愛刀“炎桜”を構えた暁と愛鎌“風雷”を構えた黄昏である。 「ど〜する姉さん。こいつ等並の奴より出来るよ」 「しょうがないわね。黄昏、アレ使うわよ」 「やっぱりか・・・」 「「来なさい(こい)!!『爆炎双刀』『双風牙槍』!!」 二人が叫ぶと同時に、暁の腕には炎を宿した薙刀が、黄昏の腕には風を宿した槍が掴まれていた。 「さ〜て、雑魚退治よ〜〜〜♪」 「おいおい(汗)」 暁の言葉に、戦闘員たちは地面にのの字を書いていじけていた(笑)。 「・・・ウチの姉さん。危ないからね」 「ギャギャ!?」 黄昏の一言を受け、戦闘員たちはビビりに入ってしまった。 その様子を見ていたエヴァは、一つの案を茶々丸に伝える。 「しょうがないな・・・・茶々丸」 「はい」 「近衛の娘を連れてどこかに隠れろ。あいつ等は雑魚!!だろうが、数としつこさだけは一人前のようだ」 「了解しました。このかさん、こっちへ」 茶々丸に引っ張られ、このかはその場から逃げ出す。しかし、二人を振り切った戦闘員たちが茶々丸に襲いかかった・・・が。 「・・・ブロークン・ロケットデコピン」 どこぞの勇者王のような回転力で、茶々丸のアームが射出された。それは戦闘員たちの顔にあたり、皆は悶絶する羽目に。しかし・・・。 「数が多いです。ここは、あの城に隠れましょう」 凄い根性で向かってくる戦闘員を避けるため、茶々丸とこのかは城の中に入った。階段を登っていくとそこには・・・・ルビカンテを従えた千草の姿が・・・。 「・・・貴方は?」 「フフフ・・・・またお会い出来ましたで、このかお嬢様。そこの木偶人形、このかお嬢様を渡して<パコーン>あたっ!!」 千草が言い終える前に、顔面に突如空き缶が飛来した。額を抑えながら千草が空き缶を見ると、【茶々丸ちゃんに木偶なんて次言ったら、ライダー卍キックを喰らわせる】と書かれていた。 「ねぇ、今何を投げたの?」 「・・・僕の大切な人を、あの年増が侮辱したような気がしたから」 どうやら、和樹の耳は地獄耳のようだ。場所は戻り城内。 「さぁ・・・このかお嬢様を渡してもらいますえ」 千草が近づく中、茶々丸はこのかを抱きかかえて一気に屋根まで飛び上がる。しかし、そこには既にルビカンテが弓を構えて待っていた。 「なっ!!アレは!!」 「油断はいけませんえ〜」 突如ギャラリーが騒いだと思ってその先を見た刹那は、追い詰められた茶々丸とこのかを見てしまった。 「どうすればいい・・・どうすれば・・・」 刹那は強引に月詠から間合いを取って考えようとしたその時。 (我を呼べ) 「・・・え?」 突如、懐から声が聞こえた。刹那が右手で懐に手を入れると、ヒーローズギアが、赤き目をした黄金龍の紋章をした物体に変わっていた。 「・・・え、まさか」 (我がお主を呼んだ。桜咲刹那) 「は、はい」 その物体から発せられる真っ直ぐな言葉に、刹那は真剣に答える。 (我は○○○。お主の強き想いに呼ばれ、馳せ参じた) 「○○○?」 (そうだ。お主、今あの近衛の娘を助けたいのだろう) 「は・・・はい!!」 (ならば我を使え。我はお主の剣となり、力となろう!!) ○○○はそう言うと、刹那と共鳴し始めた。そして同調すると、刹那に伝える。 (行け。あの娘を助けに) 「しかし・・・月詠が・・・」 (案ずるな。既にお主の仲間が動いている) 「仲間?」 (そうだ。さぁ、早く行け!!) ○○○の声に従い、刹那はこのまのいる城へと駆け出す。しかし、そんな刹那を見逃す月詠ではない。 「先輩、逃がしませんよ〜♪」 月詠が駆け出そうとした次の瞬間!!突如どこかから手裏剣が飛来し、月詠の行く手を阻んだ。 「誰どすか〜?」 「ここでござる」 突然の声に、月詠や神風姉弟、ギャラリーがざわめく。すると、レンガで出来た建物の屋上から、それは現れた。 ―――全身を黒に忍び装束で覆い ―――手には朱色のリスト、身体には朱色の胴 ―――朱色で覆い、顔を金と白で覆った仮面。仮面の後ろからは、薄緑色の髪が束ねられ、仮面から覗かれる目は、線“目”から本気の“眼”。 ―――そして、背中には一本の忍者刀。 「どなたどすえ〜?」 月詠が尋ねると、戦士はシュンシュンとポーズを取り、名を名乗った。 「拙者の名は・・・・・ジライヤ!!」 世界中の忍者と渡り歩ける忍者が、ドロンと現れた。 「さぁ・・・・一歩でも動いたら、このかお嬢様を傷つける羽目になります。とっとと渡した方が、あんさんの身のためだと思いますえ」 「・・・」 茶々丸はなんとかこの場を切り抜ける手段を検索していた。しかし、一つたりとも該当例が検索されなかった。 「さぁ・・・・はよ渡し」 千草がそう言っていると、突如突風が吹いた。それによりこのかの身体が揺れたのを見たルビカンテは、ぴゅっと矢を放ってしまった。 「あ〜〜〜〜何しとるんや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 千草が叫ぶのも虚しく、矢は茶々丸を庇おうとしたこのかの胸を・・・・射抜かなかった。それどころか、矢は綺麗に切り裂かれていた。そう、このかと茶々丸の目の前には・・・。 「大丈夫、このちゃん?」 柄に龍の紋章が描かれている両刃剣を構えた、刹那の姿があった。 「な・・・・貴様は桜咲!!」 千草が驚く中、刹那は再び剣と話す。 「【撃龍剣】よ。私に力を・・・貸してくれますか?」 (ようやく心を開いてくれたな。・・・私を、熱くさせてくれるか?) 「私の・・・・このちゃんを護る強い想いで、熱くさせてみせます!!」 刹那がそう言って撃龍剣を構えなおす。すると、ルビカンテが再び矢を放った。しかし、一・二撃で矢を叩き斬った。そしてそのまま、撃龍剣の持ち手を上にスライドさせ、鍵穴を開く。 「リュウケンキー!!」 刹那は鍵を取り出すと、撃龍剣の鍵穴に差し込んだ。そしてそのまま、「発動」と叫びながら持ち手を再び下に戻す。 【チェンジ・○○○○○○―!!】 撃龍剣から響く音と共に、刹那は撃龍剣を天に向けて掲げる。 「激龍変身・・・」 刹那が天に向けた瞬間、突如撃龍剣から蒼き輝きを放った龍が飛び出した。そしてその龍は天へ昇った後、そのまま刹那めがけて落下する。 「せっちゃん!!」 このかの悲痛な叫びが響く中、このかにニコリと微笑み返す刹那。そして次の瞬間、刹那の身体に龍が降り立った。 ―――そしてその場に立つのは ―――蒼い鎧が身を包み ―――肩と胸には、白き輝きの鎧が存在し ―――腰にはベルト、右腰には鍵を収納するホルダー ―――そして、剣を宿したような蒼き仮面 「な、何者なんや!!」 「ガルル!!」 千草とルビカンテが叫ぶ中、戦士は刃を構えて名乗りを上げる。 「光と共に生まれし龍が、闇に蠢く魔を叩く!!」 そして、戦士の名は語られた・・・。 「リュウケンドー!!ライジン!!」 魔を弾く戦士が、強き想いと共に降り立つ。 |