ブレイブXXXII 未来へ紡ぐ勇気
広がる世界。その中で、二人の少年が立っていた。その身は切り刻まれ、多くの血を流していた。しかし、地につく足は決して震えておらず、また、手にン握られている剣も、ピクリとも動いていなかった。 「はぁ・・・・はぁ・・・・」 「ふう・・・・・・・は・・・」 赤茶色の髪の少年と黒髪の少年は、互いの背を預けながら自分自身である騎士と対峙していた。時間が経ち、風が舞った瞬間、両者は動いた。 「うああああああああああああああああああああああああああ!!」 「だりゃああああああああああああああああああああああああ!!」 少年・・・・ネギの刃が、騎士の持つ牙狼剣を弾き飛ばした。小太郎もまた同じで、ゼロの銀牙剣を弾き飛ばした。その瞬間、二人はまるで力を使い切ったようにへたりこんでしまった。それを見たのか、黄金騎士の鎧が・・・・・・外れた。 「あ・・・・・貴方は・・・・・・!!」 ネギの驚きと共に、運命が決着する。 「おのれ・・・・・いけ、我が従者ども!!」 カズキの言葉に従い、地面から這い出る魔物たち。しかし、皆はまったく恐れる様子もなく、余裕の表情だった。 「アイヤ〜、雑魚ばっかアルよ・・・・・・・・ライオブレイカー!!」 ライオの言葉に従い、手にはライオブレイカーが握られる。そして、それを構えて一気に飛び出した。 「ハイヤー!!」 ライオブレイカーを一振りするだけで、魔物たちが吹き飛ばされていく。すると、その吹き飛ばされてきた魔物たちと、リュウガンオーが撃ち落す。 「私が落とすから、ジャンジャンぶっ飛ばしてきてね♪」 「了解アル♪」 その言葉通り、ライオはポンポンぶっ飛ばしていく。そしてそれを、今度はドラゴンショットで一匹十発分叩き込んでいく。 「あらら、これは弱いものいじめにも見えるわね」 そう言いながら、ビートホークに炎を纏わせてぶった斬るビートル。 「姉さん。相手は雑魚なりにも挑むのが宿命なんだから」 そう言って、イーグルブラスターから風弾を発射するイーグル。そうしている内に、魔物たちが一斉に突っ込んできた。 「ガムシャラアルか?なら、一気にいくべしアル」 そう言ってライオは、ライオブレイカーに“コスモカプセル”ライオン1を埋め込んだ。それにより、ライオブレイカーには強力な炎が宿る。 「一気に逝くアル!!ライオブレイカー【獅子炎撃】!!」 コスモカプセルと気の力を融合させた獅子が出現すると、一気に魔物の軍勢を蹴散らし(踏み倒していくとも言う)ていった。 「あ〜あ・・・」 「出番無しだね」 ビートルとイーグルはため息をつきながら、雑魚どもを処分していくのだった・・・。 「喰らえ!!ダガースパイラルチェーン!!」 リュウケンドーはマダンダガーを召喚すると、魔法の縛りで魔物を縛り上げた。そこへ、リュウジンオーが走りこんで切り裂く。 「それにしても、数だけは多いでござるな〜」 「まぁ、先輩のクローンですから、魔力は高いのでしょう」 「それにしても、またタチの悪い攻撃をしてくるでござる」 「それじゃ、私たちも一気に叩きのめしましょう!!」 「そうでござるな」 リュウケンドーはそう言うと、サンダーキーをホルダーから抜き取り、撃龍剣へと差し込んだ。 「雷電武装!!」 雷の龍がリュウケンドーの身体を覆う。 「サンダーリュウケンドー!!ライジン!!」 サンダーの力を宿したリュウケンドーは、リュウジンオーとともに獣王を呼び出す。 「「いでよ!!サンダーイーグル(デルタシャドウ)!!」 リュウケンドーは撃龍剣をツインエッジ撃龍剣へと変化させ、サンダーイーグルと合体する。同時に、リュウジンオーもまたデルタシャドウと合体した。 「サンダーウイングリュウケンドー!!」 「シャドーウイングリュウジンオー!!」 二人の魔弾戦士は宙を舞うと、そのまま互いの相棒にファイナルキーを差し込んだ。そしてそのまま、一気に急降下して、敵陣に突っ込む。 「ツインエッジ撃龍剣!!超雷鳴斬り!!」 「斬龍刃・・・乱撃!!」 二つの斬撃が嵐となり、魔物たちを次々とふきとばされてしまうのだった。 「ほう・・・・さすがに俺のオリジナルの下僕だけはあるな」 「下僕ではない」 「愛する・・・・・者です」 あざ笑うカズキの前に、カブトとガタックが立ちふさがる。その瞳には、怒りが宿っていた。 「喰らえ!!」 「ターゲットロックオン・・・・ガタックバルカン、砲撃開始」 カブトはクナイガンをカズキに向けるが、カズキは瞬動術で一気に避けてカブトに近づこうとするが、カブトにはそれが見えていた。 「援護を」 「了解です」 バックスとして構えていた茶々丸が、瞬動後のカズキの居場所を予測していたのだ。それを、カブトは魔眼で予知し、回避したのである。そして、瞬動が終わったカズキ目掛けて、ガタックバルカンが火を吹く。しかし、それはカズキの障壁によって防がれてしまう。 「障壁展開により、弾丸の貫通は難しいかと」 「ちっ、やってくれるな」 二人から間合いをとったカズキは、どこからか現れた“サソードヤイバー”を左手にもち、地面から這い出てきたサソードゼクターをセットした。それにより、カズキは仮面ライダーサソードへと変貌する。 「最強はこの俺だ・・・・・邪魔をするな!!」 サソードは容赦なく、二人に襲い掛かる。しかし、カブトとガタックは既にホーンをあげていた。それにより、鎧が外れる段階へと変わる。 「「キャスト・オフ」」 ホーンを引き上げた瞬間、カブトとガタックは【ライダーフォーム】へとキャストオフした。そしてそのまま、クロックアップに入る。しかし・・・。 「甘いな・・・クロックアップ!!」 なんと、サソードはキャストオフ無しでクロックアップを発動したのだ。動揺しながらも、二人はクナイガンとガタックカリバーを手に立ち向かう。 「何故だ!?何故キャストオフ無しで加速状態に入れる!?」 「それが、サソードの能力なのさ。クロックアップを二段階使いこなせるっていう優れものでね」 「解析・・・・不能」 先にクロックアップの解けた二人は、速攻でボタンを押してライダーキックの段階へと入った。そして、サソードのクロックアップが解けた瞬間、二人は走り出し、跳躍する。 「ダブル!!」 「ライダー!!」 「「キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーック!!」」 タキシオン粒子の全てを集中させたライダーキックが、サソード目掛けて襲い掛かる。しかし、サソードもまた・・・キャストオフしていたのだ。 「クロックアップ」 サソード【ライダーフォーム】が、更なる加速状態に入る。そして、一気にトドメの体勢へと入った。 「喰らえ!!ライダースラ・・・・」 ―――パコーン 「ぐは!!」 しかし、突如の飛来物によりその攻撃が防がれてしまった。そしてそのまま、クロックアップが解除される。 「だ・・・誰だ!?俺の邪魔をしたのは!!」 「俺だよ。このクソ野郎」 サソードの前には、いつの間には飲み終えただろう缶ビールを持った宗司が立っていたのだ。しかも、かなり機嫌が悪い状態で。 「俺の息子の嫁を消されたら・・・・孫が見れないだろうが!!」 「やかましい!!そんなもの俺には関係ない!!」 「関係あるわ!!ええいこうなったら、こっちだって久々にアレやってやろうじゃないか」 宗司はそう言うと、ギアを変化させてベルトを装着した。そして、そのまま・・・・・・コイル化した両手を摩擦させ、変身する!! 「変身・・・・・・ストロンガーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 強力な雷撃と共に、そこに降り立つは仮面ライダーストロンガー。 「ふ〜ん・・・でも、所詮旧型。俺みたいな最新版には、敵わないぜ!!」 サソードはそう言うと、再び二段階のクロックアップを発動させた。そして、そのままストロンガーに詰め寄るはず・・・・だった。しかし、クロックアップ状態のサソードを・・・・ストロンガーは掴んだのである。 「な、何!?」 「何を驚いてやがる。俺たちの本業は魔法使い。魔法なら、多少なりとも加速状態に入るのは造作もない」 「フン。だが、俺を掴んだからって、どうしようもないぞ?」 「分かってね〜な〜。こーゆー時は、男のロマンの“自爆”に決まっているだろうが」 「なっ!?」 「最も、俺はかろうじて生き延びるが、お前さんはどうだろうね」 ストロンガーの策を知り、唖然とするカズキ。 「喰らえや!!超電子サイクロン!!」 ストロンガーの周りを、強力な磁場が襲う。それにより、サソードの身体からは火花が散り、アーマーがどんどん破損していく。 「ぐっ!!こうなれば・・・・クロックアップ!!」 さすがに耐え切れなかったサソードは、強引にクロックアップを起動させ、ストロンガーから逃れる。それにより、ストロンガーは余裕を持って解除した。それに対しサソードは満身創痍。もうボロボロである。 「く・・・・・くそ!!出でよ、牙!!」 変身を解いたカズキの叫びに呼応するように、闇の中から牙が姿を見せる。 「ちっ・・・・・ナギの偽もんかよ・・・・こうなりゃ」 「待て」 宗司が大剣を構えたその時、静かな音でその場に・・・・福音が舞い降りた。 「・・・・闇の福音か」 「いかにも・・・・コイツとは、私がケリをつける」 「いいのか?かつての想い人の姿をした奴を?」 「いいのさ・・・・・・・アイツはもう・・・・この世には「勝手に殺すな」 ・・・え?」 突如その場に、雷鳴が走った。何かを察した牙がその場を離れると、そこには雷で出来た刃が深く突き刺さっており、その刃を握るものは・・・・どこかで見たあの男。 「ったくよエヴァ。こんな偽者と俺を間違えるんじゃねえよ」 ―――その声は、彼女にとっては十数年ぶりのもの 「俺という人間が、あんな陰険な面してる訳ねーだろ?」 ―――その生意気な口調は、彼女にとって大事なもの 「まだ信じられねえか・・・・・それなら、見せてやるよ」 ―――フードが解かれ、そこから現れるは・・・・・かの福音が愛した男。 「先代黄金騎士・・・・・ナギ・スプリングフィールド様の戦いをな!!」 ―――千の魔法使い。今、麻帆良に返り咲く。 「な、何!?」 カズキは、目の前の光景が信じられなかった。かの伝説ともいえる存在。死んだといわれていた最強男が、目の前に生きて立っているのだから。 「な、ナギスプリングフィールド!!」 「ふ〜、和樹そっくりだが・・・・・気配と表情・・・いや、全部が腐りきってるな」 「うるさい!!お前が何故生きている!!」 「世界が死んだと決め付けようが、俺は俺だ。死んだなんて言った覚えはねえ♪」 「く・・・・やれ、牙!!」 そう言うと、牙は暗黒の鎧を纏い、ナギに襲い掛かる。しかし、ナギは持っていた刃で右腕だけに鎧を纏い、それを防ぐ。 「・・・・・!!」 「生憎だが、お前の相手は俺じゃねえ・・・・二代目だ」 その言葉に、皆が気配を感じた。そしてその方向を見ると、白いコートと黒いコートを纏った・・・二人の魔戒騎士が立っていた。 「・・・・・・・・!!」 暗黒騎士も、動揺が隠せない様子だった。しかし、その様子を見てカズキがヒステリックに叫ぶ。 「何故だ!!暗黒騎士には、心がないはず!!」 「生憎だが、京都で暗黒騎士が出現したとき、俺はその暗黒に強引に干渉していたのさ。何せ、これもまた俺のコピーモドキ。不完全にしてしまったのが、お前の失敗さ」 ナギがそう言ってる中、ネギと小太郎はナギの前に立つ。そして、振り向かずに話し出した。 「父さん」 「なんだ・・・・・」 「アイツとは・・・僕たちが決着をつけます・・・・明日菜さんを救うために」 「ああ。惚れた女のために、戦え」 ナギの言葉に、ネギと小太郎は頷いた。そして、そのまま剣を天へと掲げ、円を描いた。それにより、金色と白銀の光が彼らを包む。そして・・・。 ―――その場には、黄金のマントを纏った牙狼、白銀のマントを纏ったゼロ・・・・いや、絶狼が現れる。 「・・・・・・!!」 牙が混乱する中、牙狼と絶狼は名乗りをあげた。 「我が名は牙狼!!黄金騎士だ!!」 「我が名は絶狼!!・・・・・親父の名を付けて、銀牙騎士だ!!」 二人は名乗りを上げると、互いに牙狼剣と銀牙剣を鞘から引き抜いた。すると、牙狼の剣は牙狼剣から、牙狼斬馬剣へと変化し、絶狼は二つの刃を繋げ、銀牙銀狼剣へと変化させる。そして、二人はそのまま地面を蹴って跳躍した。 「轟天召喚!!」 「銀牙召喚!!」 すると、彼らの魔戒馬が出現し、彼らの足となる。そして、そのまま一気に疾走しだした。それを見た牙が、すかさず構える。 「僕たちの攻撃に」 「二度目はねえ!!」 「今から放つこの一撃に」 「全てを」 「「賭ける!!」 二つの風は黄金と白銀の旋律を描き、牙を通り過ぎた。その瞬間、牙の鎧が砕け散る。しかし、強引に掴んだ牙狼剣を握りつぶしたのだ。そして、牙狼めがけて刃を振り下ろそうとした。しかし・・・・・・。 「受け取って!!ネギ!!」 突如の声と共に飛来した大剣を牙は掴んだ瞬間、そのまま牙を一刀両断に叩き斬った。そして、牙の目線の先には・・・苦笑を浮かべながら立つ【神楽坂明日菜】の姿があった。 「どうだい?皆強いだろ?」 皆の戦いを見ていた和樹が、カズキに尋ねる。 「く・・・・・何が貴様らを・・・・そこまで駆り立てる!!」 「護りたい、愛したい・・・そんな純粋な思いが、僕たちを動かすんだ」 「馬鹿な!!」 「僕達を舐めるな。お前なんかに、負けはしない」 「おのれ・・・・・こうなれば、我が命と引き換えに、この世界を滅ぼしてくれるわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 カズキの叫びと共に、悪のスキルが暴走を開始した。そして、カズキの姿が・・・・・・・闇の巨人へと姿を変える。そう・・・・・・【ダークウルトラマン】に。 「最後の最後でこれか・・・・・父さん」 「なんだ?」 「アイツは・・・・・・僕達でケリをつけよう」 「・・・そうだな」 「よし、いこう!!」 ―――和樹が左腕を縦に、宗司が右腕を左斜めに突き出す。 ―――それに呼応するように、和樹の左腕には【メビウスブレス】が、宗司の右腕には【ナイトブレス】が出現する。 ―――メビウスブレスのクリスタルサークルに右手をかざし、ナイトブレスにナイトソードを差し込む。 ―――そして、蒼の巨人は光【ヒカリ】となり・・・紅の巨人は・・・ 「メビウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!」 無限【メビウス】のルーキーへと、変身する。世界を賭けた最終決戦・・・・今始まる。 次回ネギまぶ・・・最終回「無限の勇気!!」 |