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大魔導士は眠らない 5話 噂のカレ(×ダイの大冒険) 投稿者:ユピテル 投稿日:04/08-04:41 No.71
「ちょっとまき絵!!」
「何、アスナ?」
朝礼が終わってみんなと一緒に廊下を歩いているとアスナに呼び止められた。その声にまき絵は足を止めると何時の間にか周りをクラスメートに囲まれていた。やはり皆考えることは同じである。
「あいつがやっぱり……」
アスナが何を言いたいのか分かったのでまき絵はすぐに頷いた。
「そうだよ、今朝助けてくれた警備員さん♪」
「「「「「おぉ~~~」」」」」
皆から感嘆の声が上がりポップについてあれこれ推測が飛び交う中、まき絵は軽い足取りで廊下を歩いていく。
「ポップさんって言うんだ……日本語上手かったけど外人さんだったんだ~」
(後で会ったらお礼言わないとね♪)
鼻歌を歌いながらまき絵は教室へと戻っていった。
大魔導士は眠らない 5話 噂のカレ
『さて、じゃあ真面目に仕事しますかね』
『頑張りください、主様』
メイランを肩に乗せたままポップは校内を警備という名の散策を開始した。確かに貰った図面ですぐさま構造を把握したが実際にその場所に行く事によりより多くの情報を収集することにした。
『しかしあの爺さん、やけに俺に仕事を押し付けるよな……』
ポップは肩を落とし溜息が幸せと一緒に漏れていく。話は数十分前に遡る。
「お主が此処を警備してもらうことは昨夜の話で分かっておるな」
「あぁ確かに覚えているが……で、俺は何処を警備すればいい」
「うむ、そのことなんじゃがな」
近右衛門自慢の髭を一撫ですると何やら含みを帯びた笑みを浮かべた。その笑みにポップは嫌な予感を感じる。
「この女子中等部を警備してくれ……」
「分かった」
静かに頷くポップ、しかし近右衛門の言葉はまだ終わらなかったのだ。
「学校内警備時間は午前八時半から午後五時までじゃよ……」
ピシッ
空間に亀裂が生じる音が聞こえた気がするのは気のせいだろうか?
「爺さん……それは何かの冗談か?」
「冗談でこんなこと言ったりせんわい」
「……マジか?」
「本気と書いてマジじゃ」
近右衛門の言うことが本気と分かるとポップは思わず天を仰いだ、もちろん見えるのは天井なのだが。二、三度頭を振るとポップは再び学園長に問いただした。
「他に言うことはないだろうな、爺さん」
思わず語気が強まるのは致し方あるまい。メイランの眼光も鋭さを増している。このまま焦らすとあの隼が襲い掛かってきそうなので近右衛門は最後の爆弾をさっさと投下することにした。
「あと夜は女子寮の警備もよろしく頼むぞぃ♪」
ビシッ!!
亀裂が深まった。絶対に間違いない!!
「警備している最中に寮に住む女子たちとイチャイチャしたりするでないぞ。何かあった時文句を言われるのはわしじゃからのぅ、ホッホッホッ」
近右衛門は楽しそうに笑うとポップの反応を伺うことにした。しかしポップは俯いているためその表情を読むことは出来ない。
ゴウッ!!!
いきなりポップから、いやポップの肩に止まる隼から巨大な闘気が放出される。その闘気につられるかのようにポップは顔を上げる。その顔はまるで能面のように表情に何も感じられない。
「メイラン……」
静かに呼ばれる名に彼女は一声を上げる。ポップの視線の先には顔を青ざめて怯える一人の老人がいるが彼の知ったことではない。その老人をポップは冷たい視線を送りながら一言、こう命じた。
「…………ゆけ」
「御意!!」
その翼をはためかせ、隼は空を駆ける、目標を殲滅するために。
「ちょい……いや何、お前さんの力を見込んで…………ぎゃーーーーーっ!!!」
老人の絶叫が学園長室に木霊したがその声を聞くものは誰もいなかった、合掌。
『思い出すだけでも腹が立つ』
『まったくですわ!』
二人ともぷんぷん怒りながら校舎を回り始めた。
では午前中の彼らの警備(散策)の一部をご紹介しよう
~~~~~~~その1~~~~~~~
「おっ!!」
二階の校舎を歩いているとふと外から声が聞こえる。ふとポップは窓に近づくと眼下には楽しそうにバレーボールを楽しむ生徒達が映った。
『ほ~あれは何かのスポーツなのかな? どう思うメイラン』
『さぁ……私には分かりませんわ』
その楽しそうな顔にポップの口元は小さく緩む。その様子を察知したメイランは慌ててポップに提案する。
『主様! あまり一箇所に留まってはいけませんよ、次行きますよ! 次!!』
「痛っ! おいメイラン突くなって!!」
【無言で突き続けるメイランの攻撃にポップは逃げ出した。】
【駄目だ、囲まれて逃げることが出来ない!】
「って誰に囲まれてるんだよ!!」
妙なナレーションに突っ込みをいれるポップ。その場を離れたことでひとまずメイランの攻撃は止んだ。
「まったく何なんだよメイラン」
『…………知りません!!』
ぷいっと顔をメイランは顔を背けた。その様子にポップは首を傾げる他なかった。
~~~~~~~その2~~~~~~~
「ふむふむ」
『どうなさいましたか』
「いや、これなんだけどさ」
ポップが何かに深く頷いているのでメイランは一体どうしたのか尋ねる。その声にポップは無言で指を指す。その指先には何か細かい文字で色々と書かれている紙が壁に張られていた。
『これはなんでしょう……御触れのようにも見えますが……』
メイリンは首を傾げる。そもそも彼の世界に紙は貴重品であるため、おいそれとは使えないのである。
「いや、昨日読んだ文献によると新聞と言うらしい……」
『新聞……ですか?』
「あぁ、どうやらここ最近起こった出来事などをみなに公表するらしい」
『やはり御触れのようなものですね』
ポップは熱心にその新聞を読む。しかし一つ疑問が生じるだろう、即ち何故ポップが日本語が読めるか、と。
その答えだが恐るべきことにポップは僅か数時間で日本語をほぼ完璧にマスターしたのである。エヴァは平仮名、カタカナ、後は簡単な漢字を教えただけだったのだが、ポップはその知識だけで辞書を速読し、理解してしまったのである。
更にはついでといって英語、ドイツ語、イタリア語、フランス語、オランダ語、中国語、ポルトガル語などの言語までもマスターしてしまった。
そのあまりの鬼才さにエヴァは驚嘆を通り越して呆れてしまった。また彼女は何故それほどの理解力を持っているかと聞いたら「旅をしていたら何時の間にかこうなった」という言葉に本気で呆れていた。
『それで主様は何を熱心に読んでらっしゃるのかしら』
メイランもポップと同じように新聞を見つめるとそこにはこう書かれてあった。
【麻帆良のデートスポットを徹底分析! カレと行くならココしかない!!】
「なるほど~」
『主様!何を読んでいるのですか!!』
「いや、この【これが子供先生の実態だ!】っていう記事に……これってネギだろって痛っ!!!」
メイランは主の言い訳(勝手に解釈)に憤怒し、爪をこれ以上ないほど食い込ませる。
「何怒ってるんだよ!」
『嘘をおっしゃらないでください!!』
「いや、本当だってぇぇぇ!!!!!」
さらに怒涛の乱れ突きがポップの頭に突き刺さる。血がダラダラと流れているが大丈夫なのだろうか?
「やめろメイラン! 頼むから!! マジで痛いから!!!」
『乙女の嫉妬を思い知ってください主様!!!』
「なんでネギに嫉妬ぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」
何故メイランが嫉妬しているのか分からないポップは結局出血多量により倒れてしまう。そこでようやくメイランは嘴を納めた。ポップは己の血でダイイングメッセージで書く。
―――――――メ……イ…………ラ……
ゴスッ!!
「ぐふっ」
最後の一撃によりポップは気を失う。その様子にメイランはまたしてもそっぽ向くのであった。
『ふん!!』
「「「「「ありがとうございました」」」」」
終了のチャイムと共にネギの授業は終了した。これから昼休みとあって教室は賑わっている。その中一人の少女はよろよろと席を立つ。
「ようやく終わったか……」
エヴァはあまりに退屈なため授業中、何度も欠伸をかいていた。まぁ途中で何度か殺気を叩きつけてネギをからかっていたりするのだが。
(坊やの授業も終わったことだしそろそろ帰るとするか)
静かに席を立つとエヴァはドアへと歩き出した。手には鞄をもっていない。やる気のなさが窺えるというものだろう。
(結局……あいつは来なかったな)
何故か未だ訪れないポップに僅かな怒りを滲ませながらエヴァはドアを開けると廊下に躍り出た。しかし突然現れた人影と彼女はぶつかってしまう。体格差が大きかったのか相手は微動だにしない。
「何処に目をつけている!!」
機嫌が悪かったため珍しく生徒に怒鳴るとその場を後にしよう、そう思っていたのに……
「おっ!ちゃんと真面目に授業受けてたみたいだな、エヴァ」
よりにもよって何故こいつなんだ……
「わ~い、お昼だ♪」
「本当に嬉しそうだな」
嬉しそうにその場でくるくる回るまき絵にアキラは苦笑いしながら弁当を取り出す。更には亜子や裕奈も各々弁当を机の上に置く。
「当たり前だよ!私が学校に行く理由は新体操と昼食のためなんだからね!!」
「マジかよ!!」
裕奈の突っ込みにまき絵が吹っ飛ぶ。向きによっては机が数台吹き飛ぶのではないか? といったオーバーリアクションである。
「まき絵~テンション高いな、ほんまに~」
「あははははっ」
まき絵は笑いながら起き上がると自分も弁当を取り出そうとした時、エヴァの怒声が耳に入った。
「エヴァちゃんが怒るなんて珍しいね~」
彼女はクラスのみんなと仲良くしようとしないことは皆知っていた。
(いつも茶々丸さんと一緒にいるんだけど今日はお休みなんだよね……)
また滅多にみなの会話に加わらないため、未だどういう人物なのか詳しく分からない。でも今まで怒鳴ることなど一度もなかったのだ。一体どうしたんだろうかと首を傾げる。
結局一体何なのかみんなでドアへと視線を向けると視線の先には忌々しそうな目で睨むエヴァと楽しそうに笑う一人の青年の姿が目に入った。
「よしよし、痛かったか……いい子いい子」
「子ども扱いするな!!」
言いながらポップはエヴァの頭をぐりぐりと撫でると怒声と共に拳が放たれる。しかし彼にいとも簡単に躱されていまう。
「まったくそう怒るなよ……」
頭を掻きながらポップは困ったような顔をする。その肩でメイランはメラメラと燃える瞳でエヴァを見つめ、彼女もメイランの視線に真正面から睨めつける。二人の間に火花が見えるのは恐らく目の錯覚である、錯覚……
「ポップさ~~~~ん!!」
いきなり大声で呼ばれポップは振り返るとそこにはスーツ姿のネギが立っていた。その姿にポップは近づいてくるネギに笑みを浮かべる。
「おぉネギ、お勤めご苦労さん。そのスーツ似合ってるじゃないか」
「そうですか!えへへへ」
頭をクシャクシャと撫でられてネギは嬉しそうに笑う。兄弟のようなその雰囲気にある種の人間は鼻から血を流し出す。
「あんた、仕事はどうしたのよ?」
ネギの後ろからアスナが姿を現す。その顔は少々不機嫌そうである。
「俺も休憩時間だからね、ちょっと様子を見にね……」
ネギの頭を撫でながらポップは顔をアスナへと向ける。
「様子を見にってあんたもしかして女の尻を追いかけてたんっ!?」
アスナの言葉は最後まで続かなかった。何故ならメイランの眼光が爛々と光っているからだ。アスナは顔を青ざめた、微妙にトラウマになりかけているようだ。
「そうだ!」
ネギは何か閃いたかのように目を輝かせる。
「ポップさん、今休憩時間なんですよね」
「そうだけど、どうしたんだネギ?」
「あのですね、よかったら一緒に昼食とりませんか?」
瞳をきらきらさせながらネギはポップを見つめる。その視線が眩しいかのように目を細めるとポップは嬉しそうに微笑んだ。
「あぁそうだな、一緒に食うか……もちろんエヴァも一緒にな!」
「私は別にいい!!」
そういいつつもエヴァはその場を動かない、いや動けずにいた。実は片方の手でネギを撫でている一方、もう片方の腕はエヴァにヘッドロックをかましていたのだ。
「そう言うなって、食べるならみんなで食ったほうがいいに決まっている」
ポップは腕をエヴァの頭から外すと彼女の頭をぐりぐりと撫で回した。
「えぇい!私は一人がいいのだ……ってそんなに荒々しく撫でるな!!」
ポップはエヴァとじゃれついていると……
「お兄さん♪」
後ろから誰かに抱きつかれた。
『なっ!?』
(主様にいきなり抱きつくとは何奴!!)
メイランの瞳に獲物を狩る猛禽類の如く煌く。ポップは何とか首を回すとその顔を見た瞬間朝の光景が蘇った。
「君は今朝の……そうか、ネギの生徒だったのか」
思わぬ偶然に驚いたのかポップは目をパチクリさせる。それは先程の頼もしい感じから愛らしい感じにシフトチェンジする行為であり、少女たちは小さく黄色い恋をあげる者がちらほらいた。
「そうだよ♪ そうだ、えっと……ポップさん?」
「何だ?」
「私たちもお食事ご一緒していいですか?」
「「「お願いします!!」」」
何時の間にかまき絵の後ろには先程助けた亜子、アキラ、裕奈の姿があった。また懇願するようなまき絵達の視線にメイランの瞳が俄か殺気立つ。
「君たちまでネギの……これも何かの縁ってやつかね」
ポップはにこりと微笑んだ。
「何の問題もないだろ、さっきも言ったけど大勢で食べたほうが美味いに決まってるんだ。大歓迎さ!」
「じゃあ私も!」
「あたしも一緒に食べたい!」
気づいたらクラスの大多数がポップの周りで誘い出していた。ポップは一瞬ビックリするが嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ中庭でピクニックでもしますか!」
「「「「「「「「「「おぉ!!!!!」」」」」」」」」」
みんなで一斉に手を天井へと突き上げた。
「だから私は……ってポップ!」
「問答無用♪」
ずるずるとポップはエヴァを引きずると3-A生徒達と共に中庭へと向かった。
中庭でみな弁当を開いたり、売店で買ったパンを食べている最中、まき絵達はポップの前に立つといきなり頭を下げる。
「あの……今朝は助けてくれてありがとうございました!!」
「「「ありがとうございました!!」」」
「いや、俺は当然のことをしたまでで……それにほら俺、警備員だし」
「その時はまだ配属されていなかったのではありませんか?」
夕映の的確な指摘にポップは思わず声を詰まらす。朝礼でも言っていたのだ『今日から』と……
「いやそうだけどさ……ただ放っておけなかっただけだ。それに人として当然だろ?」
さも当然に言うポップにみな尊敬の眼差しを向ける。今のご世代、その当たり前の行為を出来る者は決して多くはない。
「でも、多人数に一人で立ち向かうなんて普通の人じゃ無理ですよ」
その言葉に一同思わず頷く。
(俺にとったらそれこそ雑魚なんだけどな……スライムと対して変わんないし)
「そうかな……それよりこの件で俺の給料上がらないかな~~」
思わず周囲からどっと笑いが沸き起こる。その様子に満足したのかポップもつられて笑う。
(楽しい昼食になりそうだ)
それで、だ。何時の間にか俺への質問タイムになっているわけだが……何故?
「それにしてもポップさん強いんですね、ざっと二十人はいたって聞きましたけど」
「いや、相手が弱すぎなだけだよ」
本当にあっさり答えるポップに周囲から驚嘆の声が上がる。いくら腕に自信があるからといってあっさり、しかも手加減して倒すなど並大抵の腕ではない。
「ポップ! ワタシと勝負するアルよ!!」
「いや、遠慮しとく」
激しく迫る古菲をのらりくらりと躱すポップ。その様子に回りは笑いに包まれる。
「それにしても、ポップその肩の鳥って何?」
史伽の双子の姉である風香がメイランに向かって手を伸ばす。
「け~~~ん!!」
「うわっ!」
触れようとしたその瞬間、隼は嘴を開け風香を威嚇した。瞳もギラついていてはっきりいって怖い。
「こら、メイラン!」
ポップが叱ると、メイランはぷいっと風香たちから顔を逸らした。
「すまないな、この隼の名前はメイランと言って俺の相棒なんだ」
相棒という言葉にとろけそうなメイランはそのままポップに頬擦りする。
「こいつはちょっと人嫌いでな、特に女を嫌うんだ……本当はいいヤツなんだけどな」
優しく頭を撫でられメイランは嬉しそうに一声あげる。その見事な懐きように周囲は面白そうに見つめていた。
「それじゃあ私から質問いいかしら?」
マイクを片手にポップに詰め寄ったのは麻帆良パパラッチの異名を持つ朝倉和美だ。
「別に構わないが……」
サンドイッチをパクつきながらポップは気軽に答える。その返答に朝倉の瞳がキラリと光る。
「それじゃあポップさん、まずはオーソドックスにお歳はいくつですか?」
「歳か……今年で24になる」
24歳か~と、何処からか声があがる。「十歳差か~狙ってもいいかな?」やら「私って年上好きだったの!?」などの声は気にしてはいけない、決して。
「では次に出身地はどこですか?」
その問いに焦ったのはネギとアスナだ。ポップは異世界の住人である、当然この世界で生まれるはずもない。ハラハラした様子で見つめるネギたちを尻目にポップは少し陰のある表情を浮かべる。
「それがな……俺って何処で生まれたのか分からないんだよね……」
ちょっと自虐ぎみに呟くポップに周囲は動揺する。
「もしかして……記憶喪失、ですか?」
風香の双子の妹の史伽が躊躇いがちにポップに尋ねる。
「まぁ、な(その設定のほうが何かと便利だろう)……気づいた時にはこの日本にいたんだ……一応国籍は日本のものを取ったんだけどさ」
ポップはちょっと悲しそうに笑う。記憶喪失ではないが、気づいた時には麻帆良にいたわけだし一応間違ったことは言っていない。
「すみません! 嫌なこと聞いてしまって」
「気にするな、どこの生まれだろうと俺は俺なんだからな」
さっきとはうって変わって明るく笑う姿に周囲もほっとする。泣きそうな史伽の頭を撫でていたら何故か彼女に視線が集中していた。
(こうしてちょっとした同情により困る質問は大抵回避できるかな)
ポップ、結構策士である。そして数回お約束の質問の回答が行なわれついに最後の質問となった。
「じゃあ最後の質問ね、さっきの様子だとネギ先生やアスナ、それにエヴァちゃんと知り合いみたいだけど、いつ知り合いに?」
どよどよと周りが騒めく。ネギとアスナはアワアワし、エヴァは黙々と食事を取っていた。その質問にポップは一瞬エヴァを見つめ笑う、まるで子供が悪戯を思いついたような、そんな笑みだ。ポップは軽く頷くとその質問に答えた。
「ネギ達は俺が(異世界から来たため)この地で迷っていたところを助けてもらったんだよ(助けたのはエヴァたちの命だけど)」
「「「「「なるほど」」」」」
周りも納得した面持ちだ。だがしかしそれだけでは疑問を持つものもいるわけで……
「それにしてもそれだけであんなに仲良くなるものなんですか?」
亜子の質問にポップの瞳はキラリと光る。
(そう、その質問を待っていたのだ!!)
「いや~ネギは俺の親友の姿にそっくりだったんでな。それにこいつはやけに可愛いからな、まぁ俺の弟みたいなもんかな」
(本当に眼鏡を取ったらそっくりだよな、この純粋な瞳とか)
ポップに頭を撫でられてネギは嬉しそうに笑う。その笑みにいいんちょが鼻血を出して倒れているのは気にしないであげよう!
「アスナも俺の友にそっくりでな、特に暴力的なところが」
「誰が暴力的よ!!」
思わずアスナは無意識に自慢の足を振り上げる、その蹴りはポップの腕へと吸い込まれる。
「えっ!?」
突如アスナの視界が回る、世界がまわる。
ぽんっ
何時の間にかアスナはポップの腕の中に納まっていた。アスナには何が起こったのかまったく理解できずにいた。
ポップが一体何をしたかというとただ当たる瞬間アスナの足を斜め下へと逸らしアスナの蹴りの向きを変えただけである。その結果アスナが軽く宙を舞ったのだ。
人間の身体は無意識に動くことは多々ある。今回はその微妙な足の向きに身体が自然と合わせたのである。つまり日本の合気の要領だ。
周りから黄色い声が飛ぶ、自分の状況が理解できたのかアスナの顔は見る見ると赤く染まる。
「ポップ!!」
アスナがじたばたするとポップはあっさりとアスナを下ろした。
「おいおいアスナ、いきなり蹴るのは女の子としてどうかと思うぞ」
「「「「「うんうん」」」」」
「ちょっとみんなして頷かないでよ!!」
激しく同意するクラスメイトにアスナは思わず叫ぶ。
「まぁこういったところが似ていたわけだ。そして何故エヴァと仲が良いかというとな……」
これから起ころう出来事に心の中でポップは笑う。
『相変わらずです、主様』
メイランは深く溜息をついた。
「俺、エヴァの家に居候してるから♪」
「「「「「「「「えぇ~~~~~~っ!?!?!?」」」」」」」」
「ぶーーーーーーーーっ!!!」
エヴァは飲んでいたトマトジュースをものの見事に吹き出した。エヴァが周りから問い詰められて慌てる姿を見てポップはしてやったりといった面持ちだ。
「ちょっとエヴァちゃん!ポップさんとはどういった関係で?」
「い、いや私とあいつは……」
「もしかして実は二人は婚約者とかいうオチとちゃうの?」
「そんなわけあるか!!」
「つまり同棲ってこと?」
「違う~~~~!!!」
きゃーきゃーと黄色い声を出しながら盛り上がる乙女達にポップは満足げだ。
「あ~面白かった」
「あんた……鬼ね」
「そうですね……」
ネギとアスナ、それにメイランは深い溜息をついた。
「ポップーーーーーーーーー!!!!!」
――――――――――――――あぁ、お茶が美味しい
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