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大魔導士は眠らない 15話 忍び寄る影(×ダイの大冒険、オリ有り) 投稿者:ユピテル 投稿日:06/20-21:35 No.776
「くそっ!」
(そんなことがあるわけない、ありえないんだ! 何故ヤツらがココに!!)
ポップは京の空を高速で駆け抜けていた。その速度は音速の壁を越えそうなほど凄まじい。
頬を流れる汗などまるで気づかずにポップはある場所を目指していた。
突然ポップの左手に身に着けている蒼い指輪から閃光が迸る。蒼き光が収まるとポップの横に黄金の巨狼が姿を現した。
デュランはポップと共に宙を駆けていた。その瞳には微かに困惑の色を浮かべている。
「マスター」
「分かっている」
ポップは焦る気持ちを抑えて夜の闇に目を凝らした。
大魔導士は眠らない 15話 忍び寄る影
「ふ~、いい風呂だったな~ネギ」
「そうですね~」
ポップとネギは優雅に牛乳を飲んでいた、もちろん腰に手を当て一気飲みである。
喉元に冷たい冷気が運ばれ、火照った身体にこれは何ともいえぬ爽快感がある。
「「く~~~っ!!」」
思わず二人の声がハモる。その様子を眺めていたアスナたちはといえば……
「「「「親父くさい」」」」
こちらも見事にハモったのであった。
「って何でネギまでそんなポーズ取ってんのよ!」
思わずアスナはネギを指差す。ネギはその視線に首を傾げる。
「ポーズ? これですか?」
ネギは視線を己の腰に添えられている手を一度見つめ、再び視線をアスナへと向ける。その視線にアスナも頷く。
「えっと……風呂上りにはこれが常識だ! ってポップさんに……」
「あんたか!!」
叫んだアスナは己が思考を展開する前にポップに蹴り掛かっていた。その蹴りをポップは然したる反応も見せず無造作にアスナの足首を掴む。
「へっ?」
驚くアスナにポップは気にせずそのまま放り投げた。
「きゃ~~~~~~!!」
アスナは放物線に弧を描き、宿のソファーに着弾した。クッションが衝撃で跳ね上がりアスナの頭上に落ちる。
「だから女の子がそう簡単に手を出すなって……この場合は足か」
ポップは腕を組みながら何ともくだらない事を考え込んでいた。アスナはキッとポップを睨む。その視線にポップは表情を変えずにこう呟いた。
「ネコ、か……」
その言葉にアスナは思わず視線を下にずらす、そして数秒後、彼女の絶叫が宿に轟いた。
「みんな~そろそろ部屋に戻れよ~」
「「「は~~~い!」」」
俺の声で皆ぞろぞろと自分の部屋へと戻っていく。皆やけに俺と喋りたがっていたが……もしかして顔に何かついているのか?
生徒達に声をかけながら俺は部屋の見回りを続けた。まぁ俺は警備員として一応ここに来たのだからな、仕事はしないと……
「おい」
(この偉そうな物言いは……)
俺はゆっくりと後ろに振り返ると、案の定そこ立っていたのは金髪の生意気そうな少女と彼女に付き添う優しき少女だった。
「何だ、エヴァ」
「何だ……ではないだろ!」
何故か怒鳴られた、俺が何かしたか?
彼女の瞳には何故か怒気を宿していた。この修学旅行中、俺は彼女に何か嫌な思いでもさせただろうか。
俺が首を傾げているとその疑問に茶々丸とその肩に乗るチャチャゼロが静かに答えてくれた。
「マスターは寂しいのです。ポップさんが今日殆ど構ってあげていませんでしたから……」
「茶々丸!!」
「ソウソウ、ナカナカ面白カッタゾ、御主人ノ百面相ハ」
「チャチャゼロ、貴様もか!!」
顔をこれ以上ないほど真紅色に染め、エヴァは茶々丸とチャチャゼロに突っかかる。その様子にポップは思わず笑ってしまった。
「何が可笑しい!!」
「いや別に……」
エヴァは矛先をポップへと変更すると彼の袖に手をかけると揺すり出す。
ポップはそう言いつつも笑いを止められなかった。
彼女は最初どこか悟りきった雰囲気を纏っていたが今ではむしろ子供じみている。だが……
「俺は今のお前が好きだな」
その言葉にエヴァの手が動きを止めると呆然とポップの顔を見つめる。
「今……何と言った?」
「だから今のお前が好きだって……」
続けて放たれたポップの言葉に彼女の思考は完全に活動を停止した。
『お前が好きだ……お前が好きだ……お前が好きだ……お前が好きだ……お前が好きだ……お前が好きだ……お前が好きだ……』
エヴァの頭の中でエンドレスに鳴り響く魔性の言葉、微妙に文字が抜けているが乙女の思考とはそういうものなのだろう。
彼女の動きが突然止まったことにポップは首を傾げる。彼にはエヴァの状態がまるで理解できずにいたのだ。
茶々丸とチャチャゼロに何故エヴァがこのような状態に陥ったのか説明を求めたのだが……
「それは……自分で考えてください」
「マァ気ニスルナヨ」
何故か素っ気ない反応です、俺が何かしましたか? 誰か教えてください。
仕方ないので俺は茶々丸のご機嫌取りに動き出した。といっても俺が出来る事といったら……
「あの……ポップさん……」
茶々丸が困惑のせいか顔を赤く染める。今は俺は茶々丸の頭を撫でている。所詮、俺にはこのぐらいしか出来ないさ~
「いつもエヴァの側にいてくれてありがとな」
「そ、それは私はマスターのじゅ……」
「家族、だろ?」
「……そうですね」
出来るだけ明るく笑ってやると茶々丸も笑みを浮かべてくれる。よし! 機嫌が直った!!
「ポップ、オ前天然デ女殺シダナ」
「はっ? またチャチャゼロ、そんな冗談を」
「マァ背中ヲ刺サレナイヨウニ気ヲツケルンダナ」
「こ、怖いこというなよ」
思わず震えるが俺に思い当たることは何もない! どうせ俺モテた試しがないからな、ハッハッハ~はぁ~。
とりあえず俺は固まっているエヴァを起こしにかかる事にした。
「おい、エヴァ!」
「ポップは私のことが……ポップは私のことが……ポップは私のことが……ポップは私のことが……」
(さっきからずっとこの調子だ、どうしたものかな……)
暫し考え込むとある案がポップの脳裏に閃いた。
(そういえばこの前、生徒達から読まされた漫画によると確か……)
俺はゆっくりとエヴァの耳へと口を寄せると出来る限り優しげな声で一言呟いた。
『エヴァ』
その言葉と共に彼女の身体は面白いほど反応した。何故か身体全体が赤く染まっているが別に気にすることではないだろう。
ちょっと悪戯してみたくなるのが人情というものだろう、というわけで……
『エヴァ』
エヴァの身体がビクリと跳ねる。直立不動となり、指先は何故か綺麗に揃っていた。面白いのでもう一度呼びかける。
『エヴァ』
―――――ビクッ!!
耳元で囁く度にビクリと反応するエヴァが余りに面白かった為、俺は調子にのってエヴァの耳を軽く噛んでみた。いや、漫画に描いてあったんだって……
耳朶をゆっくりと、そして優しく噛んでみる。するとエヴァの身体が更に盛大に反応する。
おっ、何か鳥肌が立ってる……寒いのか?
だがそれで止める俺ではない、調子に乗って更にエヴァの耳を弄ってみる。耳朶に沿うように甘噛みし、時々耳元に小さく息を吹きかける。
すると徐々に顔が赤くなってきた、このまま行くと首まで赤くなりそうな雰囲気だ。ココで止めるべきだろうか?
いや! ココで止めたら漢が廃る!! いや、何となくそう思っただけなんだけどな。まぁそういうわけで……
(これが……絶対勝利の鍵だ!!)
という訳で……最後に舌を這わせてみた。するとエヴァは全身総毛立たせて躯を絶えず震わした。
全身は桜色に染まっており、瞳からは涙が滲み出て今にも零れ落ちそうだ。
(ホントに漫画どおりの展開だな~。もしかしてあの漫画描いてるヤツってこれやったことあるのか?)
頭に疑問が浮かぶがこうも同じ展開なのだからきっと経験しているに違いない。ポップは漫画家に対し深い尊敬の念を覚えた。
しかし彼は知らない、そんな反応をする人はいったいどういった感情を相手に抱いているかということを……
(えっと~後、俺が記憶している漫画の描写だと……)
ポップはエヴァの耳にふっと小さく息を吹きかける。
――――――ゾクゾクゾクッ!!!
エヴァの髪がネコの毛のように逆立ち、身体が完全に硬直する。そしてすでに彼女の瞳は澱んでおり焦点は定まっていなかった。
(面白いな~~)
エヴァの今までにない反応にすっかり気をよくしたポップは更に行為をエスカレートさせていく。
(そういえば他の子から読まされた漫画だと……)
ポップは首筋に唇を当てると軽く吸ってみた。するとエヴァの身体が面白いほど跳ね上がる。
その光景を茶々丸は頭から湯気が出る中、熱心に見つめていた。どうやらメモリーに刻み込んでいるらしい。
(アイツ……ホントに分かってないんだよな?)
ポップの行動に汗を一筋垂らすチャチャゼロ、人形でも汗は出るようである。
(おぉ~漫画よりナイスリアクションだな)
そのままツツッと口を首筋から動かすたびに金髪幼女の躯はビクンビクンと反応する。
暫くエヴァの反応を楽しんでいるとポップの口に何かが触れた。
それが一体なんなのか確認するため一旦エヴァから離れ、その物体を確認する。
「おい、浴衣にネックレスなんてすぐにバレるぞ。ポケットの中にでも入れておけって」
ポップはエヴァに声をかける。すると……
「お、おいエヴァ」
いきなりエヴァは座り込んでしまった。顔は朱に染まり、瞳はすでにこの世界を映してはいなかった。
ポップは一体如何したのかと慌てて彼女の様子を確かめるべく触れようとするが、茶々丸とチャチャゼロの説明により最悪の未来は防がれた。
「…………どうやらマスターは腰が抜けたようです」
「腰が? また何で?」
「ホントニ分カッテナインダヨナ?」
「だから何がだ?」
どうしてそのような状況になったのかまるで理解していないポップに二人は深い溜息を吐く。
「もういいです……それよりポップさん、先程のは人前ではやらないことをお勧めします。幸い今は人がいませんでしたが……」
「マァヤッテモイインダゼ、修羅場ガ拝メルカラナ、ケケケケケケ」
茶々丸のセンサーには周囲に人は感知されなかった。そしてチャチャゼロはケタケタと楽しそうに笑う。
ポップ……今の光景を生徒に見られたら君、刺されちゃうよ?
「そ、そうだったのか……そういえば漫画の中でも周りに人がいなかったよな~」
「漫画……ですか?」
茶々丸の疑問にポップは屈託なく笑いながら説明した。
「いやさ、前に生徒に『この漫画を読んでください!』とか言われてさ……でその漫画にさっきしたようなことが描かれてたからさ~」
「それで…………先程の行為を?」
「そうだが……拙かったか?」
「アタリマエダ、アホガ」
「誰がアホだ!!」
「オ前ダ」
「今回ばかりは姉さんに同意します」
「茶々丸まで!?」
茶々丸にまで馬鹿にされポップは床に膝をつき項垂れた。それを呆れた面持ちで見つめる茶々丸とチャチャゼロ。
「先程も申しましたがあのような行動は極力避けるべきだと私は思います」
「死ニタクナカッタラ程々ニナ~ケケケケケ」
二人はポップに忠告した。これ以上他の誰かが彼の毒牙にかからぬように……茶々丸は他にも含むものがあった、かもしれないが。
「そっか、分かった」
ポップはあっさり頷いた。こうして彼女のおかげで生徒達が放心するといった事態は未然に防がれたのであった。
ありがとう茶々丸! そしてチャチャゼロ! 君達のお陰で乙女達は救われた!! 君こそメサイアだ!!!
「コイツ、今殺ッタホウガイインジャネェカ?」
その言葉に茶々丸は何故か微妙な表情を浮かべていたと言う。
「じゃあ悪いけどエヴァのことよろしく頼むな」
「わかりました」
ポップは手を振りながらその場を離れ、再びパトロールを開始する。廊下で話している生徒達にはやく部屋に戻るように言いながら、ポップはこの宿の構造を把握していた。
たまに生徒達に部屋に連行させられそうになったがポップは何とか切り抜けると、フロントに戻っていった。
すると彼の瞳にネギとアスナ、そして刹那が何やら話し込んでいた。
(たぶん、このか関係の話だろうな……)
話に検討をつけながらポップは彼女たちの下へと向かった。
「彼らにとって見たら私は西を抜け、東についた裏切り者です」
(育ててもらった恩を忘れ、私は東についている。それでも私には守りたい人がいるのだ。私の望みは……)
「私はこのちゃんが守れればそれでいいのです」
そう、彼に言われたのだ。自分に素直に、このちゃんを守りたいと思うこの心に従えばいいのだと。
私は言いたい事を言い終えるとネギ先生達に視線を戻す。
するとアスナさんたちは私を、いえ私の後ろを見つめている?
疑問に思う私に突如冷たい感触が頬を伝わる。
「作戦会議か?ごくろうさん」
振り向いた先にはいつもの明るい笑みを浮かべたポップさんが立っていた。ポップさんの顔を見た瞬間、私の頬は一瞬にして桜色に染まった。
(先程私はポップさんの………)
先程の光景が鮮明に脳裏に浮かび上がり危うく思考が停止しかける。しかしポップさんがもう一つの缶を私の頬につけたことで何とか意識を取り戻した。
「どうした刹那さん?」
「い、いえ……」
私が急に顔を赤くしたことにアスナさんは不思議がる。ネギ先生は私が何故このような反応をしたのか分かったのだろう、彼も顔を若干赤らめ俯いていた。
「ほれ、せっかく奢ってやったんだ。さっさと飲まないと温くなるぞ」
「は、はい」
蓋を開け、一気に飲み込んだ。火照った身体が徐々に静まっていく。隅々まで冷気が行き渡る感覚に思わず頬が緩む。
やっと熱が治まりほっと小さく声が漏れる、すると安心しているところに彼の手が私の頭に置かれた。
「話は途中からだったがお前が裏切り者? 違うだろ」
私はどうもポップさんのこの手に弱い。この暖かく大きな手にどうしようもない安心感を抱くのだから。
「お前はこのかを守るという意志の下に麻帆良に行ったのだろう?」
私は小さく頷いた。ポップさんは静かに私の髪を撫でながら語る。
「たとえ西からしたら刹那は裏切り者かもしれない……でもな」
私は自然とポップさんの瞳を見つめた。彼もまた私の瞳を見つめる。
この後ポップさんがどういう顔をするか私は知っている。この後きっと……
「お前は自分を裏切らなかった。なら己からしたら裏切り者じゃないだろ?」
ほら……やっぱり笑うのだ、まるで太陽のような笑みを浮かべながら。
自然に笑みを浮かべていることに私は気づいていなかった。
「自分を曲げないこと、貫くこと……それが俺は一番大切だと思う」
そういうとポップさんは私から手を下ろすと窓の外を見つめていた。
しかし彼の視線は決して外の景色を見つめているわけではないことは私には分かっていた。
私はポップさんの横顔を見つめた。その憂いに満ちた顔を見ると何故か胸が苦しくなる。
それは何故? 何故なんですかポップさん……
突如彼の目つきが変わった。今まで憂いに満ちた瞳から驚愕、そして殺意へと。それと共に彼の気配も変わる。
いつもの太陽のような全てを包み込む陽の気からまるで刃のように全てを切り裂く陰の気へ。
その気配に私はおろかネギ先生やアスナさんも顔色を変える。彼らはポップさんの気に完全に呑まれていた。
そういう私も身体が束縛されそうだ、なんという氣なのだろう。
「……すまない」
彼の声とは思えない、あまりに冷たい声に身体が一瞬強張った。
「これから俺は周囲を見回る」
真剣な瞳で私達を見つめる。何かあったのでしょうか。
「すまんが刹那、充分に警戒してくれ。どうも嫌な予感がする」
再び視線を外へと向ける、まるで何かが見えているようだ、いや恐らく彼には見えているのだろう。
「それからアスナ、お前は常にこのかと共にいてくれ……頼んだぞ」
「分かってるわよ」
アスナさんは当然と言わんばかりだ、その様子にポップさんも頷く。
「ネギもこのかを守ってやってくれ」
「任せてください!」
ぐっとネギ先生は拳を握り締める。ポップさんはネギ先生の頭を軽く撫でると再び私に向かい合う。
「あと何かあったらエヴァたちに助けを求めてくれ、俺だと間に合わないかもしれないからな……」
私は小さく頷いた。ポップさんも軽く頷くと出口に向かって歩き出した。
「あ、あの!」
思わず私は声をかけてしまった。何故だろう……まるでポップさんじゃなくなるみたいで、怖い。
ゆっくりとポップさんは振り向いた。その顔は……いつもの彼だった。
その表情に私は心の中でほっと胸を撫で下ろした。どんなに気配が変わろうと、彼の本質はこれなのだと私は安堵した。
「……気をつけて」
その声にポップさんはいつもの笑みを浮かべこう答えた。
「任せておけ」
刹那たちと会話をしている途中、メイランの焦った声が脳内に鳴り響いた。
『主様!』
『メイランか、何かあったのか?』
『言うより見たほうが早いです。主様リンクを!』
メイランはすぐに俺に視覚のリンクを要請する。彼女がここまで焦るとは一体どういった事態なのか……俺はすぐさま彼女の視覚とリンクした。
『そんな……馬鹿な!?』
俺の、メイランの瞳には空に群がる大量のモンスターが、しかも……
『アンクルホーンに地獄の門番、それにライオネックだと!!』
何故、俺の世界のモンスターがこの世界に!? 一体何がどうなっている?……落ち着け、落ち着くんだポップ。
魔法使いはいかなる状況でも冷静に分析しなければならない。
この程度で動揺していては師匠に怒鳴られるのは火を見るより明らかだ。幾分俺は冷静さを取り戻した、しかし一体どういうことだ。
俺がこの地にいるだけでも限りなく異常な状態なのにあのモンスターの群れは一体なんだ……だがあまりグズグズ考えていられない。
あの集団が地上に降り立ったらどれ程の命が消えることかわからない。一刻の猶予もない、急がないと取り返しがつかないぞ。
彼女たちにこの事は説明しない。無駄な不安など彼女たちには不要だからだ。
この地を離れる前に俺は刹那やネギに充分な警戒を呼びかけた。何事も起こらなければそれに越したことはないんだがな。
俺がこの地を離れたらこのかを守れるのは刹那たちだけだ……念のため何か起こったらエヴァたちにも頼むようにしておいた。
すぐに駆けつけられるかどうか分からないからな。
俺はすぐさまトベルーラでメイランの下へと向かった。深夜に奔る一筋の光、それは恰も流星のようである。
空を翔けながら俺は拳を握り締り、夜の闇を睨めつけていた。
―――――――――――――歪んだ歯車が、動き出す
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