prologue episode ~遠い遠い世界の物語~ 投稿者:戯言師 投稿日:04/09-05:41 No.225
―昔々、遠い遠い世界のとても小さな国に、お姫様と妖精と一人の騎士がいました。
―お姫様はとても美しく、いつも太陽のような笑顔をしていて本当の太陽のように明るい人でした。
―妖精は綺麗な銀色の髪をしていて可愛らしく、まるで月のようでした。
―騎士はとても強く、お姫様と妖精をいつも守っていました。
―お姫様と騎士は愛し合っていて将来結婚することを誓い、妖精はそんな二人の事を見守っていました。
―ですが昔、その国の周りでとても大きな戦争が起こり、お姫様と騎士の結婚式をひらくお金もありませんでした。
―それでも、お姫様と騎士はとても幸せでした。
騎士と妖精と人形の
prologue episode ~遠い遠い世界の物語~
―三人が幸せそうに暮らしているある日、旅行に出かけたお姫様と騎士が悪い魔法使いに殺されてしまいました。
―一人残された妖精はとても悲しみました。何故なら妖精は騎士のことが好きだったのです。
―それ以上に、幸せそうにしているお姫様と騎士を見守ることの方がとてもとても大好きでした。
―それから長い長い時間がたちました。
―妖精は、可愛らしいから美しいと呼ばれるほどに成長しました。
―妖精にはあれから新しい友達が沢山できました。でも二人のことを忘れられず思い悩んでました。
―それでも、二人の分も笑えるように毎日元気に生きていました。
―そんなある日、妖精の目の前にあの大好きだった騎士が現れました。
―なんと騎士が言うにはお姫様と騎士は殺されたのではなく悪い魔法使いに攫われていたのです。
―騎士は唯一人逃げ延びたことを悔やみ、お姫様を探すために世界を回っていたのです。
―妖精は喜びました。お姫様も生きていると、それなら私も連れて行ってほしいと、騎士に言いました。
―でも騎士のすぐ隣には別の妖精がいました。
―その国は一人の騎士には一人の妖精までしか一緒に旅に出られないのです。
―その妖精は、悪い魔法使いに捕まっていたところを騎士に助けられずっとついてい行く事を誓っていました。
―騎士はまた旅に出ました。お姫様を探すために。
―一人残された妖精はただ祈り待つことしかできませんでした。
―旅を続けたある日、騎士はやっと悪い魔法使いの城にたどり着きました。
―騎士は戦いました。相手は悪い魔法使い、とてもとても強い人達です。
―それでも騎士は勝ちました。お姫様を助けるために。それだけを思って。
―やっと、お姫様のいる部屋にたどり着きました。
―扉を開けると、そこには昔と変わらない美しいお姫様が居ました。
―騎士はお姫様が無事で喜びました。
―そして、騎士がお姫様に近づこうとしました。
―だけど、お姫様には騎士の事がわかりませんでした。
―騎士は変わっていません。ただ、悪い魔法使いのせいで全身が真っ黒になり、魔法使いの血を浴びていただけです。
―そうまるで、悪い魔法使いのように。
―騎士は、何度も言いました。自分が騎士だと。
―それでも、お姫様は気がつきませんでした。
―それどころか、騎士が浴びている血をお姫様が待っている騎士の血だと思っていたのです。
―お姫様は怒りました。騎士を殺したのだ、と。勘違いしたまま。
―お姫様は直ぐに国に戻り、兵を率いれ騎士と戦う準備をしました。
―妖精は止めました。あの人は騎士だ、と。あなたを助けるためにああなったのだ、と。
―お姫様はそれを騎士が操ってるのだと思いさらに怒りを燃やしました。
―騎士は悲しみました。自分が助けた相手が自分を倒そうとしているからです。
―それでも騎士は悲しみながらも、満足していました。
―お姫様を助けられたのだから自分はもうどうなってもいい、と。
―ただ、自分の助けた妖精だけが気がかりでした。
―騎士は妖精に自分から離れて幸せになるように言いました。
―でも妖精は聞きません。騎士と居ることが自分の幸せだと言い続けました。
―騎士は諦めました。そして、今度は妖精に共に居ることと守ると誓いました。
―それからまた月日が経ちました。
―そしてとうとう、お姫様の戦う準備が終わりました。
―お姫様は騎士に対して戦いを申し込みました。
―騎士は思いました。自分だけならいい、でも妖精は巻き込めない、と。
―騎士は悩んで悩んでお姫様の申し出を受けました。
―お姫様は騎士を倒そうと全力で向かってきます。ですが騎士は愛する人に対して剣を向けることはできません。
―騎士は、結局お姫様に負けました。
―お姫様は喜びました。愛する騎士の仇を取ったと。
―残された妖精は嘆きました。なぜこんな事になったかと。
―騎士は愛する人の手によって討たれるならと負けを受け入れました。
―ですが騎士は思い出しました。妖精との誓いを。
―騎士の妖精は誓いを覚えていました。
―そして死に行く騎士を助けるためならば自らを投げ捨てる事も出来るほどに騎士を愛していました。
―騎士の妖精は魔法を唱えました。
―その魔法はどこか遠くへ行くことが出来る魔法でした。
―その魔法は騎士と妖精を光に変え、どこか遠くへ運んでいきました。
―その後に残ったのは、喜びの声、悲しみの声、そして一筋の光でした。
―騎士と妖精がどへ行ったのかは誰にもわかりません。
―でもこの物語は終わっていません。ただ騎士と妖精がどこか遠くへ行ってしまっただけなのです。