第三十三話『さくらと宴とお風呂』







関西呪術教会の本山、桜達はそこで近衛詠春の計らいで宴を楽しんでいた。

「わ〜凄いお料理だよ、知世ちゃん着て良かったね」
「そうですわね、桜ちゃんお二人とお食事なんて、知世人生最大の良き宴ですわ〜」
「と・・・知世ちゃん(汗)」

桜の達の前にある机に並べられた数々の豪勢な料理達、鯛もあれば海老もあり、はたまた鴨鍋などもそこへ鎮座している。

「でも別の世界の知世ちゃんと会った時仲良くなったけど、別の世界の私と知世ちゃんも仲が良いんだね」
「知世ちゃんは一番のお友達だからね」
「・・・・・・・・・・・」

なぜかじっと桜の方を見ているエヴァ、桜はそれに気づいて自分のさっきの言葉に注釈を入れた。

「もちろんエヴァちゃんもだけど」
「そうだ、桜は唯一私の親友に相応しい人間だからな」

そして桜の肩をポンポンと叩くエヴァ、小狼はそんな桜の行動を見ていた。

「やっぱり別世界でもサクラ姫は桜姫ですね」
「え・・・どういう意味シャオラン君?」
「世界は違えど魂も同じ人間って事おますな」
「まるで一卵性の双子だな」
「いえ・・・魂まで同じと言う事は双子以上に似ていると言う事になります」
「そうだな、たとえ一卵性の双子でDNAが同じでも魂は別々で違うからな」

鶴子・黒鋼・茶々丸・エヴァ四人そろって、二人の桜が魂まで同じ存在だと言う事を再度認識する。

「さて、そろそろ食事も目も前に並んでおますしそろそろ宴開始と行きましょか」
「「お〜いえ〜い!!!」」
「お〜いえ〜い(ボソッ)」

鶴子の言葉に二人そろっ腕を上げて大声で歓声を上げるハルナと朝倉、朝倉の後ろではさよが小さな声で朝倉の真似をしている。

「ったくいちいちうるせえガキ共だな」
「そうですか、おれは元気があって良いと思いますけど」

こうして本格的に宴が始める中、こう言ううるさいのが嫌いな黒鋼は愚痴をこぼし反対にシャオランは少し楽しんでいるようだ。




「えっ!?・・・サクラちゃんってお姫様だったの!?」
「桜・・・今頃何言ってるんだ、前々からそこに居る奴が姫姫といっていたではないか」

サクラから自分が姫だと聞いたのか今更お姫様だと言う事に気づいた桜、周りも気づいてなかったの?・・・と言う反応が桜へ送られる。

「はい・・・私達の住んでいたクロウ国の名前はもう聞きましたですよね、私そこのお姫様なんです」
「そうだったんだの凄いな〜サクラちゃん・・・お姫様か〜・・・」

机に両膝を立てもし自分がお姫様だったら・・・と言う事を創造する桜、そこへサクラがもう一つ付け加えた。

「そう言えば私は知りませんが黒鋼さんの居た日本国と言う国がある世界の知世ちゃんもお姫様なんですよ」
「そうなんだ、知世ちゃんもね〜」
「私ではありませんがなんだかテレちゃいますわ♪」

頬に手を当てて自分の事ではない?のになぜか照れている知世、そして話し込んでいると桜はふとエヴァの姿が見えない事に気がついた。

「あれっ?・・・そう言えばエヴァちゃんは?」
「トイレに行かれた様ですわ♪」

丁度その時エヴァはケルベロス達を止めに行ったようだが、桜に余計な心配をかけない様知世がさらっと嘘を答えると、突然部屋の外から盛大な爆音がエヴァとケルベロスの魔力の気配と共に聞こえてきた。

「何やってんだあいつら・・・」
「敵襲でしょうか?」
「いえ・・・違いますですわ」
「この気配は・・・またケロちゃんとエヴァちゃん喧嘩してる、こんな所で喧嘩したらバレちゃうじゃない」

そしてエヴァやケルベロスの方に気が向き始めた桜、すると桜はエヴァとケルベロスの喧嘩を止めるために席を立つ。

「今度こそおれが行ってきましょうか?」
「いえ・・・私が行ってきます皆は少し待っててね」
「こうなったケロちゃんとエヴァちゃんの喧嘩は(私か)桜ちゃんしか止められませんから」

ニコニコ笑顔で桜を見送る知世、本当にこうなったエヴァとケルベロスを止められるものは桜(又は知世)ぐらいしか居ない。
しかも机の他の席でも先程のケルベロス達を見た夕映(第三十二話参)が変に思い騒いでいた。

「疑うのなら今から見に行くですよ!」
「ハイハイ、どうせ無いんだろうけど一応見に行くか・・・」
((や・・・やばい・・・))

桜が見に行ったと言うのにへんに思い自分の目で確かめようと席を立つ夕映、ハルナはケルベロスの姿を見ず、かつ爆音など聞こえていなかったのか全く夕映の言葉を信じていないが、その席を立つ夕映をみて事を大体わかる明日菜とのどかが反応する。

「あ・・・桜さん」
「夕映ちゃん・・・」

席を立った夕映が廊下に出ようとした時、丁度桜が喧嘩を止め終わったのかエヴァと共に部屋に入って来た。

「今廊下を調べに行こうとしたですが何かありませんですか?」
「え・・・え〜っと何もなかったよ何言ってるの夕映ちゃん」

桜に言われるとすぐに廊下を確認する夕映、だがそこには獣はおろか小動物さえも居らずシーンと静かなものになっていた。

「ほら〜桜ちゃんもこう言ってんだから夕映の空耳だって」
「ですがハルナ私はこの目で見たんですよ白い羽の生えた図書館島地下で見たライオンを!」
「はいはい宴楽しも〜ね夕映〜」
「本当ですってハルナ信用するです〜!」

ハルナに図書館島で見たライオン(ケルベロス)の事を話してもその時居なかったハルナには通じずハルナに宴の席へと引きづられていく夕映、桜はそれを見てほっと一息息を吐くと自分の席へとエヴァと共に戻った。

「何とかなりましたか?」
「うん、でもエヴァちゃん・・・今度ケロちゃんと喧嘩なんかしたら本当に『替』(チェンジ)さん使うからね」
「わかっている、今度からあのぬいぐるみとは仲良くやっていくつもりだ(汗)」
「人の心と体を入れ替えるカード・・・怖ええカードだなおい・・・」

カメレオンみたいな動物絵の入った『替』(チェンジ)のカードをエヴァに見せながら言う桜にエヴァは冷や汗を欠きながらごまかし、それを聞いた黒鋼も一歩引く。

「だったらウチは若い刹那はんと変わってみたいどすなあ、もう一度あの頃の青春を取り戻すぇ」
「ちょ・・・ちょっと鶴子お姉様・・・(汗)」

そして鶴子だけは代わってみたい等と刹那を弄って遊んでいた。




「いやぁ皆で入るお風呂もいいもんどすなぁ」
「そうやな〜ワイワイ楽しくお風呂に入るのも面白いからなぁ」
「ケロちゃんまた真の姿に〜」
「戻らんからな〜」
「ええ〜〜〜」
「モコちゃん、ダメだよさっきも暴れて迷惑かけたんだから大人しく・・・ね」
「モコナ分った〜」

宴も終わると皆で仲良く浴場でお風呂に入りに着ていた。
モコナはまたケルベロスの背中に乗りたかったようだが、サクラに止められると素直にその言う事を聞く。

「それにしてもこんだけの人数なのに広いお風呂ね」
「そうですね、お屋敷も広いからお風呂も広くなるんですね」

桜達が入っている浴場は広い浴場で、桜達や明日菜達鶴子や真紅・翠星石全員含めてケロ達を除いても10人位いると言うのに普通に入れている。

「そうですわ、ですから私は二人の桜ちゃんと一緒にお風呂に入る事ができた・・・この思いではこの私一生忘れませんわ〜♪」
「「と・・・知世ちゃん・・・」」
「桜、いちいち知世の言動に反応するな、するだけ無駄だからな」

毎度毎度おなじみの知世の命名『桜ちゃん好き好き大暴走』にいつも通り汗を流す桜とサクラ、今回は二人の桜であるが完璧なまでに二人共ハモっている。

「そうだな、知世嬢ちゃんの桜嬢ちゃん好きは遺伝子レベルだからな」
「・・・って何であんたがここにいんのよ」
「あ・・・やべぇ見つかった」
「カモミール成仏しろよケケケ・・・」
「成仏しろよって・・・ちょ・・・なんでケルベロスの旦那やモコナが良くてオレッちがダメなんでさ・・・」
「それはね・・・あんたがエロいからでしょ!」
「うっぎゃ〜〜〜〜!!!!」

明日菜に見つかってしまったカモ、元々ケロちゃんには性別などないのだがカモは列記としたオス(男)その断末魔の叫びは浴場に響き渡った。

「お風呂で飲むお酒も格別どすなぁ〜」
「そうだな、日頃の疲れを何もかも忘れさせてくれる・・・」

二人共20歳以上だから日本酒をお風呂に浸かりながら飲み浸っているエヴァと鶴子。

「ケケケ・・・二人とも年取ってんな・・・」
「何か言いましたかゼロはん・・・」
「ケケケ・・・おめぇなんか知世の折檻に比べれば、怖くもなんともねぇよ」
「ほほほほほ・・・」
「鶴子お姉様を上回るほどの知世さんの折檻・・・っていったい・・・(汗)」

もうすでに知世の折檻を何回も受けているチャチャゼロはその折檻に比べて鶴子の殺気はなんともない様であざ笑っている。

「でもワイや小娘からしてみれば鶴子姉ちゃんまだまだ若いで」
「そうどすかケルベロスはん」
「なんたってワイ等はもう数百年生き取るからな、小僧の仲間のファイっちゅう魔術師もワイの見立てだと百年位生きとるんとちゃうか?」
「え・・・ファイさんってそんなに生きてるの?」
「・・・と言うかそんな数百年も生きとるもんと比べられても困りますわ」

本当に数百年も生きてる人・獣には言われたくないこの言葉、ケロちゃんからしてみれば寿命が百年もない人間はいくら爺さん婆さんでもケロちゃんより年下=若いとなってしまう。
そしてケロちゃんが言うにはファイも百年くらい生きている様で、その理由をケロちゃんは説明しだす。

「そうや、あの兄ちゃんも魔法使わん見たいやけどごっつい魔力もっとるやろ?」
「あ・・・ハイ、ファイさんは魔法をもう使わないと決めたと言ってましたから」
「魔術師っつ〜もんはそのファイ兄ちゃんみたいにごっつい魔力持っとると普通の人間と比べて凄く長命になるんや、そのためクロウも数百年生きとったからな」
「そう言えば私も聞いた事ある・・・」

ケルベロスとユエの前の主人であるクロウ・リード彼も数百年生きた魔術師であり世界最強と言われたほどの魔力の持ち主であったのだ。

「で・・・ですが高い魔力を持つものが長生きするなんて話聞いた事ありませんよ」
「そうなんか?」
「はい、どんな高い魔力を持つ魔法使いでもごく普通の人間と変わらず普通に歳を取ります、ですから寿命も変わりません」
「そうか〜、この世界の魔法使いは損しとんな〜」
「よくわかんないけど損得勘定の話じゃないんじゃない?」

ケロちゃんは高い魔力を持っていても普通の人間と寿命が同じな事に損を感じるが、それはいくら話の内容を半分も理解していない明日菜(バカレッド)であっても損得勘定の話でない事ぐらいは分る。

「高い魔力を持つ人は長生きをする、でしたら同じ魔術師の系統に入る桜ちゃんも凄く長生きすると言う事になるのでは?」
「え・・・そうなの?」

高い魔力を持つ魔術師は普通の人間とは違い長命になると言う事は桜もその例外ではなく、長命になると言う事に気づいた知世、桜はその事に気づいていなかった様でケロちゃんに聞いてみると、突拍子もない事をケロちゃんは放った。

「そうや、ワイの計算が狂いなかったら大体桜はクロウよりかもう魔力も高いし大体千年位生きるんとちゃうか?」
「「「「「「え・・・!?」」」」」」

一瞬固まり静かになる桜達、ケロちゃんもクロウ・リードの寿命から割り出した大体の数値であったが、桜もそのケロちゃんの言葉を数秒掛かって理解すると大声を出して驚いた。

「ほ・・・ほぇ〜〜〜〜せ・・・千年も〜〜〜〜!!!!」
「人間風情が千年も・・・私もう帰りたいです・・・」
「あらっ・・・私はもうこの人達の事なれたわよ」
「今私がえ〜っと、知世百年戦争ってわかるか?」

桜が千年も生きると聞きこの場から去りたくなってきた翠星石、真紅はもうこのハチャメチャな桜達になれた模様でエヴァは自分の年齢が分らずに知世に聞いて確かめる。

「は い、百年戦争と言いますのは1337年〜1453年に行なわれたフランス王国の王位継承をめぐるヴァロワ朝フランス王国と、プランタジネット朝およびラン カスター朝イングランド王国の戦いであり、そこからエヴァンジェリンちゃんの年齢を推測すると今が2003年ですから550歳〜666歳と思われます」
「ケケケ・・・サスガトモヨダナ」

すらすらと歴史の細かいところまで余裕で述べる知世、さすがは期末試験第3位と言う事だけはある。

「ひゃ〜もうすでにそれだけ生きているエヴァちゃんも凄いけど、桜ちゃんも今からそれだけ生きるんだ」
「まあ・・・それだけ生きとらんと魔力ある限り永遠に生きるわい等の主人はでけへんっちゅうこっちゃ」
「私が千年も・・・無理だよ、周りの皆普通に歳を取るんだから私一人になっちゃうよ」
「大丈夫や、この世界に来とる小僧やなくてワイ等の世界に居る小僧ももう普通の魔術師と比べて魔力がクロウ程やないけど強なってきとる、このぶんやとあの小僧も数百年生きる事になるから大丈夫や」

桜が長生きすると言う事はクロウほどではないが魔力の高い小狼も長生きすると言う事、それで桜を慰めるケロちゃんだがいたって桜は千年と言う長い年月を背負い落ち込んだままだ。

「そうだ、たとえ一人になっても私が桜の世界へ行ってやる気にする事でもない」
「エヴァちゃん・・・でも千年って言うのは・・・私まだ13歳だから・・・」
「そうだな、まだ若い桜には若すぎた・・・後五・六十年位すると桜も自覚できるようになるだろう」
「ああ・・後魔術師は何年たって老けても死ぬまで若い姿のままな事が多いからな、クロウの生まれかわりのエリオルっちゅうのも老けずに桜をまっとったやろ」

五・六十年位・・・そんなにたつと普通は爺さん婆さんになっているんだが、エリオルやファイを例に出すとそれだけ立っても桜は若いと言う事になる。
だがまだ十三歳な桜にとってはそれでも長い年月である。

「良いどすなぁ魔術師は、ウチは近頃肌のツヤが落ちてきてもう大変やのに・・・」
「い・・・いや鶴子お姉様、もうその次元の話ではないと思いますが・・・」
「刹那はんはまだまだ若いからそんな事が言えますんや、もう一回ウチも青春をおうかしたいもんやな」
「キコンシャノナヤミッテコトダナ・・・」

実は言うとお肌の●みや●わが気になりだした年齢の鶴子、しかもこの中で唯一既婚者(あたりまえだが)であることからまだまだそこからの悩みも多そうだ。

「そう言えば少し前なんですがケロちゃん、クロウってお父様の名前を言いませんでした?」
「なっ?」
「えっ?」
「ええ〜〜〜!!!」「なんやと〜〜〜〜!!!」
「えっ・・・えっ・・・なに驚いてるのケロちゃん桜ちゃん?」

サクラの父の名前がクロウだと聞くなり大声で驚く木之本桜とケロちゃん、明日菜はそれがどう言う事か全く分っていないようで、桜とケロちゃんに尋ねる。

「こう言うことでしょう、桜さんの前のケルベロスさん・ユエさんの主人と聞くクロウ・リードと言う人、その人はこの世界で言うサウザンドマスター・ネギ先生のお父さんと同じ世界最強クラス位の魔術師ですからその為桜さんは驚いてるのでしょう」
「サクラちゃんのお父さんってクロウさんだったの!?」
「は・・・はい」

再度サクラがクロウの娘であると言う事を確認する桜、本当にこの事は桜にとっては驚きな事であったようだ。

「異世界やから他のクロウがおっても不思議やないんやけどクロウが桜の父ちゃんをやっとったとはな〜・・・でそのクロウは今生きとんのか?」
「いえ・・・何年も前に死にました。その為今はお兄様がクロウ国の王様をしています」
「そうか〜、でやっぱりサクラの兄ちゃんの名前は?」
「桃矢お兄様です」

サクラの兄が桃矢と聞くと初めからそれを予想していたかの様に頭を押さえて湯船に深く浸かるケロちゃん。

「やっぱりな〜そうやと思ったで桜の兄ちゃんも桃矢兄ちゃんやで、まっちなみに父ちゃんは藤隆言うんやけどな」
「藤隆おじさんが桜ちゃんのお父さんなの?」

桜のお父さん藤隆をサクラのお父さんではないにしろ知っていたサクラ、桜はサクラに聞かれると藤隆の事を話した。

「そうだよ、お父さんは優しくって頭がよくて何でもできて大好きなお父さんだよ」
「そうですか、私の知る藤隆おじさんは王宮に仕えていた学者でしてもうすごく優しい人でした」
「・・・ですがその藤隆おじさんも数年前遺跡発掘の作業中事故で・・・」
「そうなんだ・・・・」

実は言うとその藤隆はこの世界に来ているシャオランの育ての父であるが、世界を旅する対価の為シャオラン記憶を抜かれているサクラはシャオランを除いた形でクロウ国に居た藤隆を説明する。

「こっちの桜の父ちゃんはピンピンしてんねんけどな〜やっぱり魂は同じでも違う人物、死ぬ時間は一緒やないんやな」
「まあこんな時に暗い話しないで、お姫様の方のサクラちゃんこの中でこの世界以外であった事ある人っていないの?」

そしてサクラの話で暗くなっているその場の空気を和ませようと明日菜は別の質問をサクラにする。

「ええっ・・・と黒鋼さんの居た日本国とは違う世界の知世ちゃんですがあった事があります」
「そうなんですか、光栄ですわ・・・異世界とは言え私がサクラちゃんにお会いしていたなんて」
「その時会った知世もサクラと仲良しになって凄く良くしてくれてサクラの衣装とか作ってくれたよ」
((((異世界でもかい!!!))))

モコナの言葉に皆の心が一致してハモってしまった明日菜達、やはり知世は知世で異世界でも桜ちゃん好きは変わらない様だ。

「異世界とはいえさすが知世ちゃんね・・・桜(サクラ)ちゃん好きは変わらないわ」
「そうですわ、たとえ異世界の私であろうとなんであろうと私ならば桜ちゃんが一番なのは変わりない事ですわ〜!」
「と・・・知世ちゃん・・・(汗)」
「はっはっは・・・この分じゃ黒鋼とか言う奴の居た日本国の知世も桜好きだろうな(かく言う私も桜が好きだがな)」

そんなこんなでまた周囲の空気が明るくなった浴場、その時脱衣所では女性群が入っている事を全く知らずに4人の男が脱衣所で服を脱いでいた。



「ここがお風呂場ですか?」
「はっはっは・・・広いからと言って泳いじゃだめだよネギ君」
「誰がこんな所で泳ぐんだ」
「しかし、僕達まで入って本当によろしいんですか?」
「かまわんよ、小さい事は気にしない気にしない」

桜達に全く気づかず話し合いながら服を脱いでいる小狼達、シャオランは今回の事でひけを感じているのか少し遠慮気味になっている。

「・・・ってネギ達来ちゃったわよ、ここ混浴なの!?」
「え・・・え・・・え・・・シャオラン君達来ちゃったの!?どうしようどうしよう」
「桜ちゃん落ち着いて落ち着いて」

シャオラン達が脱衣所まで来てしまった事に気づきあたふたと気が動転し途惑い始める桜、それをサクラが落ち着かせようとしているが、その横で何食わぬ顔でまったく何事もないような顔で鶴子は落ち着いている。

「別にええやないどすか、殿方達との裸の付き合いもええもんどす」
「何言ってるんですか鶴子お姉様!?」
「ケケケ・・・キコンシャノヨユウダナ」
「どれ・・・男供に桜の裸を見せるわけにはいかんし、ここは私が入ってくる前に魔法で吹き飛ばすか・・・リク・ラク・ラ・ラック・ライラック」
「だからエヴァちゃんそれはダメ〜〜〜!!!」
「ならどうするんだ桜?」

エヴァは排除すれば良いのだと呪文を詠唱し始めるがすぐに桜にとめられる。
すると考えた桜はサクラカードを二枚と封印の鍵を取り出した。

「えっと・・・こう言う時はこう言う時は・・・レリーズ・【迷】(メイズ)・【幻】(イリュージョン)!」
「魔法早!」

早撃ちのようにコンマ0.5秒で二枚同時カードを使った桜、そこへ明日菜がツッコミをいれたが問答無用で浴場の空間は歪み変わり始める。

「空間がゆがんできましたよ!?」
「これは面白い事になってきましたどすな」
「わ〜い迷路探検だ〜!」

空間が歪んだ事で余計にはしゃぎ始めたモコナ、脱衣所ではやはりネギ達が桜の魔力の気配を察知していた。

「え・・・この魔力は!?」
「何かあったのか?」
「あ・・・これは女性諸君が今このお風呂に入っているみたいですね」
「そうなんですか!?」
「これは入らない方がいい様ですな」
「そうだな・・・」

そして話も決まると服をもう脱いでいたのだがまた着始めたシャオラン達、だがネギ達はすでに廊下に女性第二群のハルナ達が脱衣所前まで来ている事に気づいていなかった。

「本当に図書館島で見たライオンが居たんですって、お昼皆が寝てしまった理由も分かりませんですし!」
「はいはい、お昼のは催眠ガスがどこかからもれてたみたいだよ、後のは夕映ちゃんの幻覚なんじゃない?」
「そうね〜私も見てなかったし・・・」
「そうやな〜」
「ははは・・・って」

ハルナ達やなぎさ達も話に夢中であったのかシャオラン達が裸の状態であるにも関わらず気づかずその戸を開けてしまった。

「わあ!」
「あ・・・」
「・・・・」

開けてしまった事で一瞬静けさが通り過ぎるこの状況、なぎさ達は自分の目の前のものを理解するとたちまち悲鳴を上げた。

「きゃ〜!!!」
「「わわわ・・・!」」
「おおう・・・美少年の裸二人・・・(特に小狼君じゅるり)」

裸をハルナ達に見られ恥ずかしくなったのか身を隠そうとするネギとシャオラン、それを見たハルナからはなぜかよだれのようなものが口から出ている。

「間違えましたです〜!」
「夕映ここにしか脱衣所ないで〜って事はお父様のエッチ〜!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あ〜本屋ちゃんが気絶した〜!」

のどかまで状況に耐え切れなくなり気絶してしまったこの状況、瞬時に気絶したのどかを朝倉が受け止める。

「と言うか早く閉んか特にそこのガキ二人、何時まで見てんだ!」
「は〜い!」

そして黒鋼に怒鳴られ戸を閉める朝倉とハルナ、脱衣所の方はこれで一件落着したのだが浴場のほうはまだ桜カードの力が継続中であった。

「あの〜今すぐにでも魔法解除できますがどうします?」
「まあこれで小僧達も桜達が入っとんの知らせれたと思うしええんとちゃうか?」
「別にええどす、桜はんの【幻】(イリュージョン)のお陰で綺麗なものが見えますし」

浴場は【幻】(イリュージョン)の効果でお星様が全体にキラキラ、まるで何百匹もの蛍が飛んでいるかの様に綺麗なものへと変わってしまっている。

「わ〜い迷路探検迷路探検〜!」
「まってモコちゃん!」
「まあ迷っても桜が解除すりゃあ皆同じ場所に居るわけやしな」
「でも間違えて脱衣所から出ちゃった場合・・・どうするの?」
「それはないやろ、この桜カード【迷】(メイズ)と【幻】(イリュージョン)抜け出るにはかなりの力が必要やし、たとえできるとしてもこん中ではワイや桜抜いて小娘や鶴子姉ちゃんぐらいや」
「ま・・・そう言う事だな」
「小娘いつのまに、突破してきたんかい?」

すると【迷】(メイズ)と【幻】(イリュージョン)を突破してきたのか別の場所へ行ってしまっていたエヴァがイキナリケロちゃんの後ろへ登場する。
これはまあよかったのだが、カードを突破できなくてしかも別の場所へと行ってしまった刹那達はと言うと・・・

「こ・・・ここはどこなのでしょう?」
「迷子になった見たいね・・・」
「お星様キラキラ綺麗です〜」
「ケケケ・・・コンナモンマットキャサクラガトクダロ」

迷子になっていたのは言うまでもなかった。




「ん〜お風呂も入ったし体も心からポッカポカだよ〜」
「そうですね」

そして先程の事から数十分後、お風呂に入り終わった桜達の体はお風呂に入った事によりポッカポカに温くなり、桜は気持ちよく知世・エヴァ・木乃香・サクラと共に廊下を歩きながら背伸びをしていた。

「色々と楽しかったぞ桜」
「今考えてみると桜ちゃん達と入っとけばよかったかな〜」
「まあまあ木乃香さん、また入る機会はいくらでもありますし」

今頃になって桜と一緒にお風呂に入っとけば良かったと後悔している木乃香、すると桜達の方へ詠春が話しかけてきた。

「皆さん、戦いの疲れは取れましたか?」
「あ・・・木乃香さんのお父さん」
「早速ですが桜君小狼君にも話しましたが、そちらのサクラ君の羽の話ですが」
「サクラちゃんの羽の話ですか?」

サクラの羽の事で話しかけてきた詠春、その内容をエヴァが即座に察知したのかすぐにエヴァは口を開いた。

「そうか、リョウメンスクノカミの復活日時が決まったか」
「そうです、リョウメンスクノカミの復活は突然ですが今日の深夜執り行う事が決まりました」
「そうですか、ありがとうございます」

深々と詠春に感謝の意味を込めて頭をさげるサクラ。

「いえ・・・そんなにかしこまらなくて良いんですよ、ときにサクラ君、サクラ君達と共に居た天ヶ崎千草と言う者のはなしですが」
「千草さんの事ですか?」
「彼女は20年前の大戦で両親を亡くしているため、西洋魔術師に対して恨みを持って貴女方と会う前から木乃香をさらう事を計画していた様で、貴女方の罪はこちらの汚点もありましたので回避する事はできますが、彼女達の罪は回避する事はできません」
「え・・・と言う事は小太郎君も・・・」

千草の仲間の中で良くしてくれた小太郎の事を気にかけるサクラ。

「そうです、ですが小太郎と名乗る男の子もまだ子供ですからお説教部屋に一ヶ月程と言う事になりそうです」

だがそんなサクラも心配するほど小太郎の罪は重くなかったようであった。

「そうですか、ありがとうございます」
「しかし、まだその天草千草はまだ捕らえていないので警戒はしておきますが、サクラ君の仲間の方はどうですか?」
「はい、ファイさんの事ですから小太郎君も含めてもう大丈夫だと思います」

ファイの事だからうまく小太郎を丸め込んで何とか何処かにゆっくり潜伏しているのだろうと考えるサクラ、詠春もそのサクラの言葉を信じサクラの方にポンッと手の平を置いた。

「そうですか、では時間までゆっくりしてください、今夜は忙しくなりますから」
「ふん、そんなに忙しくならない様にリョウメンスクノカミ位瞬殺してやろうではないか」
「はっはっは・・・これは心強いものですね」

相手が巨大鬼神と言えども自分達の敵ではないと強気な言葉を吐くエヴァ、詠春もそう思い笑っていたのだがこの時この桜達は知らなかった。
その巨大鬼神リョウメンスクノカミの封印を説いた後もの凄い事が桜達に襲い掛かると言う事を・・・

<第三十三話終>





『ケロちゃんの次回予告コーナー』


「こにゃにゃちわ〜!」

「なんか作者自身忙しくて一ヶ月以上更新が止まっとった見たいやけど」

「今回もなんとかケロちゃんのの次回予告コーナーやってきたで〜!」

「さて今回のゲストは・・・」

「格闘大好きバカレンジャーイエロー古菲や〜!」

「おはようアル」

「いや〜本当に更新遅くなったアルね〜一体この作者何しとったアルか?」

「それはまあ聞いた事やねんけど大学の研究室がどーのこーの、就職がどーのこーの言いながら忙しく全く違う女みたいな男の出てくるクロス小説を三話も書いとったみたいやで」(←まだどこにも未掲載)

「うわ〜何考えてるアルかこの作者は?」

「そんな事ワイに聞かれても困るわ、ホンマ気まぐれの気分ややねんから」

「せやから次また何時次回が更新されるか・・・まったく分らんわ」

「いい加減アルな〜」

「まあそんなんテストの点数がいい加減な古菲に言われたかないやろうけどな」

「良く言うアルな〜」

「・・・と言うわけでそろそろ次回予告の時間や」

「さて次回のタイトルは・・・」

『さくらと巨大な鬼さん』アル」

「リョウメンスクノカミの封印を解こうとする木乃香姉ちゃんの父ちゃん」


「だが解いた瞬間予想外の事が起こってしまった」


「さてその起こってしまったのは一体なんなのか〜!!!」



「が次回の見所みたいアルな」

「・・・所で次回修学旅行編クライマックスアルがちゃんと私の出番あるアルか?」

「いや・・・すまんけど今の所古菲の出番全くないわ」

「え〜何故アルか? 私の中国拳法は役立つアルよ」

「やから今回次回予告コーナーに出したったんやないか、ネギま!本編には出番あったかも知れんけど今回はこれで我慢しときな」

「まったく分ったアル」

「さてそろそろ名残惜しいけど今回の次回予告も終わりや」

「次回ホンマ作者が多忙で更新何時になるか分らんけど首をなが〜〜〜〜〜くして次回の更新まっててな」

「ほんとに長いアルな」

「それじゃあ皆も古菲も一緒に〜〜〜!!」

「ほなな〜」「サヨナラアル〜」



<終>


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