第四十二話『さくらとまき絵と弟子入りテスト前のネギ』






そろそろ日が上がろうかどうかと言う木曜日の朝、桜達はネギが中国拳法の早朝トレーニングをしている所を見かけたので先にまき絵がネギに話しかけていた。
その光景を見ながら口走った知世の桜には意味が分からない言葉、桜はその意味が分からないものの知世の事であるから信用できると知世を尊敬の眼差しで見ていた。

「桜」

桜が知世の顔を見ているときにちょうど知世とは正反対の方から聞き覚えのある声から名前を呼ばれる。

「あ、エヴァちゃんおはよう。どうしたのこんな朝早くに?」

桜に声を掛けたのはエヴァ、エヴァは後ろに茶々丸を引きつれ桜に気づかれるとこちらの方に話をしながら歩いてきた。

「私はこの学園の警備員だからな・・・ちょっとそこらへん見回りに、その時ちょうど桜や坊やの気配もしたんで弟子入りテスト内容を伝えに着てみたんだ」
「ではもうネギ先生の弟子入りのテスト内容は?」
「ああ・・・考えたよ、桜、カードを少々利用するがそれでもかまわんか?」
「うん、それは良いけどエヴァちゃんの考えたテスト内容ってどんなものなの?」

前から桜はサクラカードの効果等を聞かれていたからテスト内容はそのカードを使うものだと予想はしていた桜、桜はエヴァから話を聞くとどんな内容なのか聞きたくなってきた。

「まあそれは今から坊やに伝えるからその時一緒に話してやる」

エヴァはそう言うと10mくらい離れているネギとまき絵のほうに歩いていき桜達もそれについて歩く。

「おい、坊や弟子入りテスト内容教えに来てやったぞ!」
「あ エヴァンジェリンさんおはようございます」
「あれーエヴァさま茶々丸さんおはよ〜・・・あれ、さま?」

ほえ・・・まきちゃん今様って・・・まさか・・・

「知世ちゃん・・・今の?」
「ええ・・・吸血鬼化した時の影響が少々残っているようですわ」

まき絵がエヴァの事を様と言ったのを桜と知世は見逃さなかった。
様・・・と言うのは4月頭にネギとの決戦の際エヴァがまき絵達の血を吸い僕にした時のもの、それから考えると・・・まき絵は頭の奥底では消えてしまったと思われていた操られてきた時の記憶が残っていたと考えられる。

「・・・それでエヴァンジェリンさん、弟子入りテスト内容って一体何なんですか?」
「そうだな、坊やも桜の持っているカード合計で52・・・いや3枚ある事を知っているだろ」
「あ はい」

それはまあ・・・桜さんのカードの事は前々から聞いていますから・・・

「あれっ 桜ちゃんってカード持ってるの?」
「タロットカードですわ」
「そうなんだ〜」

エヴァとネギが話しているその間、まき絵はあっさり知世の嘘に騙されている。

「その内私が選んだのは『迷路』(メイズ)のカード、『闘』(ファイト)のカード、『力』(パワー)のカード、このいずれかのカードの内一枚でも良い、桜のカードを打ち破ってもらおう・・・そしたら私の弟子にしてやる」
「桜さんのカードをですか?」

ネギもやはり桜と同じようにサクラカードを使ってのテストを予想はしていた、だからそんなに驚くことはなく、再確認の為エヴァに聞いた。

「ああ・・・ただし、『迷路』(メイズ)のカードは制限時間2時間以内に迷路から抜け出る事、『闘』(ファイト)のカードは一発でも魔法を使わず攻撃を当てられたら良い、『力』(パワー)のカードはどんな力勝負でも良い、勝てたら合格だ」
「そうですか・・・」
「何はなしてるのエヴァちゃんとネギ君、話が難しすぎて訳わかんないよ」
(まき絵ちゃんが鈍くてよかったよ・・・)

またまき絵にもこの話が聞こえてはいるんだが、まき絵はまったく話の内容を理解できていない、桜は失礼ながらもそのまき絵の鈍感さに救われた。

「桜のランクは坊やも知ってのとおりAAA+今の私と同格、今の坊やがどんなに逆立ちしても桜に勝てないのは分かりきっている。だからあえて坊やに有利な条件を与えてを試すと言うことだ」

桜の能力は今のネギでは到底足下にも及ばない程の差がある。
そんなネギが桜と闘い、そして勝てなんて言う事は猫にライオンに勝てと言っているようなもの、だからあえてエヴァはネギに有利な好条件の条件付でテストを行う事にしたのだ。

「桜ちゃんには勝てないって・・・桜ちゃんってそんなにタロットカードの扱いうまいの?」
「そうですわ・・・」
「へ〜・・・」
(いや、違うからまき絵ちゃん・・・)

一方勘違いをしたまんまのまき絵、桜もそれに呆れ本当の事を言いたいんだが言えないので小声でぶつぶつとまき絵にツッコミを入れている。

「まあこんな破格の条件にクリアーできないようじゃ坊やには芽はない、場所はここの日曜日の午前0時だから ま・それまでせいぜい頑張ることだな」
「あ・・・後桜、もし私の選んだカード達に弱点があるようなら坊やに教えないようにな」
「うん、自分の力じゃなきゃ意味ないから」

テストとはその者の能力を試すもの、それを手を抜いたのであってはまともな能力を区別する事ができないのでエヴァは釘をさしたのであったが、桜にとっては言うまでも無いことであった様だ。

「お・・・さすがは桜、分かっているな・・・それじゃ朝食食べに帰るぞ茶々丸」
「ハイマスター」

エヴァは桜の言葉に反応すると、茶々丸を連れて自分の別荘へと帰っていく。

「・・・でネギ君エヴァちゃんに弟子入りするの、何の弟子?・・・やっぱりタロットカード?」
「いや・・・それ違うからまき絵ちゃん・・・」
「まき絵さん何か勘違いしているみたいですが桜さん、僕頑張りますので手加減はしないでください!」
「あ・・・うん、それは分かってる」

ネギは握り拳を胸の前に出し気合の入った声で桜に言い切った。

それから5時間後位の一時間目後の休み時間、まき絵はエヴァとネギの話の内容を半分以上理解していなかったのでネギに聞いていた。

「ねぇねぇ、ネギ君・・・ネギ君エヴァちゃんの弟子になるのか知らないけど、ネギ君の弟子入りテストって結局どんななの?」
「あ・・・はい、それはですね」

1.迷路を2時間以内に突破する(この説明は超の最新技術で作った迷路と説明)
2.ある人物と戦闘し一発入れる(ある人物は古菲の親戚だと説明)
3.またある人物となんでもいいから力比べをして勝つ(ある人物は力があり過ぎるため少女型アンドロイドだと説明)

所々的確な嘘を交えながらのネギの説明、まき絵もふんふんと首を上下させながら聞いている。

「・・・の内一つでもクリアする事が出来れば合格、こういう訳です」
「そうなんだ、ならネギ君楽勝だね、あんなに強かったし」
「いえ・・・そんなに簡単では(桜さんの魔法ですし)、それよりもまき絵さん記憶が・・・」
「へ 何?」

またエヴァに操られていた時の記憶があるかの様な言葉を自分でも認識しないまま話すまき絵、ネギも今回はまき絵のその言動に気づいた。

「でもまあネギ君頑張ってね、私もネギ君の修行応援しに行くから!」




その日の放課後、ネギはまた世界樹前で古菲と中国拳法の修行をしている。
桜や明日菜達もそれに付き合いその修行風景を桜にエヴァ弟子入りのテスト内容を聞きながら見ていた。

「・・・で桜ちゃんのこの三枚のカードがデスト内容って事ね」
「は い、でもどれもこれも難しいですよ、『迷路』(メイズ)さんは私が捕まえた時何時間も迷路をさ迷いましたし、『闘』(ファイト)さんは小狼君も格闘技で負 けて私が勝ったのは『力』(パワー)さんを使ってたまたまでしたし、『力』(パワー)さんも綱引きで象さんと一緒に引っ張ってやっとでした」
「なんや聞いとったらかなりむずそうやな」

難しそうな顔をしながらぽつりと木乃香、桜も実際クロウカードを集める時そうとう苦労しているのだ。

「あ・・・でもネギ君その頃の小狼君や私よりぜんぜん強いですから大丈夫だと思いますよ」

その頃のクロウカード集めをしていた時の小学校四年生の頃自分とネギを比べる桜、桜はごく普通の小学校4年生の女の子だった。
ケロちゃんに会うまでは魔法はおろか格闘技さえもまともにやったことがなく、小狼にも初めの頃は弱い・・・等と言われていた。

「そう言えば桜さんって、魔法・・・魔術師歴ってどれ位なんですか?」
「え〜っと、3年ちょっと・・・位かな、私がケロちゃんとであったのが4年生の春でしたから」
「3年ちょっとですか・・・その強さで・・・」

刹那は小さい頃、幼少の頃から京都の神鳴流で修行をしてきて、桜と比べればその歴はずっと長い。
だが今の桜と比べれば・・・といわれれば自分の方が確実に弱いと言いざる追えない。
自分の強さは魔法使いのランキングで言えばA+位だろう、だが今の桜はAAA+の強さを誇り、刹那から見れば化け物クラスの強さ。
それを三年で身につけたものだといわれると刹那の心境も複雑になってくるものだ。

「いえ・・・強いのは私ではないですよ、全てはカードさん達の強さですよ」
「でもそれを使っているのは桜ちゃんの魔力・・・同じことじゃない?」
「そうですか?」

桜もその刹那の心境に気がついたので謙虚に接するが、すぐさまそれは明日菜によって崩される。

「・・・ でもネギ坊主の修行風景見とる限りでは『闘』(ファイト)相手やと一発入れられるのは大体5%位ってとこやな、『迷路』(メイズ)のカードの突破は今の坊 主の力やともっと無理、『力』(パワー)のカードやと普通の力勝負やと勝てる気せえへん、『力』のカードは大体象を空中高くに放り投げる位力があるから な」
「じゃあネギが一番合格できるかもしれないのは、『闘』(ファイト)のカード相手に一発入れるって事?」
「難しいですね、ネギ先生は格闘については素人ですから、どんな格闘技も達人級の『闘』(ファイト)さんに一発決めるのは並大抵の事ではありませんし・・・」

ファイトのカードはどんな格闘技も古菲以上にこなすとんでもファイターであるが、ネギはどんなに頑張ったとしてもつい先日格闘技をやり始めたばかりの素人、そのネギが一発ファイトに入れると言うのがどんなに好条件でもそれでも難しいと言うことだ。
桜達のエヴァ弟子入りテストについての会話、そこへまき絵がかなり大きめの何段にも重ねられた弁当箱を腕に抱えて持ってきた。

「ネギく〜ん、お弁当沢山作ってきたよ〜!」

走ってネギの前に出てパカっと重箱の中のおせち料理を見せるまき絵、後ろの亜子も目を点にしながらこんな大量なもん食えるかって程の段数の重箱を持っていた。

「あ はいありがとうございます」
「わ〜いおせ(ケロちゃんまき絵ちゃんがいるから出てっちゃダメ!)むぐむぐ・・・」
(ケロちゃんには後でおいしいお菓子を作って差し上げますからおとなしくしていてくださいまし)

そこへケロちゃんが食い物と聞き何も考えず飛び出そうとするが、今はまき絵と言う魔法を知らない者が居たのですぐに桜に口を手の平で押さえられ止められた。

「知世ちゃんの作ったお菓子絶品やからな〜、と言うよりケロちゃんってもの食べれるん?」
「うん、だから食い意地がはっちゃってはっちゃって・・・」
「そうなんや・・・」

亜子の左おでこからは汗一滴、亜子はもう何でもあり何や・・・と言う顔になった。

「・・・でもこんなに良く作ったねまき絵ちゃん?」
「うん、張り切っちゃったよ〜ネギ君だから沢山食べて〜!」
「はい」

そして中国拳法の修行はちょっと休憩、まき絵は地面にシートを引き、ネギをそこへ座らせ御節の入った重箱をシートの上へ置いた。

「これも・・・これも・・・このステーキも・・・」
「うむ、もが、ごで・・・」

まき絵はネギが食べ始めるとあれやこれやとネギの口に食べ物を押し込んだり入れたり、こんなに食えるか!―――と言う位の量をネギに食べさせ、そんな事をするものだからネギは脂肪ボテボテの小太りファイターへと姿を変えてしまった。

「ホワッチョ〜〜〜」
「余計に弱くなってしまったアル・・・(小太りファイターアル)」
「え?」
「ネギく〜ん!(泣)」

こんなことではスピードや体力なんかががた落ち、余計に弱くなってしまいこれではテストに勝てる要素がまたガクンと減ってしまう。

(なんで沢山食ったから言うて一食でそんなに太んねん!)
「そういやほんまや、どないなっとんのやろ!?」
「いや・・・これ漫画だから・・・」

そこにツッコムケロちゃんと亜子、本当に料理の量は大量だったがついさっき食べたばかり&一食と言う事も考えればこんな事考えられない。
理論的に説明しようとすると、ネギは食べた食べ物を即座に消化して脂肪に変えた・・・としか言い様がないのである。

「ご ご ごめんネギ君、で・・・でも大丈夫だよ我が部に伝わる秘密のダイエット術で!」

涙を流しながらネギに謝るまき絵、すると今度は秘密のダイエット術をネギに施しだした。

「全身にラップでぐるぐる巻きにして、その上に毛布を三枚かぶって、んで学園サウナで三時間・・・」
「いや先生死ぬってそれ!」

秘密のダイエット術をネギに施すまき絵、一時間位すると、小太りファイターだったネギの体はなんと・・・


ミイラみたいなガリガリの目に光が宿ってない様なフラフラのさっき以上に弱そうなガリガリファイターへと姿を変えた。

「さらに弱く・・・(ガリガリファイターアル)」
「いやあああ〜〜〜ん(泣)」
「ネギくううぅぅ〜ん(泣)」

またネギの姿を見て涙を流すまき絵と木乃香・・・

(普通そんな短時間に人がそんなやせられるか〜!!!)
「ほんまや、先生ギネス級や!」
「だから二人とも・・・」

またケロちゃんと亜子のツッコミが冴え渡る。
亜子の言った通りこんなやせ方はギネス級でネギが25kg痩せたと考えたとしても人間は1kg痩せるのに7500kカロリーの消費が必要と言う事の理論から考えると、ネギはたった少なくとも1時間位でその25倍位のカロリーを消費した事になる。

「本当にゴメンネギ君私のせいで・・・手伝おうと思ったのに迷惑かけて」
「大丈夫ですってまき絵さん」
「で でも日曜まであと二日しかないんだよ、あれ・・・日曜?」

まき絵に引っかかる日曜と言う言葉、あれ・・・確か日曜日ってたしか・・・選抜テストの日・・・ってあ〜〜〜〜〜!!!!!

「あ〜〜〜〜っ忘れてた!! 私も日曜に大会の選抜テストがあるんだった〜〜!!!」
「あ・・・そう言えば大丈夫なの!?」
「まき絵ちゃん・・・まったく昨日の事言わないなと思ってたら忘れてたんだ・・・」
「まき絵は一度に一つの事しか考えられへんからな」

なんだか今日は昨日みたいに選抜テストの事とか言わないなと思っていたら実は忘れていたまき絵、その選抜テストにまったく自信がない事からまき絵はぐすぐすと涙を流す。

「私の演技子供だし・・・ネギ君には迷惑かけるし・・・私全然自身ないよ〜」
「らしくないよまき絵ちゃん、元気出してよ」
「そうあるよバカピンク」
「元気だし〜」
「うん」

まき絵はいつもは明るい陽気な女の子、だから皆はらしくないと慰めているのだが自信がなくなってしまっているまき絵には暖簾に腕押し状態だ。

「そうだ、まきちゃんの新体操を見せてよ!」
「ええ〜そんなのダメだよ〜!」
「良いじゃん見せてよ!」
「あ・・・僕も見たいです! まき絵さんの新体操って見た事ないです」
「う・・・じゃあちょっとだけ・・・」

明日菜の言葉は断るが、ネギが言うならばと新体操をやり始めたまき絵、やはりまき絵は新体操を幼少の頃からやっているのでうまかったのだが・・・

「ま・・・まき絵ちゃんパンツ見えちゃってるよ・・・」
「ほんまやな・・・(汗)」

今のまき絵の格好はスカートひらひら制服姿、そんな格好で新体操するものだからスカート全開でパンツが丸見えだった。

「こ・・・こんな感じだけど・・・」
「す・・・すごーい!」
「全然いいじゃないですか〜!」

けど演技はうまいまき絵、ネギは外国人なので全く照れのないほめ言葉をまき絵に浴びせている間に、桜は知世と話していた。

「パンツ丸見えだったけどまき絵ちゃん演技うまかったね」
「はい、しかも私の予想通り事は進んでいるようですわ・・・(ニコッ)」
「ほぇ・・・そうなの? 私には分からないけどさすがは知世ちゃんだね」
「それほどでもありませんわ♪」

また知世の桜には分からないけど感心させる言葉、知世はニコニコ笑顔で笑っていた。



その日の夜の桜達の部屋、桜は自分達の部屋にやってきた亜子に弟子入りテストの事について聞かれた。

「なあなあ桜ちゃん?」
「なあに亜子ちゃん?」
「ネギ君強くなりたいから古菲の弟子になった言うんは分かるけど、なんでエヴァンジェリンさんの弟子になろうとしてんの?」
「え・・・それは・・・」

そう言えば亜子は桜のカードの事は知っていたが、この世界の魔法に関してはまだ言っていなかった。
それを思い出した桜は何かこの世界の魔法に関しては避けての説明を考え・・・

「亜子ちゃんは知らなかったよね、エヴァちゃんっていつもは使わないけど合気柔術と言うのができるみたいなんだ」

合気柔術と言う前にエヴァから聞いた言葉を思い出し亜子に話した。

「合気柔術?・・・合気道なら知っとるけど大体それと柔術を足したようなものなん?」
「そ・・・そうだと思うよ、私も格闘技とかあんまりわかんないし・・・でもエヴァちゃんはその合気柔術の達人らしいからネギ君エヴァちゃんの弟子にもなろうって事みたい」
「ふ〜んそうなんや・・・あのエヴァンジェリンさんがなぁ、人は見た目やないんやな〜」
「そういえばそうだね(ふ〜何とかごまかせたよ)」

エヴァは普段授業ふけってばかり&出ていても居眠りばかりの女の子、そんなエヴァからは合気柔術なんてこの世界の魔法の知らない亜子からしてみれば意外な事だった。




―――次の日の放課後、世界樹前・・・

「あれっ?・・・明日菜さんも剣の修行を始めたんですか?」

ネギは今日も古菲と中国拳法の修行をしている。
桜はそれは知っていたが今日はちょっと違い、明日菜もハマノツルギを持って刹那と剣の修行をしようとしていた。

「ああ・・・桜ちゃんには言ってなかったね、私も成り行き上強くならなきゃと思って・・・」
「そうなんですか、頑張ってください明日菜さん」
「ありがと桜ちゃん」

明日菜もど素人でまだまだ弱いのだから今までの成り行き上強くならなければいけない。

(明日菜姉ちゃんも大変やな〜、桜もソードのカードでこれに加わったらどないや?)
「え・・・?」

桜のポケットの中から桜達だけに聞こえるようにしゃべるケロちゃん。

「ソードのカードですか、そう言えば桜さんの剣の腕前はいか程なんですか?」
(ソードのカードは剣の使用者を剣の達人にしてしまうからな〜それとソードに切れんものはない、本人の気持ち次第でなんでもぶった切るで)
「やっぱり桜ちゃん・・・修行しなくても何でもありね・・・」
「私の今までの血のにじむような修行は一体・・・orz」

ソードのカードは使用者の気持ち次第でどんなものでもぶった切る。
それが鉄であろうがオリ●ルコンであろうが切れぬものはない。
しかもソードのカードを使用すると使用者を剣の達人に変えると言う能力付、これでは剣の修行をする意味など皆無に等しくなってしまう。

(まあそんな落ち込むなや刹那姉ちゃん、これはサクラカードの元・・・クロウカードを作ったクロウが付けた能力やねんから、わい等の世界の元最強の魔術師やでクロウは・・・仕方ないやん)

落ち込む刹那にケロちゃんは桜のポケットから出てきて刹那の肩をポンポンと叩いて慰める。


―――それから一時間位すると少し休憩もかねて対サクラカード用のミーティングをしていた。

「・・・で今回の相手は桜の『闘』(ファイト)のカードあるが、本当にファイトは強いアルよ、前に私が闘ったときは私に合わせて中国拳法のみで闘ってくれたアルが桜とケロの説明によればファイトはありとあらゆる格闘技の達人、その実力は多分私より上かもしれないあるよ」
「え・・・そうなんですか古老子!?」
(そうや、しかも桜が捕まえた時よりずっと強いはずや、あん時はクロウの込めた魔力の残りかすみたいなもんで闘っとったけど今はクロウの魔力を超えた桜が使っとるんや、あん時のファイトより何倍も強くなっとるはずや)

『闘』(ファイト)のカードの強さは中国拳法だけで戦っても古菲と互角の戦闘が出来る。
それを他の格闘技を混ぜて闘わせると某梁●泊の最強の弟子以上に厄介な事だ。

(・・・まああん時のままの強さやったら一発入れるくらい楽勝やったのにな〜)
「そうなんですか?」
(そうや、あん頃の桜や小僧達の強さ言うたら総合的に大体今の坊主と変わらん位や、小僧もファイトと闘った時何発か位は入れとった筈やし)
「へ〜桜ちゃんもちゃんと私達位のころやっぱあったんだ」
(当たり前や初めから強い奴なんてこの世にはおらん、桜もクロウカード集めたり、クロウの生まれ変わりのエリオル相手にしてクロウカードをサクラカードに変えとったから今の強さになったんや)

ケロちゃんの放った『初めから強い奴などこの世にはいない』と言う言葉、それはネギをいたく感心させる。

「そうですか・・・やはり努力とは大切なものですね・・・」
(坊主もわかっとるやん、坊主も今回小娘の弟子なれんかったらワイが直々に鍛えたってもええねんで、坊主やったら何年か鍛えたら今のわい以上に絶対強なる・・・それはワイが保障したるわ)

ネギはランクで言えばSランクに入るであろうサウザンドマスターの息子、ネギはそのサウザンドマスターの才能を引き継いでいるので、修行さえすれば強くなれない事はなく、ケロちゃんを超える事さえもありえる事なのだ。

「僕がケルベロスさんより強く・・・ですか?」
「そうや、坊主は格闘技の才能もアル見たいやし魔法の才能もある、坊主やったらこの世界最強の魔法使いも夢やないで」
「え・・・それは言い過ぎではケルベロスさん!?」
「坊主夢はでっかくもっとかなあかんで、それ以前に坊主はそれ程の転生の才能があるんやわいの目には狂いはない、どんと前向いて走ればええんや、ど〜んとなぁ!」

ケロちゃんは笑いながらネギの背中をバシバシ、ケロちゃんのその珍しい偉大な言葉に全員感心した。

「ケロちゃんもたまには良い事言うわね」
「たまにはって何やねん明日菜姉ちゃん、わいは数百年生きとるサクラカードの守護者やねんで、わいの言葉は何時だって大切でおもいんや!」
「でもいつもはお菓子〜お菓子〜やゲームやゲームや〜っとか言ってるでしょ」
「う・・・痛いとこ付くな姉ちゃん・・・」
「ケロちゃんゲームもお菓子も好きやからな〜」

落ちはついてこれにてミーティング終了、次の日は休みの日であるから今日は徹夜覚悟で修行を再開するネギ達、修行はぶっとうしで夜明けまで続けられた。



土曜日の朝の女子寮の桜と知世の部屋、桜と知世はちゃんと自分の部屋に居た。
それも言うと、桜はとてもじゃないが朝までぶっとうしで修行に付き合う事は出来なかったので夜は自分の部屋で眠ったからだ。

「なあ桜ちゃん知世ちゃん、うち等ネギ君にまたお弁当作ってもって行こう思ってんねんけど桜ちゃんも手伝ってくれへん?」

ふと桜と知世に手伝うように頼みに部屋に来た亜子、桜はまってましたかのようなニコニコした顔で、亜子の手を握った。

「良いよ亜子ちゃんネギ君の為だもんね、ね・・・知世ちゃん」
「はい、ネギ先生にはぜひエヴァンジェリンちゃんの弟子になってもらいたいですから」
「料理作るのはええけど、今度はわいの分ちゃんと作ってくれよ」
「はいはい分かってるよケロちゃん」

ちょっと二日前におせち料理を食べるのをのけ者にされていたのを根に持っていたケロちゃん、やっぱりケロちゃんは食い意地が張っている。

「ほんまにケロちゃんは食い意地がはってんねんな〜ほな裕奈とアキラの部屋に行くで、二人共まっとるから」

そして三人で裕奈とアキラの部屋に行く桜達、行くと裕奈とアキラがすでに料理の材料を用意して待っていた。

「あ・・・亜子二人共呼んできたの?」
「うん、桜ちゃんも知世ちゃんも二人共料理うまいし」
「そうだね、大道寺さんのお菓子食べた事あるけど本当に美味しかったし木之本さんも料理上手そうだし」
「・・・そうかな(照れ)、私の家はお父さんとお兄ちゃんと私で当番組んで夜ご飯とか作ってるから」

桜は照ながら顔を俯向かせ部屋の中へと入っていく。
すると裕奈が桜の言葉の穴に気づいた。

「あれ・・・桜ちゃんとこお母さんは?」
「私がまだ小さい時に死んじゃったから」
「あ・・・ごめん桜ちゃん」
「べ・・・別に良いんだよ、そんな事より私の料理よりお父さんの料理の方が美味しいよ、お父さんは大学の講師をしているんだけど、運動神経も良いし優しいし・・・」

桜の母撫子が亡くなったのは桜の物心付く前の3歳位の頃、だから桜はもう慣れっこですぐに話をそらしお父さんの話へと変える。

「そうですわね、桜ちゃんのお父様はまさにパーフェクトと言う文字が似合いそうなお父様ですから」
「へ〜桜ちゃん所も素敵なお父さんなんだ、私のお父さんだってここの麻帆良大学の教授だし・・・」
「はいはい、ファザコンな会話はやめにしてはよ料理作るで」

ほぇ・・・私ってファザコンなのかな?―――お父さん本当に優しくて素敵だから仕方ないよね。

「ネギく〜ん、亜子ちゃん達と一緒に特製お弁当作ってきたよ〜!」
「沢山作ってきたから皆で食べよ〜や」

3時間後料理も出来終わりいつもの世界樹前に料理を持ってきた亜子達、桜達はシートを引いて全員でわいわい楽しくピクニック気分でお弁当を食べ始めた。

「ほんでその試合勝てそうなん?」
「それがネギ坊主反則気味に飲み込みが良いアルよ。フツーならサマになるのに一ヶ月かかる技を3時間で覚えるアル、全くどーなっとるかねネギ坊主は・・・」
「へぇ〜」
「ケロちゃんが言ってたとおり凄いんだねネギ君」
「そっか〜さすが天才少年、じゃ 楽勝だね〜〜♪」
「楽勝楽勝〜〜〜!」
(な訳アルか〜! 相手はファイトのカードや、そんなたやすくいく訳ないやないけ!)
(ケルベロスの旦那も大変だな、突っ込みたくても突っ込めない・・・俺っちだけはその突っ込み聞いといてやる)

裕奈やまき絵の楽勝宣言にツッコみたいが自分を隠すためにツッコめないケロちゃん、カモはそんなケロちゃんをふびんに思い自分だけはそのツッコミを聞いていた。

「それよりネギ、あんたちょっと臭くない?」
「え・・・?」

話しているとふと明日菜がふとネギからの異臭に気づく。

「あんたまさかまたお風呂入ってないとか」
「ええ!?「「「「「ええええ〜〜〜!!!」」」」」

明日菜の言葉にケロちゃんやカモ以外皆引いた。

「ネギ君・・・いくらお風呂嫌いでも何日も入ってないなんて・・・」
「あ・・・あり得へん・・・」
「そう言えば私3日前にネギ君の偽者とお風呂はいらされたけどネギ君あの後結局入ってなかったから・・・」
「それじゃあネギ君少なくとも3日入ってないって事・・・?」
「まったくあんたは〜・・・」
「ち・・・違いますよちょっと忘れていただけで」

お風呂入っていなかった事を言い訳しようとするネギ、だが言わせて貰う。
風呂は毎日入るもんだ、忘れると言う事は初めから入るつもりはなかったと言うことだろネギ!

「言い訳しない、ほら着なさい、洗ってあげるから!」
「あうううう〜」

ネギはさっそうと明日菜に襟首を持たれ引きづられていく。

「でも明日菜どこで?」
「ここからなら第二体育館のシャワー室が近いですから」
「でもあそこは男子禁制だよ知世ちゃん?」

知世の答えに首を傾げる桜、そのまま明日菜に付いていくと知世の言ったとおり明日菜は男子禁制なはずのシャワー室へとネギを連れ込んだ。

「ここは男子禁制じゃないですか!?」
「大丈夫よ、他に人は居ないしあんた子供でしょ!」
(やっぱりネギ君このシャワー室で洗うんだ・・・)

桜の目の前では明日菜に抵抗しているものの裸にひん剥かれようとしているネギの姿、だが誰も止めようとはしない。

「ついでだから私達もここでシャワー浴びていこ知世ちゃん」
「はい・・・ですがその前に・・・」

しかもついでだから自分達もシャワーを浴びて行こうと知世も誘う、すると知世はふと地面に居たカモを持ち上げた。

「は・・・バレたか、後生だ知世嬢ちゃん、俺っちも女の花園へ今回こそ入れてくれた・・・頼む!」
「い〜えダメですわ、ネギま!本編では亜子さんのシャワーシーンを覗いてらした様ですが、亜子さんファンの方が書いてらっしゃるこの小説ではそのような行為作者さんが許さないみたいですので・・・」
「と・・・知世ちゃん、発言が危ないよ・・・」

そうだそうだ知世、マイエンジェル亜子の裸をエロカモにさらさせる訳には行かなんだ!(桜もいるしね)

桜はそのまま服を脱ぎタオルを自分の体に巻くと知世とシャワー室に入り、亜子の隣のシャワーを使い始めた。

「本当に明日菜さんとネギ君本当の姉弟みたいだね」
「そうですわね」
「いつもあんな感じなん?」
「んーーー大体あんなん」

シャワーを浴びている桜が後ろを向くと体にタオルを巻いた明日菜にイヤイヤ頭を洗われているネギ。
二人からはまるで姉弟みたいな感じが漂ってくる。

(・・・にしても桜ちゃん、そういや今まで聞かんかったけど桜ちゃんってどうやってこの世界にきたん?)
(あ・・・それはね、私の住む友枝町と言う町の神社に神木があってね)
(そこから強い魔力が感じられてちょっと調べてみたら神木が強く光だして気が付いたらこの世界におったっちゅうこっちゃ)

桜とケロちゃん以外には聞こえない位の声で話しかけてきた亜子、桜はこの世界に来てしまったけいいをケロちゃんと一緒に簡潔に述べる。

(ふ〜んそうなんや、なら桜ちゃん自分等の世界に帰られへんの?)
(いや・・・6月の学園祭の時に帰られる予定だけど・・・)

桜は学際の時による22年に一度の世界樹大発光の魔力を利用して自分達の世界へと帰る手はずなのだ。

(そうなんか〜それじゃあ一回帰るともうこっちにこられへんの?)
(そ うやな〜一旦帰ると最低でも何年かはこっちへはこられんな、世界を超えるにはわい等の世界におる魔術師の有子姉ちゃんみたいな高度な魔術技術を持つか、も う神木の力等を借りて力ずくで超えるかしかないからな、桜個人の力だけではまだそれは無理やから世界樹の魔力が高まり発光する日をまっとる言うこっちゃ)
(そうなんや・・・じゃあ桜ちゃんは学園際の日に自分の世界に帰ってまうんやな・・・)

亜子はケロちゃんから話を聞くと悲しそうな顔になる。
せっかく友達になったのに会えなくなる・・・と言うのは辛いものだからだ。

(で・・・でも私エヴァちゃんと約束してるし、もし自分の世界に帰っても私が世界を行き来できるようになったらまた来るよって)

それはエヴァと交わした約束、桜は本当にその約束を守るつもりだ。

(エヴァンジェリンさんと・・・そういや桜ちゃんってエヴァンジェリンさんと仲ええねんな)
(うん、エヴァちゃんはこの世界で出来た友達の中で一番の友達だから)
(ちなみに、全ての世界において桜ちゃんの一番の親友は私ですわ)
(あ・・・うん、知世ちゃんは一番のお友達だよ)
(な・・・なんや桜ちゃん知世ちゃんの事気づいてない見たいやな・・・)
(ほぇ・・・?)
(シーですわ)

桜の知世に対する好きとは意味合いの違う知世の桜に対する好きと言う意味、桜はいつになったらこの意味に気づくのだろうか・・・・(←一生ないだろうな・・・)

「な・・・なにやってるんですかあなた達ーーー!!!」
「いいんちょこれは違うのよ!!!」
「あ・・・いつの間にやらいいんちょにみつかっとる」
「ほぇぇ・・・シャワー室が戦場に・・・」
「なってしまいましたわね・・・ホホホ・・・」
(う〜んやっぱりシャワーやと物足りんな、湯船やとゆっくり浸かれるからな〜)

桜が気づくといつの間にやら委員長がシャワー室に居て見つかってしまっているネギ、桜は本屋みたいにあわあわと知世は手を口に当てながら笑いながらその戦場を見ている。
その後ろでは桜の代わりにケロちゃんがシャワーよりか風呂とゆっくりシャワーを浴びながら考えていた。


<第四十二話終>



『ユエ&ザジによる次回予告コーナー』

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「・・・・・次回は『さくらとネギの弟子入りテスト』司会者は知世とエヴァンジェリン・・・」

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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さよなら」




<終>(落ちなし)


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