第四十三話『さくらとネギの弟子入りテスト』
時刻は子の刻の時計台の針が短針長針共に頂点を指す時、場所はネギの弟子入りテストが行われる世界樹前の大広場、エヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェル事エヴァは先に茶々丸と共にその場所にネギや桜達がやってくるのを待っていた。 「マスターよろしいのでしょうか・・・」 「なにがだ?」 「ネギ先生が桜さんの『闘』(ファイト)のカードに一撃を与える確率は概算5%以下、マスターとしてもネギ先生が合格できなければ不本意なのでは?」 茶々丸もエヴァが桜の頼みで弟子入りテストを申し受けたことを分かっているし、それと同時に桜がエヴァにとってかけがえのない者となってしまっているのも分かっている。 それを考えるとネギが弟子入りテストに合格せずエヴァの弟子にならないと言うことはその大切な桜の頼みを聞き入れないと言うことにもなる。 「おい、勘違いするなよ茶々丸、確かに桜は私の親友だ。だがだからといって頼みを聞くと言うのはまた別の話だ、桜もその事ぐらいちゃんと分かってるぞ」 エヴァも桜の友達が嫌がる頼みまで無理にでも聞いてもらう性格はしていないと言う事をちゃんと分かっている。 「だからあえて桜の面子の事も考え私はこのテストを出したんだ。それに一撃当てれば合格等とは破格の条件だ、これでダメならボーヤが悪い」 「ソウダナ、マアオレハチマミレキボウダガ・・・「エヴァンジェリンさーん!」」 そうこうしている間にネギ率いるご一行、だが見渡してみればネギ以外には邪魔なギャラリー達の姿ばかりで桜の姿が見当たらなかった。 「おい・・・桜はどうした?」 「あ、桜さんはファイトさんとパワーさんを呼びに行きました」 「そうか、めんどくさいものだな・・・」 着いてきているギャラリーの中にはまき絵や裕奈やアキラ等の桜の魔法の知らない人達も混ざっている。 桜はそに三人の前でカードを使うことができないので、ファイトとパワーを呼んでくると言う理由で一旦ギャラリーから少し離れている。 (お・・・カード使ったな・・・) ふとエヴァが感じた桜のカードを使うときの魔力気配、それだけでエヴァには桜が『闘』と『力』のカードを使った事が分かる。 「エヴァちゃ〜ん、ファイトさんとパワーさんを連れてきたよ〜!」 「着たか桜」 エヴァが桜の魔力を感じてから数十秒後にさも遠くから呼んできました〜と言う感じでファイトと背がチャチャゼロ位の小さな可愛らしい女の子(パワー)を連れてきた桜、桜は二人を引連れてくるとネギの方へと近寄った。 「遅くなってゴメンねネギ君」 「え、いや良いんですよ、桜さんこそすみませんね」 「いや〜この子がパワーちゃん、とても超りんの発明ロボットとは見えないね」 「そうだね」 会うなり初対面のパワーに近づく裕奈とアキラ、アキラはパワーの頭をなでなでしている。 「へ〜この子がくーちゃんの親戚の子、これって中国服なの?」 「まあそんなものあるね」 「わ〜ファイトさんカードで見たまんまの人やな〜」 まき絵と亜子はファイトの方に話しかけている。 「おい桜、坊や、しゃべってないで早く始めるぞ!」 「あ・・・うんエヴァちゃん」 「あ・・・はい」 その間エヴァを待たした為にエヴァは桜やネギに向けて大声で二人を呼ぶ。 「それではファイトさん、手加減などはせずに全力でお願いします」 「そういう事だからお願い」 ネギが言い桜がお願いするとファイトは何も言わずにコクリと一回頷く。 するとファイトとネギは二人そろって大広場の中央へと歩いていった。 「大丈夫よねくーちゃん?」 「いや、ファイトはどんな格闘技も達人クラスの使い手アル、中国拳法だけで私に並ぶ程の使い手あるから、今回の中国拳法だけではない条件では私より上、最初の一分でカウンターを当てられなければネギ坊主に勝ち目はないアル」 「そんな・・・」 前は古菲に合わせて中国拳法だけを使い、それだけで古菲と互角の戦いを繰り広げていた。 今回はどんな武術を使ってくるのか分からないし、そのいくつもある武術一つ一つが古菲と並ぶ強さならば素人であるネギに一発でも当てると言うことはかなり難しいことだ。 「ふん・・・やはりファイトとの戦闘を選んだか、まあ勝負は貴様がくたばるまでか又は貴様がファイトに一発当てるまでだ、では始めるが良い!」 ネギの今の魔力の力では『迷路』(メイズ)のカードを打ち破る事を出来ないし、『力』(パワー)のカードに勝てる程の腕力も無い。 勝てるとすれば一発当てることが条件の『闘』(ファイト)のカードのみ、それでも5%と勝利確率が低いのだから勝率の全く無い二つを先に選ぶより体力のある内にファイトとの戦いを選んだほうがずっと確率もよくなる。 エヴァはあらかじめそうネギが考えると読んでいたのだ。 するとエヴァは戦いの初めの声を上げ戦闘開始を告げる。 その瞬間ネギは自分に『契約執行』を90秒間、体に魔力供給し、ファイトはその場から全く動かず構えをとる。 「それでは行きますねファイトさん!」 ネギの契約執行の制限時間は90秒間、時間の無いネギは先にファイトの方へ突っ込む。 「わ、早いネギ君!」 ネギは10m位離れたファイトの懐に目にも留まらぬ速さで飛び込むのだが・・・ 「え・・・」 ファイトの懐まであと1.5mと差し掛かった所でファイトは動き出し手の平を手とうの形にして、右手を振り回す様にしてネギの頭上へと振り下ろす。 (クッ・・・) ネギは頭上に来た手とうを右によけて交わす。だが次にファイトの左手が右の方から振り子の様にやって着ていた。 「なにあれ?・・・」 「あれは中国武術の劈掛拳アル、腰を支点にして上体を左右にふり、両手をふりまわすようにして、連続的に攻撃する遠距離にはもってこいの技アル」 ネギの戦闘中に古菲の説明が飛ぶが、ネギは紙一重で右からきたファイトの劈掛拳をクルリと体を回転させながら交わし、八極拳の転身胯打をするが、ファイトの見事な化勁により力を受け流されてしまう。 「お・・・うまいアル、劈掛拳を交わすネギ坊主もネギ坊主だが、ファイトの化勁も見事アル」 ネギの技が受け流されると次はファイトの番、ファイトはネギに向けてムエタイのティーソークを繰り出す。 「うお!・・・今度は何古菲!?」 「あれは・・・ムエタイの様あるな、しかしファイトは何でもありアルな」 古菲がムエタイだと言うとお次はボクシングの素早いジャブ、・・・かと思えば空手の正拳突き・ネギがちょっとよろけた時にはテコンドーの踵落としがネギの頭の上から落ちてくる。 「な・・・なに、ファイトさんって何者!?」 「あんなんなんでもありやん!?」 「ネギ君・・・」 ファイトはありとあらゆる格闘技を使ってきて、それら全てをネギは何とかよけたり受け止めたりして防いでいるが防戦一方、やはりネギの敵う相手ではない。 「ふん、我流の自分への魔力供給か、なんつー強引な魔力供給だ。だが『闘』(ファイト)のカードも思ってた通りの戦い方をするな、坊や二日位のわずかの修行ではパワーやスピードが追いついたところで勝てんぞ」 まき絵や裕奈や亜子、エヴァが話している間にもネギはどんどん実力に差のあるファイトに追い込まれていっている。 そこへ極め付けにファイトは某史上最強の弟子を思わせるようなコンボ技を繰り出した。 ―――空手の山突き、ムエタイのカウロイ、中国拳法の烏牛擺頭、柔術の朽木倒しを流れるようなこの連続技、ネギも本当にギリギリの線で避けるがたまらず体勢を崩してしまう。 「ネギ君!」 「いや、あれは誘いアル!」 ま き絵は勢いあまって大きな声でネギの名前を呼ぶが、実はこれは一発当てる為の敵を油断させるための誘い、ファイトは予想どおり体勢の崩したネギに突っ込ん できて右手でパンチを一つ繰り出すが、ネギはすかさず避けその手の手首を左手で掴んで引き込みカウンターとして八極拳六大開「頂」攉打頂肘をファイトに向 けて繰り出した。 ―――トン! 「な」 ・・・だがファイトはそれに何の驚きも示さずにそのネギに持たれた右手を軸に回転しながら宙をまった。 宙をまったファイトは綺麗な円を描きながらその勢いを生かして某風●流を思わせるような技を使い両足両膝でネギの背中を殴打しネギをすっとばした。 ・・・これで終わりか・・・と思われる程のものの見事なネギの吹き飛び方、ネギは車に引かれたかのようにダンッダンッ・・・っと地面に体を打ちつけながら5m程宙を舞うと、ネギの体はそのまま12・3m先まで止まるまで地面をスライディングしていった。 「・・・ちっ」 あまりのネギの不甲斐なさに舌打ちをするエヴァ、桜とまき絵と明日菜は吹っ飛ばされたネギの方へと溜まらず走って駆け寄っていく。 「へへへ・・・まだです、まだ僕はくたばってませんよエヴァンジェリンさん」 「ネギ君!」 ネギの手前5m所まで着た時に足をガクガクさせながらも立ち上がるネギ、ネギはまだまだやる気の様ですぐにかまえをとる。 「ぬっ・・・なにを言っている、勝負はもう着いたぞ、とっとと次の勝負を始めるぞ」 「いえ、確か勝負は僕が「くだばるまで」でしたよね、それに確かこの勝負は『迷路』(メイズ)の勝負とは違って制限時間がなかったと思いますが?」 「な・・・なに、まさか貴様!」 ネギは死ぬ気で一発当てるまではどうなってもやめないつもりであった。 「へへ・・・その通り、一撃当てるまでは粘らせてもらいます・・・ファイトさん続きを」 「・・・で、でもネギ君・・・」 桜はフラフラのネギが心配になりネギに一声声を掛けるが、ファイトはコクリとまた一回だけ頷きまたファイトに向けて突っ込み出すネギに遠慮なく先ほどの劈掛拳技『烏龍盤打』と言うキツイ一撃をネギに食らわせた。 それはまたあまりにも大きな効果音でネギは地面へと叩きつけられる。 亜子も桜も痛そうな顔をして目を閉じてうつむいてしまう。 「ファイトさん・・・も・・もう「桜さん、止めないでください」・・うん・・・」 桜はネギの覚悟を知っている・・・だからこそ今は我慢してファイトを留めるのは止める。 ・・・だが今度はまた某史上最強の弟子を思わせるようなコンボパート2、空手の手刀横顔面打ち、ムエタイの連続ティーカオ、中国拳法の単把、柔道の背負い投げの流れるようなコンボがネギに炸裂して投げ飛ばされた。 「う・・うう・・・(ダメ・・・ここでネギ君を止めたら・・・)」 「ネギ先生はまだやるきなん?(人間やないし無理やで・・・)」 「ネギ君・・・」 桜は歯をかみ締めながらネギを止めようという考えを押さえつけ、亜子はファイトが人間ではなく桜のカードであると言う事を知っているから無理だと考え、木乃香にいたってはもう涙ぼろぼろ泣いてしまっている。 そ うしている間にも今度はまたまた某史上最強の弟子を思わせるようなコンボを素早く、ムエタイのティーソーク・トロン、ティーソーク・ボーン、ティーソー ク・ラーンを素早くネギの胸部・頭部・顎部へと肘打ちを食らわせ最後には十分に勢いをつけた拳、空手の拳槌打ちをネギの上方部から叩きつけた。 「ねえケロちゃん、ネギ先生やめささへんの・・・」 亜子は隣に居る知世のポケットの中のケロちゃんに半泣き状態で話しかける。 「あかん、これはネギの為何や、桜もちゃんと我慢しとる様やしネギ坊主の事を思うならこれは絶対に止めたらあかんで・・・」 「そんな・・・ケロちゃん・・・」 ―――そしてそのまま一時間後、ネギの顔面は左半分ボコボコ、半分目を閉じてしまい口の中では血の味しかしなく、ネギはすでにボロ雑巾の様にズタボロになっていた。 それでも構えをとり何とか立っているネギ、ネギからは某何度倒れても起き上がってくるボクサーの様な感じが漂っている。 「お おい坊やもう良いだろ、いくら防御に力を集中しても限界がある お前のやる気は分かったからな」 「コンジョウアルナー」 「いえ まだあきらめないでふ」 もうすでにエヴァの方も見てられなくなってきてネギを留めようと一声掛ける。 ・・・だがそれでもネギは諦めずにエヴァに一言で返しまたファイトにきつい一発を貰う。 「な・・・なあ桜ちゃん、もう見てられへん、桜ちゃんもう留めたってーなネギ先生これ以上やったら死んでまうで!」 「で・・・でも亜子ちゃん・・・それでも今留めたらネギ君・・・」 亜子も桜も皆もう見てられないくらいにネギはボロボロで、これ以上やったら死んでしまうかも知れない位だ。 だが桜はネギの目指す先を知っている以上今はこれを黙ってみているしかない。 ―――桜も留めたい気持ちはあるがそれをかなり我慢しているのだ。 「そうや亜子っち、今のネギ坊主留めたらあかんでネギ坊主が目指す道はどんな危険があるやも知れん坊主のとおちゃんと同じ道や、ネギ坊主にもそれを行くための 覚悟はある。今留めたらそのネギ坊主の覚悟を踏みにじることになる」 「う・・・う・・・ケロちゃん・・・」 「亜子ちゃん・・・」 亜子は涙を流しながらケロちゃんの話を聞き、それでなんとか留めたい気持ちを押し殺す。 亜子は暴力や血の嫌いな人間だ・・・・だから今目の前で傷ついているネギを留めたい、だが今留めてしまうとケロちゃんの言うとおりネギの覚悟や気持ちを踏みにじる事になる。 亜子はこの二つの気持ちがぶつかり合い何とか留めようと言う気持ちを殺している。 ―――だが、 「う・・・もう見てられない止めてくる!」 「オウ アスナ!」 「あ・・・・パワーさん!」 明日菜も古菲ももう見てられなく二人が止めようと前へ出様としてしまう。 咄嗟に桜も明日菜と古菲の近くに居たパワーに声を掛けパワーは行動を起こそうとするが、先に・・・ 「ダメー明日菜、止めちゃダメー!!」 まき絵が明日菜と古菲の前に出て二人の行動をさえぎった。 「で でもあいつあんなボロボロになって、あそこまで頑張ることじゃないよ」 「わかってるわかってる、けど・・・ここでネギ君を止める方がひどいと思う。だってネギ君どんなことでもがんばるって言ってたもん!」 「まきちゃん・・・」 「まき絵ちゃん・・・」 まき絵は大声でネギの事を熱弁する。その間にもネギにはファイトの中国拳法が技の一つ、『迎門鉄臂』がネギの顎と腹部に命中する。 「でも・・・あいつのあれは子供のわがままじゃん、ただの意地っ張りだよ止めてあげなきゃ・・・」 「違うよネギ君大人だよ「うん、そうだよネギ君は大人だよ明日菜さん」」 「桜ちゃんまで・・・」 まき絵と明日菜の話にまき絵の方に味方して割り込む桜。 「ネ ギ君は子供の意地っ張りでもわがままでもない、ちゃんと覚悟があってやってる事だよ。ネギ君は目的のために全部頑張ると決めている、明日菜さんも周りの他 の子でも良いからちゃんとした目的を持っている人いますか? あやふやな夢見たいなものじゃなくてこれだって決めて生きている人ですよ」 「桜ちゃん・・・」 本編のまき絵の言葉を桜が取ってしまっているがまき絵も同じ気持ち、明日菜には桜の言葉がずしんと来る。 「亜子っち、聞いたやろ桜もそうやけどまき絵もちゃんとわかっとるやん。それがわかっとるだけでもまき絵は明日菜姉ちゃんや亜子っちよりかは大人や、なあに今こんなにズタボロになっても絶対に大丈夫やわいを信用しろな亜子っち」 「絶対に大丈夫・・・」 ケロちゃんが亜子に向けて放った言葉、それは桜にとっての無敵の呪文、なんだか亜子はケロちゃんにそれを言われると確証は無いにも関わらず絶対に大丈夫なような感覚に襲われた。 その間もまき絵の台詞を取った桜の話が続いてる。 エヴァもさすが桜・・・まだ中学生にしては良い事を言うと感心して気が緩んでいたその時・・・ ―――ドゴン! 「「「「ネギ君!!!」」」」 「ネギ!!!」 ファイトのありとあらゆる武術の突きのコツの要訣を混ぜた様な破壊力のある突きがネギの鳩尾にクリーンヒットし、大きな効果音と共にネギの体は宙を10m以上一直線に飛ばされてしまう。 ネギは体が地面に到達するとそのまま20m先位までスライディングしていき、ネギはそれ以降立つ事はなかった。 「「「「「「ネギ君(先生)!」」」」」」 皆一斉に立ち上がろうともピクリともしないネギの方へと駆け寄る。 「ネギ大丈夫なの!?」 「命には別状は無いようです。―――ですが全身打撲、擦り傷打ち身だらけで今すぐ部屋へ戻って治療しませんと!」 「ほらぁ言わんこっちゃない、私がおぶって行くわよ!」 ネギの状態は刹那の行ったとおりすぐに戻って治療しないと危ない位で、ネギは明日菜におぶられて急いで寮の部屋へとおぶられて行ってしまう。 「ケロちゃん・・・これで良かったのかな・・・」 「ああ・・・ええんや、この結果でもネギ坊主には良い勉強になったやろ。生きていくうえではどんなにがんばってもどうにもならん事は多々あるて事をな・・・」 「今回はダメやったけど・・・まあわいの弟子にしたるさかい今は体を回復させとけな坊主・・・」 桜とケロちゃんは明日菜におぶられて寮へと連れられていこうとしているネギの背中を見ながら話している。 するとなぜかケロちゃんと桜の方へエヴァが近寄って来た。 「オイ・・・その話本当だろうな・・・」 「ああ、わいネギ坊主に小娘の弟子になれんかったらわいの弟子にしたるって言うたからな」 「なら、この勝負は破棄だ。ぬいぐるみの弟子にさせるくらいなら坊やは私の弟子にとる」 「おいおい・・・何を言うてんねん、小娘はネギ坊主を弟子にしたくなかったんとちゃうんか!」 「それとこれとは話は別だ!、ぬいぐるみの弟子なんかになってみろ坊やが腑抜けになってしまうではないか!」 「なんやて〜!」 なんだか話のこじれてきたエヴァとケロちゃん・・・ 「なら小娘は坊主を立派に育てられる言うんか!」 「ああ・・・立派な魔法使いに育ててやるよ、私が鍛えれば一年で貴様くらいに強くしてやる!」 「お・・・言うたな・・・おい知世!」 ケロちゃんはなぜかイキナリ態度を変え知世の名前を呼ぶ。 すると知世がビデオ片手に出てきてエヴァの顔をドアップに撮り始めた。 「え・・・知世ちゃん!?」 「な・・・なんだ一体!?」 桜とエヴァ二人とも何が起こったのか分からず驚いた顔で二人の顔を見る。 「いや〜ちょい知世と相談してもし坊主が負けてしもた時の保険を考えとったんや」 「なに・・・まさかぬいぐるみ、貴様私をはめたのか!?」 「はい、私の提案でケロちゃんを立てれば必ずエヴァンジェリンちゃんは対抗してくると思いまして」 「と・・・知世貴様・・・」 「いや〜知世の言った通りの言葉しゃべるからわいも吃驚や、さすがは知世、洞察力は人一倍ある」 「それ程でもありませんわ〜」 ケロちゃんと知世は笑いながら話し合い、それを聞いたエヴァはわなわなと震え始めた。 「く・・くそっ・・・じゃあ今さっき言った言葉も・・・」 「それはもうすでにこのビデオに録画してありますから捻じ曲げることは出来ませんわ」 「と・・・知世ちゃん・・・ちょっとズルくない?」 「だから桜には言わんと知世とわい二人だけで相談しとったんや」 もうすでに知世の策士にはまって何も言えないエヴァ、やはり事は洞察力に優れた知世も一人勝ち、ネギは負けながらもエヴァの弟子になる事がここで決定された。 「ふん・・・仕方ない、ここは私の負けとして坊やは私の弟子にしてやる・・だが、本編とは違って今の私は吸血鬼の真祖の力が蘇っている・・・坊やには地獄の方がマシとも言える本編以上の地獄のしごきと言うものを与えてやろうではないか!」 「え・・・エヴァちゃん・・・気合を入れるのも良いけどほどほどにね・・・」 エヴァは背後にとてつもなく黒いオーラを背負いながら不気味な笑みを浮かべ笑っている。 一方当の弟子本人ネギはそんな事になっとるともつゆ知らず、明日菜によって寮へと搬送されて行っていた。 次の日・・・ 「次5番佐々木まき絵・・・」 「はい!」 まき絵は新体操の夏の大会選抜テストを受けていた。 桜も知世もそれが気になりネギの治療は木乃香に任せ、まき絵の様子を見に体育館へ出向いている。 「まき絵ちゃんがんばって!」 「うん、頑張るね桜ちゃん!」 桜はまき絵に声援を送り、まき絵もその桜の声援に答える。 そして演技開始の合図と共にまき絵は演技を始める。 ―――そしてまき絵はその日、選抜テストに合格したのは言うまでもなかった。 <第四十三話終> 『エヴァ&知世による次回予告コーナー』 「まったく、今回と言い知世は毎回毎回よく私をはめてくれるな」 「まあまあエヴァンジェリンちゃん、これでも食べてご機嫌なおしてくださいな」 「知世、私をどこかの大食らいのぬいぐるみと一緒にするでない、まったく・・・モグモグ・・・お・・・これはうまいな」 「それは私の腕によりを掛けて作りましたチョコレートケーキですから」 「そうか、さすがは知世だなそこいらで売っているケーキ等よりかは断然うまい」 「これで知世のあの性格さえ治してくれればな・・・ぶつぶつ・・・」 「なにか言いましたかエヴァンジェリンちゃん・・・」 「いや・・・って知世の持っているそれは桜のビデオコレクションVar1.55ではないか!」 「はい、これには私のとり貯めた桜ちゃんのかわいらしい映像の仲からの選りすぐりを一本にまとめた私の最高傑作のビデオですわ」 「前は確か木乃香に借りられてて見れなかったんだ寄こせ知世!」 「はい、それなら今の言葉を取り消しさえすればこれはエヴァンジェリンちゃんにお貸ししますわ」 「わ・・・分かった知世だからそれを早く貸せ!」 「はい、ですわエヴァンジェリンちゃん」 「おお・・・これは早く見たかったんだ・・・」 「それではエヴァンジェリンちゃんがビデオを見に家へ帰ってしまう前に次回の予告を行いましょう」 「おい、知世早く終わらせるぞ次回のタイトルは」 「『さくらとちうちう千雨さん』・・・ですわ」 「まあこれは面白そうな回になりそうですわね」 「そんな事言ってないで先に私が次回の司会者言うぞ、次回の司会者は桜と長谷川千雨だ」 「それではエヴァンジェリンちゃんも急いでいらっしゃるようなので今回はこの辺で」 「じゃな私は帰る」「さようならですわ〜」 <終> |