ブレイブXXII キャストオフして蹴り飛ばす勇気



「さぁ・・・ここからが本番だ。覚悟はいいな?」

真名・・・いや、カブトはそう言うと、【カブトクナイガン】をガンモードに切り替え、怪人目掛けて引き金を引いた。それにより、弾丸は見事なまでに直撃する。

「ギギ・・・・・・グアアアアア!!」

怪人は直撃を受けながらも、そのまま弾丸を受けたまま突っ込んできた。しかし、その行動もカブトの前には無力。

「そう来る事も・・・・・私の魔眼には視えていた!!」

カブトはさっとガンモードからアックスモードに切り替えると、掛かってきた怪人の腹部を横一閃に叩き斬った。それにより、怪人は再び紙型へと戻ってしまった。

「ふぅ・・・これで終わりか」

カブトがアーマーを解除しようとしたその時、突如後ろから物音が聞こえた。カブトが振り返ったその瞬間、胸部のアーマー目掛けて怪人の拳が叩き込まれる。

「がふっ!!」

カブトは一瞬むせながらも、即座にガンモードで撃ち倒そうとする。しかしその瞬間、怪人はまるで音速が如きスピードでそれを回避し、カブトの前に回りこんだ。そしてそのまま、上に打ち上げるように拳を叩き込み、カブトは宙へと舞う。そしてそのまま、カブトは建物の屋上に落下した。

「ち・・・やるじゃないか」

カブトがそう言いながら身体を起こすと、怪人もまた宙を飛びながら屋上まで昇ってきた。

「だが・・・これだけ広いなら、思いっきり戦えるというものだ」

カブトはそう言うと、カブトゼクターのホーンを軽く上げた。それにより、身体のアーマーが浮かび上がり、まるで外れるのを待っているような状態へと変わる。そう、カブトには二つのフォームが存在する。【マスクドフォーム】はパワーを重視した姿。そして・・・。


「・・・キャストオフ」


カブトがそう言って、ホーンを完全に引き上げた。それにより、カブトゼクターからは一つの機械音が発せられた。


『キャスト・オフ』


その瞬間、カブトの身体を覆っていた銀色のアーマーが弾けとんだ。アーマーの破片が怪人を襲う中、カブトホーンが立ち上がり、赤きアーマーへと変わった一人の戦士が舞い降りる。その名は・・・・・仮面ライダーカブト【ライダーフォーム】。


「く・・・・・・うおおおおおおおおお!!」
「はぁあああああああああああああああ!!」

竹林の中、金狼の騎士・銀狼の騎士が刃をギシギシとぶつけ合っていた。

「はぁぁぁ!!」
「こんの!!」

牙狼が縦一文字に刃を振り下ろす。しかし、ゼロは二刀をクロスしてギシリと受け止め、それを弾くと同時に牙狼に蹴りを叩き込んだ。

「がはっ!!」

牙狼はそれにより吹き飛ばされ、竹を幾多も倒しながら地面に倒れた。

「はっ!!」

それを見たゼロは一気に跳躍すると、牙狼めがけて二刀を逆手持ちで突きたてにかかる。しかし、それを牙狼はかろうじて避け、ゼロの顔を殴りつける。

「うあああ!!」
「そこだ!!」

牙狼は牙狼剣をゼロの胸目掛けて突き刺しにかかる。しかし、それをゼロは身体を捻って、左腕に突き刺させた。しかしゼロもただでは終わらず、牙狼めがけて刃を投擲し、かわしきれなかった牙狼の右肩に突き刺した。

「がはっ!!!!!!!!!!!!!!!」
「ぐう!!!!!!!!!!!!!!!!」

ゼロは左腕を押さえながら立ち上がり、牙狼は右肩から腕をブラリと垂らしながら左手で牙狼剣を構える。残り時間は・・・・あと15秒。二人の必殺の気が高まり始める。そして・・・。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「だりゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


同時に二人の騎士が爆ぜると思われた。しかしその瞬間・・・。


「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


明日菜の悲痛な叫びが響き渡った。それを聞いた瞬間、二人の刃は相手を射抜く寸前で止まった。二人が明日菜の方を見ると、そこには涙を流し悲痛な表情をした明日菜の姿があった。

「お願い・・・止めてよ・・・。なんで、戦わなきゃいけないのよ」

明日菜の小さく、確かな言葉に二人の動きは完全に止まってしまった。そして、そのまま鎧は解除された。そのままネギは明日菜にすぐ駆け寄る。

「ごめんなさい明日菜さん・・・」
「う・・・・・ネギィ・・・」
「僕は・・・大切な人を・・・悲しませてしまいました。魔戒騎士・・・失格です」
「ううん・・・いいの。ネギが生きていてくれるなら、私はそれだけでいい・・・」

二人の姿を見ていた小太郎は、パチンと指を鳴らした。すると、一瞬にして周りに張られていた結界が解除された。

「いいの・・・・結界を解除して?」

ネカネは去ろうとする小太郎に問いかけた。すると、小太郎はただ一言こう答えた。


「やる気が削がれた・・・・それだけや」


そう言って、小太郎は去っていった。それを見たネカネはクスっと笑うと、心の中でこう思った。

(あの子も・・・根がいい戦士なのね)

明日菜が落ち着いた後、ネギたちは河岸で回復を行なう事になった。


「全く・・・どうも女の泣く姿は苦手や・・・」

左腕を押さえながら、小太郎は竹林の中を歩いていた。すると、周りから影が出現した。

「テメエら・・・」
「犬上小太郎。僕たちの目的に支障をきたすと判断した。ここで、処刑させてもらう」
「フェイトの差し金・・・っちゅう事やな。上等!!」

小太郎は右手に刃を逆手で構える。しかし、その身体は限界を超えていた。

「終わりだよ・・・」

影たちは小太郎に襲い掛かった。しかし・・・。


「止めなさい!!」


突如上げられた声に影たちの動きが止まった。小太郎もその声のした方向を見ると、そこには・・・なんと千鶴の姿があった。

「あ・・・・・ち、千鶴・・・・姉ちゃん」
「小太郎君から離れなさい」

影たちに恐れもせず、千鶴は一歩ずつ影に近づく。

「止めろ千鶴姉ちゃん!!ソイツらは意識のないただの殺人兵鬼だ!!逃げろ!!」
「貴方を残して・・・逃げるなんて出来ないから」

千鶴の即答に、小太郎は愕然とした。彼女は、自分のためにこんな危険な場所にいるという事実に・・・。

「目撃者は・・・消えてもらう!!」

影は一斉に、千鶴へと襲い掛かる。千鶴は恐れなく目を瞑った。次の瞬間・・・。


「千鶴姉ちゃんに・・・手を出すな!!」


小太郎は千鶴の前に立ち、両手で刃を振るって影を一掃した。

「小太郎・・・君」
「わりいな千鶴姉ちゃん、恐い思いさせて・・・だけど」

そう言うと、小太郎は刃を上に掲げ、円を描く。そしてそのまま振り下ろした。


「もう・・・・千鶴姉ちゃんを傷つけさせはせんで!!」


叫びと同時に、銀狼の鎧を召喚された。そしてそのまま、小太郎はゼロへと変わる。

「・・・小太郎君」
「見ててや千鶴姉ちゃん。ワイは・・・千鶴姉ちゃんを護る!!」

魂の決意と共に、銀の牙が影を粉砕するのだった・・・。


「さぁ・・・かかってこい」

場所は変わり、カブトと怪人は建物の屋上で戦っていた。

「グオオオオ!!」
「フン・・・遅い」

大振りの拳を軽く避け、怪人の腹部に拳を叩き込んだ。更に続けて顔に向けて二度目の拳を叩き込み、そのままローキックをかました。

「・・・・・オオオオオオオオオオオオ!!」

すると、突如怪人が叫びを上げると同時に超高速でカブトへと近づき始めた。しかし、カブトの前では、それすら無力。

「・・・クロック・アップ」

そう言って、右腰のボタンを叩く。すると、カブトもまた超高速で怪人を迎え撃った。

「ギギ!!グゲゲ!!」
「甘い。高速戦闘だけでは・・・」

カブトは【カブトクナイガン】をクナイモードに切り替え、ザシュンと怪人の両肩を切り刻んだ。

「グアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

怪人は叫びを上げると、超高速モードで下へと降り立った。

「ち・・・私が人のいる場で戦えないようにすると言う事か。しかしな・・・」

そう言うと、カブトはギアにとある物の召喚を強く念じた。すると、カブトの目の前には愛機【カブトエクステンダー】が佇んでいた。

「魔眼に高機動マシン・・・拳銃があるのでな」

カブトはガンモードに切り替え右腕に持つと、カブトエクステンダーに跨る。そしてそのまま、エンジンをフルスロットルさせる。勿論、魔眼の回転率も全開である。

「いくぞ」

カブトは短く呟き、エクステンダーを走らせる。そしてそのままクロック・アップを起動させ、建物を削るように壁を垂直走行しながら地面に降り立った。そのまま加速を上げ、怪人を追跡する。

「・・・視えた」

カブトは一気にスピードを上げた。そしてそのまま怪人をぶち抜いた瞬間、ブレーキをかけて回転力を作り上げる。それにより、後輪が浮き上がり向きが怪人側になった。その瞬間・・・。


「砕けろ」


カブトのクナイガンから、弾丸が放たれた。それを受けた怪人は、ダメージを受けて地面に倒れこむ。カブトはエクステンダーから降りると、カブトゼクターに付属している三つのボタンを押した。

『1・2・3!!』

そのままホーンを戻しながら、カブトはトドメの一言を告げる。


「ライダー・・・キック」


そのまま一気に、ホーンを引き上げた。それにより、全エネルギーが右足に収束される。

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

怪人は最後の足掻きの如く突撃してくる。しかし、それは愚考である。

『ライダー・キック』

電子音と共に、カブトのライダーキックが放たれた。それはそのまま怪人の顔を蹴り上げ、地面にひれ伏させた。そしてそのまま、怪人は爆発したのだった。

「やれやれ・・・さて、合流前に和泉へドリンクを買っておかないとな」

カブトのアーマーを解除した瞬間、クロック・アップは解除された。辺りがなんだか騒々しい中、真名は何もなかった顔で自販機へと向かうのだった。


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